いきなり最終話(クライマックス)

アルファ・D・H・デルタ

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魔王の正体

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カナ、アルファ、ベータの三人は、迷宮化した地下遺跡を魔物など物ともしないスピードで駆け抜けていた。



「…こっちよ。おそらくこの道が最短距離になるわ」



カナは迷う事もなく道を指示した。



「ねぇ、それも魔王の声が聞こえているお陰で分かるの?」



アルファが聞いて来た。



「ええ、魔王が教えてくれているわ。私には分かる」



カナは自信を持って答えた。



「…貴女はもしかして魔王の正体を知っているの?」



アルファは魔物を切り伏せ、走りながら、しかし、呼吸ひとつ乱すことなく、カナに問い掛けた。



「…これまでは、自信がなかったのよ?でもカナタとギルゴマの会話を聞いて、確信が持てた。ギルゴマは今の魔王こそが本来の勇者となる存在だったと言ったわ。そして私はその召喚に巻き込まれただけ。つまり私が地球で召喚された時にそばにいた者こそが、本物の勇者よ」



カナはどこか不安気に答えた。



「つまり、正体を知っている?」



ベータが簡潔に答えを求めた。



「あの時の事は良く覚えているわ。そしてギルゴマの言葉が真実だとしたら、該当する者はただ一人よ。それが魔王の正体」



カナは問い掛けに頷きながら断言した。



「…その正体を聞いても良いかしら?私達も覚悟を決めたいのよ」



アルファが遠慮気味に聞いて来た。



「…そうよね、ここまで着いて来てくれた貴女達には、全てを話すべきかもしれないわ」



カナはため息を吐きながら躊躇いがちに言った。



「言い難そうな顔をしているけれど…もしかして、お知り合いだったの?」



アルファは意を決して、核心に近い事を聞いた。



「…その質問に答える前に、少しだけ、私達がこの世界に召喚される前の話をしても良いかしら?」



カナの表情が少しだけ暗い顔つきになった。



アルファとベータは怪訝に思いつつも頷いた。



「この話を聞いた後に、きっと二人は私を軽蔑するわ。私は本当に酷く自分勝手な女なのよ。でもこれが私達に起きた真実の話なの。でも、どうか私の懺悔を聞いてちょうだい」





そうしてカナはアルファとベータに、地球で起きていた出来事の真実を、ゆっくりと思い出すように話し始めたのだった。

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