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最終決戦編
第二十九話 〘大きな力と大きな別れ〙
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翌日、楓は大地を揺らすほどの爆音で目を覚まし、慌てて外へと飛びたした。辺りを見渡してみるとブリンゲルの北西にある丘から煙が立ち上っていたのだ。
「一体、何が…。」
楓は私服のまま刀を手に持ち屋上に上がると、足に集めたマナを炸裂させて大きく跳躍し、建物の上を移動して丘へと真っ直ぐに向かった。
丘に辿り着くと既に昨日の会議のメンバーが集まっており、その中心ではレオン、カルマ、バロン、シャーロット、白の四人が何かに手をかざしながらマナを送り込んでいた。
「何をしてるんですか?」
楓は、近くに居た蓮に問いかける。
「あぁ、秋月か。今、あいつらの力で吸血鬼達の世界に繋がるゲートを作れないか試してもらっている。」
「ゲート?」
ゲートという単語で、楓はアウスブルグでレオンが描いていた帰還ゲートの魔法陣を思い出す。
「でも、あれはアンロックに閉じられたはずじゃ…。」
「あぁ。だからそれをあいつら吸血鬼のマナと、隈界の転移能力を応用した力でどうにかこじ開けれないかと試してもらっている。」
再び視線を四人に戻す。しかし程なくして四人共が、魔法陣にマナを送る事を止めてしまった。
「ダメです…。開けれませんでした。」
「そうか…。ダメだったか。」
白の言葉に、全員が肩を落とした。
「ボク達だけじゃ、あの方の力に勝てなかった…。」
「じゃあ、俺達もマナを送ればいけるんじゃねぇか?」
健太の言葉に他の人達も賛同する。しかし、レオンはその言葉に静かに首を振った。
「無理。このゲートにマナを送ることが出来るのは、ゲートを開ける術者と、それを補助する吸血鬼だけだから。」
「…!?」
吸血鬼という単語に楓は無意識にピクリと反応した。そして、そっとみんなの前に歩み出た楓は、全員の顔を見渡して口を開いた。
「皆さんに、聞いてもらいたいことがあります。」
「……。」
突然の事に驚く面々。
楓は手に持った刀〘做夜〙を、みんなに見えるように突き出し話しを続けた。
「私の刀は做夜といいます。」
楓の一言でレオンの眉がピクリと反応する。
「レオンは知ってるみたいね。」
「ボクが思った人と合ってるなら…知ってる。」
「えぇ、大丈夫。合ってるから。」
楓を見て目を丸くしているレオンに、楓はそっと微笑んで皆の方へ向き直った。
「レオンが知っている時点で、薄々勘づいている人は居るかもしれません。そう、私の刀に宿っているのは精霊ではなく、吸血鬼です。」
その瞬間、辺りが一気にざわついた。しかし、そのざわつきも正隆の咳払いで落ち着き、楓に再び話し易い間を与えた。
「ありがとうございます。」
「いいから続けてくれ。」
正隆にそっと頭を下げ、楓は話を続けた。
「昨日、做夜に聞いたんです。アンロックを倒す方法はないかって。そしたら、一つだけ可能性のある方法がありました。それは…、私が吸血鬼の力を手に入れる事です。」
今度は楓の言葉に、周りで聞いていた者全てが絶句した。人間が吸血鬼の力を手に入れるなんて事が可能なのか、そんな事をして大丈夫なのかと次々に問い立ててくる。
「大丈夫です。私に対して大きなリスクがあるわけでは無いので。でも…。」
楓は、一番の問題である三つ目のリスク〘人間の血を飲んで生活しないといけない事〙について話した。この点だけは、楓一人の力ではどうすることも出来ない。どうしても、仲間の協力が必要なのだ。
