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第四章 森の精霊
第77話 暗闇に眠る白骨――そして、ほくそ笑む老人
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ルダルが灯す明かりの外は、静けささえ呑み込みそうなほどの暗闇――。
足音と水滴の音だけが、洞窟の奥へと吸い込まれていく。
ルダルたちは、かなりの距離を無言のまま歩き続けていた。
岩壁は湿って冷たく、空気はどこか淀んでいる。
ルノアとエメルダは、寒さと怖さに押しつぶされそうな足取りで、ルダルとグラントの後に何とかついてきてはいたが――。
「ね、ねぇ、ルダル……もう、何もないよ。帰ろうよ……」
涙目のルノアが、ついに訴える。
「そ、そうさ。ほ、骨折り損のくたびれ儲けってやつだ……」
エメルダも必死に同調し、震える声を張り上げた。
しかし、ルダルは一瞥もくれず、歩く速度を緩めない。
「お前ら、怖いなら帰っていいぞ。後は私とグラントで調べてくる」
その言葉に、ルノアとエメルダの顔が同時に引きつる。
(か、帰れるもんだったらとっくに帰ってるさ!この鬼が!)
(こ、怖いだろうが……帰り道が……鬼畜野郎!)
二人の心の叫びは、冷たい洞窟よりも、恐怖ではるかに冷え切った心の中に、むなしく沈んでいった。
さすがに憐れんだグラントが、歩きながらルノアとエメルダの方に振り向いて語りかけた。
「お嬢さんたち……怖いのかのぉ?無理せん方がえぇ」
年相応の落ち着いた声がルノアとエメルダの心を穏やかにする。
(グラント……さん?優しいじゃないか!)
(おぉ、やはり年寄りは人間ができているぞ!くそルダル野郎とは大違いだ!)
二人の顔が少し明るくなりかけたのだが――
「ここで待っておってもよいぞ」
グラントの無慈悲な言葉に、二人の心は奈落の底に落ちて行ったのだった――。
だが、その時だった。
「なんじゃ、あれは!?」
グラントが声を張り上げた。
洞窟にその声が反響し、湿った空気が震える。
その顔は、信じがたい光景――いや、恐ろしい光景を見ているかのようであった。
ルダルもすぐにその方向へ振り向く。
彼の瞳も、その驚きを隠せなかった。
奈落の底から急に現実へ引き戻されたルノアとエメルダが息をのむ。
「な、なんですかぁ……!?」
「う、うぅっ……!?」
恐る恐るグラントとルダルが見ている方向へと顔を向けた。
「「ぎゃぁぁぁ―――っ!」」
乙女のそれとは程遠い雄たけびにも似た悲鳴が、静寂な空間を引き裂き、どこまでも走っていった。
「なんだ?」
洞窟の奥から、人の声とは思えぬ喉を潰したような絶叫が届いた――。
まるで、誰かの魂が引きずり出されるような、おぞましい”断末魔”のようであった。
「ルノア……なの!?」
アマトとミィナは、顔を見合わせるや否や立ち上がった。
すかさずアマトが手を洞窟の奥へ掲げ、低く呟く。
「”幻扉”」
二人の前に扉が現れ、
ギィィ――ッ、
と扉がゆっくりと開かれ、冷気が流れ出る。
扉の向こうには――
ルダルとグラントの後ろ姿と、その前に腰を落として震えるルノアとエメルダの姿が――。
そしてその奥には――
うっすらと浮かびあがる一体の人骨があったのだ。
「どうした!」
アマトが扉から飛び込み、叫んだ。
その声を聞いたルノアとエメルダ。
「「ア"~マ~ト~ざま~」」
泣きじゃくりながらアマトを見るも、二人とも腰が抜けてそこから動けなかった。
ミィナはすぐに駆け寄り、二人の肩を抱いて声をかけた。
ルダルは、アマトの方を向いて報告した。
「我々も今この白骨に気付いたところです」
「……」
アマトは言葉を発しない。
そこへ、
「なんでこんなところに白骨があるんじゃ……」
グラントが誰もが思う疑問を口にすると、その白骨に近づいて、膝をついて観察を始めた。
しばらくすると、
「これは女のエルフじゃの」
