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「冗談でしょ。ダメだヨ、よその宗教を踏み台に使っちゃ。ま、さすがに紫雷教はカンベンだケド」
強張った表情は希望的観測で冗談と見做している感じがあった。
「でもやっぱりそんなんで止められないのが―」
独り言は最後まで聞き取れなかったが、おそらく聞こえたとしても厄介なものに違いないという確信があった。話が落ち着いたところで控室に大きな荷物が届き、榛は席を外した。酒類と食材らしかった。他の従業員たちが手伝いにやってくる。業者に応対する時や指示を出す時の榛は甘ったるい声やふざけた話し方ではなかった。しかし他に人がいなくなると途端に眉や口元を緩ませ、極彩の前に座る。締まりのない笑顔に嫌な予感がした。退席したいがこの者を野放しにしておくわけにもいかない。揉み手に意識を奪われる。
「欠勤出ちゃってサ。一番人気の嬢なんだケド…、あんた店出ない?それなりの日当出せるんだケド」
ははっと軽い口調で榛は言った。
「断る」
榛がすぐ真横へ擦り寄ってきた。目を覗き込む。両手を合わせ、視界に入り込む。
「お願い」
「そういうの苦手なの」
「そうかな?あのオトコには上手かったのに?頼むヨぉ。そろそろ新しい刺激欲しいと思ってたトコロだし、今期当てとかないとマズいんだって。ネ、ネ、お願い!」
身をくねらせ、首を曲げた先にも容赦なく現れる。何をしに来たのか忘れかける。
「病人抱えてたり、同胞の生活費工面したり、働けない家族扶養してる従業員が路頭に迷ってもいいの?1日だけ!ホントに!そういう子たちを容赦なく闇競りに売り飛ばしてもいいの?怖いヨ!ぼくは同情よりその他多くの従業員を守って人身御供しなきゃなんてそんなのあんまりだ…」
「たった1日稼ぎを逃したくらいで…?飛躍しすぎじゃ…」
「他区の商売と同じ尺で語るネ!喰うか喰われるかなの!ここは!」
目の前に指を立てられ、噛み付くように説教される。極彩は身を仰け反らせた。
「ああ!ぼくがあんたみたいに違法人身売買取締法違反になってもいいっていうんだ!」
「合法な人身売買があるっていうワケ」
揶揄するつもりだ、榛は当然と言わんばかりに無知に対する憐れみに似た表情をした。
「…で、どうするの。選んで。ぼくのお願い利いてくれるの、違人法違反で通報されるの?」
「指名手配犯がよく言うね。条件があるのだけれど」
「何?性接待はさせないし、悪い客からは店が守るヨ」
食い気味に榛は鼻先が触れるほど前に迫る。
「榛くんの本当のことを教えてくれる?」
間近にある頬を両側から押さえ、眼前に固定する。円い目と対峙すると、明るい色の瞳が泳ぐ。今にも先程の必死なお願いを取り下げてしまいそうだった。
「嫌ならいいのだけれど。ここの仕事が大変なのは経験はないけれどそれなりに分かっているつもり。日当よりも今のわたしに必要な報酬は事実だから」
榛は唇を噛む。仕事の話になると彼は少しの真剣さを帯びていた。決めかねているようだった。
「前に隣の区角の娼館で働こうと思ったことがあったのだけれどこの傷を理由に断られたから、そんなお願いされるとは思わなかった」
彼はまだ迷いを振り切れていなかったが極彩の肩を掴んだ。
「ぼくが嘘教えるかもしれないじゃん。その可能性は考えないの」
「嘘だと見破れなかったらそれがわたしの中の真実ってことにするから」
腑に落ちていないようだったが榛は渋々条件を呑んだ。言い出したのは彼で、お願いは通ったくせ、憂鬱そうだった。極彩もまた慣れない仕事を請け負ってしまい気が重い。適当な接客心得を説かれ、模擬実演をしてから開店までの時間は大いにあったはずだというのに衣装選びや化粧、髪結いで潰れていった。落ち着いた色調の控室は着飾った女性従業員たちで華々しく変わる。
極彩は光沢のある白い布に金の刺繍が入り、下方に向かって幅が広がる前後で丈に大きな差のある衣装に身を包んだ。裏地や所々に動物の毛皮を模した柄が入っていた。腹部と脚が出ているため気恥ずかしくなる。髪は両端で結い上げられ、故意的に歪に乱される。髪飾りは数珠のような水晶が連なり、傷の前で揺れた。榛は目を輝かせる。
「ぼくが客になりたかった!」
黒い皮の手袋に包まれた手で、編刺繍の手袋を当日限りの従業員に嵌めながら彼は悔しげに言った。体温の伝わらない手に柔らかく指を握られ、店内へ導かれる。貸し出された透明な踵の高い突っ掛けは二公子に与えられていた物よりも華奢に思え、上手く歩けなかった。店の内装は明るく、毛足の長い絨毯が敷かれ、彩りの少ない色調だった。煌びやかな衣装の女性従業員がその場に色を与えていく。
「とりあえず、あんたは果物皿とかいっぱいおねだりして。お酒のほうはそんなに強くなさそうだし。1本くらい高いの開けてもらえると助かるケド、あくまで目標ってコトで。無理は禁物ネ」
榛は耳栓式の小型構内電話を片耳に嵌め極彩を送り出す。順調に店は回り、耳に当てた機材から榛はあれこれと男性従業員に指示を出し、彼等が手拭や氷を運んでくる。同じ卓に着いた女性従業員が慣れた手付きで酒を作り、話に花を咲かせる。景気よく酒が開き、乾酪の小麦鬆餅を食べさせてもらう。晒された腕が富豪らしき男性客の厚手の屋内礼服に触れた。生温かい手に肩を抱かれ、自慢話に相槌を打ち、笑みを貼り付けて話を合わせては持ち上げる。その間も酒の減り具合や客の挙動に注意を払わねばならなかった。
要領が分かってきたところで、多忙な時間帯にある客が来た。容姿で目を惹いた。顔の右半分を仮面で隠している、艶やかで長い黒髪の佇まいから端麗な男だった。露出している顔の左半分でも美しい顔立ちであることが伝わったが、変色し、硬化した異質な皮膚が仮面の下から伸びていた。受付の従業員が彼を止めた。会話は聞こえなかったが身振りからすると仮面を外せということらしい。壁際で指示を出していた榛が慌てた様子で間に入る。その男性客は仮面を外さず、奥の席へ通されていく。極彩にも移動の合図が出た。仮面の客の卓で、まだ空いている女性従業員はいるというのについたのは1人だけだった。彼はよく確かめもせずに高い酒を何本か頼み、望みの肴を訊ねた。聞き入るような美声で返事に遅れたが、高額なものを選ぶ。彼は鼻で嗤い、男性従業員に注文する。男は座ったきり何も話さない。周囲の緊張感や圧が緊張感のない騒がしさの中にあった。話を切り出そうとするがその前に男はまた美しい声で「気を遣うな」と静かに言った。彼はどこか遠くを見つめていた。その端整な顔を覆う黒髪は濡れているようであったがそれでも不潔感はなく、見惚れてしまう魅力があった。
「何を見ている」
「申し訳ございません」
話すことも忘れていた。ぎこちない接客を詫び、酒の好みを訊ねても返事がないため無難なものにした。何かを熱心に見ているか探しているかしているらしかった。おそらく目当ての女性従業員だろう。
「白雪とかいったか」
営業中に名乗る名を呼ばれる。榛が思いつきで選んだもので、まだきちんと慣れたものではないため妙な心地がしたが、指導の通りに拳ひとつ分空けていた距離を無くす。
「いや、いい。他人の体温は好かん」
強張った表情は希望的観測で冗談と見做している感じがあった。
「でもやっぱりそんなんで止められないのが―」
独り言は最後まで聞き取れなかったが、おそらく聞こえたとしても厄介なものに違いないという確信があった。話が落ち着いたところで控室に大きな荷物が届き、榛は席を外した。酒類と食材らしかった。他の従業員たちが手伝いにやってくる。業者に応対する時や指示を出す時の榛は甘ったるい声やふざけた話し方ではなかった。しかし他に人がいなくなると途端に眉や口元を緩ませ、極彩の前に座る。締まりのない笑顔に嫌な予感がした。退席したいがこの者を野放しにしておくわけにもいかない。揉み手に意識を奪われる。
「欠勤出ちゃってサ。一番人気の嬢なんだケド…、あんた店出ない?それなりの日当出せるんだケド」
ははっと軽い口調で榛は言った。
「断る」
榛がすぐ真横へ擦り寄ってきた。目を覗き込む。両手を合わせ、視界に入り込む。
「お願い」
「そういうの苦手なの」
「そうかな?あのオトコには上手かったのに?頼むヨぉ。そろそろ新しい刺激欲しいと思ってたトコロだし、今期当てとかないとマズいんだって。ネ、ネ、お願い!」
身をくねらせ、首を曲げた先にも容赦なく現れる。何をしに来たのか忘れかける。
「病人抱えてたり、同胞の生活費工面したり、働けない家族扶養してる従業員が路頭に迷ってもいいの?1日だけ!ホントに!そういう子たちを容赦なく闇競りに売り飛ばしてもいいの?怖いヨ!ぼくは同情よりその他多くの従業員を守って人身御供しなきゃなんてそんなのあんまりだ…」
「たった1日稼ぎを逃したくらいで…?飛躍しすぎじゃ…」
「他区の商売と同じ尺で語るネ!喰うか喰われるかなの!ここは!」
目の前に指を立てられ、噛み付くように説教される。極彩は身を仰け反らせた。
「ああ!ぼくがあんたみたいに違法人身売買取締法違反になってもいいっていうんだ!」
「合法な人身売買があるっていうワケ」
揶揄するつもりだ、榛は当然と言わんばかりに無知に対する憐れみに似た表情をした。
「…で、どうするの。選んで。ぼくのお願い利いてくれるの、違人法違反で通報されるの?」
「指名手配犯がよく言うね。条件があるのだけれど」
「何?性接待はさせないし、悪い客からは店が守るヨ」
