いきなり最終話(クライマックス)

アルファ・D・H・デルタ

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クライマックス

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ギルゴマは、神剣で壁に抜付けられた体制のまま、カナタへと不可視の攻撃を繰り出していたが、その間にも隙を伺って、神剣ルクレシアを体から引き抜こうと試みていた。



しかし、根元まで深く突き刺さった神剣は、そうやすやすと抜けるものではなかった。



一見すると絶体絶命の危機ではあるが、それでもギルゴマにはまだ余裕があった。



確かに身動きは取れなくなり、追い詰められた形ではある。



しかし、残念な事に、この者達の攻撃には決定打が足りない。



我々の様な、第四世代の管理者を倒すには、彼らの攻撃力では圧倒的に力不足なのだ。



そこまで考えた上で、それでもギルゴマは若干の不安を抱いていた。





(もしかすると、この人間には、まだ何か隠された力があるのでしょうか?いえ、何と愚かな事を私は考えているのでしょうか、たかが人間に何が出来ると言うのです?!)



ギルゴマは、ある種の嫌な予感を感じたが、それを打ち消すように頭を振った。



(馬鹿げていますね。人間の身で管理者へとどめを刺す事など、あり得るはずが無いでしょう)



ギルゴマは、自分の予感を信じず、思い過ごしだとして、考えを改めた。



(であれば、まずはこの邪魔な神剣を抜く事に集中すべきですね)



ギルゴマは、そう判断して攻撃を中断し、両手で神剣の柄を握り、自分の体から引き抜こうとした。



「そうはさせない!」

「甘い」



しかし、そのギルゴマの両手をアルファとベータが蹴り上げ、両手を壁に踏みつける形で、ギルゴマの動きをさらに封じた。



「おとなしくするんだな!」

「全く、諦めが悪いこと」



そこにホレスとレーナが、続いてギルゴマの足を力の限り踏みつけた。



「ごめんないね。お父様!」



アリシアに至ってはギルゴマを貫いている神剣の柄を踏みつけ、さらに深く剣を突き刺した。

アリシアの表情は「ごめんなさい」と謝りつつも、笑みを浮かべていた。



「グハッ」



ギルゴマは苦しそうな声で喘いだ。



これでギルゴマの動きは、完全に封じ込められた形となった。



そして、間髪入れずに、カナタはギルゴマの目の前まで到着し、不敵な笑いで至近距離からギルゴマを見下ろした。



「良い様だな。ギルゴマよ」



カナタは挑発するようにギルゴマへ言った。



「確かに非常に不愉快な状況ですねぇ」



だが、ギルゴマはそれでも余裕を崩さなかった。



「お前の余裕は、魔王から寄せられる力の源が原因だろう?いくら傷付いても魔王から流れ込む力で、回復は可能だと思っている。だが、それも…」



カナタが言葉を続けようとした時、突然ギルゴマは体から力が抜けたような感覚に陥った。



「クックック、なるほど。勇者が魔王を倒しましたかね」



ギルゴマはすぐさま自分の力の源が断ち切れた事を理解した。



「そう言う事だ。どうやらあいつは上手くやったようだな」



カナタはギルゴマの耳元へ語り掛けた。



「だが、それでもまだ、お前に対して、有効な攻撃力が足りていないのも事実だ」



カナタはそう言って、ギルゴマに再び不敵な笑いを見せた。



「その自信のある顔は、解決方法を編み出している、と言う事でしょうかねぇ」



ギルゴマはそう言って興味深そうにカナタを見た。



「ああ、今から決着を着ける」



そう言って、カナタは…最後の言葉を唱え始めた。
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