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セレブな裸体⑭
しおりを挟む辛らつな口調に、僕は身を起こした。できるなら、美咲さんの口から悪口は聞きたくない。僕はなだめるように、彼女の引き締まった腰をなでた。
「美咲さんのお気持ちはどうなんですか?」
「愛情はないけれど妻という立場にいるわけだし、私にも女性としてのプライドがある。意地でも別れてやるもんか、そう思っていたの」
「思っていた。過去形なんですね」
「最近になって、意地とかプライドとか、どうでもよくなってきちゃったの。シュウくん、どうしてだかわかる?」
僕は黙って首を横に振った。
「シュウくんのおかげだよ」
美咲さんが上体を起こし、僕に向かって両手を広げる。わけがわからないまま、僕は彼女に優しく抱きしめた。
「こんな素敵な男の子が、時間をかけて、一生懸命に愛してくれるんだもの。こんなおばさんの私でも、まだ捨てたもんじゃない。そう思ったら、さっさと離婚して、新たな人生をスタートした方が利口だ、ってわかったの」
「美咲さん、一つだけ訂正してもらえませんか。今の言葉は聞き捨てならないです」
「シュウくん、どうしたの? 顔が怖いよ」
不満が顔に出ていたのだろう。僕は美咲さんの眼を見て、思ったことをはっきり口にした。
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