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彼だけがいない世界
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「リーダー!」
「あの馬鹿!」
「教官!」
「カナタ!」
全員が不意を突かれた形でカナタとギルゴマの姿は、世界から音もなく消えた。
カナタらしいと言えばそれまでだが、人間が命を懸けて何かをする瞬間においてこれほど呆気なく、そして何の躊躇いもなく行われた死があっただろうか?
「クソ!あの馬鹿、何を勝手に終わらせてやがる!」
ホレスが怒鳴り声を上げた。
「本当にあの人は最後の最後まで、信用できない人です」
レーナは泣きながら憎まれ口を叩いた。
「教官、うわあぁん!」
アリシアはただただ泣きじゃくるだけであった。
「全く、カナタらしいと言うか…あら?ちょっと待って。何故私達はカナタの事を覚えていられるの?」
アルファが本来であれば有り得ない事実に気が付いた。
「カナタは本来であれば地球の人間。地球では今頃、カナタの存在は無かった事になっている」
ベータが怒った表情で答えた。
恐らく怒っている相手は、呆気なく死を選んだカナタに対してだ。
「もしかして、ここまで視えていたのね?!」
アルファがベータに問い質した。
ベータはコクリと頷いた。
「あまりにも呆気なく認証を許可したからおかしいとは思ったのよ!どういう事か、説明してもらうわよ!ベータ!」
アルファが怒りながらベータに言った。
「説明はする。でもその前に、カナと…、もう一人、全ての絵を描いた、張本人の到着を待つ必要がある」
ベータはそう言って、空を見上げた。
「カナと、もう一人?それってもしかして…」
アルファが言葉の続きを言おうとした時、足元に転移魔法陣が描かれた。
数瞬遅れてそこからカナの姿が現れた。
「カナタは無事?!」
カナは必至の表情でパーティーメンバーに聞いた。
しかし、全員が何も言えずにいた。
不安そうにしているカナに、その答えを言うべきベータは、ただ、真っ直ぐに一方向の空を見ていた。
やがて、ベータが睨んでいた方角の空は、歪んだようにグニャリと弧を描き、そしてその中から…地球の管理者であるルクレシアが現れた。
「アルファ、ベータ、そして皆さんも、今回の出来事は本当にごめんなさい。これから全ての真実をお話しします」
そう言ってルクレシアは全員に向かって頭を下げた。
“彼”の物語はここで終わった。
しかし、彼の仲間と、勇者の物語がここより始まる。
「あの馬鹿!」
「教官!」
「カナタ!」
全員が不意を突かれた形でカナタとギルゴマの姿は、世界から音もなく消えた。
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「クソ!あの馬鹿、何を勝手に終わらせてやがる!」
ホレスが怒鳴り声を上げた。
「本当にあの人は最後の最後まで、信用できない人です」
レーナは泣きながら憎まれ口を叩いた。
「教官、うわあぁん!」
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「全く、カナタらしいと言うか…あら?ちょっと待って。何故私達はカナタの事を覚えていられるの?」
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恐らく怒っている相手は、呆気なく死を選んだカナタに対してだ。
「もしかして、ここまで視えていたのね?!」
アルファがベータに問い質した。
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「あまりにも呆気なく認証を許可したからおかしいとは思ったのよ!どういう事か、説明してもらうわよ!ベータ!」
アルファが怒りながらベータに言った。
「説明はする。でもその前に、カナと…、もう一人、全ての絵を描いた、張本人の到着を待つ必要がある」
ベータはそう言って、空を見上げた。
「カナと、もう一人?それってもしかして…」
アルファが言葉の続きを言おうとした時、足元に転移魔法陣が描かれた。
数瞬遅れてそこからカナの姿が現れた。
「カナタは無事?!」
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しかし、全員が何も言えずにいた。
不安そうにしているカナに、その答えを言うべきベータは、ただ、真っ直ぐに一方向の空を見ていた。
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