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冒険者ギルド
しおりを挟む「もう…ヒリヒリするじゃない…」
「「ううぅ…」」
「先生としての威厳がぁ…うう…」
「だれのせいだ…全く」
「ははっ、その辺にしといてやれよ」
俺達は宿を出て5分とかからない冒険者ギルドへと向かった。
宿の主人に聞いてみたところ、ディメリメントと同じ作りになっていることが判明した。
この世界はディメリメントと全く同じ… なのか?
「あ!あれね、看板だけで冒険者ギルドって感じだし」
「お、良くわかったな」
この世界が日本語対応していなかったら間違いなく終わっていただろうな。
所々ディメリメントの影響を受けているからか?
異世界の冒険者ギルドに入ると碌でもないことが起こりそうだ… 。
「ーーギィィ…」
扉を開けて中へ入っていくとそこには冒険者の姿な姿等なく、受付嬢が1人だけいるだけだった。
「なんか……思ってたのと違う?」
「まぁ溜まり場となる場所がないんだろう」
恐らく溜まり場となるのは広場や酒場の方だろう。
冒険者ギルドに隣接して酒場が設けられていることもあるが悪質な絡みや喧嘩になりかねないと、冒険者ギルドの中には椅子もなくただクエストの紙が無造作に壁に貼り付けられているだけだ。
「成る程、ゲームではポチポチするだけだったがここでは紙を持っていく仕組みなのか」
「そうみたい。で?目的のものはあった?」
「聞くしかないな」
受付に座っている人に確認するとここにはなく、王都に2つ、近郊に1つあるらしく王都にはいるにはギルドのランクを銅までは上げないといけない決まりがあるらしい。
(黒>金>白>銀>銅>紫>黄)
「今直ぐには行けそうにないな」
「それならー…なにしたらいいんだっけ?」
「はぐれた他の皆を探す、大まかなステータスの確認、後は特に決まってないけど…」
「それなら折角の異世界なんだし楽しもうよ!ここまで来たら吹っ切れちゃわない?」
「まぁこの体だけど…実はワクワクしっぱなしだ…」
「実はって、既にバレバレ」
「そうだぞ?こんな状況なのに表情は緩みっぱなし、翔よりも楽しそうにしてるぞ?」
「ぐっ…祐希まで…」
実はというとめちゃくちゃクエスト何かを受けて狩りをしてみたいと思っているが、他の皆のこともあるし… 。
「まぁまずは近郊の大きな冒険者ギルドの方にいこうよ」
「確かにそれが今すべきことかもな」
意見が一致したので今いる冒険者ギルドを出て大きな冒険者ギルドへと向かう。
道のりは微妙な遠さで約6㎞離れたところにある筈だ。
こんな町中で空を飛んでいくわけにも行かない。
仕方なく歩いて行くとしよう。
昨晩整理していく途中で見つけた装備を皆に渡し、それぞれ装備してもらった。
俺の所持している強い装備を貸そうかとも思ったが、大抵そういう武器には所有者以外は装備不可(持つことは可能だが長くは持てない)にしている物が殆どだった。
道中、屋台等で食べ歩きながら装備を物色しながら進んでいく。
異世界に来て日常品を買っていないこともあって、皆肌着や下着に着替えを購入した。
その他の雑貨は適当に買いそろえた。
「朝早くに出たがゆっくりしてるからもう昼くらいか…」
「仕方ないよね~」
「うんうん~」
「日常品に食事の呼びは必要だと思うぞ!」
近郊の冒険者ギルドまであと1㎞といったところで急に人の量が増えている。
店に並ぶ商品も更に充実、中には高級品と見られる物までも揃っていた。
「綺麗…」
「私の給料の何倍なんだろ…」
「すごく高そうなネックレスだ」
赤黒く光輝く鉱石は一体何なのだろうか。
ディメリメントでも知らないアイテムもあるに違いない。
また後で出掛けようと相談した結果、ステータスを見て宿をとった後にしようと決まった。
「あれか!あそこのとはえらく違うな…」
「あぁ、そもそも大きさが違う」
「で、見てみろよあれ。この道を進んでいったところ、直ぐそこ獄所だぞ…」
すぐ近くに獄所を設置することによってトラブルの防止の効果も期待できそうだ。
それにもしもトラブルが起こったらすぐに駆けつけれるからな。
「よし、じゃあいこう」
「パパッと調べて休みましょ」
