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「日常的に分別はされているようなので組の者も助かっているようですから見逃します」
淡藤は貝紅の中を開いた。糊か何かで閉じられているらしく上下が揃っていた。鮮やかな赤い塗料が貝殻の裏に刷けてある。
「しかしいいんですか。本当にこちらで処分してしまいますよ」
「はい」
「物に罪はありませんよ、いいんですね」
「そこに贈り主を重ねてしまうので」
淡藤はまた親指で貝殻の絵を拭って極彩へ差し出したが彼女は後退って受け取らなかった。
「ではこちらはお寺で供養してもらいます」
「信心深いのですね」
「信心深いというほどでもありません。姫様の苦手という意識が薄れたら幸いです。人を恨んで生きるのはつらいですし」
貝紅が羽織の奥の懐へしまわれる。
「淡藤殿も誰かを恨んで生きているんですか。菖蒲殿?」
「菖蒲殿のことは…恨んでいるというほどのことではありませんよ。ただお互いに苦手というのを隠しきれないから、角が立ってしまうだけのことです」
彼は不機嫌な面に苦笑を浮かべる。
「ただ…恨みに思っているとするなら…」
白い袴に猫が擦り寄り、遊べと迫る。
「するなら?」
「内緒です」
「内緒、ですか」
淡藤の切れの長い目元が眇められる。穏やかな外の空気が凍てつく感じがした。小鳥が羽撃く。野良猫は袴から遠ざかり尾を下げた。一瞬の静寂と一瞬にも満たない寒気。彼はまた新しい笑みで口角を緩める。
「姫様とご一緒している時間に、恨みに思っている人間のことなんて思い出したくありません。おれは姫様とは、春の始まりや縫製作家の話がしたいんです。不毛な夢物語でもいい…」
日差しが綺麗に梳かされた彼の髪に輪を作っている。
「悪くない提案です。上がってください」
淡藤は逃げそうになっている猫を抱き上げた。しかし猫は嫌がり、逃げてしまう。極彩は古井戸に背を向け玄関へ移ろうとしたが、猫に拒まれて傷心しているのか剣呑な雰囲気を纏いはじめた若者は動かなかった。
「どうしました」
「機があれば話します。無ければ話しません」
「そうですか。興味は少々あります。ほんの、少々」
機嫌の悪そうな面がにやりと笑った。居間に戻るとまず淡藤の包帯を外させた。猫の爪が引っ掛かったらしく繊維が解れ、泥も付いている。蒸布を作って縫合痕の周りだけ乱雑に拭き、当布も替えた。
「泥人形という話を知っていますか」
極彩は何度か巻き方を直しながら訊ねた。
「子供が発狂する怪談ですか」
「そうです」
泥沼で遊んでいた子供がある日舌を噛み切ったり、激しく身体を痙攣させ発狂して死んだ話だった。
「外で遊ぶなという教訓として曲解されてしまいましたね。しかし恐ろしいので私も息子には外で遊ばせられません。あれが実話なら恐ろしい話です」
「真偽は不明ですが、一説では土の中の細菌に感染するとそういう症状が出るようです。傷口から入るそうですから気を付けてください」
淡藤は極彩を覗き込んだ。何ですかと問う。間合いを計っているような感じがして縫痕を叩く。
「それを気にしてくださっていたんですね」
「気にしていたというほどではありません」
巻き直された包帯を彼はしげしげと見つめた。きつかったかと問うと櫛の通り道のついた髪が横に靡いた。
「ここに何か巻いていると、手を繋いでいる気になるんです。どちらかというと手を繋がれている…ですか」
「手首を締められるのが好きなら、いいお店を紹介しますよ」
「女豹倶楽部にはもう行けませんよ。あ、二公子からお聞きになりましたか」
言おうとしていた店名を引き取られ極彩は渋い顔をした。それに気付く様子もなく天晴組の羽織の下の袖が包帯を隠す。
「床下に子供の骨が埋まっていたという話なら」
「それです。強制監査が入りました。報告ありがとうございました」
「淡藤殿もよく報告する気になりましたね。一歩間違えば淡藤殿も癲狂病み扱いですよ」
「私が報告したというよりかは…もうすでに床下を掘っていたんです。先に忍ばせていた諜報員が」
諜報員が他にもいたというのは初めて知ったことだった。
「あの、少し弱気な感じの真面目な人ですか」
「姫様のほうでも見当がついていたというわけですか」
いくらか淡藤の表情が尖る。見破られたら終わりの任務ゆえに目的の同じ身内であってもそれは拙いらしかった。
「いいえ…言われてみてもまだ実感が湧きません」
他に思い当たる者がいなかった。事後に知ってもその従業員が間諜員だったとは信じられないでいる。早い出勤も、店長に気触れた態度も、女性従業員たちに頭が上がらないのも、控室で掃除ばかりしているのも彼の気性によるものだと思っていた。
「本当に危険というか…命懸けなんですね」
「そうですね。彼は暫く休暇に入るでしょう。報復というものがありますから」
「報復…」
「色街は恐ろしいところですからね」
変わり者の目は極彩から側められる。庭の木に止まった鳥に留められていた。
「実桜があるんですね。さくらんぼが獲れますよ」
「あまり甘くないと思います。世話をしていませんから」
極彩も彼の視線の先にある気を捉えた。
「檸檬の果汁と一緒に砂糖と煮詰めればいい感じの甘酸っぱさになります。麺麭に付けるといいですね。もっと春が深まったら桜桃狩りをしましょうよ。麺麭も焼いて」
「そうですね。覚えておいてください。そして誘ってください、その時は」
「もちろんです。楽しみにしていますね。春先というのは落ち着かないものですから、ひとつ楽しむものがあれば、それだけで…」
淡藤は言葉を切った。ぼんやりと実桜の数えるほど葉を付けている枝の奥を望んでいる。
「また手首を切りたくなるんですか」
「…幸せは毒です。一度浸かったら、その後はかなり厄介なものに思えます」
暗に肯定され極彩は返答を考えた。軽率に口にして受け流されるほど彼は懲りていない。おそらく近いうちにまたやるだろう。
「そうですか」
「同意は得られないようですね」
「自分の意見を言えるほど考えが纏まっていないんです。ただ、時折思い出して感謝するだけです。自分にも、その時間をくれた人にも」
不機嫌そうな整った顔立ちは虚ろに実桜越しの空を眺めている。櫛の通った毛は艶がある。兄らしき男に似ていなくもなかった。
「姫様もおれのそういう人々になってくださるんですか」
「わたしの知ることではありません」
「…案外、もうなっているのかも知れませんね」
「感じ方はそれぞれだと思うので何ともいえませんが…それは幸せという観念の問題ではなく淡藤殿の中の問題なのかも分かりません。酒と肴みたいなものです」
極彩は立ち上がって茶を淹れると告げた。梅昆布茶かそば茶か牛蒡茶か柚子茶を選ばせる。彼は焙じ茶はないかと問い、あると答えるとそば茶を求めた。台所に行くと極彩は抗いがたい怒りに頭を抱えた。綺麗事と理想論ばかりを並べる口を自身の拳で殴る。急須でそば殻を蒸しながら盆に湯呑と急須を乗せた。
「酒と肴みたいなもの、の意味が考えてもよく分かりません」
居間に戻り卓袱台に湯呑や急須を降ろすと淡藤は深刻げな調子で訊ねる。
「聞き流していただきたい喩え話です。大体肴が良ければそれなりのお酒でも美味しいらしいんです。でもわたしはお酒を美味しいとか楽しいだなんて思ったことがありません。それはお酒や肴の問題ではなく、」
「自分の中の問題だと思ったわけですね」
「…そうです」
色の付いた湯を湯呑へ注いでいく。
淡藤は貝紅の中を開いた。糊か何かで閉じられているらしく上下が揃っていた。鮮やかな赤い塗料が貝殻の裏に刷けてある。
「しかしいいんですか。本当にこちらで処分してしまいますよ」
「はい」
「物に罪はありませんよ、いいんですね」
「そこに贈り主を重ねてしまうので」
淡藤はまた親指で貝殻の絵を拭って極彩へ差し出したが彼女は後退って受け取らなかった。
「ではこちらはお寺で供養してもらいます」
「信心深いのですね」
「信心深いというほどでもありません。姫様の苦手という意識が薄れたら幸いです。人を恨んで生きるのはつらいですし」
貝紅が羽織の奥の懐へしまわれる。
「淡藤殿も誰かを恨んで生きているんですか。菖蒲殿?」
「菖蒲殿のことは…恨んでいるというほどのことではありませんよ。ただお互いに苦手というのを隠しきれないから、角が立ってしまうだけのことです」
彼は不機嫌な面に苦笑を浮かべる。
「ただ…恨みに思っているとするなら…」
白い袴に猫が擦り寄り、遊べと迫る。
「するなら?」
「内緒です」
「内緒、ですか」
淡藤の切れの長い目元が眇められる。穏やかな外の空気が凍てつく感じがした。小鳥が羽撃く。野良猫は袴から遠ざかり尾を下げた。一瞬の静寂と一瞬にも満たない寒気。彼はまた新しい笑みで口角を緩める。
「姫様とご一緒している時間に、恨みに思っている人間のことなんて思い出したくありません。おれは姫様とは、春の始まりや縫製作家の話がしたいんです。不毛な夢物語でもいい…」
日差しが綺麗に梳かされた彼の髪に輪を作っている。
「悪くない提案です。上がってください」
淡藤は逃げそうになっている猫を抱き上げた。しかし猫は嫌がり、逃げてしまう。極彩は古井戸に背を向け玄関へ移ろうとしたが、猫に拒まれて傷心しているのか剣呑な雰囲気を纏いはじめた若者は動かなかった。
「どうしました」
「機があれば話します。無ければ話しません」
「そうですか。興味は少々あります。ほんの、少々」
機嫌の悪そうな面がにやりと笑った。居間に戻るとまず淡藤の包帯を外させた。猫の爪が引っ掛かったらしく繊維が解れ、泥も付いている。蒸布を作って縫合痕の周りだけ乱雑に拭き、当布も替えた。
「泥人形という話を知っていますか」
極彩は何度か巻き方を直しながら訊ねた。
「子供が発狂する怪談ですか」
「そうです」
泥沼で遊んでいた子供がある日舌を噛み切ったり、激しく身体を痙攣させ発狂して死んだ話だった。
「外で遊ぶなという教訓として曲解されてしまいましたね。しかし恐ろしいので私も息子には外で遊ばせられません。あれが実話なら恐ろしい話です」
「真偽は不明ですが、一説では土の中の細菌に感染するとそういう症状が出るようです。傷口から入るそうですから気を付けてください」
淡藤は極彩を覗き込んだ。何ですかと問う。間合いを計っているような感じがして縫痕を叩く。
「それを気にしてくださっていたんですね」
「気にしていたというほどではありません」
巻き直された包帯を彼はしげしげと見つめた。きつかったかと問うと櫛の通り道のついた髪が横に靡いた。
「ここに何か巻いていると、手を繋いでいる気になるんです。どちらかというと手を繋がれている…ですか」
「手首を締められるのが好きなら、いいお店を紹介しますよ」
「女豹倶楽部にはもう行けませんよ。あ、二公子からお聞きになりましたか」
言おうとしていた店名を引き取られ極彩は渋い顔をした。それに気付く様子もなく天晴組の羽織の下の袖が包帯を隠す。
「床下に子供の骨が埋まっていたという話なら」
「それです。強制監査が入りました。報告ありがとうございました」
「淡藤殿もよく報告する気になりましたね。一歩間違えば淡藤殿も癲狂病み扱いですよ」
「私が報告したというよりかは…もうすでに床下を掘っていたんです。先に忍ばせていた諜報員が」
諜報員が他にもいたというのは初めて知ったことだった。
「あの、少し弱気な感じの真面目な人ですか」
「姫様のほうでも見当がついていたというわけですか」
いくらか淡藤の表情が尖る。見破られたら終わりの任務ゆえに目的の同じ身内であってもそれは拙いらしかった。
「いいえ…言われてみてもまだ実感が湧きません」
他に思い当たる者がいなかった。事後に知ってもその従業員が間諜員だったとは信じられないでいる。早い出勤も、店長に気触れた態度も、女性従業員たちに頭が上がらないのも、控室で掃除ばかりしているのも彼の気性によるものだと思っていた。
「本当に危険というか…命懸けなんですね」
「そうですね。彼は暫く休暇に入るでしょう。報復というものがありますから」
「報復…」
「色街は恐ろしいところですからね」
変わり者の目は極彩から側められる。庭の木に止まった鳥に留められていた。
「実桜があるんですね。さくらんぼが獲れますよ」
「あまり甘くないと思います。世話をしていませんから」
極彩も彼の視線の先にある気を捉えた。
「檸檬の果汁と一緒に砂糖と煮詰めればいい感じの甘酸っぱさになります。麺麭に付けるといいですね。もっと春が深まったら桜桃狩りをしましょうよ。麺麭も焼いて」
「そうですね。覚えておいてください。そして誘ってください、その時は」
「もちろんです。楽しみにしていますね。春先というのは落ち着かないものですから、ひとつ楽しむものがあれば、それだけで…」
淡藤は言葉を切った。ぼんやりと実桜の数えるほど葉を付けている枝の奥を望んでいる。
「また手首を切りたくなるんですか」
「…幸せは毒です。一度浸かったら、その後はかなり厄介なものに思えます」
暗に肯定され極彩は返答を考えた。軽率に口にして受け流されるほど彼は懲りていない。おそらく近いうちにまたやるだろう。
「そうですか」
「同意は得られないようですね」
「自分の意見を言えるほど考えが纏まっていないんです。ただ、時折思い出して感謝するだけです。自分にも、その時間をくれた人にも」
不機嫌そうな整った顔立ちは虚ろに実桜越しの空を眺めている。櫛の通った毛は艶がある。兄らしき男に似ていなくもなかった。
「姫様もおれのそういう人々になってくださるんですか」
「わたしの知ることではありません」
「…案外、もうなっているのかも知れませんね」
「感じ方はそれぞれだと思うので何ともいえませんが…それは幸せという観念の問題ではなく淡藤殿の中の問題なのかも分かりません。酒と肴みたいなものです」
極彩は立ち上がって茶を淹れると告げた。梅昆布茶かそば茶か牛蒡茶か柚子茶を選ばせる。彼は焙じ茶はないかと問い、あると答えるとそば茶を求めた。台所に行くと極彩は抗いがたい怒りに頭を抱えた。綺麗事と理想論ばかりを並べる口を自身の拳で殴る。急須でそば殻を蒸しながら盆に湯呑と急須を乗せた。
「酒と肴みたいなもの、の意味が考えてもよく分かりません」
居間に戻り卓袱台に湯呑や急須を降ろすと淡藤は深刻げな調子で訊ねる。
「聞き流していただきたい喩え話です。大体肴が良ければそれなりのお酒でも美味しいらしいんです。でもわたしはお酒を美味しいとか楽しいだなんて思ったことがありません。それはお酒や肴の問題ではなく、」
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