202 / 339
202
しおりを挟む
「俺は貴女を裏切りましたが、他の者の名を使ってでも貴女に言ったことは嘘ではないつもりです」
「酔っていらっしゃるのでは。群青様がお布団で寝るといいです」
酔っている気配はあったが理性は残っているようで、以前色街から自邸に連れ込まれた時と比べれば素面も同然といった程度だ。骨張った白い手には小瓶が握られていた。
「はぐらかさないでください」
「子供2人欲しいことですか。髪を乱したいことですか。それとも夫婦の…男女の営み…しますか」
自嘲と滑稽さに笑い声が漏れた。同時に虚しさが湧いた。見られたくなかった。見破られているのだ。軽々しく口説き、同情を寄せる圧倒的強者はすべての事情を把握しているに違いなかった。人畜無害な顔をした狡猾な血生臭い男の掌で華麗に舞い踊っている。擦り切れた矜持が保身に走る。たとえ身を削ることになろうとも。群青の胸倉を掴み、体重を乗せた。
「孕むまで好きにしたら…種無し男と石女で…!」
群青は女の身体に気を回しながら強かに畳へ背を打ち付ける。割り開いた湯上りの素肌に意地悪く爪を立てた。
「その可能性がないから、二公子は俺をこの任に指名したのだと思います…況してや今、………機能しなくなっていますから…」
加湿器が時間を守り、湯気を噴き上げる。内腿に挟んだ男の腰の細さに、少しずつ冬の気温へ融解していく。
「ど…ういう、こと…え…?何…いつ、から…?」
「夏祭りに誘った頃にはもうその兆候が出ていました。二公子が貴女を暴くようお命じになった頃、決定的に」
彼は女に敷かれたまま苦笑した。真正面からそれを受け止めてしまう。
「娼館に入り浸る者として失格ですね」
もう笑うしか残されていないらしかった。
「そんなこと…っわたしに話してどうするの…!」
言わせたも同然だったが、喚くしかこの女にも残された術がなかった。
「どうもしません。どうするつもりも。もう種無し男どころの話ではないんです。あの時は貴女に見栄を張った…まさか貴女を巻き込んで、苦しめて、自分に跳ね返ってくるなんて」
だから真に受けないでください。その呪いから解放されてください。
彼は自身の胴体に跨る女を邪険にすることなく、苦笑いから晴れやかさを帯びた笑顔に変わる。
「聞いてくださってありがとうございます。誰にも言えないことでしたから。二公子は何でも御見通しですから、おそらくそれを見越した人選なのだと思います。俺の口からはっきり申し上げるのは貴女が初めてです」
「変なこと訊いてごめんなさい…」
抑揚が付かず、声は裏返る。
「いいえ。貴女が謝ることなどひとつもありません」
開けた胸元を直す。素肌に刻んだ爪の痕を埋めるように撫でた。身動ぐと接触した部分が変わる。彼は息を詰めた。悩ましげに寄った眉に、恥ずかしくなる。
「で、も…感覚はありますからね?」
苦しげに、しかしふざけたように群青は言った。火照り、冬が消える。飛び上がり、何事もなかったように布団に直った。
「縁談が来ているんでしょう、あずきさんと」
「直に断られると思います。俺から断るのは…こういう場合はあまり良くないんです」
湯呑と酒瓶が片付けられていく。群青が飲んでいた小瓶の貼札には飯匙倩酒とあった。
「酒気が回ってきましたか。おやすみなさい。出来れば、平凡な夢だと思ってくださるとありがたいのですが」
穏やかな声だった。宥められていることに我慢ならず、甘えた。無言のまま布団に隠れる。
「何時だと思ってるのサ?起きてヨ。ウソでしょ。1日中寝てんの?」
頬をぺちぺちと叩かれる。遠雷にしては風情のないごろごろと低い音が轟いている。呻いて邪魔者から逃れた。
「昼飯まだ?朝飯作ったのあんた?あんまり料理得意じゃないの?玉子焼きには醤油入れないのが好きなんだケド、だめ?」
文句ばかりが落ちてくる。そのうち、布団を捲られる。温もりを逃すまいと身体を縮めた。
「起きてヨ!」
明るい茶髪の若い男が声を荒げる。灰色の猫がとことこと居間の卓に駆けていった。室内は眩しいほどで、朝はとうに過ぎている。膨れ面が視界を塞いだ。
「どこから…」