「何?楓ちゃんにそんな大役任せるのに、私達がそんな事も協力しないと思ってるの?」
蓮の後ろから顔を覗かせたのは、久しぶりに見る彩夜だった。
「彩夜さん!回復したんですね!」
「当たり前でしょ?置いてけぼりまでくらってまだ回復してませんなんて格好悪いじゃない。」
自慢げに胸を張る彩夜の背中を、和海がそっと後ろから叩いた。
「いたっ……!」
「まだ完全じゃないんでしょ?あまり見栄張り過ぎるとバレますよ?」
「バレてる!もうそれでバレてるからぁ!」
ペチペチと背中を叩く和海を、涙ながらに止める彩夜。そんな彩夜の元気そうな顔を見て楓はホッと胸をなでおろした。
「ホッとした顔してる場合じゃないよ?話の途中だから。」
和海の手を押さえ込みながら彩夜は言った。そうだ。まだ、話は終わっていない。
「楓ちゃんに協力して、柚枝を、世界を守れるなら私達はなんでもする。でも、本当にそんな大役任せていいの?」
「はい。覚悟は決めました。でも、さっきの点について協力が得られないと難しかったので一応相談を…。」
「大丈夫!いざとなったら血なんていくらでもあげるわ。」
彩夜の言葉に安心する楓。
「では、吸血鬼の力を使うという事で大丈夫ですか?」
「私達にはそれしか方法が無いからね。でも、本当にそれで勝てるの?」
彩夜からの率直な疑問だ。他の者も同じ疑問を抱いていたようで、皆楓の目を見つめている。
「その点に関してはボクが保証してもいい。」
急に口を開いたのはレオンだった。
「どういう事?」
「今、楓は做夜って言ったでしょ?」
「えぇ。」
「正確には、做夜ではなくサクヤ・レガーナ。元々、ボク達があの方と呼んでいたお方だよ。」
レオンの一言でその場全体に衝撃が走る。楓だって例外ではない。做夜と話していた時、彼女は一言もそんな事を口にしていなかったからだ。
「おまけに単純な力比べだと、吸血鬼の中にサクヤを倒せる者は居ない。」
「アンロックも?」
「えぇ…。」
楓は慌てて做夜を引き抜き問い詰める。
(ちょっと!何も聞いてないんだけど!?)
【仕方ないじゃろ?これを言うとお主がますますこの力を使う事に前向きになってしまうと思ったからな。言うに言えんかったんじゃ。】
急に問い詰められ慌てる做夜。しかし、楓は気にせずそのまま話を続ける。
(聞いていたかもしれないけど、皆の同意も得たから私に吸血鬼の力を分けて。)
【分かった。じゃが、最後にもう一度だけ聞く。本当に…、本当にそれでいいんじゃな?】
楓は做夜の問いに対する返事に、少しだけ間をあけた。楓はその間で人間として見る最後の景色を、目に焼き付けたかったのだ。街を見渡し、空を見渡し、そして仲間の顔を見渡した。昨晩の会議の時とは違って、皆の顔にはどこか希望が見えたようなそんな明るさがあったのだ。
そして、そんな顔を見渡して楓は言った。
「もう決めた事だし、多分…、悔いも残らないんじゃないかな。」
最後の言葉は、皆にも聞こえるように声に出した。もうすぐ楓は人間ではなくなる。仲間には変わりはない、しかし、人間ではなくなるという事実は、周りの者の心を強く締めつけた。
「楓…ちゃん…。」
「楓さん。」
今にも泣きそうな顔で楓の目を見る彩夜。その横で、白もどこか悲しげな表情を浮かべていた。
「大丈夫。死ぬわけじゃないんだから。吸血鬼になったら、あなた達の血飲ませてね。」
そう言って悪戯な笑みを浮かべると、今度は做夜へと意識を向けた。
(お待たせ。始めてもらっていい?)
