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どう返していいものか分からずにいた。麗らかな瞳が極彩の反応を気にする。対応に困っていることを見透かしたらしかった。「何か劣等感があるわけじゃないけど」と苦味を持って笑む。
「添い寝してあげよっか」
はぐらかすように彼は呟いた。全身が寒気に覆われ、腹の底が絞られるように疼き、鳥肌がたった。長く濃い睫毛が情けなく弧を描いていた常に睡眠不足らしき若者の姿が思い浮かび、消える。
「夫がある身ですので…」
「そのとおり。よかった。頷かれたりしたらどうしようかと思った。もちろんオレとしては残念だけど。でも、頷いてくれたなら本気で添い寝するつもりだったけど」
天藍は手を打ち合わせ、「じゃあ戻るよ」と言うと立ち去っていった。玄関が閉まる音を聞くまで気が緩められず、背筋を伸ばしてどのような微弱な音でも聞き逃さなかった。どれだけ音をたてまいと気を付けてもカラカラと鳴ってしまう磨り硝子の引戸は、閉めた者の気遣いもあってか最小限の物音に留められていた。山から帰ってきた直後よりも凄絶な疲労感に襲われる。室内に留まっている生薬の匂いだけで効いてくるような気さえした。半ば失神したも同然に枕へ転がり、再び眠りに就く。途中で人の気配に薄らと目が開いたが、名も顔も知らぬ下回りが夕餉と薬を届けた。それが夢か現実かも曖昧で、二公子と三公子が来訪したことまでもはっきりとしなかった。空腹の自覚はあったが食欲はわかず、起きることも大変な重労働のように思えた。だがどこが痛み、どこが不快ということもなかった。幾度目かの覚醒で、寝違えたらしくぎこちなく軋む腕で枕元の黒曜石を天井へ掲げて眺めた。しかし頭ではまったく関係のないことを考えていた。ふと銀灰から貰った簪を眺めたくなり、布団の下から這い出る。少し冷めた布団へ戻り、簪を握り締めながらまた眠った。
『あんたにはさ、家族、いないじゃん』
枕元に女が正座していた。叔父が誂えた晴着を身に纏っているのが、その特徴的な色の流れで分かった。
『よかったよね、子どもの時に崖から突き落とされなくて。雪の中に落ちてはいたみたいだけど』
冷たい質感の簪は汗ばみ、生温くなっている。指が痺れるほど固く握り込み、掌に爪が食い込む感覚はあるが痛みもまた痺れ、鈍い。
『ねぇ、親は子を成した時からきちんと別れる覚悟を持つべきだと思わない?崖から落とされて親からの試験にまで落ちた子供は可哀想だな、そんなふうに割り切られて。他人事みたいでしょ。いきなり叔父ができたくせに?あんたも結託した時からあの人と別れる覚悟あるでしょ?あの人にもあるよ、もともとはそのつもりだったんだし。今更もう無理です出来ません…なんてことがあっていいわけ?そもそもなんであの人がいきなり叔父になってるのか考えてよ。どうしてあの息子を殺さなかったの。首の骨へし折るくらいできたでしょ』
女はいつの間にか、四季王から貰った黒い着物に着替えていた。帯から垂れる貝殻を連ねた飾りが懐かしかった。
『結局本当の叔父じゃ…結局本当の家族なんかじゃないから、あの人に対する誠意が足らないんじゃないの。互いに斬り捨てるべき関係…でしょ。じゃああんたがすることってのうのうと生きてること?違うよね。軟弱な三公子はまぁいいや―さっさとあのスカした二公子くらいはぶち殺すか、もしくは故郷に詫びながら南西の方でも向いて自害するか…あんたは復讐すると誓って、誓うだけでもう終わる気なんだね。形にしろって言ってんの。出来ないならこれ以上無様に生きるな』
簪を握り締めた手が持ち上がる。繊細な垂れ飾りがしゃらしゃらと鳴るが、それは現実が拾っているものなのか、それも夢なのか分からなかった。拳が布団を叩く衝撃で目が覚めた。
雨の中、夫を探しに出掛けた。おそらく弟子のもとに来るだろう桃花褐へ、訳あって弟は暫く不在である旨の書置きを残した。天藍がどの程度本気であるのかは測れなかったが早いところ簡潔であっても式を挙げてしまわなければならなかった。叔父に紹介し、本気で好いていることを装い、せめて最期は偽りであっても安寧の中眠ってもらわねば不孝だ。まだ意識はあるだろうか。まだ正気でいるだろうか。息苦しいのは天気のせいではなかった。不言通りには傘が様々に、淀んだ空を彩り、水溜りに一瞬一瞬の模様を映す。茶に近い赤紫色の傘を深く差し、夕暮れまで寂れた色街を抜けていく。ここには近寄るな、ひとりで来るなという忠告が木霊しているくせ、すべてが幻聴のようで聞く気が起きない。霓虹灯はなく、鮮やかな店前を木板で覆った街並みは枯葉や樹皮に擬態する蛾に似ていた。琵琶の音を雨粒の中で探すが、思い込みによる弦楽器すらまともに思い起こせない。夫はいないだろう。しかし断言しきれない部分に縋ってしまう。この耳に届かないだけで、濡れることも厭わず、眠そうに琵琶を弾いているのかも知れない。湿気も雨水もあの者の流行病を悪化させるだろう。空き地に急ぐ。しかし近付いても近付いても琵琶の演奏は聞こえなかった。しかしまだ彼のいた場所に到着していないだけで姿の有無も確認していない。結局のところ、夫はいなかった。琵琶弾きの若者がいた地は雨に濡れている。特等席を奪い、辺りを見回した。どこかで隠れて面白がっているのではないか。連れ込み茶屋に招かれた時から夫の性格の悪さは知っている。手慰めに傘を回し、雨水が散った。あの者は好意を伝えはしたが、やり過ごすためだけの言葉で、内容などなかったのだ。初めから鵜呑みにしてはいなかったが虚しさは何故か増すのだった。軽率に口にされ、見縊られていた。歯の浮くような飾った好意で喜び、騙している気になっていることに腹立たしさが込み上げた。しかしそれを詰(なじ)れるだけの潔白さがなかった。夫にはないようだが、素性が素性ならば夫本人の意思とは無関係に姻戚から離別を強いられても仕方がなかった。そうでなくとも、互いに情を深めて結ばれた繋がりでもないのだから。
暫く待ったが夫は現れなかったため、帰ることにした。以前、悶着のあった路地を行く。まだ明るく、傘もあるため顔は割られづらい。不言通りの特に居酒屋が多い区画付近は目が合った、睨まれた、肩がぶつかったという理由で喧嘩が絶えなかったが、雨の日は気が滅入るのかそれとも傘のためか喧嘩が少なかった。湿った草木の匂いの中に鉄錆びの匂いが混じりはじめ、足を止めた。腐敗した残飯や、何かまったく別の物質と化していく有機物の異臭とはまた別の生臭さが雨の中に紛れている。血の匂いだった。強烈な、しかしながらどこか身近でさえある悪臭の中で混じり合いながらも幅を利かせ、誇示しているようでさえあった。まだ開店時間には早い娼館の裏通りで物音がした。雨粒に波紋を描き、揺らめく赤い水溜りは真夏の逃げ水みたいだった。殺人現場に出会してしまったのだと察した。暗い色の物体が建物の陰に引き摺られていく。固唾を飲んだ。やがてそれが人の脚だと気付き、爪先までも見えなくなっていく。人通りはまるでない。2人並列することも、すれ違うこともどうにかこうにかという狭さだったが悲鳴も剣戟の音もなかった。何も見なかったふりをして引き返すことにした。異臭と生臭さの中で薄荷の匂いが薄らとした。
「添い寝してあげよっか」
はぐらかすように彼は呟いた。全身が寒気に覆われ、腹の底が絞られるように疼き、鳥肌がたった。長く濃い睫毛が情けなく弧を描いていた常に睡眠不足らしき若者の姿が思い浮かび、消える。
「夫がある身ですので…」
「そのとおり。よかった。頷かれたりしたらどうしようかと思った。もちろんオレとしては残念だけど。でも、頷いてくれたなら本気で添い寝するつもりだったけど」
天藍は手を打ち合わせ、「じゃあ戻るよ」と言うと立ち去っていった。玄関が閉まる音を聞くまで気が緩められず、背筋を伸ばしてどのような微弱な音でも聞き逃さなかった。どれだけ音をたてまいと気を付けてもカラカラと鳴ってしまう磨り硝子の引戸は、閉めた者の気遣いもあってか最小限の物音に留められていた。山から帰ってきた直後よりも凄絶な疲労感に襲われる。室内に留まっている生薬の匂いだけで効いてくるような気さえした。半ば失神したも同然に枕へ転がり、再び眠りに就く。途中で人の気配に薄らと目が開いたが、名も顔も知らぬ下回りが夕餉と薬を届けた。それが夢か現実かも曖昧で、二公子と三公子が来訪したことまでもはっきりとしなかった。空腹の自覚はあったが食欲はわかず、起きることも大変な重労働のように思えた。だがどこが痛み、どこが不快ということもなかった。幾度目かの覚醒で、寝違えたらしくぎこちなく軋む腕で枕元の黒曜石を天井へ掲げて眺めた。しかし頭ではまったく関係のないことを考えていた。ふと銀灰から貰った簪を眺めたくなり、布団の下から這い出る。少し冷めた布団へ戻り、簪を握り締めながらまた眠った。
『あんたにはさ、家族、いないじゃん』
枕元に女が正座していた。叔父が誂えた晴着を身に纏っているのが、その特徴的な色の流れで分かった。
『よかったよね、子どもの時に崖から突き落とされなくて。雪の中に落ちてはいたみたいだけど』
冷たい質感の簪は汗ばみ、生温くなっている。指が痺れるほど固く握り込み、掌に爪が食い込む感覚はあるが痛みもまた痺れ、鈍い。
『ねぇ、親は子を成した時からきちんと別れる覚悟を持つべきだと思わない?崖から落とされて親からの試験にまで落ちた子供は可哀想だな、そんなふうに割り切られて。他人事みたいでしょ。いきなり叔父ができたくせに?あんたも結託した時からあの人と別れる覚悟あるでしょ?あの人にもあるよ、もともとはそのつもりだったんだし。今更もう無理です出来ません…なんてことがあっていいわけ?そもそもなんであの人がいきなり叔父になってるのか考えてよ。どうしてあの息子を殺さなかったの。首の骨へし折るくらいできたでしょ』
女はいつの間にか、四季王から貰った黒い着物に着替えていた。帯から垂れる貝殻を連ねた飾りが懐かしかった。
『結局本当の叔父じゃ…結局本当の家族なんかじゃないから、あの人に対する誠意が足らないんじゃないの。互いに斬り捨てるべき関係…でしょ。じゃああんたがすることってのうのうと生きてること?違うよね。軟弱な三公子はまぁいいや―さっさとあのスカした二公子くらいはぶち殺すか、もしくは故郷に詫びながら南西の方でも向いて自害するか…あんたは復讐すると誓って、誓うだけでもう終わる気なんだね。形にしろって言ってんの。出来ないならこれ以上無様に生きるな』
簪を握り締めた手が持ち上がる。繊細な垂れ飾りがしゃらしゃらと鳴るが、それは現実が拾っているものなのか、それも夢なのか分からなかった。拳が布団を叩く衝撃で目が覚めた。
雨の中、夫を探しに出掛けた。おそらく弟子のもとに来るだろう桃花褐へ、訳あって弟は暫く不在である旨の書置きを残した。天藍がどの程度本気であるのかは測れなかったが早いところ簡潔であっても式を挙げてしまわなければならなかった。叔父に紹介し、本気で好いていることを装い、せめて最期は偽りであっても安寧の中眠ってもらわねば不孝だ。まだ意識はあるだろうか。まだ正気でいるだろうか。息苦しいのは天気のせいではなかった。不言通りには傘が様々に、淀んだ空を彩り、水溜りに一瞬一瞬の模様を映す。茶に近い赤紫色の傘を深く差し、夕暮れまで寂れた色街を抜けていく。ここには近寄るな、ひとりで来るなという忠告が木霊しているくせ、すべてが幻聴のようで聞く気が起きない。霓虹灯はなく、鮮やかな店前を木板で覆った街並みは枯葉や樹皮に擬態する蛾に似ていた。琵琶の音を雨粒の中で探すが、思い込みによる弦楽器すらまともに思い起こせない。夫はいないだろう。しかし断言しきれない部分に縋ってしまう。この耳に届かないだけで、濡れることも厭わず、眠そうに琵琶を弾いているのかも知れない。湿気も雨水もあの者の流行病を悪化させるだろう。空き地に急ぐ。しかし近付いても近付いても琵琶の演奏は聞こえなかった。しかしまだ彼のいた場所に到着していないだけで姿の有無も確認していない。結局のところ、夫はいなかった。琵琶弾きの若者がいた地は雨に濡れている。特等席を奪い、辺りを見回した。どこかで隠れて面白がっているのではないか。連れ込み茶屋に招かれた時から夫の性格の悪さは知っている。手慰めに傘を回し、雨水が散った。あの者は好意を伝えはしたが、やり過ごすためだけの言葉で、内容などなかったのだ。初めから鵜呑みにしてはいなかったが虚しさは何故か増すのだった。軽率に口にされ、見縊られていた。歯の浮くような飾った好意で喜び、騙している気になっていることに腹立たしさが込み上げた。しかしそれを詰(なじ)れるだけの潔白さがなかった。夫にはないようだが、素性が素性ならば夫本人の意思とは無関係に姻戚から離別を強いられても仕方がなかった。そうでなくとも、互いに情を深めて結ばれた繋がりでもないのだから。
暫く待ったが夫は現れなかったため、帰ることにした。以前、悶着のあった路地を行く。まだ明るく、傘もあるため顔は割られづらい。不言通りの特に居酒屋が多い区画付近は目が合った、睨まれた、肩がぶつかったという理由で喧嘩が絶えなかったが、雨の日は気が滅入るのかそれとも傘のためか喧嘩が少なかった。湿った草木の匂いの中に鉄錆びの匂いが混じりはじめ、足を止めた。腐敗した残飯や、何かまったく別の物質と化していく有機物の異臭とはまた別の生臭さが雨の中に紛れている。血の匂いだった。強烈な、しかしながらどこか身近でさえある悪臭の中で混じり合いながらも幅を利かせ、誇示しているようでさえあった。まだ開店時間には早い娼館の裏通りで物音がした。雨粒に波紋を描き、揺らめく赤い水溜りは真夏の逃げ水みたいだった。殺人現場に出会してしまったのだと察した。暗い色の物体が建物の陰に引き摺られていく。固唾を飲んだ。やがてそれが人の脚だと気付き、爪先までも見えなくなっていく。人通りはまるでない。2人並列することも、すれ違うこともどうにかこうにかという狭さだったが悲鳴も剣戟の音もなかった。何も見なかったふりをして引き返すことにした。異臭と生臭さの中で薄荷の匂いが薄らとした。
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