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彼は二公子に報告すると言って、子供を連れていった。うぐいすもうぐいすで、そのときは従順についていった。
独裁は、あの子供の何がそこまで自身を苛立たせるのか分からなかった。彼女はそそくさと家へ入る。紅も彼女に合せて玄関まで回ってきた。
「ごめんね紅……騒がしくしてしまって」
燃えた夕日のような瞳は彼女を見上げ、そして首を横に振る。
「あの子供はね、」
うぐいすと出会った経緯を簡潔に語る。だがあの子供が遭った不可抗力で、このあと一生秘めておきたいであろう事柄は伏せてしまった。それをすべて打ち明けることができるほど、彼女は無垢で善良で、偏見のない人間ではなかった。むしろその部分に対して、強い厭悪を抱いているくらいだった。
「でもわたしは、紅と、銀灰くんのことだけに感けていたいから」
硬い毛を撫でる。少し背が縮んだ感じがあった。風采はまだ少年であるが、実際彼は疾うに成長を終えた成人男性である。縮むことはあっても伸びることはあるまい。
「ちゃんと食べてた?」
訊ねると彼は頷いた。この少年みたいな中年男はもとから器用であった。片腕と舌を失った生活には慣れている様子ではあったけれど、肉体的負荷はやはり大きいに違いない。
うぐいすのことに関して、その夜には菖蒲がやって来た。少し慌てている感じが否めない。
「若君は、子供が酷い目に遭って死ぬのが好きなのです」
苦りきった顔で発せられた一言に、大して驚きはない。むしろ納得した。
「国の存続のために政に対してはそういう素振りはみせませんが、一個人として、あの若君は子供が嫌いなのです。早めに死なせておくのが救済だと信じているのです」
「それではあの子供は……」
「どうにか引き取り先を探しました。たまたま淡藤さんと出会しましてね。あの人、孤児施設に詳しいので。いや、よかった、よかった。ボクの手配していたところは人手が足りなかったそうで、次のところを探そうとしていたところですから」
「そうでしたか。お手を煩わせてどうもすみません……」
菖蒲は大袈裟に手を振った。
「いいえ、いいえ。事前にご一報くださっていたのに、とんだ有様で」
彼が情けない緩んだ笑みを浮かべて、その髪を掻いたとき、玄関から飛び込んでくるけたたましい音があった。その一瞬で梲の上がらない髭面の男の空気感が大きく変わる。玄関へ行こうとした極彩を半ば突き飛ばすように制して、居間を出た。鉢合わせたのは天晴組の組員だった。平服であるが、顔で分かった。
姫様。大至急、城へお帰りください。
揖礼も前置きもなく、菖蒲を擦り抜けていくのが事の急用ぶりを伝える。
「え?」
戸惑っている身も与えらえない。
「行ってください、極彩さん。紅さんのことはボクが引き受けます」
しかしこのあまりに急な召集は菖蒲も対象であったらしい。
「紅に夕食を出しておいて」
極彩はそう言い置いて、菖蒲とともに庭に来ていた馬車へ乗る。
2人が二公子の広間に辿り着いたとき、この間の中心に横たわっている人物が見えた。二公子は高台の王座に腰掛け、骸のようなそれを見下ろしている。
真っ先に反応を示したのは菖蒲であった。
黒い髪に混じり、数束、金毛が混じっているその者の正体を、極彩はすぐに判じることができなかった。腹を切ったようで、布も放り捨てられた床もぐっしょりと濡れている。
「若様………若様……これは……」
「さぁ?オレの命じたことじゃない。運ばれてきたときにはもう腹を切っていたんだ」
菖蒲は土気色の顔をして、荒い息遣いであった。
「切腹だからね。首や肺を切ったんじゃない。焦ることはないよ。ねぇ、彩。どうして君を呼んだのか、分かるかな」
二公子はゆったりと腰を上げた。閉じた扇を片手に、掌へ打ち当てている。何者かの切腹について、彼もまた内心に焦りがあるのかもしれなかった。
「いいえ」
「嘘だ。でも本当に思いつかないのならそれもいいね。群青が自分で選び取った道さ」
扇を開き、口元に添え、二公子は麗らかに目蓋を伏せた。
床に転がっていたのは群青だったのだ。極彩は、その骸みたいなのを凝らす。髪を伸ばし、染め、また一部は色を抜いているが、その汚れた面立ちは群青で違いなかったのだ。二公子の言葉は確定を告げた。人違いでも見間違いでもなかったのだった。
「牢に繋がれていたのでは」
「そんな長いこと牢に入れられるわけないじゃない」
二公子の表情は読み取れない。菖蒲は色の悪い顔に汗を浮かべている。視線を一斉に浴びていることに気付いたのか、群青は苦しげに目を開けた。彼の瞳が泳ぎ、そして極彩を捉えた瞬間、腹を左右上下に切り裂いておきながら、この怪我人は跳び起きた。そして彼女の前に手をついて額を擦り付ける。
「申し訳ない……申し訳ない……申し訳ない……俺の過ちは万死に値します!」
切腹をしたことに詫びているのだとしたら、その矛先は彼女ではないはずだ。いいや、彼は激しく取り乱していた。
「何……?」
死の間際にある狂気がそうさせるのだろうか。広間には延々と謝罪の言葉が谺し、それは神経症というか、発作的というか、興奮している様子であった。
「あなたとの子を死なせてしまった!」
彼は気が狂っていた。頭がおかしくなってしまった。過度の心労が彼を蝕んでしまった。彼は叫び、引き攣けを起こしたように床に崩れ落ちる。
やってきた静寂は長くは続かない。二公子の哄笑が響き渡った。
「あなたとの子を、俺は……死なせてしまった……」
倒れたまま、独り言ちるように繰り返している。正気でないのは、二公子を前にしてもまったく自重しないこの状況からみても明らかだ。
「群青。彩は石女だよ。君がそうしたんじゃないか。それに君に種はないんだ。3人で契っただろう?」
菖蒲は極彩の知らない貌をしていた。この温厚で情けない男にも、そういう表情ができたのかというほどの憤怒をその表に走らせている。
「俺との子です……俺との子です………俺の子なんです」
腹を真っ赤に染めて濡らす怪我人はよろよろと立ち上がる。しかし膝立ちが精々であった。そして上体を支えられず、四つ這いになる。結局、また横たわるしかなかった。
「あっはっは。あのお人形さんとの子のことを言っているの?」
極彩も「人形」と言われると、思い当たる節があった。
「あの彩は石女じゃないもんね。でも種のない君が彼女を孕ませただなんて、余程、励んだわけだ?」
虚ろな双眸が、いつの間にか経産婦扱いされている女を熱っぽく捉まえた。身動きをとったせいで、さらに腹は濡れている。力無く開いた唇が罅割れ、ひどくやつれている。落ち窪んだ目元と、青痣と見紛う隈が病的だ。
咳嗽があった。血が飛び散る。彼の刃は臓物まで傷付けているらしかった。水音を伴った咳きが、極彩の不安に満ちた日々を甦らせる。
「極彩さん。申し訳ない」
菖蒲は底冷えするような声を出した。彼は近くにいた天晴組の若者の下げた刀を鞘ごと引き抜いていた。二公子はそれを咎めるでもなく、爛々とした目付きで眺めている。
彼女は悟った。そして咳き込んで、顎まで真っ赤に染めている怪我人を一瞥し、嘆息する。
「菖蒲殿には日頃からお世話になっておりますから。ですから、迷わないでくださいませ」
「弁解のしようもない」
「極彩様……」
血の池に溺れているようだった。群青の手が宙を彷徨う。
「誰か、その人の目元を塞いでおいてくださいな」
極彩は天晴組に頼み、そして居合抜きの体勢に入っている菖蒲の正面に佇立する。
独裁は、あの子供の何がそこまで自身を苛立たせるのか分からなかった。彼女はそそくさと家へ入る。紅も彼女に合せて玄関まで回ってきた。
「ごめんね紅……騒がしくしてしまって」
燃えた夕日のような瞳は彼女を見上げ、そして首を横に振る。
「あの子供はね、」
うぐいすと出会った経緯を簡潔に語る。だがあの子供が遭った不可抗力で、このあと一生秘めておきたいであろう事柄は伏せてしまった。それをすべて打ち明けることができるほど、彼女は無垢で善良で、偏見のない人間ではなかった。むしろその部分に対して、強い厭悪を抱いているくらいだった。
「でもわたしは、紅と、銀灰くんのことだけに感けていたいから」
硬い毛を撫でる。少し背が縮んだ感じがあった。風采はまだ少年であるが、実際彼は疾うに成長を終えた成人男性である。縮むことはあっても伸びることはあるまい。
「ちゃんと食べてた?」
訊ねると彼は頷いた。この少年みたいな中年男はもとから器用であった。片腕と舌を失った生活には慣れている様子ではあったけれど、肉体的負荷はやはり大きいに違いない。
うぐいすのことに関して、その夜には菖蒲がやって来た。少し慌てている感じが否めない。
「若君は、子供が酷い目に遭って死ぬのが好きなのです」
苦りきった顔で発せられた一言に、大して驚きはない。むしろ納得した。
「国の存続のために政に対してはそういう素振りはみせませんが、一個人として、あの若君は子供が嫌いなのです。早めに死なせておくのが救済だと信じているのです」
「それではあの子供は……」
「どうにか引き取り先を探しました。たまたま淡藤さんと出会しましてね。あの人、孤児施設に詳しいので。いや、よかった、よかった。ボクの手配していたところは人手が足りなかったそうで、次のところを探そうとしていたところですから」
「そうでしたか。お手を煩わせてどうもすみません……」
菖蒲は大袈裟に手を振った。
「いいえ、いいえ。事前にご一報くださっていたのに、とんだ有様で」
彼が情けない緩んだ笑みを浮かべて、その髪を掻いたとき、玄関から飛び込んでくるけたたましい音があった。その一瞬で梲の上がらない髭面の男の空気感が大きく変わる。玄関へ行こうとした極彩を半ば突き飛ばすように制して、居間を出た。鉢合わせたのは天晴組の組員だった。平服であるが、顔で分かった。
姫様。大至急、城へお帰りください。
揖礼も前置きもなく、菖蒲を擦り抜けていくのが事の急用ぶりを伝える。
「え?」
戸惑っている身も与えらえない。
「行ってください、極彩さん。紅さんのことはボクが引き受けます」
しかしこのあまりに急な召集は菖蒲も対象であったらしい。
「紅に夕食を出しておいて」
極彩はそう言い置いて、菖蒲とともに庭に来ていた馬車へ乗る。
2人が二公子の広間に辿り着いたとき、この間の中心に横たわっている人物が見えた。二公子は高台の王座に腰掛け、骸のようなそれを見下ろしている。
真っ先に反応を示したのは菖蒲であった。
黒い髪に混じり、数束、金毛が混じっているその者の正体を、極彩はすぐに判じることができなかった。腹を切ったようで、布も放り捨てられた床もぐっしょりと濡れている。
「若様………若様……これは……」
「さぁ?オレの命じたことじゃない。運ばれてきたときにはもう腹を切っていたんだ」
菖蒲は土気色の顔をして、荒い息遣いであった。
「切腹だからね。首や肺を切ったんじゃない。焦ることはないよ。ねぇ、彩。どうして君を呼んだのか、分かるかな」
二公子はゆったりと腰を上げた。閉じた扇を片手に、掌へ打ち当てている。何者かの切腹について、彼もまた内心に焦りがあるのかもしれなかった。
「いいえ」
「嘘だ。でも本当に思いつかないのならそれもいいね。群青が自分で選び取った道さ」
扇を開き、口元に添え、二公子は麗らかに目蓋を伏せた。
床に転がっていたのは群青だったのだ。極彩は、その骸みたいなのを凝らす。髪を伸ばし、染め、また一部は色を抜いているが、その汚れた面立ちは群青で違いなかったのだ。二公子の言葉は確定を告げた。人違いでも見間違いでもなかったのだった。
「牢に繋がれていたのでは」
「そんな長いこと牢に入れられるわけないじゃない」
二公子の表情は読み取れない。菖蒲は色の悪い顔に汗を浮かべている。視線を一斉に浴びていることに気付いたのか、群青は苦しげに目を開けた。彼の瞳が泳ぎ、そして極彩を捉えた瞬間、腹を左右上下に切り裂いておきながら、この怪我人は跳び起きた。そして彼女の前に手をついて額を擦り付ける。
「申し訳ない……申し訳ない……申し訳ない……俺の過ちは万死に値します!」
切腹をしたことに詫びているのだとしたら、その矛先は彼女ではないはずだ。いいや、彼は激しく取り乱していた。
「何……?」
死の間際にある狂気がそうさせるのだろうか。広間には延々と謝罪の言葉が谺し、それは神経症というか、発作的というか、興奮している様子であった。
「あなたとの子を死なせてしまった!」
彼は気が狂っていた。頭がおかしくなってしまった。過度の心労が彼を蝕んでしまった。彼は叫び、引き攣けを起こしたように床に崩れ落ちる。
やってきた静寂は長くは続かない。二公子の哄笑が響き渡った。
「あなたとの子を、俺は……死なせてしまった……」
倒れたまま、独り言ちるように繰り返している。正気でないのは、二公子を前にしてもまったく自重しないこの状況からみても明らかだ。
「群青。彩は石女だよ。君がそうしたんじゃないか。それに君に種はないんだ。3人で契っただろう?」
菖蒲は極彩の知らない貌をしていた。この温厚で情けない男にも、そういう表情ができたのかというほどの憤怒をその表に走らせている。
「俺との子です……俺との子です………俺の子なんです」
腹を真っ赤に染めて濡らす怪我人はよろよろと立ち上がる。しかし膝立ちが精々であった。そして上体を支えられず、四つ這いになる。結局、また横たわるしかなかった。
「あっはっは。あのお人形さんとの子のことを言っているの?」
極彩も「人形」と言われると、思い当たる節があった。
「あの彩は石女じゃないもんね。でも種のない君が彼女を孕ませただなんて、余程、励んだわけだ?」
虚ろな双眸が、いつの間にか経産婦扱いされている女を熱っぽく捉まえた。身動きをとったせいで、さらに腹は濡れている。力無く開いた唇が罅割れ、ひどくやつれている。落ち窪んだ目元と、青痣と見紛う隈が病的だ。
咳嗽があった。血が飛び散る。彼の刃は臓物まで傷付けているらしかった。水音を伴った咳きが、極彩の不安に満ちた日々を甦らせる。
「極彩さん。申し訳ない」
菖蒲は底冷えするような声を出した。彼は近くにいた天晴組の若者の下げた刀を鞘ごと引き抜いていた。二公子はそれを咎めるでもなく、爛々とした目付きで眺めている。
彼女は悟った。そして咳き込んで、顎まで真っ赤に染めている怪我人を一瞥し、嘆息する。
「菖蒲殿には日頃からお世話になっておりますから。ですから、迷わないでくださいませ」
「弁解のしようもない」
「極彩様……」
血の池に溺れているようだった。群青の手が宙を彷徨う。
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