【あぁ…、分かった。】
楓は做夜の指示通り、地面に契約用の魔法陣を描いた。そして、言われるままに左手を魔法陣の真ん中に置き、自分のマナを注ぎ込む。すると、魔法陣はどんどん青く染っていき、眩しい光を放ちだしたのだ。
【楓。そのままお主の手の上から、刀を魔法陣に突き立てるのじゃ。】
(分かった…。)
楓は右手で刀を掴み、左手の甲へと思いっきり突き立てた。その途端魔法陣に楓の血が流れ込み、どんどん赤みが足された光は紫色に変色した。
【秋月楓。汝を我の器とし、我が力を譲渡する!】
凛とした做夜の声が響いた瞬間、魔法陣から発せられた紫色の強烈なマナが楓の体を包み込み、楓のマナと融合していく。
「うわぁぁぁ!」
楓は体の中を縦横無尽に駆け巡る強烈なマナに体を震わせながら大声をあげて悶える。楓から発せられたマナは辺りに飛散し、心配して駆け寄ろうとする彩夜の足を止めた。
「はぁ…はぁ…。」
次第にマナの動きは落ち着き、楓はゆっくりと息を整えた。
(これで成功?)
息を整え終わった楓は、最初に做夜へ声をかけた。成功かどうかなんて、普通は体の感覚ですぐに分かる。しかし、突如増大したマナによって全身が麻痺している今は、做夜に聞くのが一番早かったのだ。
【……。】
しかし、楓の問いに做夜からの返事はなかった。
(做夜?ねぇ、聞いてる?)
楓は刀に視線を落とし、再び声をかける。しかし、結果は同じだった。そこで、ふと昨晩の做夜の様子が思い浮かんだ。この能力の話をする時、做夜は楓に話すのを渋っていた。もしも、それが楓を心配しているものだけでなかったとしたら、做夜にとっても失う物かあるとしたら。
「ま、まさか…。」
魔法陣から放たれたマナが楓のマナと融合した事と、做夜からの返事が無いことを踏まえて考えた結果、楓が考え出したのは…。
(做夜自身との…融合?)
そう、楓の体は做夜と融合していたのだ。つまり今の楓は、秋月楓であり、元吸血鬼のサクヤ・レガーナでもあるということだ。
「做夜…。」
楓は返事の帰ってこない刀に視線を落として呟くと、そのまま崩れるように倒れ、意識を失うのだった…。
「一体、何が…。」
楓は私服のまま刀を手に持ち屋上に上がると、足に集めたマナを炸裂させて大きく跳躍し、建物の上を移動して丘へと真っ直ぐに向かった。
丘に辿り着くと既に昨日の会議のメンバーが集まっており、その中心ではレオン、カルマ、バロン、シャーロット、白の四人が何かに手をかざしながらマナを送り込んでいた。
「何をしてるんですか?」
楓は、近くに居た蓮に問いかける。
「あぁ、秋月か。今、あいつらの力で吸血鬼達の世界に繋がるゲートを作れないか試してもらっている。」
「ゲート?」
ゲートという単語で、楓はアウスブルグでレオンが描いていた帰還ゲートの魔法陣を思い出す。
「でも、あれはアンロックに閉じられたはずじゃ…。」
「あぁ。だからそれをあいつら吸血鬼のマナと、隈界の転移能力を応用した力でどうにかこじ開けれないかと試してもらっている。」
再び視線を四人に戻す。しかし程なくして四人共が、魔法陣にマナを送る事を止めてしまった。
「ダメです…。開けれませんでした。」
「そうか…。ダメだったか。」
白の言葉に、全員が肩を落とした。
「ボク達だけじゃ、あの方の力に勝てなかった…。」
「じゃあ、俺達もマナを送ればいけるんじゃねぇか?」
健太の言葉に他の人達も賛同する。しかし、レオンはその言葉に静かに首を振った。
「無理。このゲートにマナを送ることが出来るのは、ゲートを開ける術者と、それを補助する吸血鬼だけだから。」
「…!?」
吸血鬼という単語に楓は無意識にピクリと反応した。そして、そっとみんなの前に歩み出た楓は、全員の顔を見渡して口を開いた。
「皆さんに、聞いてもらいたいことがあります。」
「……。」
突然の事に驚く面々。
楓は手に持った刀〘做夜〙を、みんなに見えるように突き出し話しを続けた。
「私の刀は做夜といいます。」
楓の一言でレオンの眉がピクリと反応する。
「レオンは知ってるみたいね。」
「ボクが思った人と合ってるなら…知ってる。」
「えぇ、大丈夫。合ってるから。」
楓を見て目を丸くしているレオンに、楓はそっと微笑んで皆の方へ向き直った。
「レオンが知っている時点で、薄々勘づいている人は居るかもしれません。そう、私の刀に宿っているのは精霊ではなく、吸血鬼です。」
その瞬間、辺りが一気にざわついた。しかし、そのざわつきも正隆の咳払いで落ち着き、楓に再び話し易い間を与えた。
「ありがとうございます。」
「いいから続けてくれ。」
正隆にそっと頭を下げ、楓は話を続けた。
「昨日、做夜に聞いたんです。アンロックを倒す方法はないかって。そしたら、一つだけ可能性のある方法がありました。それは…、私が吸血鬼の力を手に入れる事です。」
今度は楓の言葉に、周りで聞いていた者全てが絶句した。人間が吸血鬼の力を手に入れるなんて事が可能なのか、そんな事をして大丈夫なのかと次々に問い立ててくる。
「大丈夫です。私に対して大きなリスクがあるわけでは無いので。でも…。」
楓は、一番の問題である三つ目のリスク〘人間の血を飲んで生活しないといけない事〙について話した。この点だけは、楓一人の力ではどうすることも出来ない。どうしても、仲間の協力が必要なのだ。
「何?楓ちゃんにそんな大役任せるのに、私達がそんな事も協力しないと思ってるの?」
蓮の後ろから顔を覗かせたのは、久しぶりに見る彩夜だった。
「彩夜さん!回復したんですね!」
「当たり前でしょ?置いてけぼりまでくらってまだ回復してませんなんて格好悪いじゃない。」
自慢げに胸を張る彩夜の背中を、和海がそっと後ろから叩いた。
「いたっ……!」
「まだ完全じゃないんでしょ?あまり見栄張り過ぎるとバレますよ?」
「バレてる!もうそれでバレてるからぁ!」
ペチペチと背中を叩く和海を、涙ながらに止める彩夜。そんな彩夜の元気そうな顔を見て楓はホッと胸をなでおろした。
「ホッとした顔してる場合じゃないよ?話の途中だから。」
和海の手を押さえ込みながら彩夜は言った。そうだ。まだ、話は終わっていない。
「楓ちゃんに協力して、柚枝を、世界を守れるなら私達はなんでもする。でも、本当にそんな大役任せていいの?」
「はい。覚悟は決めました。でも、さっきの点について協力が得られないと難しかったので一応相談を…。」
「大丈夫!いざとなったら血なんていくらでもあげるわ。」
彩夜の言葉に安心する楓。
「では、吸血鬼の力を使うという事で大丈夫ですか?」
「私達にはそれしか方法が無いからね。でも、本当にそれで勝てるの?」
彩夜からの率直な疑問だ。他の者も同じ疑問を抱いていたようで、皆楓の目を見つめている。
「その点に関してはボクが保証してもいい。」
急に口を開いたのはレオンだった。
「どういう事?」
「今、楓は做夜って言ったでしょ?」
「えぇ。」
「正確には、做夜ではなくサクヤ・レガーナ。元々、ボク達があの方と呼んでいたお方だよ。」
レオンの一言でその場全体に衝撃が走る。楓だって例外ではない。做夜と話していた時、彼女は一言もそんな事を口にしていなかったからだ。
「おまけに単純な力比べだと、吸血鬼の中にサクヤを倒せる者は居ない。」
「アンロックも?」
「えぇ…。」
楓は慌てて做夜を引き抜き問い詰める。
(ちょっと!何も聞いてないんだけど!?)
【仕方ないじゃろ?これを言うとお主がますますこの力を使う事に前向きになってしまうと思ったからな。言うに言えんかったんじゃ。】
急に問い詰められ慌てる做夜。しかし、楓は気にせずそのまま話を続ける。
(聞いていたかもしれないけど、皆の同意も得たから私に吸血鬼の力を分けて。)
【分かった。じゃが、最後にもう一度だけ聞く。本当に…、本当にそれでいいんじゃな?】
楓は做夜の問いに対する返事に、少しだけ間をあけた。楓はその間で人間として見る最後の景色を、目に焼き付けたかったのだ。街を見渡し、空を見渡し、そして仲間の顔を見渡した。昨晩の会議の時とは違って、皆の顔にはどこか希望が見えたようなそんな明るさがあったのだ。
そして、そんな顔を見渡して楓は言った。
「もう決めた事だし、多分…、悔いも残らないんじゃないかな。」
最後の言葉は、皆にも聞こえるように声に出した。もうすぐ楓は人間ではなくなる。仲間には変わりはない、しかし、人間ではなくなるという事実は、周りの者の心を強く締めつけた。
「楓…ちゃん…。」
「楓さん。」
今にも泣きそうな顔で楓の目を見る彩夜。その横で、白もどこか悲しげな表情を浮かべていた。
「大丈夫。死ぬわけじゃないんだから。吸血鬼になったら、あなた達の血飲ませてね。」
そう言って悪戯な笑みを浮かべると、今度は做夜へと意識を向けた。
(お待たせ。始めてもらっていい?)
【あぁ…、分かった。】
楓は做夜の指示通り、地面に契約用の魔法陣を描いた。そして、言われるままに左手を魔法陣の真ん中に置き、自分のマナを注ぎ込む。すると、魔法陣はどんどん青く染っていき、眩しい光を放ちだしたのだ。
【楓。そのままお主の手の上から、刀を魔法陣に突き立てるのじゃ。】
(分かった…。)
楓は右手で刀を掴み、左手の甲へと思いっきり突き立てた。その途端魔法陣に楓の血が流れ込み、どんどん赤みが足された光は紫色に変色した。
【秋月楓。汝を我の器とし、我が力を譲渡する!】
凛とした做夜の声が響いた瞬間、魔法陣から発せられた紫色の強烈なマナが楓の体を包み込み、楓のマナと融合していく。
「うわぁぁぁ!」
楓は体の中を縦横無尽に駆け巡る強烈なマナに体を震わせながら大声をあげて悶える。楓から発せられたマナは辺りに飛散し、心配して駆け寄ろうとする彩夜の足を止めた。
「はぁ…はぁ…。」
次第にマナの動きは落ち着き、楓はゆっくりと息を整えた。
(これで成功?)
息を整え終わった楓は、最初に做夜へ声をかけた。成功かどうかなんて、普通は体の感覚ですぐに分かる。しかし、突如増大したマナによって全身が麻痺している今は、做夜に聞くのが一番早かったのだ。
【……。】
しかし、楓の問いに做夜からの返事はなかった。
(做夜?ねぇ、聞いてる?)
楓は刀に視線を落とし、再び声をかける。しかし、結果は同じだった。そこで、ふと昨晩の做夜の様子が思い浮かんだ。この能力の話をする時、做夜は楓に話すのを渋っていた。もしも、それが楓を心配しているものだけでなかったとしたら、做夜にとっても失う物かあるとしたら。
「ま、まさか…。」
魔法陣から放たれたマナが楓のマナと融合した事と、做夜からの返事が無いことを踏まえて考えた結果、楓が考え出したのは…。
(做夜自身との…融合?)
そう、楓の体は做夜と融合していたのだ。つまり今の楓は、秋月楓であり、元吸血鬼のサクヤ・レガーナでもあるということだ。
「做夜…。」
楓は返事の帰ってこない刀に視線を落として呟くと、そのまま崩れるように倒れ、意識を失うのだった…。
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