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やっぱりダメだ
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結局明衣との話が落ち着かないまま、4時間目の化学の授業を迎えた。今日はグループでの実験があり、那月の班は自分を含めた男女5人。男子が2人いるから、できるだけ普通に接せられるように頑張ろうと意気込みながら実験器具を準備していた。
一一一やっぱり、ちょっとずつだけど克服に近付いてる気がする。彩世先輩とずっと会って、目が合っても背けなくなったし前よりも話せるようになったんだ。頑張れば、他の男の子も少しずつ克服できるはず…。
ドクドクと那月の心臓がひんやり鼓動する。微かに震える手に力を入れ、何とか実験を進めることが出来た。
だが他2人の男子は友達らしく、喋りながらふざけていてあまり授業に集中していなさそうだ。女子達はそれを迷惑そうに横目で見ながら、作業を行っていく。
「篠井くん、これ混ぜるのお願いしていい?」
「あっ、うん。分かった」
真面目にやっている男子が那月だけだからか、女子達は那月と作業を割り振りながら、手分けして連携をとるようになった。
一一一女の子達とは話せるけど…後の男子2人は僕達のやってることに見向きもしないし、喋ってるし、関わるのは難しそうだ…。
「こら!そこの2人、遊んでないで集中しなさい」
すると、やはり先生に目をつけられたらしく、男子2人は注意を受けた。でも気にすることなく、ヘラヘラと笑いながら「ちゃんとやってますよー」などと吐き捨てる。
どのクラスにも大概いる、典型的なおちゃらけタイプというやつだ。加えて不真面目さもある厄介なパターン。
「ねー?篠井くん、俺らちゃんとやってるよね?」
そして突然、その内の1人が那月の肩に勢いよく腕を回し、顔の近くでそう言いながら擦り寄ってきた。
「……っ!」
不意の出来事のせいで、那月の頭の中は一気にサーッと真っ白になってしまった。そして自分の意思とは反射的に体が固まり、手の力が抜けていく。
パリーン!
「わっ…!」
その一瞬で、那月は手に持っていたフラスコを床に落としてしまった。ガラスが割れる音で意識がハッとした那月の足元には、バラバラの破片に姿を変えたフラスコが。
「ちょっとちょっと!何やってるの!大丈夫!?」
「あ、あ、す、すみません…!!」
割れた音に周りが注目し、クラスのほとんどが那月の班に目線を送っている。慌てて駆け寄ってきた先生は、状況を見てからほうきとちりとりを取りに走っていった。
「おいおい、何やってんだよ篠井ー。今の俺のせいじゃねーよな?」
那月はまた近付いてきた男子から思わず距離を取ってしまい、割れたフラスコの前にしゃがみこむ。
「……っう、う、あ、うん。ぼ、ぼっ、僕が…」
「は?なに?なんて言ってんの?聞こえねーよ」
喋りたいのに、言葉が出てこない。一応、返事はできたと言ってもいいのだろうか。それでも、やはり男子相手に会話という会話ができそうにない。
「ちょっと!あんたが篠井君にぶつかったからでしょ!」
「は?肩組んだだけだし、こいつが勝手に落としたんだろ」
「てかさ、篠井の話し方やば。急になんなの?」
庇ってくれる同じ班の女子と、ふざけていた男子が対立しつつあり、周りもその様子をザワザワと興味津々で見ている。
一一一なんで、こうなっちゃうんだろう。やっぱり、僕はまだまだ全然ダメなんだ。変わってない…。
「那月……!」
そして、状況に気付いて那月の元に駆け寄ろうとした明衣は、戻ってきた先生の手によって行く手を遮られていた。
「ほらほら、真田さんもいいから。みんなはそれぞれ実験に集中して!篠井くん、ほうきとちりとりで破片とったら先生に渡して」
「は、はい…」
「君達2人も、ふざけてないでしっかりやりなさい!」
その先生の声かけで、厄介になりそうだったその場は収まった。だか、叱られた男子は渋々席につき鬱陶しそうに那月を睨んでいる。
「チッ…」
その視線を背中に痛く感じながら、破片を集める那月。最近、少し男性に慣れてきたと思っていたのが嘘かのように、また背筋が震え冷や汗が体を伝った。
「あいつ、やばくね?」
「だよな。コミュ障かよ、きも」
一一一泣いちゃダメだ……。
一一一やっぱり、ちょっとずつだけど克服に近付いてる気がする。彩世先輩とずっと会って、目が合っても背けなくなったし前よりも話せるようになったんだ。頑張れば、他の男の子も少しずつ克服できるはず…。
ドクドクと那月の心臓がひんやり鼓動する。微かに震える手に力を入れ、何とか実験を進めることが出来た。
だが他2人の男子は友達らしく、喋りながらふざけていてあまり授業に集中していなさそうだ。女子達はそれを迷惑そうに横目で見ながら、作業を行っていく。
「篠井くん、これ混ぜるのお願いしていい?」
「あっ、うん。分かった」
真面目にやっている男子が那月だけだからか、女子達は那月と作業を割り振りながら、手分けして連携をとるようになった。
一一一女の子達とは話せるけど…後の男子2人は僕達のやってることに見向きもしないし、喋ってるし、関わるのは難しそうだ…。
「こら!そこの2人、遊んでないで集中しなさい」
すると、やはり先生に目をつけられたらしく、男子2人は注意を受けた。でも気にすることなく、ヘラヘラと笑いながら「ちゃんとやってますよー」などと吐き捨てる。
どのクラスにも大概いる、典型的なおちゃらけタイプというやつだ。加えて不真面目さもある厄介なパターン。
「ねー?篠井くん、俺らちゃんとやってるよね?」
そして突然、その内の1人が那月の肩に勢いよく腕を回し、顔の近くでそう言いながら擦り寄ってきた。
「……っ!」
不意の出来事のせいで、那月の頭の中は一気にサーッと真っ白になってしまった。そして自分の意思とは反射的に体が固まり、手の力が抜けていく。
パリーン!
「わっ…!」
その一瞬で、那月は手に持っていたフラスコを床に落としてしまった。ガラスが割れる音で意識がハッとした那月の足元には、バラバラの破片に姿を変えたフラスコが。
「ちょっとちょっと!何やってるの!大丈夫!?」
「あ、あ、す、すみません…!!」
割れた音に周りが注目し、クラスのほとんどが那月の班に目線を送っている。慌てて駆け寄ってきた先生は、状況を見てからほうきとちりとりを取りに走っていった。
「おいおい、何やってんだよ篠井ー。今の俺のせいじゃねーよな?」
那月はまた近付いてきた男子から思わず距離を取ってしまい、割れたフラスコの前にしゃがみこむ。
「……っう、う、あ、うん。ぼ、ぼっ、僕が…」
「は?なに?なんて言ってんの?聞こえねーよ」
喋りたいのに、言葉が出てこない。一応、返事はできたと言ってもいいのだろうか。それでも、やはり男子相手に会話という会話ができそうにない。
「ちょっと!あんたが篠井君にぶつかったからでしょ!」
「は?肩組んだだけだし、こいつが勝手に落としたんだろ」
「てかさ、篠井の話し方やば。急になんなの?」
庇ってくれる同じ班の女子と、ふざけていた男子が対立しつつあり、周りもその様子をザワザワと興味津々で見ている。
一一一なんで、こうなっちゃうんだろう。やっぱり、僕はまだまだ全然ダメなんだ。変わってない…。
「那月……!」
そして、状況に気付いて那月の元に駆け寄ろうとした明衣は、戻ってきた先生の手によって行く手を遮られていた。
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「は、はい…」
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その視線を背中に痛く感じながら、破片を集める那月。最近、少し男性に慣れてきたと思っていたのが嘘かのように、また背筋が震え冷や汗が体を伝った。
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