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1 ルーンカレッジ編
027 ゼノビアとの約束1
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アルネラは午後から外国の使者に会わなければならないとのことで、自室へと戻った。アルネラは帰り際、名残惜しそうに「また今晩お話しましょう」と言い残していった。
ジルも庭園から王宮へと帰り、自分に割り当てられた部屋に戻ろうとした。しかし慣れぬ王宮のこと、迷ってしまったようだ。王宮などというところは、同じような部屋が続いていて、初めての者はよくよく注意しないと目的の場所にたどり着くことができなくなってしまう。
「何かお困りかな?」
身なりの良い男性が迷っているジルを見かねて声をかけてきた。明らかに宮殿で働く者などではない。貴族だろう。
「実は道に迷ってしまいまして、自分の部屋に帰れなくなってしまいました」
「ははは、王宮は初めてでいらっしゃるのかな? それにしても王宮に部屋を用意されているとは、王室に招かれているということか。宜しければお名前をお聞かせいただけるかな?」
「ジルフォニア=アンブローズと申します、閣下」
ジルは恭しく礼をした。相手を高位の貴族と見てのことだ。たとえそうでないとしても、実際以上に敬われて気を悪くすることはあるまい。
「おお、貴殿があの王女を救ったいう英雄か。これは晩餐会の前にお会いできて嬉しい。失礼、私はミルフェン=ブライスデイルという。以後、宜しくお付き合いいただきたい」
貴族というものにほとんど知識を持たないジルは、ミルフェン=ブライスデイルと名乗った男のことを知らなかった。しかし口ぶりから言ってもまず高位の貴族であることに間違いなさそうだ。
「はっ、王宮に来るのは初めてのことゆえ、何かとご無礼するかもしれませぬが不調法をご容赦ください」
「なに、そのようなことは貴族の仲間内でのこと。そなたもおいおい学ばれるがよろしかろう」
その後ブライスデイルと名乗った貴族は、ジルの部屋までの道順を親切に教えてくれた。笑顔で道順を教えてくれたその貴族に、ジルは良い印象を持った。
ジルが部屋に戻ると、開いたままの扉を軽くノックする音が聞こえた。
「お邪魔かな?」
姿を見せたのはゼノビアであった。
「君はあの男と知り合いだったのか?」
「あの男?」
「廊下で道を聞いていた貴族さ」
「見ていたんですか? いえ、初めてあった方ですが、親切にしていただきました」
「あははははははははは」
ゼノビアが突然笑い出した。
「何がそんなに可笑しいのです?」
ジルが不満そうにたずねる。さすがにそう不躾に笑うのは無礼だろう。
「はははははははは、そうふくれっ面になるな。案外可愛いところがあるじゃないか」
「……」
「ははは、いやすまん、笑って済まなかった。しかしジル、君もまだまだ若いな」
「実際若いですよ、ゼノビアさんよりかなり」
いささか気分を害していたので、ジルの口調も皮肉めいたものになる。実際ゼノビアはその地位から言ってもジルより10は歳上だろう。
「君があの男に好感を持っていたようなのでな」
「それが可笑しいのですか?」
「君、外見や外面で貴族を判断するなんて命がいくつあっても足らぬぞ? 奴らは笑みを浮かべながら友の心臓に剣を突き立てるような奴らさ」
ゼノビアが皮肉を込めた口調で言った。
「そういうゼノビアさんも貴族ではなかったですか?」
「あははは、そうだな。私もそういう人間かもしれないぞ?」
ジルの見事な切り返しに、ゼノビアはまた笑い出した。
ジルも庭園から王宮へと帰り、自分に割り当てられた部屋に戻ろうとした。しかし慣れぬ王宮のこと、迷ってしまったようだ。王宮などというところは、同じような部屋が続いていて、初めての者はよくよく注意しないと目的の場所にたどり着くことができなくなってしまう。
「何かお困りかな?」
身なりの良い男性が迷っているジルを見かねて声をかけてきた。明らかに宮殿で働く者などではない。貴族だろう。
「実は道に迷ってしまいまして、自分の部屋に帰れなくなってしまいました」
「ははは、王宮は初めてでいらっしゃるのかな? それにしても王宮に部屋を用意されているとは、王室に招かれているということか。宜しければお名前をお聞かせいただけるかな?」
「ジルフォニア=アンブローズと申します、閣下」
ジルは恭しく礼をした。相手を高位の貴族と見てのことだ。たとえそうでないとしても、実際以上に敬われて気を悪くすることはあるまい。
「おお、貴殿があの王女を救ったいう英雄か。これは晩餐会の前にお会いできて嬉しい。失礼、私はミルフェン=ブライスデイルという。以後、宜しくお付き合いいただきたい」
貴族というものにほとんど知識を持たないジルは、ミルフェン=ブライスデイルと名乗った男のことを知らなかった。しかし口ぶりから言ってもまず高位の貴族であることに間違いなさそうだ。
「はっ、王宮に来るのは初めてのことゆえ、何かとご無礼するかもしれませぬが不調法をご容赦ください」
「なに、そのようなことは貴族の仲間内でのこと。そなたもおいおい学ばれるがよろしかろう」
その後ブライスデイルと名乗った貴族は、ジルの部屋までの道順を親切に教えてくれた。笑顔で道順を教えてくれたその貴族に、ジルは良い印象を持った。
ジルが部屋に戻ると、開いたままの扉を軽くノックする音が聞こえた。
「お邪魔かな?」
姿を見せたのはゼノビアであった。
「君はあの男と知り合いだったのか?」
「あの男?」
「廊下で道を聞いていた貴族さ」
「見ていたんですか? いえ、初めてあった方ですが、親切にしていただきました」
「あははははははははは」
ゼノビアが突然笑い出した。
「何がそんなに可笑しいのです?」
ジルが不満そうにたずねる。さすがにそう不躾に笑うのは無礼だろう。
「はははははははは、そうふくれっ面になるな。案外可愛いところがあるじゃないか」
「……」
「ははは、いやすまん、笑って済まなかった。しかしジル、君もまだまだ若いな」
「実際若いですよ、ゼノビアさんよりかなり」
いささか気分を害していたので、ジルの口調も皮肉めいたものになる。実際ゼノビアはその地位から言ってもジルより10は歳上だろう。
「君があの男に好感を持っていたようなのでな」
「それが可笑しいのですか?」
「君、外見や外面で貴族を判断するなんて命がいくつあっても足らぬぞ? 奴らは笑みを浮かべながら友の心臓に剣を突き立てるような奴らさ」
ゼノビアが皮肉を込めた口調で言った。
「そういうゼノビアさんも貴族ではなかったですか?」
「あははは、そうだな。私もそういう人間かもしれないぞ?」
ジルの見事な切り返しに、ゼノビアはまた笑い出した。
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