28 / 94
3
俺はいいよ
しおりを挟む
いつもよりも穏やかな時間。2人がお互いの笑い声を聞いたのはこれが初めてかもしれない。その間、那月の心臓はよく鼓動しているが、今までの冷や汗が出るほどのドクドクと激しく鳴るものではなく、トクトクと優しく温度を上げるものに変わっていた。
きっと今、彩世といる時だけは。
「……っあ、の。ありがとうございます、その、話を…ははは励まして?くれて……」
「え?別に…暇だったから聞いただけだよ」
「は、は、はい……」
たまに低い声でそっけない所も、那月は心地が良かった。本当に冷たいとは感じないからか。
話をしながら箸を進めて、気が付けば那月の弁当の中は空っぽになっていた。
「食べ終わった?」
「あ…は、はい!あの、ご、ご馳走様でした……」
「いや俺が作ったんじゃないけどね。じゃあそろそろ行くわ」
「!あ……」
彩世が立ち上がって出口に向かって行った時、那月はそれに向かって1歩近付く。
「あ、あああの!!!」
「…ん?」
「さ、さっきの…、そ、その人と、ふ、深く関わりたいか、どうか…って話、」
「ああ、うん。それがどうした?」
「……っあの、僕が、い、彩世先輩とは、その…これからも、関わり…たいって思って…たら…、それはいい、ですか?」
「……え」
その言葉を聞いて、彩世は目をぱちくりと大きくさせた。もちろん那月からは見えていない。
「……俺のことは、もう怖くないの?」
「あ……、え、と」
その質問は今までの那月を見ていたら、当たり前に出てくるものだ。あんなに目が合うだけで怖がって、鉢合わせたら腰を抜かしていたような子からそんなことを言われたら、まず疑問に思うだろう。
でも、その時の那月も今の那月もどちらも嘘ではない。彩世と出会ってから、過ごしてから起こった変化。
「っい、今は、彩世先輩と、会っても…こ、怖く、ないです。だんだん、慣れて…きて…、で、でもまだ、ほんのちょっとだけは…緊張、します…」
「…そっか」
「あ、あの、でも僕……、せ、先輩だから…こんなに、大丈夫になったと…思っ、だ、だから…その」
「いいよ」
那月の言葉に被せるようにして、はっきり響いた彩世の声。「へっ?」と間抜けな返事が那月から漏れる。
「俺はいいよ」
一一一すごく、優しい声だ。
「いい……で、すか?」
「うん」
一一一彩世先輩は、今どんな顔で話してるんだろう。僕といる時、話してる時、聞いてくれてる時、どんな風にしてるんだろう。見たいって…思って、知りたいって、もっと関わりたいって思ってもいいのかな。
「俺ならいいよ、ナツくん」
きっと今、彩世といる時だけは。
「……っあ、の。ありがとうございます、その、話を…ははは励まして?くれて……」
「え?別に…暇だったから聞いただけだよ」
「は、は、はい……」
たまに低い声でそっけない所も、那月は心地が良かった。本当に冷たいとは感じないからか。
話をしながら箸を進めて、気が付けば那月の弁当の中は空っぽになっていた。
「食べ終わった?」
「あ…は、はい!あの、ご、ご馳走様でした……」
「いや俺が作ったんじゃないけどね。じゃあそろそろ行くわ」
「!あ……」
彩世が立ち上がって出口に向かって行った時、那月はそれに向かって1歩近付く。
「あ、あああの!!!」
「…ん?」
「さ、さっきの…、そ、その人と、ふ、深く関わりたいか、どうか…って話、」
「ああ、うん。それがどうした?」
「……っあの、僕が、い、彩世先輩とは、その…これからも、関わり…たいって思って…たら…、それはいい、ですか?」
「……え」
その言葉を聞いて、彩世は目をぱちくりと大きくさせた。もちろん那月からは見えていない。
「……俺のことは、もう怖くないの?」
「あ……、え、と」
その質問は今までの那月を見ていたら、当たり前に出てくるものだ。あんなに目が合うだけで怖がって、鉢合わせたら腰を抜かしていたような子からそんなことを言われたら、まず疑問に思うだろう。
でも、その時の那月も今の那月もどちらも嘘ではない。彩世と出会ってから、過ごしてから起こった変化。
「っい、今は、彩世先輩と、会っても…こ、怖く、ないです。だんだん、慣れて…きて…、で、でもまだ、ほんのちょっとだけは…緊張、します…」
「…そっか」
「あ、あの、でも僕……、せ、先輩だから…こんなに、大丈夫になったと…思っ、だ、だから…その」
「いいよ」
那月の言葉に被せるようにして、はっきり響いた彩世の声。「へっ?」と間抜けな返事が那月から漏れる。
「俺はいいよ」
一一一すごく、優しい声だ。
「いい……で、すか?」
「うん」
一一一彩世先輩は、今どんな顔で話してるんだろう。僕といる時、話してる時、聞いてくれてる時、どんな風にしてるんだろう。見たいって…思って、知りたいって、もっと関わりたいって思ってもいいのかな。
「俺ならいいよ、ナツくん」
0
あなたにおすすめの小説
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした
天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです!
元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。
持ち主は、顔面国宝の一年生。
なんで俺の写真? なんでロック画?
問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。
頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ!
☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。
ある日、人気俳優の弟になりました。2
雪 いつき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。穏やかで真面目で王子様のような人……と噂の直柾は「俺の命は、君のものだよ」と蕩けるような笑顔で言い出し、大学の先輩である隆晴も優斗を好きだと言い出して……。
平凡に生きたい(のに無理だった)19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の、更に溺愛生活が始まる――。
今日もBL営業カフェで働いています!?
卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ
※ 不定期更新です。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる