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最終決戦編
第四十四話 【思いもよらない助っ人】
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作戦会議を終えたユリエル達は、アンロックの実験室前まで来ていた。
「じゃあ、合図があったら突入でお願いします。」
「了解。」
物音ひとつ立てずに隠れる蓮達を廊下に残し、ユリエルは柚枝を連れて実験室へ入った。
「戻ったわ。」
「遅かったな。何かあったのか?」
アンロックの言葉にユリエルは壁にかけてある時計を見た。すると、二人がこの部屋を出てから既に四時間が過ぎていたのだ。
「別に…、思いの外敵の戦力が高かっただけよ。」
「そうか。確かに、クローンの方も傷だらけだしな。」
そう言って柚枝の体を眺めるアンロック。まさか、蓮達の前に出ていく時につけた傷がこんなところで役に立つとはユリエル自身も思っていなかった。
「で、全員殺してきたんだろうな?」
「もちろんよ。一人残らず殺してきたわ。」
ユリエルの返事に、満足そうに微笑むアンロック。そして、アンロックは机の上に端末を置き、椅子から立ち上がった。
「よしお前ら…。二人とも服を脱げ。」
「「はぁ!?」」
突然の言葉に、ユリエル達は二人とも同じリアクションを返した。
「あなたがエロいのは仕方がないことだけど、まさかこんな面と向かってセクハラ発言を受けるとは思ってなかったわ。」
「バカか!そこにある機械でお前達の体の傷を治すんだよ!分かったらさっさと服を脱げ!」
手で体を隠すようなそぶりをし、嫌悪感に満ちた視線を向けるとアンロックは声を荒げた。しかし、ユリエルは手をヒラヒラと振ってアンロックを小バカにするように答えた。
「残念だけどその必要は無いわ。私達には治癒能力があるからね。この程度の傷くらい、そんな機械に頼らなくてもすぐに治せるわ。」
そう言って、ユリエル達はお互いに治癒能力をかけ合い、みるみるうちに傷を治した。
「残念ね。私達の裸が見れなくて。」
「このアマ……。」
クスリと笑うユリエルを、悔しそうにアンロックは睨みつけた。
「ところでこの後の計画ですが、私達はどうすればいいのでしょう?」
ユリエルを睨みつけたまま動かないアンロックに、柚枝はそっと歩み寄って訪ねた。すると、ふと我に返ったアンロックがおもむろに柚枝の首筋に手を伸ばした。
「お前は俺の事を拒んだりしないよな?何て言ったって、俺はお前のマスターなんだからな。…へへへっ……。」
アンロックの手が柚枝の首筋を撫で、鎖骨をなぞって下へと下りる。この時、ユリエルの脳内で、ある一つの大きな不安が生まれた。それは、柚枝のプログラムを組み換えてしまったことだ。元々の柚枝にとってのマスターはアンロックだが、今の柚枝にとってのマスターはユリエルだ。ここで、アンロックを拒絶すれば、プログラムを組み換えた事がバレてしまう。そうなれば、今までついた嘘も、組み立てた作戦も全てが無駄になってしまう。ユリエルはアンロックの行動を止めようと、平常心を装いつつ、言葉を発するために息を吸い込んだ。
「やめ…!」
「ア、アンロック様…。は、恥ずかしいです……。」
ユリエルが言葉を発しようとしたその時、柚枝が思いもよらない言葉を発した。
「大丈夫だ、乱暴にはしないから。」
「で、でも…。」
アンロックの手が、執拗に柚枝の体を撫で回す。本来なら、マスターでもない者にここまでされれば拒絶反応を起こしてもおかしくはない。しかし、柚枝は拒むどころかまんざらでもないように顔を赤らめ、プログラムの変更を誤魔化すための最高の演技をしてるのだ。
「やっぱり、自分の言うことに忠実な人形は可愛いな。まぁ、どこかの誰かさん見たいに、刺々しいのも嫌いじゃないがな。」
そう言って、柚枝の体を撫で回しながらユリエルを見てニヤリと笑うアンロックに、ユリエルは心の中で「この下衆が……。」と蔑んだ。
「そ、それでも、目の前で自分の体が好き勝手されるのは見ててあまり気分のいいものじゃないわ。早くやめてもらえるかしら?」
「うるせぇな。たかが作り物の体を触られたぐらいでピーチクパーチク鳴くんじゃねぇよ!」
「……。」
ユリエル怒りが臨海点を越えようとしたその時、ふと目が合った柚枝が、ただ黙ってアンロックにバレないように首を横に振った。柚枝のその行動で、冷静さを取り戻したユリエルが黙り込んだことをいいことに、アンロックは手の位置をどんどん下げ、柚枝の内腿や下腹部など際どい場所をまさぐり始めた。
「あぁ……。いい臭いだ……。この首筋にいつか俺自身の牙で初めての傷をつけてやりたい…。それが俺の願望だ。だが、それはクローンになんかじゃない。オリジナルのユリエルにだ。さぁ、これ以上こいつのあられもない姿が見たくないのであれば、こっちに来て俺に血を吸わせろ。」
アンロックは柚枝の服を引きちぎり、露になった下着の中に手を半分滑り込ませる。顔を背け恥ずかしさで頬を赤く染めたまま、作戦の為に必死に我慢している自分と同じ顔の柚枝を見て、ユリエルはそっと呟いた。
「わかった……。そっちに行くから、その子を離してあげて。」
トボトボと歩み寄りアンロックの側まで行くと、アンロックは半ば柚枝を投げ捨てるように退かし、ユリエルの服の襟を引っ張った。
「やっとこの時が来たぜ。」
「どうでもいいけど、あまり乱暴にしないでよ!」
「このくらい良いだろ!すぐにお前もそこのクローンと同じようにあられもない姿に変えてやるんだからよ。」
それを聞いて抵抗しだしたユリエルを力ずくで押さえ込み、服のボタンを引きちぎり、首元を露にする。
「この細く白い首筋に、俺が初めて………。」
そこまで言うと、アンロックの動きが止まった。視線はユリエルの首へ固定されたまま、驚愕したような表情を浮かべていた。
「こ、この、傷跡は……。」
「そうよ。この傷は噛まれた跡。残念ね、あなたが初めてになれなくて。」
挑発するように呟くと、激情したアンロックがユリエルの胸ぐらを掴んで持ち上げ、体を宙に浮かせた。
「誰だ!誰に噛まれた!俺はそいつを絶対に許さん!」
宙に浮かされたユリエルは、視線で柚枝に合図を出す。そして、アンロックに視線を戻すと、更に挑発するように言った。
「さぁ、誰だったかな?私の血が飲みたいなんて言う人いっぱい居たから、誰に飲ませたかなんて覚えてないわ。」
「そ、そんな…。」
アンロックの手が、絶望からかプルプルと震えだす。
「じゃあ、もうお前には用はない。後ろのクローンが居ればあとは何でも叶うからな。」
アンロックは手刀にマナを込め、ユリエルの胸元へと突きつけた。
「お前がバカなことをしなければ、俺のお気に入りとしてずっと守ってやったものを…。」
「不要になればすぐに切り捨てる上官の言うことなんて信じられないわ。」
含み笑いで言い返すユリエルを、アンロックは睨みつけて更に言った。
「まぁ、これでお前の存在価値は無くなった。悪いがここで死んでもらう。」
胸元に突きつけられた手刀に込められるマナの量が跳ね上がる。恐らく、このまま攻撃されればユリエルの命はないだろう。しかし、そんな状況でもユリエルは笑っていた。
「何がおかしい?」
「ふふふっ…!ここで死んでもらう?残念ね…。それはこっちのセリフよ!」
ユリエルの言葉と同時に、柚枝は背後からユリエルの刀をアンロックの背中めがけて突き出した。しかし、
「あ、あれ……?」
あと少しというところで、柚枝は手を止めた。しかし、それは柚枝の意思とは全く違うものだった。
「ど、どうして?」
「あっはっはっは!!!!残念だったな!俺が、俺に従うためのクローンを作るのに、安全処置を施さないわけがないだろう?」
高らかに笑うアンロック。どうやら、柚枝はアンロックの設定した安全処置のせいで動きを止められたようだ。
「万が一、俺の体にクローンが攻撃を加えた時にのみ発動するシステムでな。俺の体に攻撃が届くほんの少し手前で、動きが止まるようになったるんだよ!」
アンロックはそっと柚枝の方へと振り返り、にやけ顔でそう言った。
「早く逃げて!」
「無駄だぁ!全ての動きが封じられている今は、指一本すら動かすことは出来ない!」
そう言いながら、柚枝の腹部をおもいっきり蹴り上げるアンロック。
「がはっ……!」
刀を地面に落とし、その場に蹲る柚枝の体を更に蹴りつける。
「恐らくこのクローンは既にプログラムを組み換えられているはずだ。人間側にここまで出来る奴が居たことには驚きだが、それももう関係ない。あいつらはもうこの世には…いや。お前達の忠誠が嘘だったということは、あいつらもまだ生きているな?…クククッ、なかなかやってくれるじゃねぇか。」
柚枝はプログラムによって動きを封じられ、ユリエルは首を締めつけられて体に力が入らない。部屋の外に待機している蓮達がここに入って一斉に攻撃したところで、かなりの被害が出ることは容易に想像がつく。最悪、端末のボタンを押されて世界を消されかねない。ユリエルがどうしようかと頭を回転させて考えていると、突然机の方から物音がした。
「誰だ!」
アンロックが叫ぶ。しかし、部屋の中は再び無音状態と化していた。アンロックはユリエルをじっと睨みつけた、だが、この状態を不振に思っていたのはユリエルも同じだった。ユリエルはまだ事前に決めた合図をしていない。だがら、ここに蓮達が入ってくることはないのだ。
「今の音はなんだ?」
「私が聞きたいくらいだわ!」
ユリエルの返事に鼻で笑ったアンロックは、再び辺りを見渡して言った。
「おい!誰かは知らねぇが、こいつの命は俺が握っているようなもんだ。変な真似しやがったら、容赦なくこいつをコロ………ぐぁはっ!」
アンロックが言葉の途中で突然吐血する。その拍子に首を掴む力が弱まり、ユリエルはアンロックの腕から逃げ出すことができた。
「だ、誰だ貴様…。」
ユリエルが振り返りアンロックを見ると、アンロックの胸を誰かが後ろから刀で貫いていた。しかし、ユリエルの居る場所からは刀を握っているのが誰か見えない。ただ見えるのは、アンロックの胸を貫いているのが真っ黒な刀だということだけだった。
「じゃあ、合図があったら突入でお願いします。」
「了解。」
物音ひとつ立てずに隠れる蓮達を廊下に残し、ユリエルは柚枝を連れて実験室へ入った。
「戻ったわ。」
「遅かったな。何かあったのか?」
アンロックの言葉にユリエルは壁にかけてある時計を見た。すると、二人がこの部屋を出てから既に四時間が過ぎていたのだ。
「別に…、思いの外敵の戦力が高かっただけよ。」
「そうか。確かに、クローンの方も傷だらけだしな。」
そう言って柚枝の体を眺めるアンロック。まさか、蓮達の前に出ていく時につけた傷がこんなところで役に立つとはユリエル自身も思っていなかった。
「で、全員殺してきたんだろうな?」
「もちろんよ。一人残らず殺してきたわ。」
ユリエルの返事に、満足そうに微笑むアンロック。そして、アンロックは机の上に端末を置き、椅子から立ち上がった。
「よしお前ら…。二人とも服を脱げ。」
「「はぁ!?」」
突然の言葉に、ユリエル達は二人とも同じリアクションを返した。
「あなたがエロいのは仕方がないことだけど、まさかこんな面と向かってセクハラ発言を受けるとは思ってなかったわ。」
「バカか!そこにある機械でお前達の体の傷を治すんだよ!分かったらさっさと服を脱げ!」
手で体を隠すようなそぶりをし、嫌悪感に満ちた視線を向けるとアンロックは声を荒げた。しかし、ユリエルは手をヒラヒラと振ってアンロックを小バカにするように答えた。
「残念だけどその必要は無いわ。私達には治癒能力があるからね。この程度の傷くらい、そんな機械に頼らなくてもすぐに治せるわ。」
そう言って、ユリエル達はお互いに治癒能力をかけ合い、みるみるうちに傷を治した。
「残念ね。私達の裸が見れなくて。」
「このアマ……。」
クスリと笑うユリエルを、悔しそうにアンロックは睨みつけた。
「ところでこの後の計画ですが、私達はどうすればいいのでしょう?」
ユリエルを睨みつけたまま動かないアンロックに、柚枝はそっと歩み寄って訪ねた。すると、ふと我に返ったアンロックがおもむろに柚枝の首筋に手を伸ばした。
「お前は俺の事を拒んだりしないよな?何て言ったって、俺はお前のマスターなんだからな。…へへへっ……。」
アンロックの手が柚枝の首筋を撫で、鎖骨をなぞって下へと下りる。この時、ユリエルの脳内で、ある一つの大きな不安が生まれた。それは、柚枝のプログラムを組み換えてしまったことだ。元々の柚枝にとってのマスターはアンロックだが、今の柚枝にとってのマスターはユリエルだ。ここで、アンロックを拒絶すれば、プログラムを組み換えた事がバレてしまう。そうなれば、今までついた嘘も、組み立てた作戦も全てが無駄になってしまう。ユリエルはアンロックの行動を止めようと、平常心を装いつつ、言葉を発するために息を吸い込んだ。
「やめ…!」
「ア、アンロック様…。は、恥ずかしいです……。」
ユリエルが言葉を発しようとしたその時、柚枝が思いもよらない言葉を発した。
「大丈夫だ、乱暴にはしないから。」
「で、でも…。」
アンロックの手が、執拗に柚枝の体を撫で回す。本来なら、マスターでもない者にここまでされれば拒絶反応を起こしてもおかしくはない。しかし、柚枝は拒むどころかまんざらでもないように顔を赤らめ、プログラムの変更を誤魔化すための最高の演技をしてるのだ。
「やっぱり、自分の言うことに忠実な人形は可愛いな。まぁ、どこかの誰かさん見たいに、刺々しいのも嫌いじゃないがな。」
そう言って、柚枝の体を撫で回しながらユリエルを見てニヤリと笑うアンロックに、ユリエルは心の中で「この下衆が……。」と蔑んだ。
「そ、それでも、目の前で自分の体が好き勝手されるのは見ててあまり気分のいいものじゃないわ。早くやめてもらえるかしら?」
「うるせぇな。たかが作り物の体を触られたぐらいでピーチクパーチク鳴くんじゃねぇよ!」
「……。」
ユリエル怒りが臨海点を越えようとしたその時、ふと目が合った柚枝が、ただ黙ってアンロックにバレないように首を横に振った。柚枝のその行動で、冷静さを取り戻したユリエルが黙り込んだことをいいことに、アンロックは手の位置をどんどん下げ、柚枝の内腿や下腹部など際どい場所をまさぐり始めた。
「あぁ……。いい臭いだ……。この首筋にいつか俺自身の牙で初めての傷をつけてやりたい…。それが俺の願望だ。だが、それはクローンになんかじゃない。オリジナルのユリエルにだ。さぁ、これ以上こいつのあられもない姿が見たくないのであれば、こっちに来て俺に血を吸わせろ。」
アンロックは柚枝の服を引きちぎり、露になった下着の中に手を半分滑り込ませる。顔を背け恥ずかしさで頬を赤く染めたまま、作戦の為に必死に我慢している自分と同じ顔の柚枝を見て、ユリエルはそっと呟いた。
「わかった……。そっちに行くから、その子を離してあげて。」
トボトボと歩み寄りアンロックの側まで行くと、アンロックは半ば柚枝を投げ捨てるように退かし、ユリエルの服の襟を引っ張った。
「やっとこの時が来たぜ。」
「どうでもいいけど、あまり乱暴にしないでよ!」
「このくらい良いだろ!すぐにお前もそこのクローンと同じようにあられもない姿に変えてやるんだからよ。」
それを聞いて抵抗しだしたユリエルを力ずくで押さえ込み、服のボタンを引きちぎり、首元を露にする。
「この細く白い首筋に、俺が初めて………。」
そこまで言うと、アンロックの動きが止まった。視線はユリエルの首へ固定されたまま、驚愕したような表情を浮かべていた。
「こ、この、傷跡は……。」
「そうよ。この傷は噛まれた跡。残念ね、あなたが初めてになれなくて。」
挑発するように呟くと、激情したアンロックがユリエルの胸ぐらを掴んで持ち上げ、体を宙に浮かせた。
「誰だ!誰に噛まれた!俺はそいつを絶対に許さん!」
宙に浮かされたユリエルは、視線で柚枝に合図を出す。そして、アンロックに視線を戻すと、更に挑発するように言った。
「さぁ、誰だったかな?私の血が飲みたいなんて言う人いっぱい居たから、誰に飲ませたかなんて覚えてないわ。」
「そ、そんな…。」
アンロックの手が、絶望からかプルプルと震えだす。
「じゃあ、もうお前には用はない。後ろのクローンが居ればあとは何でも叶うからな。」
アンロックは手刀にマナを込め、ユリエルの胸元へと突きつけた。
「お前がバカなことをしなければ、俺のお気に入りとしてずっと守ってやったものを…。」
「不要になればすぐに切り捨てる上官の言うことなんて信じられないわ。」
含み笑いで言い返すユリエルを、アンロックは睨みつけて更に言った。
「まぁ、これでお前の存在価値は無くなった。悪いがここで死んでもらう。」
胸元に突きつけられた手刀に込められるマナの量が跳ね上がる。恐らく、このまま攻撃されればユリエルの命はないだろう。しかし、そんな状況でもユリエルは笑っていた。
「何がおかしい?」
「ふふふっ…!ここで死んでもらう?残念ね…。それはこっちのセリフよ!」
ユリエルの言葉と同時に、柚枝は背後からユリエルの刀をアンロックの背中めがけて突き出した。しかし、
「あ、あれ……?」
あと少しというところで、柚枝は手を止めた。しかし、それは柚枝の意思とは全く違うものだった。
「ど、どうして?」
「あっはっはっは!!!!残念だったな!俺が、俺に従うためのクローンを作るのに、安全処置を施さないわけがないだろう?」
高らかに笑うアンロック。どうやら、柚枝はアンロックの設定した安全処置のせいで動きを止められたようだ。
「万が一、俺の体にクローンが攻撃を加えた時にのみ発動するシステムでな。俺の体に攻撃が届くほんの少し手前で、動きが止まるようになったるんだよ!」
アンロックはそっと柚枝の方へと振り返り、にやけ顔でそう言った。
「早く逃げて!」
「無駄だぁ!全ての動きが封じられている今は、指一本すら動かすことは出来ない!」
そう言いながら、柚枝の腹部をおもいっきり蹴り上げるアンロック。
「がはっ……!」
刀を地面に落とし、その場に蹲る柚枝の体を更に蹴りつける。
「恐らくこのクローンは既にプログラムを組み換えられているはずだ。人間側にここまで出来る奴が居たことには驚きだが、それももう関係ない。あいつらはもうこの世には…いや。お前達の忠誠が嘘だったということは、あいつらもまだ生きているな?…クククッ、なかなかやってくれるじゃねぇか。」
柚枝はプログラムによって動きを封じられ、ユリエルは首を締めつけられて体に力が入らない。部屋の外に待機している蓮達がここに入って一斉に攻撃したところで、かなりの被害が出ることは容易に想像がつく。最悪、端末のボタンを押されて世界を消されかねない。ユリエルがどうしようかと頭を回転させて考えていると、突然机の方から物音がした。
「誰だ!」
アンロックが叫ぶ。しかし、部屋の中は再び無音状態と化していた。アンロックはユリエルをじっと睨みつけた、だが、この状態を不振に思っていたのはユリエルも同じだった。ユリエルはまだ事前に決めた合図をしていない。だがら、ここに蓮達が入ってくることはないのだ。
「今の音はなんだ?」
「私が聞きたいくらいだわ!」
ユリエルの返事に鼻で笑ったアンロックは、再び辺りを見渡して言った。
「おい!誰かは知らねぇが、こいつの命は俺が握っているようなもんだ。変な真似しやがったら、容赦なくこいつをコロ………ぐぁはっ!」
アンロックが言葉の途中で突然吐血する。その拍子に首を掴む力が弱まり、ユリエルはアンロックの腕から逃げ出すことができた。
「だ、誰だ貴様…。」
ユリエルが振り返りアンロックを見ると、アンロックの胸を誰かが後ろから刀で貫いていた。しかし、ユリエルの居る場所からは刀を握っているのが誰か見えない。ただ見えるのは、アンロックの胸を貫いているのが真っ黒な刀だということだけだった。
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