食い気味に榛は鼻先が触れるほど前に迫る。
「榛くんの本当のことを教えてくれる?」
間近にある頬を両側から押さえ、眼前に固定する。円い目と対峙すると、明るい色の瞳が泳ぐ。今にも先程の必死なお願いを取り下げてしまいそうだった。
「嫌ならいいのだけれど。ここの仕事が大変なのは経験はないけれどそれなりに分かっているつもり。日当よりも今のわたしに必要な報酬は事実だから」
榛は唇を噛む。仕事の話になると彼は少しの真剣さを帯びていた。決めかねているようだった。
「前に隣の区角の娼館で働こうと思ったことがあったのだけれどこの傷を理由に断られたから、そんなお願いされるとは思わなかった」
彼はまだ迷いを振り切れていなかったが極彩の肩を掴んだ。
「ぼくが嘘教えるかもしれないじゃん。その可能性は考えないの」
「嘘だと見破れなかったらそれがわたしの中の真実ってことにするから」
腑に落ちていないようだったが榛は渋々条件を呑んだ。言い出したのは彼で、お願いは通ったくせ、憂鬱そうだった。極彩もまた慣れない仕事を請け負ってしまい気が重い。適当な接客心得を説かれ、模擬実演をしてから開店までの時間は大いにあったはずだというのに衣装選びや化粧、髪結いで潰れていった。落ち着いた色調の控室は着飾った女性従業員たちで華々しく変わる。
極彩は光沢のある白い布に金の刺繍が入り、下方に向かって幅が広がる前後で丈に大きな差のある衣装に身を包んだ。裏地や所々に動物の毛皮を模した柄が入っていた。腹部と脚が出ているため気恥ずかしくなる。髪は両端で結い上げられ、故意的に歪に乱される。髪飾りは数珠のような水晶が連なり、傷の前で揺れた。榛は目を輝かせる。
「ぼくが客になりたかった!」
黒い皮の手袋に包まれた手で、編刺繍の手袋を当日限りの従業員に嵌めながら彼は悔しげに言った。体温の伝わらない手に柔らかく指を握られ、店内へ導かれる。貸し出された透明な踵の高い突っ掛けは二公子に与えられていた物よりも華奢に思え、上手く歩けなかった。店の内装は明るく、毛足の長い絨毯が敷かれ、彩りの少ない色調だった。煌びやかな衣装の女性従業員がその場に色を与えていく。
「とりあえず、あんたは果物皿とかいっぱいおねだりして。お酒のほうはそんなに強くなさそうだし。1本くらい高いの開けてもらえると助かるケド、あくまで目標ってコトで。無理は禁物ネ」
榛は耳栓式の小型構内電話を片耳に嵌め極彩を送り出す。順調に店は回り、耳に当てた機材から榛はあれこれと男性従業員に指示を出し、彼等が手拭や氷を運んでくる。同じ卓に着いた女性従業員が慣れた手付きで酒を作り、話に花を咲かせる。景気よく酒が開き、乾酪の小麦鬆餅を食べさせてもらう。晒された腕が富豪らしき男性客の厚手の屋内礼服に触れた。生温かい手に肩を抱かれ、自慢話に相槌を打ち、笑みを貼り付けて話を合わせては持ち上げる。その間も酒の減り具合や客の挙動に注意を払わねばならなかった。
要領が分かってきたところで、多忙な時間帯にある客が来た。容姿で目を惹いた。顔の右半分を仮面で隠している、艶やかで長い黒髪の佇まいから端麗な男だった。露出している顔の左半分でも美しい顔立ちであることが伝わったが、変色し、硬化した異質な皮膚が仮面の下から伸びていた。受付の従業員が彼を止めた。会話は聞こえなかったが身振りからすると仮面を外せということらしい。壁際で指示を出していた榛が慌てた様子で間に入る。その男性客は仮面を外さず、奥の席へ通されていく。極彩にも移動の合図が出た。仮面の客の卓で、まだ空いている女性従業員はいるというのについたのは1人だけだった。彼はよく確かめもせずに高い酒を何本か頼み、望みの肴を訊ねた。聞き入るような美声で返事に遅れたが、高額なものを選ぶ。彼は鼻で嗤い、男性従業員に注文する。男は座ったきり何も話さない。周囲の緊張感や圧が緊張感のない騒がしさの中にあった。話を切り出そうとするがその前に男はまた美しい声で「気を遣うな」と静かに言った。彼はどこか遠くを見つめていた。その端整な顔を覆う黒髪は濡れているようであったがそれでも不潔感はなく、見惚れてしまう魅力があった。
「何を見ている」
「申し訳ございません」
話すことも忘れていた。ぎこちない接客を詫び、酒の好みを訊ねても返事がないため無難なものにした。何かを熱心に見ているか探しているかしているらしかった。おそらく目当ての女性従業員だろう。
「白雪とかいったか」
営業中に名乗る名を呼ばれる。榛が思いつきで選んだもので、まだきちんと慣れたものではないため妙な心地がしたが、指導の通りに拳ひとつ分空けていた距離を無くす。
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