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jealousy -猛毒-
猛毒 3
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◇
固い感触に目が覚める。柔らかい光。視界に入る白い陶器。アレイドは鈍く痛む頭を押さえた。トイレの個室で寝ていたらしい。脇に転がったリンゴを拾い上げる。アレイドの見たことのある品種とは色味が違う。記憶を手繰り寄せ、繋げていく。毒耐性のある人間を殺害してほしいという話だった。同席していた白兎に毒リンゴを試食するように強要され、口にすれば無事では済まなそうなリンゴを口にした。どれだけ時間が経ったのだろう。依頼人は。白兎は。閉まったままの便器の中を確認することもなく、流してからトイレを後にする。
グリーンのシニヨンの長い髪が特徴的な依頼人はまだ席にいたが保護者の姿がない。帰ったか。
「大変お待たせいたしました」
席に座る表情の無いブルーの瞳がアレイドを見上げる。大量の空いた皿が4人掛けのテーブルを占めている。
「何時間待たせる気なの」
「…申し訳ございません」
手をつけていた料理を口に運ぶ。1人で何人前頼む気なのだろうか。伝票が2枚重なっている。
「例の物の効きがあまりにも良かったので」
「なのにあの男は殺せなかった」
シーフードがトマトで煮込まれ、チキンにかけられた料理を丁寧に切り分け、口に含む。
「何時間経ってます」
「5時間くらい。さっき帰った人が、貴方が奢ってくれるって」
空いた皿を眺めていると依頼人は食べながらそう説明した。アレイドは伝票に目を通し、簡単に暗算する。手持ちで足りる額か。
「まだ食べますか」
「話が終わったなら帰るケド。暇だから食べてただけ」
「…ご職業は公務員と聞いているのですが」
「フードファイターだとでも言いたいの?」
料理を平らげ紙ナプキンで口を拭い、依頼人を待つ。
「いいえ」
否定せずにいると睨まれ、否定を口にする。伝票を持ってキャッシャーへと向かう。
「ご馳走様。美味しかった」
「あのリンゴもなかなか美味でした」
「あの男を殺せないんじゃ、どんな褒め言葉も意味を成さないケドね」
「嫌味に決まっています」
料理店を出て、依頼人と並び歩く。王族の娘と聞いているが言動が物騒だ。品の良さは食事中に何度か見受けられたがまさか人を殺すための毒物の研究をしているとは思わない。
「送りましょうか」
「誰かに見られると厄介でしょ。じゃあね。あの男のいなくなった世界でまた会いましょう」
グリーンの髪を靡かせ依頼人はアレイドの行く方向とは違う方角へ歩いていった。
「アレイドさん、こんにちは」
自宅近くにオープンした花屋の若い女のアルバイト店員が前を通りかかったアレイドに朗らかな笑みを向ける。アレイドは軽く会釈をするだけだった。そして地下にある自宅へ入っていく。
「遅いよ」
「…あれを試食しろと言ったのはあなたでしょう」
白兎の部屋の前を通ると開け放たれた扉の奥から文句が飛ぶ。
「どうだった?」
「口にした直後から記憶がありません」
「ま、死んでないならまだまだの出来栄えか」
ソファに深く座った白兎は資料をひらりとアレイドへ渡す。
「なんですか」
「場所まとめておいたの。結構不便するよ~。なんたって、滅国の王子サマなんだから」
紙を受け取りテキストを追う。
「一応紙でね?僻地だっていうから端末のバッテリー切れたら大変でしょ?その前にアレイドちゃんが野垂れ死ぬかも知れないけど」
白兎は、はははと笑った。
「気の利いたことです」
資料をしまい、自室へ戻った。
固い感触に目が覚める。柔らかい光。視界に入る白い陶器。アレイドは鈍く痛む頭を押さえた。トイレの個室で寝ていたらしい。脇に転がったリンゴを拾い上げる。アレイドの見たことのある品種とは色味が違う。記憶を手繰り寄せ、繋げていく。毒耐性のある人間を殺害してほしいという話だった。同席していた白兎に毒リンゴを試食するように強要され、口にすれば無事では済まなそうなリンゴを口にした。どれだけ時間が経ったのだろう。依頼人は。白兎は。閉まったままの便器の中を確認することもなく、流してからトイレを後にする。
グリーンのシニヨンの長い髪が特徴的な依頼人はまだ席にいたが保護者の姿がない。帰ったか。
「大変お待たせいたしました」
席に座る表情の無いブルーの瞳がアレイドを見上げる。大量の空いた皿が4人掛けのテーブルを占めている。
「何時間待たせる気なの」
「…申し訳ございません」
手をつけていた料理を口に運ぶ。1人で何人前頼む気なのだろうか。伝票が2枚重なっている。
「例の物の効きがあまりにも良かったので」
「なのにあの男は殺せなかった」
シーフードがトマトで煮込まれ、チキンにかけられた料理を丁寧に切り分け、口に含む。
「何時間経ってます」
「5時間くらい。さっき帰った人が、貴方が奢ってくれるって」
空いた皿を眺めていると依頼人は食べながらそう説明した。アレイドは伝票に目を通し、簡単に暗算する。手持ちで足りる額か。
「まだ食べますか」
「話が終わったなら帰るケド。暇だから食べてただけ」
「…ご職業は公務員と聞いているのですが」
「フードファイターだとでも言いたいの?」
料理を平らげ紙ナプキンで口を拭い、依頼人を待つ。
「いいえ」
否定せずにいると睨まれ、否定を口にする。伝票を持ってキャッシャーへと向かう。
「ご馳走様。美味しかった」
「あのリンゴもなかなか美味でした」
「あの男を殺せないんじゃ、どんな褒め言葉も意味を成さないケドね」
「嫌味に決まっています」
料理店を出て、依頼人と並び歩く。王族の娘と聞いているが言動が物騒だ。品の良さは食事中に何度か見受けられたがまさか人を殺すための毒物の研究をしているとは思わない。
「送りましょうか」
「誰かに見られると厄介でしょ。じゃあね。あの男のいなくなった世界でまた会いましょう」
グリーンの髪を靡かせ依頼人はアレイドの行く方向とは違う方角へ歩いていった。
「アレイドさん、こんにちは」
自宅近くにオープンした花屋の若い女のアルバイト店員が前を通りかかったアレイドに朗らかな笑みを向ける。アレイドは軽く会釈をするだけだった。そして地下にある自宅へ入っていく。
「遅いよ」
「…あれを試食しろと言ったのはあなたでしょう」
白兎の部屋の前を通ると開け放たれた扉の奥から文句が飛ぶ。
「どうだった?」
「口にした直後から記憶がありません」
「ま、死んでないならまだまだの出来栄えか」
ソファに深く座った白兎は資料をひらりとアレイドへ渡す。
「なんですか」
「場所まとめておいたの。結構不便するよ~。なんたって、滅国の王子サマなんだから」
紙を受け取りテキストを追う。
「一応紙でね?僻地だっていうから端末のバッテリー切れたら大変でしょ?その前にアレイドちゃんが野垂れ死ぬかも知れないけど」
白兎は、はははと笑った。
「気の利いたことです」
資料をしまい、自室へ戻った。
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