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1 ルーンカレッジ編
006 初の授業
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9月1日、ルーンカレッジでは新年度が始まり、新入生にとっては初めての授業が始まる。校内を大きな荷物を持った新入生が足早に走る光景は、毎年恒例と言って良い。「大きな荷物」というのは重い魔道書の類だが、新入生の身体が小さいので余計に大きく見えるのである。
レニとメリッサは、授業の始まる20分前に教室に入るよう部屋を出たのだが、教室への道に迷い着いたのは5分前だった。50名用の教室に新入生40名ほどがすでに着席していた。2人組で話をしている者が多いのはルームメイト同士なのであろう。レニとメリッサはまだ空いている一番前の席に座ることにした。
「しっかし、都合よく一番前が空いてて良かったねぇ」
メリッサが両腕で伸びをしながら無邪気につぶやく。
「うーん、一番前っていうのは大抵嫌がられるんじゃないかしら」
苦笑しながらレニが答える。教員から一番近い席というのはプレッシャーを感じるわけで、敬遠されるのが常だろう。
「でも本当に勉強したいなら一番前が良いのじゃろ?」
メリッサの正論に、レニは軽く頷いた。
ややざわついた教室の雰囲気は、豊かなヒゲをたくわえた老人が入ってきたことでピリっと引き締まる。老人と言ってもその眼光は若々しく、深いシワの入った顔とアンバランスな印象を与える。老人の後ろには若い女性教員が付き従っている。
「諸君、ワシはこのルーンカレッジの学園長デミトリオスである。若く才能ある諸君をこの学園に迎えられ、これほど嬉しいことはない」
シワシワな目を細めながら、若々しく大きな声でデミトリオスが言う。
「ワシはな、かつて宮廷魔術師だったんじゃが、王と喧嘩してこのカレッジの学園長となった。もはや今のワシの楽しみといえば、才能ある若者を魔術師に育てることだけよ」ククっ、とくぐもった声でデミトリオスが笑う。
大魔導師デミトリオス、魔術師でこの名を知らぬ者はいない。彼はシュバルツバルトの伝説的な大魔導師である。大魔導師とは宮廷魔術師の頂点にたち、国王の相談役を務める国家の重鎮である。デミトリオスは先々代の国王の時期から大魔導師を務めていたが、先代の国王とそりが合わず、自ら下野したと言われている。先代の国王は自分の理想を実現するために年寄りが煙たくなったのだろう、というのが専ら噂されているところである。
「諸君は1000人に1人の才能を持つ選ばれた者じゃ。しかしその諸君もこのルーンカレッジを卒業できるのは、およそ10人に1人。この教室の中でわずか4人ということじゃな」
つきつけられた厳しい現実に、新入生の顔が緊張で引き締まる。
「厳しい世界じゃ……。しかし魔術師が背負う役割は大きく、これくらいの試練は必要なのじゃよ。宮廷魔術師では政治にも関わる魔導師クラスはもちろんじゃが、下位の魔術師でも戦士20人分くらいの働きをする。町や村では指導者となることも多い。諸君がなろうとしている魔術師とは、多かれ少なかれ人を導く力を持つものなのじゃ。したがって、魔術師たるものは人より智に優れ、未知を知ろうとする冒険心を持ち、解けぬ謎を解こうとする粘り強さを持たねばならぬ。これは決して求め過ぎではない、とワシは思う。諸君の中に、ワシのこの理想を実現する者が現れることを期待する」
静まり返った教室の中で、デミトリオスは再び話し始める
「それでは諸君に、カレッジで最も優秀な教員を紹介しよう」
その言葉に従い、後ろに立っていた教員がデミトリオスに並んで立つ。蒼い髪に長い襟のマントを羽織った女性だ。学生より歳は上だが、まだ若いといってよい妖艶な美人である。両手を腰につき傲然と胸を反らせ、人を見下すよう眼で辺りを睥睨している。
「彼女はロクサーヌという。まだ若いが第五位階の魔法を使いこなす現役の宮廷魔術師じゃ。すでにワシを越えていると言って良い」
デミトリオスはニヤリと笑う。学生たちの驚きで教室はザワついている。第五位階魔法とは魔法の最高奥義に属するレベルであり、新入生にとっては神の領域に近い。デミトリオスのような老人ならともかく、目の前の若いロクサーヌが使えるというのは驚きであった。
「学園長、からかわれては困りますわ。まだまだ学園長に敵うわけがありません」
ロクサーヌもニヤリと笑い返す。不敵で野心的な笑みだ。
「わたしはロクサーヌ。バルダニア王国の魔導師よ。宮廷魔術師の役目もあるから、いつもカレッジにいるわけじゃないの。私に教わりたかったら私が居る時にすることね。といっても、本当に私に教わるほどの力がある者は、この学園でも2、3人しか居ないのだけど」
再び不敵な笑みを浮かべながら、ロクサーヌは学生たちに言い放つ。デミトリオスは教育者の面持ちだが、ロクサーヌは若干毛色が違うらしい。
「それでは、以降はロクサーヌ先生にお任せする。ロクサーヌ先生、お願いしますぞ」
「わかりました、学園長」
教室から去るデミトリオスを見送ると、ロクサーヌは再び学生たちに向き直る。
「さて、これから君たちに魔法の初歩の初歩を教える。これが出来なければ“魔法使い”にはなれないわよ」
笑みを浮かべたままロクサーヌが言う。
「と言っても、私がその初歩を教えるわけじゃないけどね。私は校長からこのカレッジの教育をたばねる地位を任せられているの。だから最初に出てきたというわけ。私に教わりたかったら、せめて中級にお上がりなさいな」
男子学生から若干残念なため息が漏れたのは、聞き間違いではあるまい。
「では初級クラスの先生を紹介するわ。マリウス先生、入ってらして」
ロクサーヌの言葉に応じて、彼女よりはやや年をとった男性教員が入ってきた。メガネをかけた温厚そうな雰囲気をまとっている。
「マリウス先生は教え方が上手く、学生から非常に人気があるわ。はっきり言って教員としては私なんかより上よ。だから先生には初級クラスをお任せしているの」
ロクサーヌの言葉に照れた表情を浮かべてマリウスが前に出る。
「初級クラス担当のマリウスです。これから君たちは深遠なる魔法の初歩を学ぶことになります。現代の魔法は、ある程度学校の教育に従って学べば、才能にもよりますが使えるようになります。もちろん魔法の奥深さ、世界の真理といったことに近づくにはそれだけでは足りないけれど、魔法の作用をのみを使うのであれば学校の教育で身につけることができると僕は考えています。僕は君たちの出来るだけ多くにその喜びを知ってもらいたい。さあ、これから一緒に魔法を学んでその第一歩を踏み出しましょう」
わあ、と学生たちの雰囲気が高まる。
「いい先生みたいね」
「うん、私でも魔法使えるようになれるみたい」
メリッサの言葉にレニが答える。マリウスの言うようにやれば魔法を習得できる、その自信がやや出てきたのである。その感覚は恐らく教室の中の多くの学生が共有しているだろう。
こうしてルーンカレッジの初級クラスの授業が、今年も始まった。
レニとメリッサは、授業の始まる20分前に教室に入るよう部屋を出たのだが、教室への道に迷い着いたのは5分前だった。50名用の教室に新入生40名ほどがすでに着席していた。2人組で話をしている者が多いのはルームメイト同士なのであろう。レニとメリッサはまだ空いている一番前の席に座ることにした。
「しっかし、都合よく一番前が空いてて良かったねぇ」
メリッサが両腕で伸びをしながら無邪気につぶやく。
「うーん、一番前っていうのは大抵嫌がられるんじゃないかしら」
苦笑しながらレニが答える。教員から一番近い席というのはプレッシャーを感じるわけで、敬遠されるのが常だろう。
「でも本当に勉強したいなら一番前が良いのじゃろ?」
メリッサの正論に、レニは軽く頷いた。
ややざわついた教室の雰囲気は、豊かなヒゲをたくわえた老人が入ってきたことでピリっと引き締まる。老人と言ってもその眼光は若々しく、深いシワの入った顔とアンバランスな印象を与える。老人の後ろには若い女性教員が付き従っている。
「諸君、ワシはこのルーンカレッジの学園長デミトリオスである。若く才能ある諸君をこの学園に迎えられ、これほど嬉しいことはない」
シワシワな目を細めながら、若々しく大きな声でデミトリオスが言う。
「ワシはな、かつて宮廷魔術師だったんじゃが、王と喧嘩してこのカレッジの学園長となった。もはや今のワシの楽しみといえば、才能ある若者を魔術師に育てることだけよ」ククっ、とくぐもった声でデミトリオスが笑う。
大魔導師デミトリオス、魔術師でこの名を知らぬ者はいない。彼はシュバルツバルトの伝説的な大魔導師である。大魔導師とは宮廷魔術師の頂点にたち、国王の相談役を務める国家の重鎮である。デミトリオスは先々代の国王の時期から大魔導師を務めていたが、先代の国王とそりが合わず、自ら下野したと言われている。先代の国王は自分の理想を実現するために年寄りが煙たくなったのだろう、というのが専ら噂されているところである。
