97 / 107
2 動乱の始まり編
097 御前会議2
しおりを挟む
「あらかじめ諸卿にお伝えしていたように、本日議するのは非常に重大な問題です。帝国の軍人エルンスト=シュライヒャーが我が国に亡命を求めている件についてです。まずは彼の亡命を受け入れるかどうか、について話し合う必要があると考えます」
ユベールの言葉を聞き、ヘルマン伯が手を挙げて発言した。
「そもそも、この話しはどのような経路で我が国にもたらされたのか? その辺りをご説明願いたい」
周囲の人間がうなづいた。まずは判断材料として聞いておく必要があることだ。ユベールはちらっと横目でゼノビアを見て、彼女は軽く頷いた。
「それについては……ゼノビア殿からご説明願おう」
「はっ」
ゼノビアが立ち上がる。本来であれば、彼女もこの会議に出席する資格はない。通常このような御前会議レベルになると、騎士団長クラスしか出席が許されないのだ。ゼノビアもやはりエルンストから指名されているということ、そしてアルネラ誘拐事件の関係者として呼ばれている。
「エルンスト=シュライヒャーについては、諸卿には今更説明する必要もないかと思われます。『帝国を支える一柱』と称され、我が国も何度も煮え湯を飲まされた名将です。彼がこの度我々に亡命したいと言ってきました。その経緯ですが、まず今から約1年前、アルネラ様の誘拐事件を起こった時、彼の娘レミア=シュライヒャーが殺害されました。レミアは当時ルーンカレッジの学生で、我が国で軍事演習に向かう途中でした。この時、私がシュライヒャー殿への弔問団の団長としてレミアの遺品を届けに行ったことは、諸卿にはご記憶のことと思います」
ゼノビアは一端ここで話しを切って、会議室を見渡し出席者の反応を見た。
「その際、私はエルンスト=シュライヒャーと面識を得たわけです。この時私とともに、ここにいるジルフォニア=アンブローズが同行しており、レミアの最期の様子を伝えました。彼はレミアとともに軍事演習で偶然事件に巻き込まれ、一部始終を見ていたからです。重要なのは、この時レミアを殺した男の特徴をエルンスト殿に伝えたところ、彼は顔色を変え、明らかに動揺していたことです。ですから、彼が事件について何か知っているのではないか、そう推測できました」
会議室は静まり返り、みなゼノビアの話しに聞き入っていた。
「なぜエルンスト=シュライヒャーは、我が国へ亡命、いえ、帝国を裏切ろうとしているのか? それは彼の娘レミアが帝国の特務機関『黒の手』の首領によって殺害されたからです」
このゼノビアの発言によって、会議室は騒然となった。
ユベールの言葉を聞き、ヘルマン伯が手を挙げて発言した。
「そもそも、この話しはどのような経路で我が国にもたらされたのか? その辺りをご説明願いたい」
周囲の人間がうなづいた。まずは判断材料として聞いておく必要があることだ。ユベールはちらっと横目でゼノビアを見て、彼女は軽く頷いた。
「それについては……ゼノビア殿からご説明願おう」
「はっ」
ゼノビアが立ち上がる。本来であれば、彼女もこの会議に出席する資格はない。通常このような御前会議レベルになると、騎士団長クラスしか出席が許されないのだ。ゼノビアもやはりエルンストから指名されているということ、そしてアルネラ誘拐事件の関係者として呼ばれている。
「エルンスト=シュライヒャーについては、諸卿には今更説明する必要もないかと思われます。『帝国を支える一柱』と称され、我が国も何度も煮え湯を飲まされた名将です。彼がこの度我々に亡命したいと言ってきました。その経緯ですが、まず今から約1年前、アルネラ様の誘拐事件を起こった時、彼の娘レミア=シュライヒャーが殺害されました。レミアは当時ルーンカレッジの学生で、我が国で軍事演習に向かう途中でした。この時、私がシュライヒャー殿への弔問団の団長としてレミアの遺品を届けに行ったことは、諸卿にはご記憶のことと思います」
ゼノビアは一端ここで話しを切って、会議室を見渡し出席者の反応を見た。
「その際、私はエルンスト=シュライヒャーと面識を得たわけです。この時私とともに、ここにいるジルフォニア=アンブローズが同行しており、レミアの最期の様子を伝えました。彼はレミアとともに軍事演習で偶然事件に巻き込まれ、一部始終を見ていたからです。重要なのは、この時レミアを殺した男の特徴をエルンスト殿に伝えたところ、彼は顔色を変え、明らかに動揺していたことです。ですから、彼が事件について何か知っているのではないか、そう推測できました」
会議室は静まり返り、みなゼノビアの話しに聞き入っていた。
「なぜエルンスト=シュライヒャーは、我が国へ亡命、いえ、帝国を裏切ろうとしているのか? それは彼の娘レミアが帝国の特務機関『黒の手』の首領によって殺害されたからです」
このゼノビアの発言によって、会議室は騒然となった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
170
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる