早く惚れてよ、怖がりナツ

ぱんなこった。

文字の大きさ
64 / 94
5

壊れそう

しおりを挟む
「せ、先輩……」

一一一首触られてる…。いや、顔?境目?分かんないけど、先輩に触れられてる…!この前みたいに…。

彩世の眼差しは那月を見守るようなものとは違って、真っ直ぐ突き刺さる鋭いものだ。逃がさないと言わんばかりに那月の首に手を添えたまま。

「なつ…夏希はさ、俺に対して独占欲がすごいからって前も言ったっけ。なんでそんなに1人に執着できるのか今まで分からなかったけど…」

「…っは、はい」

「今分かった気がする」

「え…?」

「ナツくんが変われて、他の男子とも話せるようになってナツくんが嬉しそうで嬉しいはずなのに…。俺、素直に喜べなくて…嫌になるんだ」

「ど、どういうこと、ですか…?」

「もう男を克服できたら、俺はいらない…?俺より他の奴と一緒にいるようになる?もう俺にだけ頼ってくれなくなる…?」

一一一彩世先輩の手が震えてる…。目を伏せて唇を噛み締めてる。今までの僕と同じように…。

「…せ、先輩がいらなくなるなんて、有り得ないです!克服できても…ぼ、僕は先輩に会いたい!」
「ナツくん…」
「だっだから、寂しい顔してそんなこと言わないでください…」

那月は彩世の目を見上げてそう全力で伝えた。彩世は那月に触れていた手にぐっと力を入れ、そのまま自分の方に引き寄せる。

「えっ……」

風に乗るように動いた那月の体は、あっという間に彩世の腕の中に収められてしまった。体を包む温かさと力強さに、だんだん状況を把握する那月。

一一一え?え?え…?これは、僕、先輩に抱きしめられてる…?え、待って。なんで?なんで!?近い、どの時よりも先輩が近い…!!!

「う、あ、あの……」
「…っごめん」
「……せんぱっ、い」
「すごい嫌だ…」

那月の細い体を力強く抱きしめる彩世は、顔を那月の首元に埋める。心臓を跳ね上げながらも全く動くことのできない那月は、ただ顔を赤くさせて彩世のされるがまま。

一一一や、や、やばい!!!絶対心臓の音、先輩に聞こえてる…!!バクバクしてるの止まらない。どうしよう、動きたいのに逃げられない…!

「…こんなに近いと俺が怖い?」
「へ!??い、いや…こ、怖くは…ないですけど…バクバクして心臓、やばいので、は、離して、くださ」
「…やだ」
「えっ…!?」
「また震えてるし、耳まで真っ赤になってる」
「ひっ…!!い、息がくすぐったい、です!!」

一一一ダメだ、こんなの頭おかしくなる…!!ていうか、腰抜けそう…。

「そっか…、あいつもこんな気持ちだったんだ」
「へ…?あ、あの、なんて、」
「ううん。怖かったら言って」
「え…わっ!?」

首元に顔を埋めていた彩世は、そのまま顔を上げて那月の首筋に唇を添わせる。唇が首につく度に、那月の体はビクッと大きく跳ね上がった。

「いやっ、あ、あの!待っ…これ、き、キス…!?」
「うん…」
「せ、先輩…!ちょちょ、あの!!あっ…!?」
「……っ」
「あ一一…!せ、せんぱぃ…!」

そして首筋から耳にまで唇が触れた時、那月の限界がきたようだった。

「っ…ぅ、ぁっ…!」

ガクッと膝の力が抜け、ずるずると彩世にもたれながら地面へとへたり込んでいく。荒い呼吸を繰り返しながら口元を抑えて、彩世を見上げた。

「はぁ、はぁ…、せんぱ…っ、なんで、こんな」
「…っごめん、限界だった」
「へ…、」
「独占欲が爆発したみたい、夏希のこと言えないね」
「どっ…!?」
「ちょっと…しばらくここには来ないようにする。頭冷やすよ、ごめんね」
「え…、先輩…!?」

腰が抜けた那月は立ち上がれず、歩き去っていく彩世を追いかけることができなかった。そしてなにより、今起きたことで頭がいっぱいになっているため心の整理が追いついていない。

一一一今、先輩に抱きしめられて…、え?なんで首に、キス…。耳に…!?え?え?独占欲って?僕に対してってこと…!?

「…っやばい、どうしよ、これ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 まったり書いていきます。 2024.05.14 閲覧ありがとうございます。 午後4時に更新します。 よろしくお願いします。 栞、お気に入り嬉しいです。 いつもありがとうございます。 2024.05.29 閲覧ありがとうございます。 m(_ _)m 明日のおまけで完結します。 反応ありがとうございます。 とても嬉しいです。 明後日より新作が始まります。 良かったら覗いてみてください。 (^O^)

イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした

天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです! 元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。 持ち主は、顔面国宝の一年生。 なんで俺の写真? なんでロック画? 問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。 頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ! ☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。

ある日、人気俳優の弟になりました。2

雪 いつき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。穏やかで真面目で王子様のような人……と噂の直柾は「俺の命は、君のものだよ」と蕩けるような笑顔で言い出し、大学の先輩である隆晴も優斗を好きだと言い出して……。 平凡に生きたい(のに無理だった)19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の、更に溺愛生活が始まる――。

今日もBL営業カフェで働いています!?

卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ ※ 不定期更新です。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

処理中です...