186 / 339
186
しおりを挟む
「群青さん?起きたらどうです。仕事中の居眠りってのは格別ですけど、さすがにここじゃマズい」
群青が起きる前に立ち去ろうとした。しかし若者の肩から薄布が落ちる。幾度となく気にし、覗き込んだ長い睫毛が咲いた。
「すみませッ…」
眠ってしまったことに自身で気付いたらしく群青の身が大きく跳ねた。
「お疲れかな。お疲れだろうな。二公子もよく群青さんの仕事っぷりは評価してたからね」
「申し訳ございません…寝落ちてしまうなど…」
「城勤めは堅苦しくていけない。仕事は社会のためにあらず、己のためにあれ…ってのはボクの標語だけど」
群青は寝呆けた様子もなく素早く立ち上がり、身形を正した。落とした薄手の毛布を拾い上げ、丁寧に畳むが、活発さのない中年男性の横の女を捉えるとその防寒具を落とした。消滅した配偶者に酷似した目がふんわりとした色合いの絨毯を彷徨う。つられて菖蒲の涼しげな目も若い男女の間を往復した。意味ありげな微笑が媚びた笑顔を上塗りする。邪魔したことを詫び、去ろうとした。
「どちらに行かれるんです?急用が?」
明日から所属の変わるらしい爽やかさのない中年男のふざけた調子が突然低くなる。威嚇にも似ていた。
「浴場です」
「おっと、こりゃ失礼」
目を開くのも厄介だといった具合の半目を瞠り、肩を竦める。体臭が濃く漂っているだとか垢染みているということはなく、衛生面での嫌悪はなかったが、それでも清潔感を欠いた風采の男の脇を通り抜ける。しかし自信のない声に呼び止められる。
「お待ちください、極彩様」
「ぐんじょ…!」
長いこと聞いていなかった、二公子に似た質でいて調子の外れた声が、狼狽する青年に縋る。世話係たちの反応に託け、聞こえないふりをした。木板を隔て、山吹への心配と安堵は曇る。
「極彩様…」
はっきりした音を取戻し、再び曇る。どれだけ撥無しようと、名を口にする青年が背後にいる。立ち止まらなければよかったが、止まってしまった。
「お背中の傷はいかがですか…もう動いて大丈夫なんですか…」
夫が見たこと、聞いたことを語る、夫と同じ口の夫ではない青年。無視できなかったことを後悔し、ゆっくりと振り向いた。
「山吹様が待っていらっしゃるでしょう」
「はい」
「貴方は夫ではないけれど、夫の身体だから。守ろうとしてくれてありがとう。疲れているならきちんと休んで。無理しないで」
扉が開く。目覚めたばかりの山吹が群青の腕を引く。
「難儀ですなぁ。女の業ってやつですか」
極彩は溜息を吐く。気配もなく真横の壁に腕を組み、髭面の中年男は部屋に連れ込まれた群青の陰を見ていた。
「男性にもあるでしょう。離別した人間への情が尾を引くことくらい」
「殊に貴方たち夫婦の離別は衝撃が強かったですね。ボクも驚きましたよ、虫喰わされて、貴方は斬られるなんて」
言葉に反し、口調は軽妙だ。自身で相槌を打ち彼は話す。
「落ち込むことはありませんが。大事な蛋白源ですからね。尤もボクは勘弁願いたいですけど」
竦めた肩をさらに竦め、首をゆるゆると振る。
「それでも彼に昆虫食の文化はなかったはずです。蝗の佃煮でもあるまいし」
「どうするんです?群青さんとは」
あの場にいたというだけで、部外者だった。関係はない。話す必要はない。
「どうするも、こうするも。わたしの夫は群青殿ではありませんし」
「肉体と人格の乖離というやつだね。名こそ変われば概念として人は物理を凌駕できる…なるほど。二公子の喜びそうなお話だ」
「菖蒲殿の自己紹介の雛形を借りるなら、わたしは黒の斜線が入っています」
「未亡人!いいなぁ、好きです。とはいえそれも結局名を使った概念の錯覚だ。貴方は未亡人ではないですよ」
彼は「しかし未亡人っていうのはいいですね」と繰り返し、自身で同意する。
「昔だったなら、夫に先立たれた妻は後を追う…でもそうはなりませんでした。そうなるつもりもありません」
菖蒲は苦笑して首を振る。