少年とも青年とも判断のできない男は天井を一瞬指で差し、そんなことは取るに足らないことだとばかりに飯を要求した。急かされるままに台所へ引っ張られる。同居人が律儀に等分し冷凍庫に入れていった米を加熱し、鯖の味醂干しを焼いた。昨日の残りの煮物も出す。特にこの里芋と人参と蒟蒻の煮物は具こそ無難だったが個人の家庭の味が強かった。訪問者は台所の卓で勢いよく飯を掻き込み、平らげていく。寝呆けた頭は冴えてくる頃合いだったが、馴れ馴れしいくせ覚えのない若者の存在を頭は拒んでいるらしかった。ふらふらと今に戻り、布団を片付ける。まだ居座っている猫と少し遊んでから外へ出す。卓袱台には置手紙があったが核心である朝餉は見当たらなかった。空気として扱いながら身支度を済ませていたが、着替えの最中でも侵入者は襖と襖の狭間に首を突っ込み、食器をどうしたらいいのか訊ねた。水に浸けておくよう頼むと素直に従う。夜のうちに済んだ洗濯物を日当たりの良い居間に沿った通路に干し、その間、若い男は自身の匂いを託すように肉体をぶつけてはうろうろとしていた。しかし長くは続かず、居間に寝転ぶ。
「怒ってる?」
聞こえないふりをして、摘まんだ襯衣に口紅が薄らと残っているのを確認し、洗い直すため籠に戻す。
「なぁ、怒ってる…?昨日のコト」
彼は態度を改め、寝転ぶのをやめ起き上がり、胡坐をかいた。
「昨日何か、わたしが怒るようなことなどありましたか」
濡れた衣類を干す手を止めず返事をする。
「なんでそんな他人行儀なのサ?ぼく、」
「あずきさんのところに戻らなくていいんですか。どうして群青殿と連絡を取らないんです。謀反人の親類なんかに構っていていいんですか」
立場を弱くしてしまう一言を遮り、昨日訊けずにいたことを捲し立てる。眠気などない、濃くもない睫毛に覆われた円い双眸がきょとんと質問者を見上げている。内容を分かっていないようだった。
「…一度に訊きすぎました」
「あずきって誰?謀反人て何のコト?」
問えば問うほど正体の分からなくなっていく不審者を一瞥し、下手に情報を与えるべきではないと口を噤んだ。
「ぼくはただ、御前が次を見つけて他のオトコと幸せになるのが気に入らないだけ」
彼からは焦りが滲んでいた。もうすぐで洗濯物が干し終わる。昨日血で汚れた衣類を広げたが予洗いしておいたためか綺麗に落ちていた。
「捨てる気なの?ぼくのコト」
「わたしには今のところ、あなたは内面を病んでいるか、頭に重度の負担がかかっているようにしか思えません。まったく身に覚えのない話をされても答えようがありませんし」
「なんだヨ!闇競りに参加してたクセに!」
憤慨し、彼は踵で床を蹴った。警備兵が大声で呼びかける。敢えて返事をしなかった。縁側のガラス扉が破られるように開く。目にも留まらぬ速さで侵入者は消え失せていた。しかし護衛の者はその姿を捉えていたらしかった。洗濯物を干す手を止めないまま、あれこれと問い質される。病人なのだと正直に答えたが、納得している様子はなかった。仮に病人として受理されたところで、二公子の気分次第でどのような人間であっても「平等」のもとに容赦のない罰が下るのだろう。
「酔っていらっしゃるのでは。群青様がお布団で寝るといいです」
酔っている気配はあったが理性は残っているようで、以前色街から自邸に連れ込まれた時と比べれば素面も同然といった程度だ。骨張った白い手には小瓶が握られていた。
「はぐらかさないでください」
「子供2人欲しいことですか。髪を乱したいことですか。それとも夫婦の…男女の営み…しますか」
自嘲と滑稽さに笑い声が漏れた。同時に虚しさが湧いた。見られたくなかった。見破られているのだ。軽々しく口説き、同情を寄せる圧倒的強者はすべての事情を把握しているに違いなかった。人畜無害な顔をした狡猾な血生臭い男の掌で華麗に舞い踊っている。擦り切れた矜持が保身に走る。たとえ身を削ることになろうとも。群青の胸倉を掴み、体重を乗せた。
「孕むまで好きにしたら…種無し男と石女で…!」
群青は女の身体に気を回しながら強かに畳へ背を打ち付ける。割り開いた湯上りの素肌に意地悪く爪を立てた。
「その可能性がないから、二公子は俺をこの任に指名したのだと思います…況してや今、………機能しなくなっていますから…」
加湿器が時間を守り、湯気を噴き上げる。内腿に挟んだ男の腰の細さに、少しずつ冬の気温へ融解していく。
「ど…ういう、こと…え…?何…いつ、から…?」
「夏祭りに誘った頃にはもうその兆候が出ていました。二公子が貴女を暴くようお命じになった頃、決定的に」
彼は女に敷かれたまま苦笑した。真正面からそれを受け止めてしまう。
「娼館に入り浸る者として失格ですね」
もう笑うしか残されていないらしかった。
「そんなこと…っわたしに話してどうするの…!」
言わせたも同然だったが、喚くしかこの女にも残された術がなかった。
「どうもしません。どうするつもりも。もう種無し男どころの話ではないんです。あの時は貴女に見栄を張った…まさか貴女を巻き込んで、苦しめて、自分に跳ね返ってくるなんて」
だから真に受けないでください。その呪いから解放されてください。
彼は自身の胴体に跨る女を邪険にすることなく、苦笑いから晴れやかさを帯びた笑顔に変わる。
「聞いてくださってありがとうございます。誰にも言えないことでしたから。二公子は何でも御見通しですから、おそらくそれを見越した人選なのだと思います。俺の口からはっきり申し上げるのは貴女が初めてです」
「変なこと訊いてごめんなさい…」
抑揚が付かず、声は裏返る。
「いいえ。貴女が謝ることなどひとつもありません」
開けた胸元を直す。素肌に刻んだ爪の痕を埋めるように撫でた。身動ぐと接触した部分が変わる。彼は息を詰めた。悩ましげに寄った眉に、恥ずかしくなる。
「で、も…感覚はありますからね?」
苦しげに、しかしふざけたように群青は言った。火照り、冬が消える。飛び上がり、何事もなかったように布団に直った。
「縁談が来ているんでしょう、あずきさんと」
「直に断られると思います。俺から断るのは…こういう場合はあまり良くないんです」
湯呑と酒瓶が片付けられていく。群青が飲んでいた小瓶の貼札には飯匙倩酒とあった。
「酒気が回ってきましたか。おやすみなさい。出来れば、平凡な夢だと思ってくださるとありがたいのですが」
穏やかな声だった。宥められていることに我慢ならず、甘えた。無言のまま布団に隠れる。
「何時だと思ってるのサ?起きてヨ。ウソでしょ。1日中寝てんの?」
頬をぺちぺちと叩かれる。遠雷にしては風情のないごろごろと低い音が轟いている。呻いて邪魔者から逃れた。
「昼飯まだ?朝飯作ったのあんた?あんまり料理得意じゃないの?玉子焼きには醤油入れないのが好きなんだケド、だめ?」
文句ばかりが落ちてくる。そのうち、布団を捲られる。温もりを逃すまいと身体を縮めた。
「起きてヨ!」
明るい茶髪の若い男が声を荒げる。灰色の猫がとことこと居間の卓に駆けていった。室内は眩しいほどで、朝はとうに過ぎている。膨れ面が視界を塞いだ。
「どこから…」
少年とも青年とも判断のできない男は天井を一瞬指で差し、そんなことは取るに足らないことだとばかりに飯を要求した。急かされるままに台所へ引っ張られる。同居人が律儀に等分し冷凍庫に入れていった米を加熱し、鯖の味醂干しを焼いた。昨日の残りの煮物も出す。特にこの里芋と人参と蒟蒻の煮物は具こそ無難だったが個人の家庭の味が強かった。訪問者は台所の卓で勢いよく飯を掻き込み、平らげていく。寝呆けた頭は冴えてくる頃合いだったが、馴れ馴れしいくせ覚えのない若者の存在を頭は拒んでいるらしかった。ふらふらと今に戻り、布団を片付ける。まだ居座っている猫と少し遊んでから外へ出す。卓袱台には置手紙があったが核心である朝餉は見当たらなかった。空気として扱いながら身支度を済ませていたが、着替えの最中でも侵入者は襖と襖の狭間に首を突っ込み、食器をどうしたらいいのか訊ねた。水に浸けておくよう頼むと素直に従う。夜のうちに済んだ洗濯物を日当たりの良い居間に沿った通路に干し、その間、若い男は自身の匂いを託すように肉体をぶつけてはうろうろとしていた。しかし長くは続かず、居間に寝転ぶ。
「怒ってる?」
聞こえないふりをして、摘まんだ襯衣に口紅が薄らと残っているのを確認し、洗い直すため籠に戻す。
「なぁ、怒ってる…?昨日のコト」
彼は態度を改め、寝転ぶのをやめ起き上がり、胡坐をかいた。
「昨日何か、わたしが怒るようなことなどありましたか」
濡れた衣類を干す手を止めず返事をする。
「なんでそんな他人行儀なのサ?ぼく、」
「あずきさんのところに戻らなくていいんですか。どうして群青殿と連絡を取らないんです。謀反人の親類なんかに構っていていいんですか」
立場を弱くしてしまう一言を遮り、昨日訊けずにいたことを捲し立てる。眠気などない、濃くもない睫毛に覆われた円い双眸がきょとんと質問者を見上げている。内容を分かっていないようだった。
「…一度に訊きすぎました」
「あずきって誰?謀反人て何のコト?」
問えば問うほど正体の分からなくなっていく不審者を一瞥し、下手に情報を与えるべきではないと口を噤んだ。
「ぼくはただ、御前が次を見つけて他のオトコと幸せになるのが気に入らないだけ」
彼からは焦りが滲んでいた。もうすぐで洗濯物が干し終わる。昨日血で汚れた衣類を広げたが予洗いしておいたためか綺麗に落ちていた。
「捨てる気なの?ぼくのコト」
「わたしには今のところ、あなたは内面を病んでいるか、頭に重度の負担がかかっているようにしか思えません。まったく身に覚えのない話をされても答えようがありませんし」
「なんだヨ!闇競りに参加してたクセに!」
憤慨し、彼は踵で床を蹴った。警備兵が大声で呼びかける。敢えて返事をしなかった。縁側のガラス扉が破られるように開く。目にも留まらぬ速さで侵入者は消え失せていた。しかし護衛の者はその姿を捉えていたらしかった。洗濯物を干す手を止めないまま、あれこれと問い質される。病人なのだと正直に答えたが、納得している様子はなかった。仮に病人として受理されたところで、二公子の気分次第でどのような人間であっても「平等」のもとに容赦のない罰が下るのだろう。
0
あなたにおすすめの小説
本物の夫は愛人に夢中なので、影武者とだけ愛し合います
こじまき
恋愛
幼い頃から許嫁だった王太子ヴァレリアンと結婚した公爵令嬢ディアーヌ。しかしヴァレリアンは身分の低い男爵令嬢に夢中で、初夜をすっぽかしてしまう。代わりに寝室にいたのは、彼そっくりの影武者…生まれたときに存在を消された双子の弟ルイだった。
※「小説家になろう」にも投稿しています
王様の恥かきっ娘
青の雀
恋愛
恥かきっ子とは、親が年老いてから子供ができること。
本当は、元気でおめでたいことだけど、照れ隠しで、その年齢まで夫婦の営みがあったことを物語り世間様に向けての恥をいう。
孫と同い年の王女殿下が生まれたことで巻き起こる騒動を書きます
物語は、卒業記念パーティで婚約者から婚約破棄されたところから始まります
これもショートショートで書く予定です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
ローザとフラン ~奪われた側と奪った側~
水無月あん
恋愛
私は伯爵家の娘ローザ。同じ年の侯爵家のダリル様と婚約している。が、ある日、私とはまるで性格が違う従姉妹のフランを預かることになった。距離が近づく二人に心が痛む……。
婚約者を奪われた側と奪った側の二人の少女のお話です。
5話で完結の短いお話です。
いつもながら、ゆるい設定のご都合主義です。
お暇な時にでも、お気軽に読んでいただければ幸いです。よろしくお願いします。
地獄の業火に焚べるのは……
緑谷めい
恋愛
伯爵家令嬢アネットは、17歳の時に2つ年上のボルテール侯爵家の長男ジェルマンに嫁いだ。親の決めた政略結婚ではあったが、小さい頃から婚約者だった二人は仲の良い幼馴染だった。表面上は何の問題もなく穏やかな結婚生活が始まる――けれど、ジェルマンには秘密の愛人がいた。学生時代からの平民の恋人サラとの関係が続いていたのである。
やがてアネットは男女の双子を出産した。「ディオン」と名付けられた男児はジェルマンそっくりで、「マドレーヌ」と名付けられた女児はアネットによく似ていた。
※ 全5話完結予定
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
私を裏切った夫が、後悔しているようですが知りません
藤原遊
恋愛
政略結婚として、公爵家に嫁いだ私は
愛のない夫婦関係を「仕事」だと思い、正妻の役目を果たしてきた。
夫が愛人を持つことも、
その子を屋敷に迎え入れることも、黙って受け入れてきた。
けれど――
跡取りを、正妻の子ではなく愛人の子にする。
その言葉を、人前で軽く口にした瞬間。
私は悟ったのだ。
この家では、息子を守れないと。
元々、実家との間には
「嫡子以外の子は実家の跡取りにする」という取り決めがあった。
ならば話は簡単だ。
役目を終えた私は、離縁を選ぶ。
息子と共に、この家を去るだけ。
後悔しているようですが――
もう、私の知るところではありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる