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「あなた、誰…?」
「旦那さん。あんたの、夫」
頤に口付け、頬擦りする。つるつるした髪がくすぐった。眠そうな眼差しも、長く濃い睫毛もない。人の好さそうな目があるだけだった。
「違う…」
「違くないヨ。ぼくが狐。あんたが選んだ夫。ぼくが一緒にいる…どうしたら信じてくれる?」
「信じない…なにも。何をしてくれても、あなたのことも、群青殿のことも、」
腰に回る手が強まり、身を委ねてしまうと侵入者はよろけた。足が縺れる。干したばかりの布に手が引っ掛かり、崩れた2人を覆った。布を除ける手を取られた。懐剣で切り付けられたほうの腕だった。瑞々しい指が傷口を包帯越しになぞる。
「痛かったよネ…?ごめん…」
「あなたは、わたしみたいなのに感けている場合じゃない…」
少年みたいな容貌の若者を引っ張り起こす。しかし男は駄々を捏ねる。
「…どうしてサ?どうして?昨日一緒に行ってイイって言われてたじゃん…なんで…ぼくのこと選んでくれないの?そんなにあのオトコが大事なの?自分ひとりだけ幸せになればぼくのコトなんてどうだっていいの?代わりがいるから?あのオトコとよろしくやるの?そんなの、耐えられないヨ…!」
腕を引っ張られる。頬が寄せられた。
「群青殿とは幸せにならないよ。多分、他の人とも。わたしと一緒にいてどうするの?どうしたい?子供は産めないよ。他人の手垢がついてるよ。好きな場所には住めないし、家の名前が付いて回って、石をぶつけられるかもしれないよ。それでもいいっていうなら、あなたに捨てられるまで待っていればいいのかな」
女は呟く。若者は怖気づき、小さな息を漏らした。横目でそれを認めた。自嘲的な笑みが自傷に等しい告白に歪んだ。
「あの人に成り済ますのは勝手だけれど、わたしはあの人に縋り付いて、一緒に背負ってもらうつもりでいた。あの人は許してくれたけれど、あなたはあの人と違って…その手、汚したこと、ないんじゃないかな」
「ヤダ!一緒に来てヨ…!一緒に来て…!じゃなきゃ…っぼくは…ぼくはなんで死んだんだ!なんで死んじゃったんだヨ!…ッぼくは!」
癇癪を起こす少年に手が伸びたが、留まる。どうしていいのか分からず頭を抱える。
「連れ出してあげる…、一緒に住もうヨ、あんたの家族とサ…」
虚構が目の前にいる。縋ってしまおうか。判断が揺らぐ。煌びやかな言葉に期待が募る。固唾を飲んだ。酒の弱さを恨んだ。
「ダメ。包囲されているみたいだから、上手くやって」
幻影は断られたことに衝撃を受けたようだった。瞠目した明るい茶色の瞳は、夫とは別人を証明している。
「え…」
実体のある虚構の前に腕を出して制した。奥の部屋の壁が開戸と化していた。刀をぶら下げて現れた青年からは戦意が窺えなかった。
「帰りなさい。もう二度と来ては駄目」
狼狽する夢幻の背を叩く。彼はどうしていいかも分からないようだった。勢いに任せ、縁側とは反対の障子窓に飛び出して行った。遠ざかる背中を見送り、側めた先の群青は立ち尽くしている。落胆と失望だけが真っ直ぐな瞳から感じ取れた。極彩は大きく息を吸う。飲酒後の息苦しさだった。
「よかったんですか」
「群青殿こそ」
「仕留め損ねたのはわたくしの不手際です」
律儀な返答だった。しかし内容には虚偽が混じっている。不手際どころか仕留める意思さえなかった。
「囮にするような相手ではなかったでしょう」
彼はやっと痛いほどの視線を外した。
「いつから気付いていたんです」
「昨日あんなことがあって、いきなり誰もいないんだもの。そうだ、お酒1瓶もらったから。随分強いの飲んでるんだね。ちゃんと寝ないし、ご飯も食べられない。使用人の人も心配するわけだな…」
不用意に口が回った。
「極彩様…いいんです。今は酔っているんですから、今くらいは」
弱い酒だった。しかし口が止まらない。理性が瓦解する。
「…行きたかった。一緒に。こんな場所出て行って。あの手を取りたかった。行きたかった。出たかった」
群青は無言のまま幾度も頷いた。
「叶えられず、申し訳ない」
警備兵が居間へやって来る。不憫だとばかりの眼差しを受けながら、両手を戒められる。断罪者の足元をじっと見つめていた。彼は座敷牢に連行する命を下した。
規定通りの打ち打擲30回が終わり、後ろ手に拘束されたまま座敷牢に転がされた。想像していたものよりも立派な造りだった。寝室をそのまま縮尺したような内装で、足を伸ばして寝られる程度の広さは確保されていた。格子付きの窓が2面ある。群青は城へ報告に向かい、その間に済まされた刑罰も容赦のない力加減ではあったが酩酊感がまだ残っていたため鈍いものだった。とはいえ背と脇腹、そして腰に入った一撃一撃丁寧な熱は全身に響いている。同じ姿勢で長いこと部屋の隅を凝視していた。時間が止まっていた。群青が帰ってきたことで漸く流れ出す。しかし体勢を変えず、背中で迎えた。気配はすぐ近くにあるが、会話は始まらない。始まったところで喋る気力もなかった。目蓋は重く、刑罰が置いていった熱に巻かれて眠ってしまう寸前にまでなっていた。深く息を吐く。間近の男の息遣いと重なる。
「何かと、不便かと思いますが、こちらで…暫くお過ごしください」
苦しそうに彼は一語一語区切った。
「次に見つけたら、必ず仕留めねばなりません…あの者がどんな境遇で、どんな風貌であっても」
動悸を起こしたみたいな荒々しい呼吸だった。青虫のように上体を持ち上げ、振り返る。怪我人が立っている。右腕を吊る布に赤い汚れが散っている。腫れ上がった頬や痣のある目元は冬山に入る直前に見たことがある。そこに咳があるか、ないかだった。彼は牢の中に入り、囚人の轡を外す。喉が渇いた。酒の甘味が喉奥から木霊しているみたいだった。
「わたくしは一旦、この場を外れます。一時的ではありますが、身柄を紫煙殿に引き渡します。致命傷にならない程度の暴力の行使が認められました。…すべて打ち明けてしまうのが最善かと思われます」
躊躇いがちに彼は言った。破れた口角が赤く汚れている。これから何が行われるのか、明かしはしないが、知らされる。
「群青殿」
長い睫毛の奥で彼は迷いをみせる。声が出なかった。壁と対話しているほうが有意義だった。
「ごめん」
「…俺は貴女の罪業のひとつになってでも、貴女の中に残りたい男ですから」
小さな布の擦れる物音が礼を告げる。まだ醒めきらない頭では、自身のことを心配すればいいのか、彼の身を案じればいいのか、考えることが多過ぎた。
「旦那さん。あんたの、夫」
頤に口付け、頬擦りする。つるつるした髪がくすぐった。眠そうな眼差しも、長く濃い睫毛もない。人の好さそうな目があるだけだった。
「違う…」
「違くないヨ。ぼくが狐。あんたが選んだ夫。ぼくが一緒にいる…どうしたら信じてくれる?」
「信じない…なにも。何をしてくれても、あなたのことも、群青殿のことも、」
腰に回る手が強まり、身を委ねてしまうと侵入者はよろけた。足が縺れる。干したばかりの布に手が引っ掛かり、崩れた2人を覆った。布を除ける手を取られた。懐剣で切り付けられたほうの腕だった。瑞々しい指が傷口を包帯越しになぞる。
「痛かったよネ…?ごめん…」
「あなたは、わたしみたいなのに感けている場合じゃない…」
少年みたいな容貌の若者を引っ張り起こす。しかし男は駄々を捏ねる。
「…どうしてサ?どうして?昨日一緒に行ってイイって言われてたじゃん…なんで…ぼくのこと選んでくれないの?そんなにあのオトコが大事なの?自分ひとりだけ幸せになればぼくのコトなんてどうだっていいの?代わりがいるから?あのオトコとよろしくやるの?そんなの、耐えられないヨ…!」
腕を引っ張られる。頬が寄せられた。
「群青殿とは幸せにならないよ。多分、他の人とも。わたしと一緒にいてどうするの?どうしたい?子供は産めないよ。他人の手垢がついてるよ。好きな場所には住めないし、家の名前が付いて回って、石をぶつけられるかもしれないよ。それでもいいっていうなら、あなたに捨てられるまで待っていればいいのかな」
女は呟く。若者は怖気づき、小さな息を漏らした。横目でそれを認めた。自嘲的な笑みが自傷に等しい告白に歪んだ。
「あの人に成り済ますのは勝手だけれど、わたしはあの人に縋り付いて、一緒に背負ってもらうつもりでいた。あの人は許してくれたけれど、あなたはあの人と違って…その手、汚したこと、ないんじゃないかな」
「ヤダ!一緒に来てヨ…!一緒に来て…!じゃなきゃ…っぼくは…ぼくはなんで死んだんだ!なんで死んじゃったんだヨ!…ッぼくは!」
癇癪を起こす少年に手が伸びたが、留まる。どうしていいのか分からず頭を抱える。
「連れ出してあげる…、一緒に住もうヨ、あんたの家族とサ…」
虚構が目の前にいる。縋ってしまおうか。判断が揺らぐ。煌びやかな言葉に期待が募る。固唾を飲んだ。酒の弱さを恨んだ。
「ダメ。包囲されているみたいだから、上手くやって」
幻影は断られたことに衝撃を受けたようだった。瞠目した明るい茶色の瞳は、夫とは別人を証明している。
「え…」
実体のある虚構の前に腕を出して制した。奥の部屋の壁が開戸と化していた。刀をぶら下げて現れた青年からは戦意が窺えなかった。
「帰りなさい。もう二度と来ては駄目」
狼狽する夢幻の背を叩く。彼はどうしていいかも分からないようだった。勢いに任せ、縁側とは反対の障子窓に飛び出して行った。遠ざかる背中を見送り、側めた先の群青は立ち尽くしている。落胆と失望だけが真っ直ぐな瞳から感じ取れた。極彩は大きく息を吸う。飲酒後の息苦しさだった。
「よかったんですか」
「群青殿こそ」
「仕留め損ねたのはわたくしの不手際です」
律儀な返答だった。しかし内容には虚偽が混じっている。不手際どころか仕留める意思さえなかった。
「囮にするような相手ではなかったでしょう」
彼はやっと痛いほどの視線を外した。
「いつから気付いていたんです」
「昨日あんなことがあって、いきなり誰もいないんだもの。そうだ、お酒1瓶もらったから。随分強いの飲んでるんだね。ちゃんと寝ないし、ご飯も食べられない。使用人の人も心配するわけだな…」
不用意に口が回った。
「極彩様…いいんです。今は酔っているんですから、今くらいは」
弱い酒だった。しかし口が止まらない。理性が瓦解する。
「…行きたかった。一緒に。こんな場所出て行って。あの手を取りたかった。行きたかった。出たかった」
群青は無言のまま幾度も頷いた。
「叶えられず、申し訳ない」
警備兵が居間へやって来る。不憫だとばかりの眼差しを受けながら、両手を戒められる。断罪者の足元をじっと見つめていた。彼は座敷牢に連行する命を下した。
規定通りの打ち打擲30回が終わり、後ろ手に拘束されたまま座敷牢に転がされた。想像していたものよりも立派な造りだった。寝室をそのまま縮尺したような内装で、足を伸ばして寝られる程度の広さは確保されていた。格子付きの窓が2面ある。群青は城へ報告に向かい、その間に済まされた刑罰も容赦のない力加減ではあったが酩酊感がまだ残っていたため鈍いものだった。とはいえ背と脇腹、そして腰に入った一撃一撃丁寧な熱は全身に響いている。同じ姿勢で長いこと部屋の隅を凝視していた。時間が止まっていた。群青が帰ってきたことで漸く流れ出す。しかし体勢を変えず、背中で迎えた。気配はすぐ近くにあるが、会話は始まらない。始まったところで喋る気力もなかった。目蓋は重く、刑罰が置いていった熱に巻かれて眠ってしまう寸前にまでなっていた。深く息を吐く。間近の男の息遣いと重なる。
「何かと、不便かと思いますが、こちらで…暫くお過ごしください」
苦しそうに彼は一語一語区切った。
「次に見つけたら、必ず仕留めねばなりません…あの者がどんな境遇で、どんな風貌であっても」
動悸を起こしたみたいな荒々しい呼吸だった。青虫のように上体を持ち上げ、振り返る。怪我人が立っている。右腕を吊る布に赤い汚れが散っている。腫れ上がった頬や痣のある目元は冬山に入る直前に見たことがある。そこに咳があるか、ないかだった。彼は牢の中に入り、囚人の轡を外す。喉が渇いた。酒の甘味が喉奥から木霊しているみたいだった。
「わたくしは一旦、この場を外れます。一時的ではありますが、身柄を紫煙殿に引き渡します。致命傷にならない程度の暴力の行使が認められました。…すべて打ち明けてしまうのが最善かと思われます」
躊躇いがちに彼は言った。破れた口角が赤く汚れている。これから何が行われるのか、明かしはしないが、知らされる。
「群青殿」
長い睫毛の奥で彼は迷いをみせる。声が出なかった。壁と対話しているほうが有意義だった。
「ごめん」
「…俺は貴女の罪業のひとつになってでも、貴女の中に残りたい男ですから」
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