「いつの話をしているんですか。時代に馴染みませんが、そんなのは。未亡人が消えたら困ります、ボクは未亡人という設定が好きなんですからね。事実でも好きですが。彼女が夫といた時間を想像すると胸に迫るものがありますからね。ええ、ボクは未亡人が好きです。貴方がご自身を未亡人だとおっしゃるならボクは草花萌ゆるが如く、貴方に並み以上の関心を抱くことになりますよ」
ははは、と笑い、どうです?とばかりに涼やかな瞳が極彩に訊ねる。薄い奥二重と全体的には垂れながらも釣り上がった眦に冷淡な色気がある。返答に困り、俯いた。
「―なんて。降格処分どころか追放されてしまいますよ………ああ、今追放だけで済むのか、くらいに思いましたね」
首を傾げ、そろそろ相手にするのをやめて浴場に向かうつもりでいた。
「貴方に触れてしまったから降格処分になったんですよ。責めてるわけではなく。飄々としちゃおられるが、二公子はそれくらいに貴方にご執心だ。気を付けたほうがいい。今回ばかりは一命を取り留めましたが…下手を打てば次はありませんが。肉人形にしてでも傍に置いておくつもりなんじゃないですかね?」
「どこで誰が聞いているか分かりませんよ」
菖蒲はわざとらしく天井を仰ぎ、先程同様に「誰か~、見てるか~い」と声を上げる。変わり者はもう話を終えたものかと思った。しかしまた極彩を引き留める。市井の日常だった。若い娘に道を聞き、絡み、話を引き延ばそうとする。
「群青殿はまた暫く潜伏するような任務で、長らく会えませんが。いいんですか、ここでまともに話し合わず?赤線がある身として言うなら…腹を割って話すことは大切ですよ」
「仕事中だった彼をわたしは利用した。それだけのことで、話はついていますから」
菖蒲の言葉は聞かなかった。浴場へ向かった。紅が待っている。帰りに布団を借りてこなければならなかった。少し黴臭いだろうが一夜だけだ。派手な色合いの耐水性の壁に掛かった鏡へ自身を映した。叔父の症状とはまったく違う花が皮膚に散っている。胸元から首筋にかけて点々と天藍の咲かせた花弁があった。吐き気がした。穏和な大男は気付いたことだろう。群青や菖蒲はおそらく気付いていない。洗面台に掛けた手が真っ白くなり震えた。打ち上げ花火のように脳裏に一瞬一瞬が蘇る。腕を掴まれ、衣類を開かれ、髪を撫でられ―
膝から落ちた。洗面台に縋り、上体は保つ。部屋から持ってきてしまった花の匂いに包まれている。
『縹さん、決めました。わたしは四季王の無念を晴らします』
鏡に女が映っている。見覚えのある姿だった。
『きっとわたしの想像を絶する苦悩や葛藤があるかとは思います。でも…四季王様の無念を晴らせないことに比べれば…』
耳を塞いだ。しかし声はやまない。
『誰かに手を上げた時、自分もまた危険に晒すってことは分かっておいて』
女は喋り続ける。
『大丈夫です。ちゃんと仇は討ちます』
ただ吐き気を堪えた。
『何か成すなら、仕方のないことでしょ。ずっと白か黒かではいられないんだから』
女はくすくす笑う。
『痛いって言ったって、何も変わらないでしょ。…つらくなるだけじゃん、そういうつもり、なかったのに。気付いちゃうじゃん、わたし、今痛いんだ、悲しいんだ…って』
肩から髪が落ちる。眉根が寄った。動きそうになった唇を噛む。
群青が起きる前に立ち去ろうとした。しかし若者の肩から薄布が落ちる。幾度となく気にし、覗き込んだ長い睫毛が咲いた。
「すみませッ…」
眠ってしまったことに自身で気付いたらしく群青の身が大きく跳ねた。
「お疲れかな。お疲れだろうな。二公子もよく群青さんの仕事っぷりは評価してたからね」
「申し訳ございません…寝落ちてしまうなど…」
「城勤めは堅苦しくていけない。仕事は社会のためにあらず、己のためにあれ…ってのはボクの標語だけど」
群青は寝呆けた様子もなく素早く立ち上がり、身形を正した。落とした薄手の毛布を拾い上げ、丁寧に畳むが、活発さのない中年男性の横の女を捉えるとその防寒具を落とした。消滅した配偶者に酷似した目がふんわりとした色合いの絨毯を彷徨う。つられて菖蒲の涼しげな目も若い男女の間を往復した。意味ありげな微笑が媚びた笑顔を上塗りする。邪魔したことを詫び、去ろうとした。
「どちらに行かれるんです?急用が?」
明日から所属の変わるらしい爽やかさのない中年男のふざけた調子が突然低くなる。威嚇にも似ていた。
