140 / 339
140
しおりを挟む
「紫暗?」
極彩もわずかに振り向いた。刀を腰に下げている若者がゆっくりと歩いてきている。藤黄が不在の今、天藍の側近ともいえた。しかし年の頃は藤黄と比べるとかなり天藍と近い。彼はただ紫暗を見下ろしていた。紫暗は気にはするが足を止めはしないため、極彩が止まった。すると一歩分引っ張られる。帯刀を許可されている世話係といよりは護衛らしき若者は、ただ一言、二公子が呼んでいる旨のみを伝えて去っていく。目元がどことなく紫暗に似ていた。
「お兄さん?」
外見から推測される年齢的に弟というのはなさそうだった。紫暗は真顔で極彩を凝視した。何か触れてはいけない話題だったらしかった。温厚な娘を怒らせてしまったかもしれない。固まってしまう。しかし、冗談だとばかりに険を帯びた表情を崩す。そう思いました?と人懐こく訊いた。
「行って、紫暗。ここまでありがとう。おかげでもう大丈夫」
紫暗は不満さをおどけてみせた。
「布団のことも自分でやれるから」
「…分かりました」
迷っていたが、紫暗はそう言った。
「また来て」
「はい」
彼女は極彩が不安定な置物だとでも思っているのか慎重に手を放す。数歩進むたびに互いに振り返ったり、手を振ったりして距離が少しずつ開いていった。離れ家に戻り、布団を漁った。桜は不安げに様子を見ていた。
「御主人、どこか行ってしまうんですか」
「いいや。布団を運ぶだけだよ」
「それなら僕がお持ちします。御主人はそちらでお休みに…?」
「いいや。わたしのは備蓄倉庫から借りてくる」
質が良く、保温も高く、肌に馴染む敷布団と毛布を抱きながら三和土へ降りる。桜はまだ何か言いたそうで、だが何も言わずに自らも三和土へと降りた。
「僕もお供します。備蓄倉庫、怖いですし」
「怖い?」
「暗くて、埃臭くて…座敷牢みたいじゃないですか」
座敷牢みたいじゃないですか、と言われても極彩は座敷牢に入ったことがなかった。頷き、同意した振りをしながら首を横に滑らせる。備蓄倉庫は、大窓があるものの、周辺に物が置かれ、遮光している幕が開閉しづらいために薄暗くぼんやりと倉庫のものを浮き上がらせているために、不安と想像力を掻き立てるのだった。桜は本気で言っているらしく、彼の不遇な生活を滲ませる。
「今度から、寝る時は常夜灯にしよう。すまなかったな」
「え?」
「わたしはあまり気にしない。点けたままでも構わないよ」
極彩の言葉を考えながら流れる仕草で桜が引戸を開けた。礼を言って外通路へ出るがまだ桜はついてきた。
「僕がお持ちします」
「じゃあ、外通路を出たら頼むよ。すまないな」
断ろうと思ったが、周りの目がそれを許さないのだろうと考えると桜へ預けることにした。並んで歩くこともただでさえ複雑な彼の立場を危うくしそうだった。地下牢に続く廊下と知ってわずかに表情を強張らせていた。部屋に到着すると布団を預かり、待つよう言った。紅はまた壁に背を預けて項垂れていた。扉の音に顔を上げる。落ち着いた仕草はまだ離別を選ぶ前を思わせた。
「敷いておくからね。ちゃんと、寝るんだよ」
廃品にしてしまっても気にも留まらないほどの布を持っていこうとしたが、座したまま紅の腕は与えられた布団を掴んだ。
「慣れたものがいい?寒くなるんだって。温かくするんだよ」
薄布を放す。あまり明るくはない部屋だったが埃が煌めいて舞った。一度は極彩へ顔を上げたがそれだけでずっと俯いている紅の前に屈み、金魚から着想を得た毛糸の肩掛を直す。胼胝だらけの硬い手が極彩の手を柔らかく取った。嫌がる素振りはなかったが、ゆっくりと下ろさせた。
「ごめんね」
無意識に再び触れようとしてしまい、接する前に下ろした。
「それじゃあもう行くから」
下ばかりみている顔を覗き込む。しかし表情を見せてはくれなかった。極彩は桜の待つ廊下へと出る。彼は不思議そうに主人へ視線を送っては、戸惑いがちに逸らした。
「待たせて悪かったな。備蓄倉庫に行こう」
「いいえ、全然待ってなどいません」
桜は挙動不審な目を鎮まらせ、情けない笑みを浮かべた。紅を紹介しようとも思ってはいたが、以前傷痕の話で彼等を不義の者と批難していただけに及び腰になった。備蓄倉庫まで使用人は主人の重い足取りに合せるのに手一杯なようで時折足を出す律動を狂わせていた。距離が縮まり、ぶつかる。
「あっ!御主人」
「すまない、桜」
振り返った瞬間に影が迫った。真新しく陰々滅々とした幻影に囚われる。背に回った腕と大きく転がる視界。ごつんと鈍い音がしてから、桜が首を擡げた。真っ青になっている。
「大丈夫ですか」
動転したままの頭は何を言っているのかは理解してもすぐさま言葉や態度で示せず、声も出なかった。震えるように頷くので精々だった。桜が下敷きになったため、頭は打っていない。代わりに彼が頭を打った。
「よかった…申し訳ございません」
肩が上下した。首を振る。それから自身の激しい息遣いに気付いた。
「御主人…?」
大丈夫だ。何ともない。やはり言葉も声も出なかった。顔や首に当てられる他意のない優しい掌が気持ち悪くなった。花火が上がったみたいだった。低く唸る。威嚇する猫が吹く嵐に似ていた。
「御主人…その…」
桜の上から退くことも出来ず、固く目を瞑った。制するように手を彼の目の前に出す。大丈夫なのだと言えなかった。それがさらに苦しくさせた。くらくらとしながら桜の腹の上から落ちる。口腔はからからに渇き、苦味さえ感じられた。だがお前の所為じゃないと言いたかった。事情を話すべきだろうか。逡巡した。一度、話してみる気になった。言葉はまとまらないままだったが、それとなく誤魔化すことも出来るはずだ。
―あの使用人は?若いからなぁ、案外興奮しちゃうんじゃない?
桜の顔をみたまま思考が停止した。動きまでもが静止する。一体何を話す気でいたのか分からなくなった。何故彼に話すのだろう。紫暗にならばとにかく、この者に何が分かるだろう。
―御主人の身体以外にあ、あ、あ、有り得ません。
―誰であろうと他者の身を傷付けていいはずがないんです…たとえ自分でさえも……
優しく真面目な男だ。情けなさはあれど、寂しくなるほどに逞しくなった。叔父の親友だ。二公子に割って入るほどの度量だってみせた。
「御主人?」
「……わ、悪か、った。考えご、とを…していた」
喉が引き攣り上手く言えなかった。
「申し訳ございません…」
「いいんだ。すまないな。頭を打っていたが、平気か」
「はい」
立ち上がることは出来たが、節々に力が入らなかった。今にも膝から力が抜け、崩れ落ちそうだった。
「悪いが、腕を借りてもいいかな」
桜はびっくりしていたが了承する。気掛かりなようだった。
「大丈夫ですか」
「少し貧血気味なだけだよ」
「他の者に頼むことにして、離れ家へ戻られますか」
「いいや。ここまで来たから。すぐに治る」
桜の腕に腕を組んだ。あの幻影とは少し違ったが布越しに筋肉の反発を感じる。線は細いが紫暗とは違う肉感があった。徐々に、切羽詰った気分は解されていく。備蓄倉庫に入る前に部屋前で座っているように言われた。床に上着を敷かれてしまうと断ることが出来なくなり、嫌がっていた暗い部屋に入っていく桜の背を見ていた。自身の小胆さを思い知る。桜を信じられない罪悪感に打ち拉がれた。
極彩もわずかに振り向いた。刀を腰に下げている若者がゆっくりと歩いてきている。藤黄が不在の今、天藍の側近ともいえた。しかし年の頃は藤黄と比べるとかなり天藍と近い。彼はただ紫暗を見下ろしていた。紫暗は気にはするが足を止めはしないため、極彩が止まった。すると一歩分引っ張られる。帯刀を許可されている世話係といよりは護衛らしき若者は、ただ一言、二公子が呼んでいる旨のみを伝えて去っていく。目元がどことなく紫暗に似ていた。
「お兄さん?」
外見から推測される年齢的に弟というのはなさそうだった。紫暗は真顔で極彩を凝視した。何か触れてはいけない話題だったらしかった。温厚な娘を怒らせてしまったかもしれない。固まってしまう。しかし、冗談だとばかりに険を帯びた表情を崩す。そう思いました?と人懐こく訊いた。
「行って、紫暗。ここまでありがとう。おかげでもう大丈夫」
紫暗は不満さをおどけてみせた。
「布団のことも自分でやれるから」
「…分かりました」
迷っていたが、紫暗はそう言った。
「また来て」
「はい」
彼女は極彩が不安定な置物だとでも思っているのか慎重に手を放す。数歩進むたびに互いに振り返ったり、手を振ったりして距離が少しずつ開いていった。離れ家に戻り、布団を漁った。桜は不安げに様子を見ていた。
「御主人、どこか行ってしまうんですか」
「いいや。布団を運ぶだけだよ」
「それなら僕がお持ちします。御主人はそちらでお休みに…?」
「いいや。わたしのは備蓄倉庫から借りてくる」
質が良く、保温も高く、肌に馴染む敷布団と毛布を抱きながら三和土へ降りる。桜はまだ何か言いたそうで、だが何も言わずに自らも三和土へと降りた。
「僕もお供します。備蓄倉庫、怖いですし」
「怖い?」
「暗くて、埃臭くて…座敷牢みたいじゃないですか」
座敷牢みたいじゃないですか、と言われても極彩は座敷牢に入ったことがなかった。頷き、同意した振りをしながら首を横に滑らせる。備蓄倉庫は、大窓があるものの、周辺に物が置かれ、遮光している幕が開閉しづらいために薄暗くぼんやりと倉庫のものを浮き上がらせているために、不安と想像力を掻き立てるのだった。桜は本気で言っているらしく、彼の不遇な生活を滲ませる。
「今度から、寝る時は常夜灯にしよう。すまなかったな」
「え?」
「わたしはあまり気にしない。点けたままでも構わないよ」
極彩の言葉を考えながら流れる仕草で桜が引戸を開けた。礼を言って外通路へ出るがまだ桜はついてきた。
「僕がお持ちします」
「じゃあ、外通路を出たら頼むよ。すまないな」
断ろうと思ったが、周りの目がそれを許さないのだろうと考えると桜へ預けることにした。並んで歩くこともただでさえ複雑な彼の立場を危うくしそうだった。地下牢に続く廊下と知ってわずかに表情を強張らせていた。部屋に到着すると布団を預かり、待つよう言った。紅はまた壁に背を預けて項垂れていた。扉の音に顔を上げる。落ち着いた仕草はまだ離別を選ぶ前を思わせた。
「敷いておくからね。ちゃんと、寝るんだよ」
廃品にしてしまっても気にも留まらないほどの布を持っていこうとしたが、座したまま紅の腕は与えられた布団を掴んだ。
「慣れたものがいい?寒くなるんだって。温かくするんだよ」
薄布を放す。あまり明るくはない部屋だったが埃が煌めいて舞った。一度は極彩へ顔を上げたがそれだけでずっと俯いている紅の前に屈み、金魚から着想を得た毛糸の肩掛を直す。胼胝だらけの硬い手が極彩の手を柔らかく取った。嫌がる素振りはなかったが、ゆっくりと下ろさせた。
「ごめんね」
無意識に再び触れようとしてしまい、接する前に下ろした。
「それじゃあもう行くから」
下ばかりみている顔を覗き込む。しかし表情を見せてはくれなかった。極彩は桜の待つ廊下へと出る。彼は不思議そうに主人へ視線を送っては、戸惑いがちに逸らした。
「待たせて悪かったな。備蓄倉庫に行こう」
「いいえ、全然待ってなどいません」
桜は挙動不審な目を鎮まらせ、情けない笑みを浮かべた。紅を紹介しようとも思ってはいたが、以前傷痕の話で彼等を不義の者と批難していただけに及び腰になった。備蓄倉庫まで使用人は主人の重い足取りに合せるのに手一杯なようで時折足を出す律動を狂わせていた。距離が縮まり、ぶつかる。
「あっ!御主人」
「すまない、桜」
振り返った瞬間に影が迫った。真新しく陰々滅々とした幻影に囚われる。背に回った腕と大きく転がる視界。ごつんと鈍い音がしてから、桜が首を擡げた。真っ青になっている。
「大丈夫ですか」
動転したままの頭は何を言っているのかは理解してもすぐさま言葉や態度で示せず、声も出なかった。震えるように頷くので精々だった。桜が下敷きになったため、頭は打っていない。代わりに彼が頭を打った。
「よかった…申し訳ございません」
肩が上下した。首を振る。それから自身の激しい息遣いに気付いた。
「御主人…?」
大丈夫だ。何ともない。やはり言葉も声も出なかった。顔や首に当てられる他意のない優しい掌が気持ち悪くなった。花火が上がったみたいだった。低く唸る。威嚇する猫が吹く嵐に似ていた。
「御主人…その…」
桜の上から退くことも出来ず、固く目を瞑った。制するように手を彼の目の前に出す。大丈夫なのだと言えなかった。それがさらに苦しくさせた。くらくらとしながら桜の腹の上から落ちる。口腔はからからに渇き、苦味さえ感じられた。だがお前の所為じゃないと言いたかった。事情を話すべきだろうか。逡巡した。一度、話してみる気になった。言葉はまとまらないままだったが、それとなく誤魔化すことも出来るはずだ。
―あの使用人は?若いからなぁ、案外興奮しちゃうんじゃない?
桜の顔をみたまま思考が停止した。動きまでもが静止する。一体何を話す気でいたのか分からなくなった。何故彼に話すのだろう。紫暗にならばとにかく、この者に何が分かるだろう。
―御主人の身体以外にあ、あ、あ、有り得ません。
―誰であろうと他者の身を傷付けていいはずがないんです…たとえ自分でさえも……
優しく真面目な男だ。情けなさはあれど、寂しくなるほどに逞しくなった。叔父の親友だ。二公子に割って入るほどの度量だってみせた。
「御主人?」
「……わ、悪か、った。考えご、とを…していた」
喉が引き攣り上手く言えなかった。
「申し訳ございません…」
「いいんだ。すまないな。頭を打っていたが、平気か」
「はい」
立ち上がることは出来たが、節々に力が入らなかった。今にも膝から力が抜け、崩れ落ちそうだった。
「悪いが、腕を借りてもいいかな」
桜はびっくりしていたが了承する。気掛かりなようだった。
「大丈夫ですか」
「少し貧血気味なだけだよ」
「他の者に頼むことにして、離れ家へ戻られますか」
「いいや。ここまで来たから。すぐに治る」
桜の腕に腕を組んだ。あの幻影とは少し違ったが布越しに筋肉の反発を感じる。線は細いが紫暗とは違う肉感があった。徐々に、切羽詰った気分は解されていく。備蓄倉庫に入る前に部屋前で座っているように言われた。床に上着を敷かれてしまうと断ることが出来なくなり、嫌がっていた暗い部屋に入っていく桜の背を見ていた。自身の小胆さを思い知る。桜を信じられない罪悪感に打ち拉がれた。
0
あなたにおすすめの小説
本物の夫は愛人に夢中なので、影武者とだけ愛し合います
こじまき
恋愛
幼い頃から許嫁だった王太子ヴァレリアンと結婚した公爵令嬢ディアーヌ。しかしヴァレリアンは身分の低い男爵令嬢に夢中で、初夜をすっぽかしてしまう。代わりに寝室にいたのは、彼そっくりの影武者…生まれたときに存在を消された双子の弟ルイだった。
※「小説家になろう」にも投稿しています
王様の恥かきっ娘
青の雀
恋愛
恥かきっ子とは、親が年老いてから子供ができること。
本当は、元気でおめでたいことだけど、照れ隠しで、その年齢まで夫婦の営みがあったことを物語り世間様に向けての恥をいう。
孫と同い年の王女殿下が生まれたことで巻き起こる騒動を書きます
物語は、卒業記念パーティで婚約者から婚約破棄されたところから始まります
これもショートショートで書く予定です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
ローザとフラン ~奪われた側と奪った側~
水無月あん
恋愛
私は伯爵家の娘ローザ。同じ年の侯爵家のダリル様と婚約している。が、ある日、私とはまるで性格が違う従姉妹のフランを預かることになった。距離が近づく二人に心が痛む……。
婚約者を奪われた側と奪った側の二人の少女のお話です。
5話で完結の短いお話です。
いつもながら、ゆるい設定のご都合主義です。
お暇な時にでも、お気軽に読んでいただければ幸いです。よろしくお願いします。
地獄の業火に焚べるのは……
緑谷めい
恋愛
伯爵家令嬢アネットは、17歳の時に2つ年上のボルテール侯爵家の長男ジェルマンに嫁いだ。親の決めた政略結婚ではあったが、小さい頃から婚約者だった二人は仲の良い幼馴染だった。表面上は何の問題もなく穏やかな結婚生活が始まる――けれど、ジェルマンには秘密の愛人がいた。学生時代からの平民の恋人サラとの関係が続いていたのである。
やがてアネットは男女の双子を出産した。「ディオン」と名付けられた男児はジェルマンそっくりで、「マドレーヌ」と名付けられた女児はアネットによく似ていた。
※ 全5話完結予定
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
私を裏切った夫が、後悔しているようですが知りません
藤原遊
恋愛
政略結婚として、公爵家に嫁いだ私は
愛のない夫婦関係を「仕事」だと思い、正妻の役目を果たしてきた。
夫が愛人を持つことも、
その子を屋敷に迎え入れることも、黙って受け入れてきた。
けれど――
跡取りを、正妻の子ではなく愛人の子にする。
その言葉を、人前で軽く口にした瞬間。
私は悟ったのだ。
この家では、息子を守れないと。
元々、実家との間には
「嫡子以外の子は実家の跡取りにする」という取り決めがあった。
ならば話は簡単だ。
役目を終えた私は、離縁を選ぶ。
息子と共に、この家を去るだけ。
後悔しているようですが――
もう、私の知るところではありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる