純情 パッションフルーツ

坂本 光陽

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 後日、真中さんから手紙を受け取った。手書きだと能弁になるらしく、今回の件に対する想いが書き綴られていた。

「息子の元妻である深水エリ。彼女は、息子を愛していないのに、生活のために息子と結婚した。結婚を認めさせるだけのために、関係して妊娠した。(エリさんの真意はともかく、真中さんはそう確信しているらしい)私は彼女を一生、許さないだろう。しかし、悲しいかな、それでも彼女は身内なのだ。身内の恥が公になれば、弊社にも私自身にも火の粉が及びかねない。誤解しないでもらいたい。決して許したり馴れ合ったりするつもりもない。利害関係が合えば手を差し伸べる。ただ、それだけのことだ。それは今後も変わらないだろう」

 真中さんの意志を尊重して、エリさんには何も伝えなかった。
 エリさんに話せば心から感謝するはずだが、真中さんの要望なのだから仕方がない。とにかく、このデリケートな問題で、エリさんは負い目を感じないでほしい。真中さんは「身内の恥」と表現した。

 その言葉に違和感をおぼえないではない。本来、恋愛は個人の自由だし、身内がどうこう言うような問題ではない。逆に身内だから寛容でありたいし、理解できるように務めたい。

 僕はそう思っている。少なくとも頭の中では。
 心の中は依然混乱している。感情を整理できず、もやもやしてしまう。僕が愛した魅子さんは、女性しか愛せない女性だった。その事実をどう受け止めればいいのか?

 当の魅子さんは変わらない。セクシャリティの壁があっても、僕たちの関係には何の影を落とさなかった。
 魅子さんは以前と同じ態度で僕と接してくれる。相変わらずのポメラニアン・フェイス。今回の問題は公にならなかったし、知っている者は限られている。

 幸い、彼女の勤務先には知られていない。魅子さんはエリさんの担当編集者のままだ。可愛らしい笑顔でマンションにやってきて、無邪気に僕の心をかき乱す。

「駿介くん、エリさんの新作のために、キャンパスライフの取材をしたいの。駿介くんとお友達の話を聞かせてほしいんだけど、協力してくれないかなぁ。ねっ、お願いっ」

 ウインクして両手を合わせられたら、とても断ることはできない。それどころか、大喜びで協力してしまう。
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