「浴場です」
「おっと、こりゃ失礼」
目を開くのも厄介だといった具合の半目を瞠り、肩を竦める。体臭が濃く漂っているだとか垢染みているということはなく、衛生面での嫌悪はなかったが、それでも清潔感を欠いた風采の男の脇を通り抜ける。しかし自信のない声に呼び止められる。
「お待ちください、極彩様」
「ぐんじょ…!」
長いこと聞いていなかった、二公子に似た質でいて調子の外れた声が、狼狽する青年に縋る。世話係たちの反応に託け、聞こえないふりをした。木板を隔て、山吹への心配と安堵は曇る。
「極彩様…」
はっきりした音を取戻し、再び曇る。どれだけ撥無しようと、名を口にする青年が背後にいる。立ち止まらなければよかったが、止まってしまった。
「お背中の傷はいかがですか…もう動いて大丈夫なんですか…」
夫が見たこと、聞いたことを語る、夫と同じ口の夫ではない青年。無視できなかったことを後悔し、ゆっくりと振り向いた。
「山吹様が待っていらっしゃるでしょう」
「はい」
「貴方は夫ではないけれど、夫の身体だから。守ろうとしてくれてありがとう。疲れているならきちんと休んで。無理しないで」
扉が開く。目覚めたばかりの山吹が群青の腕を引く。
「難儀ですなぁ。女の業ってやつですか」
極彩は溜息を吐く。気配もなく真横の壁に腕を組み、髭面の中年男は部屋に連れ込まれた群青の陰を見ていた。
「男性にもあるでしょう。離別した人間への情が尾を引くことくらい」
「殊に貴方たち夫婦の離別は衝撃が強かったですね。ボクも驚きましたよ、虫喰わされて、貴方は斬られるなんて」
言葉に反し、口調は軽妙だ。自身で相槌を打ち彼は話す。
「落ち込むことはありませんが。大事な蛋白源ですからね。尤もボクは勘弁願いたいですけど」
竦めた肩をさらに竦め、首をゆるゆると振る。
「それでも彼に昆虫食の文化はなかったはずです。蝗の佃煮でもあるまいし」
「どうするんです?群青さんとは」
あの場にいたというだけで、部外者だった。関係はない。話す必要はない。
「どうするも、こうするも。わたしの夫は群青殿ではありませんし」
「肉体と人格の乖離というやつだね。名こそ変われば概念として人は物理を凌駕できる…なるほど。二公子の喜びそうなお話だ」
「菖蒲殿の自己紹介の雛形を借りるなら、わたしは黒の斜線が入っています」
「未亡人!いいなぁ、好きです。とはいえそれも結局名を使った概念の錯覚だ。貴方は未亡人ではないですよ」
彼は「しかし未亡人っていうのはいいですね」と繰り返し、自身で同意する。
「昔だったなら、夫に先立たれた妻は後を追う…でもそうはなりませんでした。そうなるつもりもありません」
菖蒲は苦笑して首を振る。
「いつの話をしているんですか。時代に馴染みませんが、そんなのは。未亡人が消えたら困ります、ボクは未亡人という設定が好きなんですからね。事実でも好きですが。彼女が夫といた時間を想像すると胸に迫るものがありますからね。ええ、ボクは未亡人が好きです。貴方がご自身を未亡人だとおっしゃるならボクは草花萌ゆるが如く、貴方に並み以上の関心を抱くことになりますよ」
ははは、と笑い、どうです?とばかりに涼やかな瞳が極彩に訊ねる。薄い奥二重と全体的には垂れながらも釣り上がった眦に冷淡な色気がある。返答に困り、俯いた。
「―なんて。降格処分どころか追放されてしまいますよ………ああ、今追放だけで済むのか、くらいに思いましたね」
首を傾げ、そろそろ相手にするのをやめて浴場に向かうつもりでいた。
「貴方に触れてしまったから降格処分になったんですよ。責めてるわけではなく。飄々としちゃおられるが、二公子はそれくらいに貴方にご執心だ。気を付けたほうがいい。今回ばかりは一命を取り留めましたが…下手を打てば次はありませんが。肉人形にしてでも傍に置いておくつもりなんじゃないですかね?」
「どこで誰が聞いているか分かりませんよ」
菖蒲はわざとらしく天井を仰ぎ、先程同様に「誰か~、見てるか~い」と声を上げる。変わり者はもう話を終えたものかと思った。しかしまた極彩を引き留める。市井の日常だった。若い娘に道を聞き、絡み、話を引き延ばそうとする。
「群青殿はまた暫く潜伏するような任務で、長らく会えませんが。いいんですか、ここでまともに話し合わず?赤線がある身として言うなら…腹を割って話すことは大切ですよ」
「仕事中だった彼をわたしは利用した。それだけのことで、話はついていますから」
菖蒲の言葉は聞かなかった。浴場へ向かった。紅が待っている。帰りに布団を借りてこなければならなかった。少し黴臭いだろうが一夜だけだ。派手な色合いの耐水性の壁に掛かった鏡へ自身を映した。叔父の症状とはまったく違う花が皮膚に散っている。胸元から首筋にかけて点々と天藍の咲かせた花弁があった。吐き気がした。穏和な大男は気付いたことだろう。群青や菖蒲はおそらく気付いていない。洗面台に掛けた手が真っ白くなり震えた。打ち上げ花火のように脳裏に一瞬一瞬が蘇る。腕を掴まれ、衣類を開かれ、髪を撫でられ―
膝から落ちた。洗面台に縋り、上体は保つ。部屋から持ってきてしまった花の匂いに包まれている。
『縹さん、決めました。わたしは四季王の無念を晴らします』
鏡に女が映っている。見覚えのある姿だった。
『きっとわたしの想像を絶する苦悩や葛藤があるかとは思います。でも…四季王様の無念を晴らせないことに比べれば…』
耳を塞いだ。しかし声はやまない。
『誰かに手を上げた時、自分もまた危険に晒すってことは分かっておいて』
女は喋り続ける。
『大丈夫です。ちゃんと仇は討ちます』
ただ吐き気を堪えた。
『何か成すなら、仕方のないことでしょ。ずっと白か黒かではいられないんだから』
女はくすくす笑う。
『痛いって言ったって、何も変わらないでしょ。…つらくなるだけじゃん、そういうつもり、なかったのに。気付いちゃうじゃん、わたし、今痛いんだ、悲しいんだ…って』
肩から髪が落ちる。眉根が寄った。動きそうになった唇を噛む。
0
あなたにおすすめの小説
本物の夫は愛人に夢中なので、影武者とだけ愛し合います
こじまき
恋愛
幼い頃から許嫁だった王太子ヴァレリアンと結婚した公爵令嬢ディアーヌ。しかしヴァレリアンは身分の低い男爵令嬢に夢中で、初夜をすっぽかしてしまう。代わりに寝室にいたのは、彼そっくりの影武者…生まれたときに存在を消された双子の弟ルイだった。
※「小説家になろう」にも投稿しています
王様の恥かきっ娘
青の雀
恋愛
恥かきっ子とは、親が年老いてから子供ができること。
本当は、元気でおめでたいことだけど、照れ隠しで、その年齢まで夫婦の営みがあったことを物語り世間様に向けての恥をいう。
孫と同い年の王女殿下が生まれたことで巻き起こる騒動を書きます
物語は、卒業記念パーティで婚約者から婚約破棄されたところから始まります
これもショートショートで書く予定です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
ローザとフラン ~奪われた側と奪った側~
水無月あん
恋愛
私は伯爵家の娘ローザ。同じ年の侯爵家のダリル様と婚約している。が、ある日、私とはまるで性格が違う従姉妹のフランを預かることになった。距離が近づく二人に心が痛む……。
婚約者を奪われた側と奪った側の二人の少女のお話です。
5話で完結の短いお話です。
いつもながら、ゆるい設定のご都合主義です。
お暇な時にでも、お気軽に読んでいただければ幸いです。よろしくお願いします。
地獄の業火に焚べるのは……
緑谷めい
恋愛
伯爵家令嬢アネットは、17歳の時に2つ年上のボルテール侯爵家の長男ジェルマンに嫁いだ。親の決めた政略結婚ではあったが、小さい頃から婚約者だった二人は仲の良い幼馴染だった。表面上は何の問題もなく穏やかな結婚生活が始まる――けれど、ジェルマンには秘密の愛人がいた。学生時代からの平民の恋人サラとの関係が続いていたのである。
やがてアネットは男女の双子を出産した。「ディオン」と名付けられた男児はジェルマンそっくりで、「マドレーヌ」と名付けられた女児はアネットによく似ていた。
※ 全5話完結予定
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる