早く惚れてよ、怖がりナツ

ぱんなこった。

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刺客

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すき…?スキ?

「え、え……」

一一一先輩が、僕を…好き??

「あ…、もちろん恋愛的な意味でね」
「え……、えええ!!!」

一一一そ、それって…僕が先輩を想ってるのと同じってこと…?僕のことを好き!!??

「う、え、あ、あの、」

那月は顔を真っ赤にしたまま口を魚のようにパクパクと動かす。人生で告白というものを受けたのも初めてで、更には自分が初めて好意を抱いていた相手から。

信じられないという気持ちと、こういった状況で上手く振る舞うやり方も分からなくて焦っているようだ。

「…あー、えっと。俺はナツくんと恋人として付き合いたいって思ってる。男から言われてびっくりしたと思うし、抵抗あるかもだけど…考えてみてくれない?」
「う…、あ、あの、」

一一一先輩が僕と恋人になりたい…?そんなこと言ってくれるなんて夢?いや夢じゃないって!!そ、それに、僕の気持ちも今言うしかないってことだよね!!?

「あっ、あっあっあの…!」
「ん?」
「ああああああ、あのあのあのあの」
「ちょ、落ち着いて?」

一一一ダメだ、口が上手く動かない…!心臓が口から出そうなくらい動いてる…!口までバクバクいってる気がする…!

「……っぼ、ぼく、」
「あれ!?那月!?あんた何やってんの?」
「!!!え!?わっ!?か、母さん!?」

その時、突然2人の後ろから聞こえてきた女性の声。驚いた那月は慌てて彩世から距離を取った。振り返ると、そこには那月の母が大きなカバンと買い物袋を持って立っている。

「なっ、なんでいるの!!?し、仕事は…」
「今日店のトラブルがあって、その対処で閉めることになったから早上がりになったって連絡したよー?携帯見てないの?」
「えっ!!!」

一一一しまった!!帰って寝ちゃってたし、先輩からの電話に必死で他の連絡見てなかった!!!なんてタイミングだ!!

「ナツくんの…お母さん?」
「う!!は、はい!あの、すいません、母です…」
「え!?あらやだ!お友達!?こんばんはぁ~」
「い、いや、この人は、せ、先輩で…。熱出した時、家まで送ってくれた…」
「初めまして。ナツくんと同じ高校で3年の荻川彩世です」

彩世は1歩前に出て、那月の母にハッキリ挨拶をしてお辞儀をした。それを見て、なぜかまた胸が跳ね上がる思いだ。

一一一え。これ、な、なんか、ちょっと…結婚の時の挨拶?みたい…!いやいや、結婚じゃないしこんな感じなのかも分からないけど!!!

「えええ!そうだったの!?初めまして~!その節は本当にありがとうございます!那月がお世話になってます~!ちょっと那月!すごくかっこいい先輩じゃん!!」
「ちょ、ちょっと母さん!」
「あはは、ありがとうございます。もう遅いので僕は帰ります。夜遅くにナツくんを呼び止めてしまってすみません」
「あ!いえいえ!22時になる前に帰らないとね!今度はゆっくり家にでも遊びに来て?那月が親しい男の人を紹介してくれるなんて初めてだから嬉しくて~」
「…はい!ありがとうございます」
「じゃあ私は先に家に入ってるね~!荻川くん気を付けてね!」

テンション高めに嵐のように現れて、家の中へと去っていった母。誰が見ても花が飛んでいるその後ろ姿に、那月は恥ずかしかったがそれと同じくらい嬉しくなった。

「す、すいません…。母が突然…」
「ううん。いいお母さんだね。自分の事のように喜んでた」
「…っはい。小学生の頃、り、理由は話せなかったんですけど、男子にいじめられていたのが原因で転校して…そ、そこからもあんな感じだったので…。母には心配をかけてしまってたから…余計に嬉しかったのかも…」
「そっか…」

一一一はっ!!こ、こんな話をしてる場合じゃない!!返事…僕の気持ちを…早く、早く何か言わないと!!

「せ、せ、先輩!あの、さ、さっきの話…!ふごっっ」

彩世は那月の両頬を優しく片手で摘み、口を突き出させた。柔らかい頬がぷにっと寄せられ、唇はプルプルとタコのようになっている。

その顔を見て、彩世は愛おしそうにふっと吹き出してから深く息を吐いた。

「ふぇ!?ふぇんぱい…!?は、はの…」
「…っ今地味に緊張したよ。好きな子のお母さんだし」
「……っ!!ふぇっ」
「ごめんごめん。俺今日は帰るから…告白はゆっくり考えて」
「ふぇっ!!?ふぇも…!」
「今焦りながらじゃなくて…ナツくんがちゃんと落ち着いて考えて、言いたい言葉でしっかり返事聞きたいから」
「っ…!」
「話すのはいつでもいい。考えまとまったら連絡して。じゃあ…早く家入ってね」
「わっ…分かり、ました…」

彩世は手を離すとまたそっと頭を撫で、後ろを向いて手を振った。まだ実感が湧かない那月は、触れられた部分を手で抑えて突っ立っている。

「おやすみ、ナツくん」
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