純情 パッションフルーツ

坂本 光陽

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 年を重ねるごとに、隠し事は増えていく。
 エリさんに嘘を吐いたつもりはないけれど、少々気が重い。

 その後もふと気づくと、エリさんの〈秘密〉について考えている。
 いくら考えても、答えなど出ない。繰り返し考えても、答えにはたどり着けない。

 わかりきっていることだ。時間の無駄だ。不毛きわまりない。同じ場所を延々とルーしているだけだ。思考回路が熱を帯びるだけで、答えなど永遠に出やしない。
 考えすぎて、頭が痛くなってきた。心が重荷を感じている自覚もある。自分では楽天的だと思っていたけど、この手の問題には意外と弱いのかもしれない。

 ただ、どんなに悩んでも、それでも日常は続く。
 僕は半ば惰性で、重い足を引きずって大学を訪れた。

 しばらく暑い日が続いているが、時折、心地よい風を肌に感じる。秋めいてきたようだ。バス停留所からキャンパスへと続く銀杏並木が色づきかけている。半月もたてば、見事な黄金色に染まることだろう。

 まず、学生たちの憩いの場に向かった。人工芝を敷きつめた噴水広場で日向ひなたぼっこをすると、どんな悩みごとはくだらないことに思えてくる。そんなジンクスを信じたい気分だったのだ。

 日向ぼっこをする前に、香里をバッタリ出会った。
「やぁ、おはよう」
「おはようって駿介くん、もう11時ですけど?」

 冴えた切り返しを思いつけず、僕はあくびをかみ殺す振りをする。
 ただ、僕はよほど冴えない顔をしていたのだろう。香里は神妙な顔を寄せてきた。

「あっ、もしかして、告白して振られた?」
「告白って、誰に?」

 言ってから、思い出した。ああ、そうか。魅子さんに告白してさっさと振られろとか、香里から、そんなことを言われていたっけ。
 大きな溜め息をつくと、香里は手を僕の額にあててきた。ひんやりして気持ちがいい。

「熱はなさそうね。じゃ、何か食べて元気つけよう。少し早いけど」

 ぐいぐい引っ張られて、第三食堂に連行された。三つある食堂のうち、最も価格帯が高目で、最もきれいな内装。そのせいで、女の子が多い。複数の香水が入り混じり、異様な匂いが漂っている。客観的に考えて、これは営業妨害ではないのか。

 それはともかく、僕は激辛唐揚げカレーを注文した。強烈な香水にスパイスの匂いで対抗するためだ。香里はヘルシー山菜うどんを選んだ。美しい肌と体型維持に余念がない。
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