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集団異世界召喚
異世界探険⑧
しおりを挟む扉を開けるとそこは大森林に急に迷いこんだかのような光景が写し出された。
「ここは…ダンジョンなのか?」
「結構広いですね」
「木々が広く生えているし、太陽みたいなのも見えるわ」
外かと勘違いしてしまいそうだ。だが目的のボスが見当たらない。
「どこかに隠れてるかもしれない!背中を合わせて円を作ろう!」
「「「了解!」」」
『ふふっ、可愛い子達だねぇ』
突如背後から聞こえてくる甘い声。感知能力も高い湊斗ですら気付かず背後をとられていた。
「な、なにっ!?」
何だと振り向いた瞬間全員が吹き飛ばされた。
「きゃっ!」
「くっ…」
直ぐに受け身を取り、戦闘態勢へと移る。
先程はギリギリ見えなかったが今度はしっかりと視認できた。
【アラクネー】
65Lv
「レベル65!?高い…こいつはヤバそうだな」
「見てるだけで分かるくらいですね」
『何を騒いでいるのだ、五月蝿い』
アラクネーは上半身は人間、下半身は蜘蛛という正真正銘、魔物だ。
「澪と俺は前にでて剣と魔法で押さえ込む!ノエルとカレンは後衛として魔法を撃ち込んでくれ!」
「「了解(です!)」」
俺は直ぐにアラクネーに斬りかかるが蜘蛛の爪によって防がれてしまった。
澪も追撃しにかかるが、嘲笑われて防がれる。
カレンのウィンドボールすらアラクネーの風爪によって防がれてしまった。
風爪は厄介だ、目には見えない斬れる風が飛んで来るのだ。当たったら致命傷は免れない。
「近接も遠距離も行けるのかっ!」
「思ってたよりきついかもね…」
『それが全力か?はっ、失望させるな』
敵に虚仮にされる始末だ。
「出し惜しみする暇もなさそうだなっ!」
「サンダーボルト!」
俺は新しく覚えた雷属性魔法を使い、アラクネーを牽制しつつ体力を減らしていく。
アラクネーの周りからは小さな蜘蛛がたまに飛んで来るが、サンダーボルトのお陰で感電しているようだ。
「そんなの覚えてたの?黙ってるなんてひどいわ!」
「驚かせたかったんだよ…ごめん」
『お喋りなんてしてる暇あるのかしら?』
アラクネーは更に凶暴になり暴れ狂う。
「少し黙ってろ!“スロウ”」
これも練習して習得した時空間魔法の初級魔法だ。
相手の動きを半分以上鈍くさせるという結構使える魔法だ。
『ぐっ…厄介な奴め!』
『グランドサイクロン』
「な、なにっ!合成魔法だとっ!?」
アラクネーは土属性魔法と風属性魔法を組み合わせたグランドサイクロンを放つ。
「まずいですね…耐えられますか」
「一気に決めるしかない…少しは油断してる様だし」
「だね」
グランドサイクロンにより視界が遮られるが、俺は急いでアラクネーの後方へと回り込む。
『気づかないとでも思ったのかい?馬鹿だねぇ』
「くっ!やはり無理か…」
アラクネーには不意打ちは効かなかった。
「ノエル!風神鬼剣を貸してくれ!」
「承知しました!」
俺とノエルは風神鬼剣と刀を交換し、俺はアラクネーへの攻撃態勢へと入る。
「前までは気付かなかったが…風神鬼剣と雷神鬼剣は双剣として真の力を発揮するんだ」
そう、その武器は説明書には書かれていなかった真の力というものが存在した。
『な、なんだ…急に動きが』
「お前の目には見えないだろうな一気に決めさせてもらう!」
「ジャッチメント」
風と雷が鬼神のように蠢きアラクネーへと襲いかかった。
『ぐっがぁぁぁぁぁっ!!』
ーーーアラクネーは肉片も残さずに四散した。
「すごいな…俺も初めて使ったが威力が半端じゃない」
「信じられない威力ですね」
「なによそれ!いいなぁ…」
アラクネーを斃したことにより先へと扉が開かれ、宝箱が出現する。
【世界樹の葉】
瀕死の状態の者を完治にする。
死亡すると使用不可。
【オリハルコン】
この世界で一番頑丈なものとされている。
【鉱石の心得】
本。
「世界樹の葉か…これは大切にしないとな」
「オリハルコン!ミナト様の武器が作れますね!」
俺は前に強い刀がほしいと言っていたのでオリハルコンは嬉しい、神山でもあまり多くはとれなかったのだ。
鉱石の心得という本もありがたい、加工の仕方などが書かれているのだろう。それにしても説明が本だけとは雑だな…。
「今日はここらへんしましょう」
「だな、ゆっくりしたいしな」
この日俺達はアラクネーを斃したところで宿へと帰り、今後のこと等を話し合う。
これからはまず俺の刀を作ろうということになった。
一番の戦力の武器は確保したいのだろう。
風神鬼剣と雷神鬼剣の組み合わせは素晴らしいが、ノエルは風神鬼剣を気に入ってるようだしいいだろう。
「では、寝ましょうか」
「そうしよっか」
「こ、こっちむかないでよね!」
ご飯を食べ、体を拭くとベッドへと入るが澪が布団に隠れて寝始めた。
「澪さん、嫌なんですか?」
カレンがストレートに聞くと澪は動揺してガタンとベッドを揺らした。
「いいから……今日は寝るわよ」
澪が強制的に会話を終わらせると一番に眠りへとついた。
「(素直になればいいのに…)」
ぼそぼそと声が聞こえるが気にせずに寝ることにしよう。
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