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ユーリィ・エルフィンドワーフ
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「のうカナタよ。本当に良いのか?今なら間に合うぞ。今なら…勇者召喚の儀式を儂の権限で止める事が出来るのじゃぞ?」
大賢者ユーリィ・エルフィンドワーフはためらいがちに聞いてきた。
「子供は余計な心配をするな、ユーリィは成すべき事を成せばいい」
カナタはユーリィの頭を撫ぜながら笑って答えた。カナタはどうしてもこの祖父を尊敬する、小さな大賢者に面白さを感じてしまうのだ。
「むう!お主はいつも儂を子ども扱いする!こう見えても儂はお主よりも年上なのじゃぞ!」
ユーリィはプリプリと言った感じで怒っていた。どこからどう見ても子供のそれである。
「まあ魔王召喚の儀式が成された今、最後の希望は勇者しかいないのも事実なのよ」
アルファがカナタの代わりに答えた。
「しかし、勇者が召喚されるという事はつまりお主が死ぬ事なんじゃろう?」
ユーリィは半べそで聞いてきた。こういう所がカナタの保護欲をくすぐるのであるが、ユーリィ本人は無自覚だ。
「それは私達がなんとかする」
ベータが抑揚のない声で言った。
「何とかなる物なのか?ベータよ?儂に嘘を吐くでない。お主の予知ではまだカナタは助かっておらんのじゃろう?」
ユーリィは半べそのままギロリとベータを睨んだ。
「良いからユーリィは勇者召喚の儀式を成功させる事だけに集中しなさい。それから、今月の支払いはこれだけだからね」
アルファが請求書をユーリィに見せた。
「な、何じゃこの額は?先月よりも大分増えとるではないか?!」
「先月は迷惑料として少し減らした。これが正当な金額」
「ぼ、暴利が過ぎんかの?カナタ何とか言ってくれ」
「あー、いや、すまん経理はベータに任せているので俺からは何とも…」
「心配しなくても、前に言った今回のイベント広告料金で賄えるようになるわよ」
アルファが呆れ顔で言った。
そんなやりとりをしているうちに外が騒がしくなって来た。やがて一瞬静かになったと同時に扉が開いた。
「ユーリィ様お時間です」
護衛の恰好をした、ホレスがユーリィに声を掛けた。
後ろにはアリシアやレーナもいる。
「うむ、では…」
そう言って歩き出したユーリィ、アルファ、ベータだったがカナタは一人壁際で腕組をしていた。
「…のうカナタよ。本当にお主は一緒に行かぬつもりか?」
「うん?あぁ、俺は今回遠慮しておくよ。ただまあ、ここから勇者召喚の儀式は見させてもらうさ」
「そうか、なら皆の者参るぞ」
そう言ってユーリィとパーティーメンバー達は部屋から出て行った。
しかし、アルファとベータだけは最後に残りカナタに声を掛けた。
「ごめんなさい、貴方には辛い場面よね」
「無理する必要はない」
二人は珍しく神妙な顔つきだった。
「うん?ああ、気にするな。俺もここから久しぶりにあいつの顔を見れる」
三人に沈黙が流れる。
「じゃあ、行ってくるわね」
「…行ってくる」
「あぁ、頼む」
そう言ってカナタは一人になった。
腕を組んだ手の指に力が入る。
それは段々強くなり、腕に血がにじむ程の強さになっていた。
「すまない。…俺は止めない。止められなかった」
後悔と懺悔の混ざった言葉は誰に向かって言った言葉なのか、カナタ自身にも分からなかった…。
大賢者ユーリィ・エルフィンドワーフはためらいがちに聞いてきた。
「子供は余計な心配をするな、ユーリィは成すべき事を成せばいい」
カナタはユーリィの頭を撫ぜながら笑って答えた。カナタはどうしてもこの祖父を尊敬する、小さな大賢者に面白さを感じてしまうのだ。
「むう!お主はいつも儂を子ども扱いする!こう見えても儂はお主よりも年上なのじゃぞ!」
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ユーリィは半べそのままギロリとベータを睨んだ。
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アルファが請求書をユーリィに見せた。
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そんなやりとりをしているうちに外が騒がしくなって来た。やがて一瞬静かになったと同時に扉が開いた。
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後ろにはアリシアやレーナもいる。
「うむ、では…」
そう言って歩き出したユーリィ、アルファ、ベータだったがカナタは一人壁際で腕組をしていた。
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「うん?あぁ、俺は今回遠慮しておくよ。ただまあ、ここから勇者召喚の儀式は見させてもらうさ」
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