「諸君は1000人に1人の才能を持つ選ばれた者じゃ。しかしその諸君もこのルーンカレッジを卒業できるのは、およそ10人に1人。この教室の中でわずか4人ということじゃな」
つきつけられた厳しい現実に、新入生の顔が緊張で引き締まる。
「厳しい世界じゃ……。しかし魔術師が背負う役割は大きく、これくらいの試練は必要なのじゃよ。宮廷魔術師では政治にも関わる魔導師クラスはもちろんじゃが、下位の魔術師でも戦士20人分くらいの働きをする。町や村では指導者となることも多い。諸君がなろうとしている魔術師とは、多かれ少なかれ人を導く力を持つものなのじゃ。したがって、魔術師たるものは人より智に優れ、未知を知ろうとする冒険心を持ち、解けぬ謎を解こうとする粘り強さを持たねばならぬ。これは決して求め過ぎではない、とワシは思う。諸君の中に、ワシのこの理想を実現する者が現れることを期待する」
静まり返った教室の中で、デミトリオスは再び話し始める
「それでは諸君に、カレッジで最も優秀な教員を紹介しよう」
その言葉に従い、後ろに立っていた教員がデミトリオスに並んで立つ。蒼い髪に長い襟のマントを羽織った女性だ。学生より歳は上だが、まだ若いといってよい妖艶な美人である。両手を腰につき傲然と胸を反らせ、人を見下すよう眼で辺りを睥睨している。
「彼女はロクサーヌという。まだ若いが第五位階の魔法を使いこなす現役の宮廷魔術師じゃ。すでにワシを越えていると言って良い」
デミトリオスはニヤリと笑う。学生たちの驚きで教室はザワついている。第五位階魔法とは魔法の最高奥義に属するレベルであり、新入生にとっては神の領域に近い。デミトリオスのような老人ならともかく、目の前の若いロクサーヌが使えるというのは驚きであった。
「学園長、からかわれては困りますわ。まだまだ学園長に敵うわけがありません」
ロクサーヌもニヤリと笑い返す。不敵で野心的な笑みだ。
「わたしはロクサーヌ。バルダニア王国の魔導師よ。宮廷魔術師の役目もあるから、いつもカレッジにいるわけじゃないの。私に教わりたかったら私が居る時にすることね。といっても、本当に私に教わるほどの力がある者は、この学園でも2、3人しか居ないのだけど」
再び不敵な笑みを浮かべながら、ロクサーヌは学生たちに言い放つ。デミトリオスは教育者の面持ちだが、ロクサーヌは若干毛色が違うらしい。
「それでは、以降はロクサーヌ先生にお任せする。ロクサーヌ先生、お願いしますぞ」
「わかりました、学園長」
教室から去るデミトリオスを見送ると、ロクサーヌは再び学生たちに向き直る。
「さて、これから君たちに魔法の初歩の初歩を教える。これが出来なければ“魔法使い”にはなれないわよ」
笑みを浮かべたままロクサーヌが言う。
「と言っても、私がその初歩を教えるわけじゃないけどね。私は校長からこのカレッジの教育をたばねる地位を任せられているの。だから最初に出てきたというわけ。私に教わりたかったら、せめて中級にお上がりなさいな」
男子学生から若干残念なため息が漏れたのは、聞き間違いではあるまい。
「では初級クラスの先生を紹介するわ。マリウス先生、入ってらして」
ロクサーヌの言葉に応じて、彼女よりはやや年をとった男性教員が入ってきた。メガネをかけた温厚そうな雰囲気をまとっている。
「マリウス先生は教え方が上手く、学生から非常に人気があるわ。はっきり言って教員としては私なんかより上よ。だから先生には初級クラスをお任せしているの」
ロクサーヌの言葉に照れた表情を浮かべてマリウスが前に出る。
「初級クラス担当のマリウスです。これから君たちは深遠なる魔法の初歩を学ぶことになります。現代の魔法は、ある程度学校の教育に従って学べば、才能にもよりますが使えるようになります。もちろん魔法の奥深さ、世界の真理といったことに近づくにはそれだけでは足りないけれど、魔法の作用をのみを使うのであれば学校の教育で身につけることができると僕は考えています。僕は君たちの出来るだけ多くにその喜びを知ってもらいたい。さあ、これから一緒に魔法を学んでその第一歩を踏み出しましょう」
わあ、と学生たちの雰囲気が高まる。
「いい先生みたいね」
「うん、私でも魔法使えるようになれるみたい」
メリッサの言葉にレニが答える。マリウスの言うようにやれば魔法を習得できる、その自信がやや出てきたのである。その感覚は恐らく教室の中の多くの学生が共有しているだろう。
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