異世界ラグナロク 〜妹を探したいだけの神災級の俺、上位スキル使用禁止でも気づいたら世界を蹂躙してたっぽい〜

Tri-TON

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第四章 森の精霊

第59話 王の詰責と族長の裁き

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ガルドリアの魔獣召喚装置設置室――

ボンッ!

魔獣召喚装置から突如大きな爆発音がなった。

「火事だ!」

一人のエンジニアが青ざめながら叫んだかと思うと、現場が途端に大混乱になった。

「消火だ!早く消火をしろ!」

他のエンジニアも慌てて指示を出す。

複数のエンジニアが、消火活動をはじめ、なんとか鎮火したものの、あたりは煙が立ち込めており、むせかえる者、床に伏せる者などがいた。

アークリオスの王の間――

「陛下っ、緊急事態です!」

と声を張り裂けて衛兵が王の間に駆け込んできた。

「なにごとだ!無礼であるぞ!」

身に着けた宝飾品をジャラジャラと音を立てさせて王座から立ち、アークリオスが怒鳴る。

その怒声に震え上がりながらも衛兵が報告した。

「し、失礼しました。お、恐れながら、魔獣召喚装置から火が噴いたとのことです」

「なんだと!?装置はどうなった!」

「はっ。今は鎮火しているとのことです」

「そんなことは聞いておらん!無事なのか!」

アークリオスが今にも飛び掛かりそうな勢いで衛兵を怒鳴りつけた。

さらに委縮した衛兵は、

「そ、それが。まだ詳細は把握できておらず……」

と、おどおどしながら答えた。

「えぇーい、何をしておるのだ!責任者を呼べ!」

衛兵はそそくさと引き下がり、ほどなくして、白衣を纏った顔面蒼白のエンジニアがやって来た。

「どういうことだ!説明しろ!」

アークリオスがその者を問い詰める。

「は、はい。魔獣召喚装置から突如、火が噴出しまして……お、おそらく、連続して魔獣を召喚させたのでオーバーヒートを起こしたのではないかと……」

汗を拭きながら責任者が答えると、アークリオスはその者を鬼の形相で睨めつけて言った。

「もし魔獣召喚装置が使い物にならない状態になったら覚悟はできておろうな!」

「は、はい。必ず元に戻しますのでしばしのご猶予を」

直立不動となり責任者が即答したが――

「ならん。すぐに直して魔獣召喚を続けろ!」

理不尽なアークリオスの言葉に、責任者は顔を歪め、うなだれながら何とか返事をして退出していった。

王の間にひとり残されたアークリオス。

「愚か者がっ。どいつもこいつも使えないやつばかりだ!」

怒声は王の間に虚しく反響するばかりで、応える者は誰一人いなかった。



エルシアの森とドルムの里の詰所では――

コの字に並べられた机の真ん中に、リーファが一人立っていた。

詰所は重く静まり返っていた。

リーファの目の前の席には、セイラスタンがやや上向き加減で目をつむり、腕を組んで座っていた。

その横の席でルーインがいら立ちをあらわに出している。

そして、

「なんてことをしてくれたんだ!」

ルーインが、机をたたきつけながらリーファに怒鳴りつけた。

リーファは、唇をかみしめ、こぶしに力を込めながらも、無言のまま立っている。

「精霊の結界から魔素を吸収するなんて言語道断だ!結界が弱くなってしまったではないか!」

怒りの治めどころがないままルーインが続けて叫ぶように言った。

その言葉に、キッとした顔でルーインを見返すリーファ。

「うっ」

意外なリーファの行動に少しおののくルーインをよそに、セイラスタンが目を開けリーファを見ると静かに言った。

「まぁ、結果、ジルクも間一髪救え、魔獣も倒したのだからその点は考慮する必要がある……」

ルーインが、あっけにとられた感じでセイラスタンの方に顔を向けた。

「ただ、結界に魔素を迅速に補填する必要があるが……魔素供給装置をもう一台稼働すれば間に合うか?」

セイラスタンがグラントに問いかけると、

「うーむ、時間をかければいずれ魔素は満たされるだろうが……遅すぎるかもしれない」

グラントが唸りながら答えた。

「となると、リーファにはその補填を何とかしてもらうことにしよう」

セイラスタンが両手を握ってこぶしの上に顎を載せて言うと、リーファが問いかける。

「どういうこと?」

「森へ行って、魔石を探し出してきてほしい。それを使って結界の魔素を補充する」

セイラスタンは口元にわずかな笑みを浮かべ、穏やかに告げた。

リーファは感情を押し殺し、

「わかったわ。魔石を探してくる」

と頷いた。

このやり取りに置いてきぼりを食らって口を開けたままのルーインが我に返って言った。

「で、では、魔石を見つけて持ち帰るまではここに戻ることは許さん!」

言い終わると、ルーインがにやりと笑った。

その様子を見てリーファは、やれやれと言う顔をして

「はいはい、わかったわよ」

とつぶやくように言った。

一瞬の静寂――それを破ったのはグラントであった。

「では、わしも付き合うとするかのうぉ」

その言葉に慌てたのはリーファであった。

「な、なんであんたが来るのよ!」

「仕方なかろう。ミルファからお前の面倒を見るように頼まれておる」

グラントはまるで当然であるかのような口調であった。

「ったっく、あんたは……」

とリーファが文句を言いかけると

「よかろう。グラントも一緒に行ってくれ」

とセイラスタンが遮るように言った。

リーファは、戸惑いの表情でセイラスタンに顔を向けるも言葉を失った。

「では、決まりだな」

ルーインがすかさず発したが、セイラスタンがその言葉を無視して付け加えるように言った。

「そうそう。精霊の守り人のペンダントは置いていってもらおう。お前がなくすと大変だからな」

その言葉に、詰所の空気が張り詰めた。

リーファは目を見開いて押し黙り、グラントはセイラスタンを睨む。

そして、意外にも族長に声を発したのはルーインであった。

「ぞ、族長。このペンダントはもう効力を失っており……、ミオルネさんの形見、いや、ただのペンダントではないですか?別にリーファが持って行っても問題ないかと……」

しかし、返答したのはリーファであった。

「なるほど。”ものじち”というわけね。私が逃げ出さないように」

セイラスタンがにやりと笑い、

「そういうことにしておいてもらおう」

と言った。

「わかったわ」

そう言って、リーファは両腕を首の後ろに回してペンダントを外すと、

「私が戻るまでなくさないでよ」

と言って、そのままセイラスタンの目の前にかざした。

セイラスタンも

「当然だ」

と口元に笑みを浮かべながら、力を込めて返答をした。

そして、ペンダントは持ち主を選ぶかのように、ただクルクルと回り続けるのだった――
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