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「残念ではあります。個人的には。けれど銀灰くんが自分で決めたことなら……」
彼女の声音はまだ戸惑っている。
「本当にそうでしょうか。本当にそうだと思いますか」
菖蒲の媚びた笑みは卑屈だ。そして諭すように極彩の双眸を覗く。
「ご自分の後見人が誰なのか、彼はまだ知らないはずです。そのまま出家したのですから、極彩さんにはもう彼のことは関係がない。しかし……ボクはこのまま聞き分けのいい人を演じていいのものか迷っています、本当のところは。これでも連れ子になりかけた相手ですからね、形式上。銀灰さんは」
極彩は黙って顔を伏せてしまった。逃げようとした己が突然恥ずかしくなった。自己嫌悪はまるで秋空の影のようだ。
「きちんと話します。彼が本当に悟りの境地を究めたいというのなら何も言いません。けれど納得するまでは……居場所がなくて僧門を叩くのはつらく厳しいものだと思いますから」
「言わせたようで……違いますね、そう言うよう圧をかけて申し訳ありませんが、そうおっしゃってくださると、ボクも安心します」
極彩は庭木をぼんやり眺めていた。不思議と弟のことは考えなかった。ただ亡くなった叔父のことを思っていた。たとえば、良からぬ噂や酷評、それらを一身に背負った細い背中が脳裏に焼き付いて考えずにはいられない。
どれだけの時間そうしているのか分からなかった。ただまだ日は沈んでいなかった。客人の訪問もそう失礼でない時間帯に淡藤がやってくる。彼は数日続いた始末書の処理に時間を食い、すっかり来るのが遅れたと話したが、極彩にしてみれば勝鬨桜花を愛でる会は昨日のことのようだった。
彼は平服で私的な用事らしい。仲の芳しくないらしい菖蒲がいるためいくらかこの者の訪問に極彩は気を揉んだが淡藤は気にした様子がなく、菖蒲のほうが出掛けていった。
「私が参ったせいでしょうか」
湯呑を握りながら対面に座す淡藤は素顔の不機嫌げな表情で訊ねた。怒っているわけでも捻くれたわけでもないのは彼と付き合っていないと察しかねる。
「違うと思いますよ」
「いいんです。気を遣っていただかなくても」
「遣っていませんけれど」
「私とは、もう気遣い無用の関係ということですか?」
淡藤は整った顔が歪み、醜くなった。それが彼独特の愛嬌である。
「それは言い過ぎです」
「誰と居ても気を遣うならいいんですよ、私にくらい甘えても」
極彩は一口茶を飲んだ。熱くなる。
「誰にでも気を遣うだなんて。わたしはいつでも好き勝手やっています」
相手は小首を捻った。切れ長の目があどけなく丸くなる。
「そうですか?」
「そうです」
「では、姫様が好き勝手なときに甘えられるよう、私はいつでも準備をしておきましょう」
彼はまた醜怪な笑みを浮かべた。直視できず極彩は顔を背けた。
「少し心配になったのです。自分の所為だと落ち込んでいるのではないかと」
「落ち込んでいません。わたしの所為だとはまったく思っていませんよ。もしかして淡藤殿、わたしの所為だなんて思っているんですか」
嫌味ったらしく返すと淡藤は喜んだ。
「それはよかった。私もそうとは思っていませんが、姫様のことですから」
「だとしたらわたしのこと、何も分かってはいませんね」
「そのとおりです。ですから教えてくださいね」
2人は微笑をぶつけ合う。
「心配して来てくださってありがとうございます。いつも淡藤殿に頼ってしまうから……けれど、大丈夫です。強く在ります」
「―話をお聞きになってしましたね?」
「……はい?」
「頼ってください。私の前では強く在ろうとしなくて結構。そういう話をしていたんです」
穏やかな笑みは彼を不細工にしなかった。少しの間、互いを睨み合う。警戒でも威嚇でもない。それが彼女たちの意思疎通だった。
「大切な人がいるんです」
猛禽類が飛び立つような唐突さで極彩は切り出した。淡藤は握っていた湯呑を置く。
「それは……」
「色恋の間柄ではなくて」
発した途端、胸が痛んだ。聞き手は忘れていたらしき息を吐く。
「はあ……なるほど」
「その人が、宗教家になったというんです。この世のを捨てるみたいに……」
「そうでしたか」
無難で無愛想な相槌の後、2人の間に沈黙が流れる。
「わたしは本当に、彼はその道に行っていいのか……彼の人生ですけれど、分からなくて」
「お話はされたんですか、ご本人と」
「いいえ」
「なるほど」
再び2人は黙った。
「淡藤殿ならどうなさいます」
「話を聞きます」
「納得できなかったら?」
「納得する必要を感じません。不快な気分を引き摺ることになりましても」
極彩は訝しげに眉間を寄せた。
「というと、どうするんです」
「理解できていたなら最初から悩みになんてなりません。まずは受け入れます。すべて肯定するのではなく。理解し納得しようとすることに苦心するのなら、理解も肯定もできないけれど、相手がそれを選び取ったことだけまず受け入れます。場合によっては流石に止めますけれど」
だって殺しや火付けは止めないと、と彼は極端な例を持ち出した。
「参考にします」
「お役に立てたら幸いですけれど、言うは易し、するは難しですからね。大切な相手なら尚更のこと。他人事の無責任ではいられませんし」
醜い微笑がまた浮かぶ。
「どこの宗派にいないということも、またひとつの宗派ですよ。宗教に身を置く人を案じるということは。それにこの世の中ですし。捨てたくなるのも分かります。そんなことを思わない日は来るのでしょうか」
「満足する日は来ないと思います」
淡藤は興味深げに極彩を覗く。
「そのための官吏ですからね。その官吏が……人民を処して斬っているわけですが」
珍しく穏和な彼が冷笑的な貌をする。
「もしお時間ありましたら、少し散歩に出ませんか」
湯呑が二度三度、薄情そうな口元に運ばれた後だった。
「紅のことがありますし、それに天晴組は今、自粛中でしょう」
「紅さんもご一緒に。天晴組としては活動を休んでおりますが、一個人としては休日に等しいです」
極彩は首を振った。
「せっかくのお誘いですが、ごめんなさい」
素顔が不機嫌で、笑みの醜い彼の表情ひとつにも様々な種類があるようだ。断ったにもかかわらず淡藤は朗らかに笑う。
「断る姫様の気持ちを、私は考えておりませんでした」
「いいえ……そこはわたしの問題ですから。無骨な返事しかできずごめんなさい」
極彩は頭を下げた。
「誘えてみてよかったです。姫様と居られるなら場所はどこでもよかった」
ちらと淡藤を覗き込む。視線がぶつかると醜い笑みが咲く。
「色々と片付いたら……約束していたこと、やりましょう、全部」
「そうですね。でも焦らないでください。春は春ですが、夏は夏で楽しいものがありますから」
彼は懐から玻璃数珠の首飾りを出した。すでに完成している。極彩の前で垂らしてみせ、遠目に彼女の首と重ねると、切れの長い険しさのある両目を眇めた。
「どうぞ、長らくお待たせしました」
卓袱台越しの贈り物は素っ気ないが、それが彼らしく、極彩のほうでもまったく気に留めるところではなかった。
「ありがとうございます」
彼女は掌の首飾りをしげしげと眺める。
「外に付けていったらいけませんよ」
「付けます」
「いけません。玻璃数珠の首飾りだなんて、子供です」
「甘えていいと言ったではありませんか。付けさせていただきます」
極彩はいくらか頬を染めた。顔面を走る傷が色付いてしまうため分かりやすい。そして玻璃数珠の首飾りを身に着ける。
彼女の声音はまだ戸惑っている。
「本当にそうでしょうか。本当にそうだと思いますか」
菖蒲の媚びた笑みは卑屈だ。そして諭すように極彩の双眸を覗く。
「ご自分の後見人が誰なのか、彼はまだ知らないはずです。そのまま出家したのですから、極彩さんにはもう彼のことは関係がない。しかし……ボクはこのまま聞き分けのいい人を演じていいのものか迷っています、本当のところは。これでも連れ子になりかけた相手ですからね、形式上。銀灰さんは」
極彩は黙って顔を伏せてしまった。逃げようとした己が突然恥ずかしくなった。自己嫌悪はまるで秋空の影のようだ。
「きちんと話します。彼が本当に悟りの境地を究めたいというのなら何も言いません。けれど納得するまでは……居場所がなくて僧門を叩くのはつらく厳しいものだと思いますから」
「言わせたようで……違いますね、そう言うよう圧をかけて申し訳ありませんが、そうおっしゃってくださると、ボクも安心します」
極彩は庭木をぼんやり眺めていた。不思議と弟のことは考えなかった。ただ亡くなった叔父のことを思っていた。たとえば、良からぬ噂や酷評、それらを一身に背負った細い背中が脳裏に焼き付いて考えずにはいられない。
どれだけの時間そうしているのか分からなかった。ただまだ日は沈んでいなかった。客人の訪問もそう失礼でない時間帯に淡藤がやってくる。彼は数日続いた始末書の処理に時間を食い、すっかり来るのが遅れたと話したが、極彩にしてみれば勝鬨桜花を愛でる会は昨日のことのようだった。
彼は平服で私的な用事らしい。仲の芳しくないらしい菖蒲がいるためいくらかこの者の訪問に極彩は気を揉んだが淡藤は気にした様子がなく、菖蒲のほうが出掛けていった。
「私が参ったせいでしょうか」
湯呑を握りながら対面に座す淡藤は素顔の不機嫌げな表情で訊ねた。怒っているわけでも捻くれたわけでもないのは彼と付き合っていないと察しかねる。
「違うと思いますよ」
「いいんです。気を遣っていただかなくても」
「遣っていませんけれど」
「私とは、もう気遣い無用の関係ということですか?」
淡藤は整った顔が歪み、醜くなった。それが彼独特の愛嬌である。
「それは言い過ぎです」
「誰と居ても気を遣うならいいんですよ、私にくらい甘えても」
極彩は一口茶を飲んだ。熱くなる。
「誰にでも気を遣うだなんて。わたしはいつでも好き勝手やっています」
相手は小首を捻った。切れ長の目があどけなく丸くなる。
「そうですか?」
「そうです」
「では、姫様が好き勝手なときに甘えられるよう、私はいつでも準備をしておきましょう」
彼はまた醜怪な笑みを浮かべた。直視できず極彩は顔を背けた。
「少し心配になったのです。自分の所為だと落ち込んでいるのではないかと」
「落ち込んでいません。わたしの所為だとはまったく思っていませんよ。もしかして淡藤殿、わたしの所為だなんて思っているんですか」
嫌味ったらしく返すと淡藤は喜んだ。
「それはよかった。私もそうとは思っていませんが、姫様のことですから」
「だとしたらわたしのこと、何も分かってはいませんね」
「そのとおりです。ですから教えてくださいね」
2人は微笑をぶつけ合う。
「心配して来てくださってありがとうございます。いつも淡藤殿に頼ってしまうから……けれど、大丈夫です。強く在ります」
「―話をお聞きになってしましたね?」
「……はい?」
「頼ってください。私の前では強く在ろうとしなくて結構。そういう話をしていたんです」
穏やかな笑みは彼を不細工にしなかった。少しの間、互いを睨み合う。警戒でも威嚇でもない。それが彼女たちの意思疎通だった。
「大切な人がいるんです」
猛禽類が飛び立つような唐突さで極彩は切り出した。淡藤は握っていた湯呑を置く。
「それは……」
「色恋の間柄ではなくて」
発した途端、胸が痛んだ。聞き手は忘れていたらしき息を吐く。
「はあ……なるほど」
「その人が、宗教家になったというんです。この世のを捨てるみたいに……」
「そうでしたか」
無難で無愛想な相槌の後、2人の間に沈黙が流れる。
「わたしは本当に、彼はその道に行っていいのか……彼の人生ですけれど、分からなくて」
「お話はされたんですか、ご本人と」
「いいえ」
「なるほど」
再び2人は黙った。
「淡藤殿ならどうなさいます」
「話を聞きます」
「納得できなかったら?」
「納得する必要を感じません。不快な気分を引き摺ることになりましても」
極彩は訝しげに眉間を寄せた。
「というと、どうするんです」
「理解できていたなら最初から悩みになんてなりません。まずは受け入れます。すべて肯定するのではなく。理解し納得しようとすることに苦心するのなら、理解も肯定もできないけれど、相手がそれを選び取ったことだけまず受け入れます。場合によっては流石に止めますけれど」
だって殺しや火付けは止めないと、と彼は極端な例を持ち出した。
「参考にします」
「お役に立てたら幸いですけれど、言うは易し、するは難しですからね。大切な相手なら尚更のこと。他人事の無責任ではいられませんし」
醜い微笑がまた浮かぶ。
「どこの宗派にいないということも、またひとつの宗派ですよ。宗教に身を置く人を案じるということは。それにこの世の中ですし。捨てたくなるのも分かります。そんなことを思わない日は来るのでしょうか」
「満足する日は来ないと思います」
淡藤は興味深げに極彩を覗く。
「そのための官吏ですからね。その官吏が……人民を処して斬っているわけですが」
珍しく穏和な彼が冷笑的な貌をする。
「もしお時間ありましたら、少し散歩に出ませんか」
湯呑が二度三度、薄情そうな口元に運ばれた後だった。
「紅のことがありますし、それに天晴組は今、自粛中でしょう」
「紅さんもご一緒に。天晴組としては活動を休んでおりますが、一個人としては休日に等しいです」
極彩は首を振った。
「せっかくのお誘いですが、ごめんなさい」
素顔が不機嫌で、笑みの醜い彼の表情ひとつにも様々な種類があるようだ。断ったにもかかわらず淡藤は朗らかに笑う。
「断る姫様の気持ちを、私は考えておりませんでした」
「いいえ……そこはわたしの問題ですから。無骨な返事しかできずごめんなさい」
極彩は頭を下げた。
「誘えてみてよかったです。姫様と居られるなら場所はどこでもよかった」
ちらと淡藤を覗き込む。視線がぶつかると醜い笑みが咲く。
「色々と片付いたら……約束していたこと、やりましょう、全部」
「そうですね。でも焦らないでください。春は春ですが、夏は夏で楽しいものがありますから」
彼は懐から玻璃数珠の首飾りを出した。すでに完成している。極彩の前で垂らしてみせ、遠目に彼女の首と重ねると、切れの長い険しさのある両目を眇めた。
「どうぞ、長らくお待たせしました」
卓袱台越しの贈り物は素っ気ないが、それが彼らしく、極彩のほうでもまったく気に留めるところではなかった。
「ありがとうございます」
彼女は掌の首飾りをしげしげと眺める。
「外に付けていったらいけませんよ」
「付けます」
「いけません。玻璃数珠の首飾りだなんて、子供です」
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