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振り払うように身を翻す。暗い髪色の逃亡犯が立っている。印象が違ってみえたが円い目の形は自己を喪失した癲狂病みの若者だった。真っ白な襯衣に真っ黒な直着と色を揃えた蝶形の細い襟締。色街で目にしたことのある服装だった。弁柄地区でも時間帯的にも浮いた姿に極彩は息を呑む。探す手間は省けたが、関わっては拙い人物だという直感に後退ってしまう。
「どしたの。迎えに来たのに」
「…色街にいるの?」
「うん。おいでヨ、案内する。接待飲食館で働いてるの、ぼく」
指名手配されていることを知らないのか、緊張感がない。気さくに笑い、腕を引かれる。調子が狂った。
「まだ、時間帯的にも、」
「うん、控室で話そうヨ。なんかヤバげなことになってるんでしょ」
「分かってるなら…」
「迎えに来たんだヨ。なんとなく来てくれるって思ってた」
へらへらと笑って堂々と住宅街を突き抜けていく。案内されたのは色街の端にある店舗だった。まだ新しく、他の区画の店とは少し風情が変わっていた。霓虹灯には頼らない外装で質感を残した乳白色の壁が妙に洗練された感じがあった。入り口前の小規模な花壇の庭園灯はまだ出番ではなかったがそれ自体も飾りになっていた。黒地に白みの強い金字によって「愛庭館」と足元の看板には記されていた。彼の話からすると「めいていかん」と読むらしかった。女性を侍らせ酒を飲ませては歌ったり踊ったりする店だと説明される。裏口に回り、白を基調とした鏡台だらけの部屋に通される。指名手配されている若者と同じような服装の者が何人か極彩に視線を浴びせた。彼は人を払い、長卓を挟むように座る。
「何て呼んだらいいの」
「あんたは旦那さんのコトなんて呼んでたっけ?貴男もグッとくるケド、そのまま狐って呼ばれたいネ」
ふざけた態度に極彩は目の前の若者を睨んだ。彼は態とらしく怯えてみせる。
「回りくどい言い方をしてごめんなさい。本当の名前を知りたいのだけれど」
「教えたらいっぱい呼んでくれるの」
「必要性があれば」
彼は言うか言うまいか、迷いを隠さず渋げに極彩をじとっと見つめる。
「橡さんでも、狐さんでもないでしょう。あなたは誰なの。橡さんに成り済まして、何か恨みでもあるの?」
唇を尖らせ、彼は意地を張りながら首を横に振った。
「…榛」
照れたように身体ごと極彩から顔を逸らす。座面に片脚を乗せ、その膝を抱いた。
「呼んでくれないの」
「榛さん」
「…グンジョウとかいう人にはもっと近いじゃん」
半目の明るい色の瞳が少し低くなった声音と共にやってくる。
「榛くん」
「うう~ん、ま、いいか。もっと砕けて呼んでくれてもいいんだケドな。でもあんたに呼ばれるのも悪くないな。嬉しい。ネ?白梅」
無邪気な笑みを直視できず、思わず目を逸らしてしまった。
「教えてくれてありがとう…」
「いいって。いっぱい呼んでよネ、ぼくのコト。教えたからには間違わないでヨ」
面倒臭くなって適当に頷き、警棒で叩かれた傷の心配を投げかければ、日が経っていることもあり彼はぴんぴんしていた。
「すっげ痛かったケド、痕とか残ってないし。元気、元気。あんたこそ手、大丈夫なのかヨ」
包帯の巻かれた利き手を差す。眉を下げ自分が痛いとばかりの顔をする。
「見た目ほど痛くない」
「良かった。見舞ってた甲斐があるヨ」
気付いてくれたっしょ、花束。榛と名乗った若者は屈託なく笑う。焦げ茶の髪があまり似合わず、別人と話している気になるが喋るとやはり彼だった。
「指名手配犯の自覚ある?足がついたらどうするの。生きて帰れないことは分かってる?」
笑うだけにせよころころと様々な色をみせる榛の表情が無へと変わった。
「あんたはぼくを庇おうとしてくれてるの?」
「…ここまで関わった相手が殺されるのも胸糞悪いでしょう」
「なぁんだ。ぼくのコト好きになっちゃったのかと思った。でも気に掛けてもらえて嬉しい」
彼は自身の染めたばかりらしい暗い色の髪を乱す。
「嬉しがっている場合ではないと思うけれど…」
榛は呑気に背凭れに身を預け、後頭部に両手を当て、無防備に弱点を晒す。
「あんたサ、言ったじゃん。権力と美食が望みだって。圧倒的かって訊かれたら分からないケド、無理じゃないヨ」
あ、そうだと彼は何か思い出したらしかった。そして姿勢を正して前にのめる。
「それで」
「え、言ったヨ。あれサ、無理じゃないんだワ。あんたなら知ってるでしょ、ここの地下、闇闘技場あんの」
闇競売と似た響きに不快感を露わにすると榛は喜んだ。知らない、と形式ばかりの否定をする。またまた~と彼はいやらしいが快活に口角を上げた。
「権利書持ってんの。売っちゃえばそれなりの額にはなるからサ。ネ、一緒に暮らそうヨ、夫婦として」
「…なんで?」
榛はきょとんとした。即答かつ承諾を信じて疑っていないらしかった。
「勝ち抜いて権利書もらったから…?」
「違う。どうしてあなたと夫婦になるのかってこと」
「当然でしょ。ぼくはあんたの死んだ夫なんだから。何か問題があるワケ?」
話が通じていないような気がして話を続ける意欲が削がれていく。あ、それとも言わせたいんだ。榛の話声が遠退く。
「死んだ夫って…生きてもいなかったはずだけれど」
足掻くようにこぼすと、目の前で溜息を吐かれる。
「ぼくはサ、ずっと見てたヨ。あんたがぼくを買うところも、あんたが必死になって刺されたぼくを気に掛けてくれたことも。でも死んじゃった。なのにあんたはそのコトに気付いちゃくれなかった」
同情を煽るような眼差しを向けられ、話しているうちにそこに怒気が混じっていった。
「事務所が荒れていたのは、あなたがやったの」
「そうだヨ。あそこにいた“競売品”を全員逃がしてサ。そしたら刺されるんだもん。死んだと思ったネ。あんたと一緒に居た変なお兄さんに拉致られてサ。覚えてるでしょ。あのお兄さんと爆死してやろうと思ったら、まさかぼくだけ死ぬなんてネ。やってられないヨ!」
榛は不気味に口の端を吊り上げた。肉感や体温は確かにあったが、彼が口にするように生きている者ではないと思うには十分なほどの超自然的な情を思い起こさせる。だがほんの一瞬のことだった。
「でも感謝もしてるんだヨ。あんたが落札してくれなかったら最悪生きたままトラのエサになるかも知れなかったんだし。競争相手、結構頭ブッ飛んでる富豪でサ」
極彩はあからさまに彼へ警戒を示した。
「あなた何者なの。死んでるっていうのなら輪廻送りでもしてもらう?」
河教に於ける、死者の精神を人の世に残留させないための儀礼だった。
「いやだな、ぼく河教じゃないヨ。だから河流れしない」
榛は肩を竦めた。河流れという表現は河教に対する有名な揶揄だった。睨みつけたままの極彩の表情を彼は怒りと解釈したらしく、媚びた態度で声音を柔らかくする。
「宗教と政の価値観が合わない相手とは暮らせない?いちいち話すコトじゃないから言わなかったケド…でもあんたが旦那も河教に入れたいって言うなら別に。ああいうのって直感でしょ。無理なモノは無理だケド、口でなら何とでも言える」
「…河教ではないけれど、紫雷教の信者だ…って言ったら」
榛はもともと円い目をより丸くした。そしておかしそうに笑う。
「どしたの。迎えに来たのに」
「…色街にいるの?」
「うん。おいでヨ、案内する。接待飲食館で働いてるの、ぼく」
指名手配されていることを知らないのか、緊張感がない。気さくに笑い、腕を引かれる。調子が狂った。
「まだ、時間帯的にも、」
「うん、控室で話そうヨ。なんかヤバげなことになってるんでしょ」
「分かってるなら…」
「迎えに来たんだヨ。なんとなく来てくれるって思ってた」
へらへらと笑って堂々と住宅街を突き抜けていく。案内されたのは色街の端にある店舗だった。まだ新しく、他の区画の店とは少し風情が変わっていた。霓虹灯には頼らない外装で質感を残した乳白色の壁が妙に洗練された感じがあった。入り口前の小規模な花壇の庭園灯はまだ出番ではなかったがそれ自体も飾りになっていた。黒地に白みの強い金字によって「愛庭館」と足元の看板には記されていた。彼の話からすると「めいていかん」と読むらしかった。女性を侍らせ酒を飲ませては歌ったり踊ったりする店だと説明される。裏口に回り、白を基調とした鏡台だらけの部屋に通される。指名手配されている若者と同じような服装の者が何人か極彩に視線を浴びせた。彼は人を払い、長卓を挟むように座る。
「何て呼んだらいいの」
「あんたは旦那さんのコトなんて呼んでたっけ?貴男もグッとくるケド、そのまま狐って呼ばれたいネ」
ふざけた態度に極彩は目の前の若者を睨んだ。彼は態とらしく怯えてみせる。
「回りくどい言い方をしてごめんなさい。本当の名前を知りたいのだけれど」
「教えたらいっぱい呼んでくれるの」
「必要性があれば」
彼は言うか言うまいか、迷いを隠さず渋げに極彩をじとっと見つめる。
「橡さんでも、狐さんでもないでしょう。あなたは誰なの。橡さんに成り済まして、何か恨みでもあるの?」
唇を尖らせ、彼は意地を張りながら首を横に振った。
「…榛」
照れたように身体ごと極彩から顔を逸らす。座面に片脚を乗せ、その膝を抱いた。
「呼んでくれないの」
「榛さん」
「…グンジョウとかいう人にはもっと近いじゃん」
半目の明るい色の瞳が少し低くなった声音と共にやってくる。
「榛くん」
「うう~ん、ま、いいか。もっと砕けて呼んでくれてもいいんだケドな。でもあんたに呼ばれるのも悪くないな。嬉しい。ネ?白梅」
無邪気な笑みを直視できず、思わず目を逸らしてしまった。
「教えてくれてありがとう…」
「いいって。いっぱい呼んでよネ、ぼくのコト。教えたからには間違わないでヨ」
面倒臭くなって適当に頷き、警棒で叩かれた傷の心配を投げかければ、日が経っていることもあり彼はぴんぴんしていた。
「すっげ痛かったケド、痕とか残ってないし。元気、元気。あんたこそ手、大丈夫なのかヨ」
包帯の巻かれた利き手を差す。眉を下げ自分が痛いとばかりの顔をする。
「見た目ほど痛くない」
「良かった。見舞ってた甲斐があるヨ」
気付いてくれたっしょ、花束。榛と名乗った若者は屈託なく笑う。焦げ茶の髪があまり似合わず、別人と話している気になるが喋るとやはり彼だった。
「指名手配犯の自覚ある?足がついたらどうするの。生きて帰れないことは分かってる?」
笑うだけにせよころころと様々な色をみせる榛の表情が無へと変わった。
「あんたはぼくを庇おうとしてくれてるの?」
「…ここまで関わった相手が殺されるのも胸糞悪いでしょう」
「なぁんだ。ぼくのコト好きになっちゃったのかと思った。でも気に掛けてもらえて嬉しい」
彼は自身の染めたばかりらしい暗い色の髪を乱す。
「嬉しがっている場合ではないと思うけれど…」
榛は呑気に背凭れに身を預け、後頭部に両手を当て、無防備に弱点を晒す。
「あんたサ、言ったじゃん。権力と美食が望みだって。圧倒的かって訊かれたら分からないケド、無理じゃないヨ」
あ、そうだと彼は何か思い出したらしかった。そして姿勢を正して前にのめる。
「それで」
「え、言ったヨ。あれサ、無理じゃないんだワ。あんたなら知ってるでしょ、ここの地下、闇闘技場あんの」
闇競売と似た響きに不快感を露わにすると榛は喜んだ。知らない、と形式ばかりの否定をする。またまた~と彼はいやらしいが快活に口角を上げた。
「権利書持ってんの。売っちゃえばそれなりの額にはなるからサ。ネ、一緒に暮らそうヨ、夫婦として」
「…なんで?」
榛はきょとんとした。即答かつ承諾を信じて疑っていないらしかった。
「勝ち抜いて権利書もらったから…?」
「違う。どうしてあなたと夫婦になるのかってこと」
「当然でしょ。ぼくはあんたの死んだ夫なんだから。何か問題があるワケ?」
話が通じていないような気がして話を続ける意欲が削がれていく。あ、それとも言わせたいんだ。榛の話声が遠退く。
「死んだ夫って…生きてもいなかったはずだけれど」
足掻くようにこぼすと、目の前で溜息を吐かれる。
「ぼくはサ、ずっと見てたヨ。あんたがぼくを買うところも、あんたが必死になって刺されたぼくを気に掛けてくれたことも。でも死んじゃった。なのにあんたはそのコトに気付いちゃくれなかった」
同情を煽るような眼差しを向けられ、話しているうちにそこに怒気が混じっていった。
「事務所が荒れていたのは、あなたがやったの」
「そうだヨ。あそこにいた“競売品”を全員逃がしてサ。そしたら刺されるんだもん。死んだと思ったネ。あんたと一緒に居た変なお兄さんに拉致られてサ。覚えてるでしょ。あのお兄さんと爆死してやろうと思ったら、まさかぼくだけ死ぬなんてネ。やってられないヨ!」
榛は不気味に口の端を吊り上げた。肉感や体温は確かにあったが、彼が口にするように生きている者ではないと思うには十分なほどの超自然的な情を思い起こさせる。だがほんの一瞬のことだった。
「でも感謝もしてるんだヨ。あんたが落札してくれなかったら最悪生きたままトラのエサになるかも知れなかったんだし。競争相手、結構頭ブッ飛んでる富豪でサ」
極彩はあからさまに彼へ警戒を示した。
「あなた何者なの。死んでるっていうのなら輪廻送りでもしてもらう?」
河教に於ける、死者の精神を人の世に残留させないための儀礼だった。
「いやだな、ぼく河教じゃないヨ。だから河流れしない」
榛は肩を竦めた。河流れという表現は河教に対する有名な揶揄だった。睨みつけたままの極彩の表情を彼は怒りと解釈したらしく、媚びた態度で声音を柔らかくする。
「宗教と政の価値観が合わない相手とは暮らせない?いちいち話すコトじゃないから言わなかったケド…でもあんたが旦那も河教に入れたいって言うなら別に。ああいうのって直感でしょ。無理なモノは無理だケド、口でなら何とでも言える」
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