早速中にはいり目の前に3人の受付嬢がいた。
そこで1人だけ手が空いていた場所に進んだ。
「ステータスを確認したい」
「水晶鑑定ですね」
「水晶鑑定……はい、そうです」
恐らく水晶鑑定とは触れることによってその力量が計れるというものだろう。
「ではこちらに」
受付嬢のあとをついていくと個室のに案内された。
その個室はロビーとは違いシンプルでポンと机が置いてありその上に水晶が1つ置かれていた。
「今から測定する方達は全員冒険者になるとみて宜しいですか?」
「まぁそのつもりです」
うんうん、と頷く。
「では1人1枚のバッジを渡すのでこの紙に名前のご記入をお願いします」
「すみませんこれって使えますかね?」
たまたまアイテムボックスに入っていたディメリメントで使用していたバッジなのだがさすがにこの世界で通用するのかはわからないが…。
「へっ…?これですか?」
なんだこれ、と言わんばかりの顔をされてしまった。
やはりこういうところは違うのか。
「ちょっと、すまないね」
「はい?」
部屋の片隅に座っていた老人が突然こちらに歩いてきた。
さっきまでただの屍のように固まっていたのに。
「これはお主のか?」
「はい、そうですが?」
「うむ…確かにお主と同じ魔力を感じるな」
あとから聞いた話だがバッジには名前を刻む方法は魔力を流し込んで刻むために偽装は不可能だという。
「幻かぁぁぁ…」
アワアワとした表情で後退りする老人。
あわや転けかけてしまう程に。
「これは黒バッジじゃよ!世界最強と崇められる実力主義国家マビラスの国王と同じランクじゃと言ってるんだ!」
老人だけが盛り上がり、その他はへ?とした顔で見つめている。
「わからんのか!黒である人物は現在4人程度存在しているという。誰もが目指すランクじゃがあまりの難易度に不可能じゃと、伝説のランクとされているのじゃ」
そうか?ディメリメントでは案外いたと認識しているんだが?
この世界ではあまりいないのかもしれないな。
「「えぇ…」」
後ろからため息が聞こえてくる。
実際、すごいことではあるのだが即ちゲームをやりこんでいたから、課金をしまくっていたからという事の証明でもある。
「あんたどんだけしてたの…」
美紅ですら想像以上に俺がやり込んでいたと今知っただろう。
「で、でも黒がいると心強くない?」
「確かに、黒がいると他国の入国審査の時は楽じゃろうな。逆に崇められる程に」
「ほらほら、な?」
「宿じゃって特別待遇されるところもあるくらいじゃし、一定のランクが無いと泊まれない高級宿もある」
「もうわかった…確かにそういった楽になることがあるならありがたいけど…」
「やり込んでて良かったこともあるもんーーー」
全て言い切る前にポンと美紅が俺の肩に手を置いた。
「蒼がやり込んでなかったら原因の招待状すら届かなかったんじゃない?」
ニコニコとしてはいるが目が笑っていない。
ちょっと調子に乗ってしまった。
おっと、少し話が脱線してしまった。
「そこでお願いしたいのですが適当にこの話を広めてもらって欲しいんです」
「ほう?それは何故じゃ?」
「実は仲間とはぐれてしまったので有名になれば少しは再開しやすくなるかなと」
「ふむ…。しかしなぁ…」
「何か問題が?」
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すんなりと受け入れてくれると思っていたのだが。
「しかし、数多くの団体からお前さんをスカウトしに来るかも知れん。それによってお前さんに面倒が起こるかもしれんってことじゃよ」
実際、強い者を手に入れたい等の為に身内を拘束し脅迫するなんてことがざらにあるこの世界では危険な行為と思われた。
特に何処にも所属していない俺たちは…。
「成る程。でも…」
「力で何とかなる。しかしじゃ、その他の奴は素人と見える。そこに漬け込まれて脅迫、殺害なんてあるからのぉ」
「「ーーーっ!」」
突然殺されるかもしれないという恐怖がすぐ隣に常にある状況。
俺は大丈夫だが、他の5人のフォローを完全にできるとは言い切れない。
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