と言ってその場に立ち上がる。
「いつごろのだ?」
ルダルがグラントの横へ来て尋ねる。
「よくはわからんが……数百年はたっておるじゃろ」
グラントは深く息を吐き、そっと両手を合わせて拝んだ。
静寂――冷たい空気が、全員の頬をなでて通り過ぎた。
「もうやだ~! 早く外出たい~っ!」
ルノアが泣きながら叫ぶ。
その声が洞窟の奥へと反響して消える。
そして――
「……ふっ、ふっ、ふっ……」
湿った空気を震わせるように、背後から低く、不気味な笑い声が響いた。
全員の背筋に電流が走る。
アマトたちは、一斉に振り返る。
「誰だ!」
ルダルが即座に構えを取り、鋭く声を放った。
声のする方へ明かりを向けると――そこには、黒いローブを頭から纏った人影が、鉄格子の向こうに立っていた。
「早まるなよ……若造」
低く、枯れたような声が響く。
「わしは怪しいもんではない」
そう言って、ゆっくりと、その者は頭にかかっていたローブを取った。
そこから現れたのは――長い白髪の老人で、酷く痩せこけていたが、その耳の先端は尖っていた。
「エルフなのか?」
グラントが目を細めながら尋ねる。
「あぁ、そうだ」
と言って、そのエルフは鉄格子から離れて、後ろにある石に腰掛けた。
「あんたは誰じゃ?なぜここにおる?」
グラントが素朴な疑問をぶつける。
「……ふっ……長らくこの地に幽閉されてたから忘れてしまったようだ……」
とニヒルな笑みを浮かべ、眼光が光る。
一瞬の静寂が訪れる。
次に話し始めたのは年老いたエルフであったーーしかし、
「そ、そなたたち、す、すまないが、わしをこの牢から出してはくれぬか。れ、礼は必ず出す」
少し息が荒くなって、声を出すのが苦しそうであった。
そこへ、
「ふざけるな!幽閉されて、名前すら忘れてるやつを、そう簡単に信じられるか!」
さっきまで、恐怖でヘナヘナだったルノアが、怒りのやり場をこのエルフにぶつけたのだった。
すると、
「……ふっ……れ、礼節を重んじてエルフの姿になっていたが……そ、そろそろ限界のようだ……」
と言うと、エルフは人間の姿に戻り、壁に背中をつけ、顔を上げ肩で息をし出した。
ミィナが少し心配そうに見つめる。
アマトはミィナに目をやり
「ミィナ、こいつをどう思う」
と言って、再びエルフを見つめる。
ミィナが、真剣な顔つきで、今にも倒れそうなそのエルフをジッと見つめた。
ミィナの目に映るのは、柔らかく暖かいオーラ。
そして答えた。
「たぶん、悪い人ではないと思います……」
その言葉には確信めいた力がこもっていた。
ルノアが、その答えにキョトンとする。
アマトは疑いなく頷くと、
「であれば、出してやるか」
一歩前に出るや、鉄格子を片手で掴み――まるで豆腐でも握るように破壊した。
その行動を見ていたそのエルフが
「恩に切るぞ。若者……」
と言って前へ倒れかけたところを、スライムに変身したミィナがスッと入って支えたのだった。
そしてそのまま、
「"恩恵"」
と唱えると、肩で息をしていた老エルフの呼吸が落ち着いてきた。
そして、エルフの顔に生気が戻ると、
「……すまんのぉ、お嬢さんや」
エルフはニッコリと笑い、先ほどまでの威厳ある声音とは打って変わって、急に老人口調になった。
「いいえ、大丈夫ですか?」
ミィナは人の姿に戻り、穏やかに微笑む。
「生き残っててよかったわい。まさか、こんな美人に助けてもらえるとはのぉ」
少し頬を赤らめながら言うその顔は、どう見ても鼻の下が伸びていた。
「「……」」
ルノアとエメルダが同時に無言で見つめる。
「では、この檻から出るとしようかのぉ。いやぁ、久しぶりじゃのぉ……はて?お嬢さん、何年ぶりに外に出るんじゃったかの?」
突然振られて、ミィナは一瞬戸惑う。
「さ、さぁ……何年でしょうねぇ」
と、引きつった笑みを返した。
(なんか、さっきまでの雰囲気、どこ行った……人間体になるとこうなるのか?)
(こいつ……ただのボケたジジィなんじゃねぇのか?)
ルノアとエメルダの心の声が、洞窟の冷気よりも冷たく響いた。
そんなふうに思われているとはつゆ知らず、この年老いたエルフがミィナに言った。
「すまんがお嬢さん、ちと立つのを手伝ってくれんかのぉ」
「ええ、いいですよ」
ミィナが笑顔で両手を伸ばした、その瞬間――
「きゃっ!」
ミィナが小さく悲鳴を上げ、お尻を抑えていた。
エルフの鼻の下が、するりとさらに伸びる。
「ホッホッホッ、やっぱり若い娘のオシ……」
と言い終わる前だったーー
バキッ!
ボコッ!
「このエロじじいがぁぁーーっ!」
「何さらしとんじゃぁ!おんどれぇぇーーっ!」
ルノアとエメルダの鉄槌が、老人の頭頂と背に同時に落ちた。
「ろ、老人虐待反対……」
エルフは顔半分を地面に擦りつけたまま訴える。
「何言ってやがるっ!」
「その前にセクハラじゃろがい!」
さらに殴りかかろうとした瞬間――
「ぶ、無礼であろう!わしを誰だと思う!エアデランじゃ!」
洞窟が揺れるほどの一喝。
一瞬、場が静まり返った。
「……おっ、そうじゃ。わしの名はエアデランじゃ。殴られて思い出したわい。ハッハッハッ」
とエルフは、地べたに座り、高らかに笑った。
次の瞬間、
「な、なんじゃとーっ!?」
大きな声を上げたのは、グラントであった。
「どうした!」
咄嗟に問うルダル。
グラントは蒼ざめた顔で、かすれ声を絞り出した。
「こ、こやつは……二百年前、ミオルネさんと共に消息を絶ったエルシアの森の長老じゃ!」
あまりの出来事に、一同は声を失ったのだったーー。
足音と水滴の音だけが、洞窟の奥へと吸い込まれていく。
ルダルたちは、かなりの距離を無言のまま歩き続けていた。
岩壁は湿って冷たく、空気はどこか淀んでいる。
ルノアとエメルダは、寒さと怖さに押しつぶされそうな足取りで、ルダルとグラントの後に何とかついてきてはいたが――。
「ね、ねぇ、ルダル……もう、何もないよ。帰ろうよ……」
涙目のルノアが、ついに訴える。
「そ、そうさ。ほ、骨折り損のくたびれ儲けってやつだ……」
エメルダも必死に同調し、震える声を張り上げた。
しかし、ルダルは一瞥もくれず、歩く速度を緩めない。
「お前ら、怖いなら帰っていいぞ。後は私とグラントで調べてくる」
その言葉に、ルノアとエメルダの顔が同時に引きつる。
(か、帰れるもんだったらとっくに帰ってるさ!この鬼が!)
(こ、怖いだろうが……帰り道が……鬼畜野郎!)
二人の心の叫びは、冷たい洞窟よりも、恐怖ではるかに冷え切った心の中に、むなしく沈んでいった。
さすがに憐れんだグラントが、歩きながらルノアとエメルダの方に振り向いて語りかけた。
「お嬢さんたち……怖いのかのぉ?無理せん方がえぇ」
年相応の落ち着いた声がルノアとエメルダの心を穏やかにする。
(グラント……さん?優しいじゃないか!)
(おぉ、やはり年寄りは人間ができているぞ!くそルダル野郎とは大違いだ!)
二人の顔が少し明るくなりかけたのだが――
「ここで待っておってもよいぞ」
グラントの無慈悲な言葉に、二人の心は奈落の底に落ちて行ったのだった――。
だが、その時だった。
「なんじゃ、あれは!?」
グラントが声を張り上げた。
洞窟にその声が反響し、湿った空気が震える。
その顔は、信じがたい光景――いや、恐ろしい光景を見ているかのようであった。
ルダルもすぐにその方向へ振り向く。
彼の瞳も、その驚きを隠せなかった。
奈落の底から急に現実へ引き戻されたルノアとエメルダが息をのむ。
「な、なんですかぁ……!?」
「う、うぅっ……!?」
恐る恐るグラントとルダルが見ている方向へと顔を向けた。
「「ぎゃぁぁぁ―――っ!」」
乙女のそれとは程遠い雄たけびにも似た悲鳴が、静寂な空間を引き裂き、どこまでも走っていった。
「なんだ?」
洞窟の奥から、人の声とは思えぬ喉を潰したような絶叫が届いた――。
まるで、誰かの魂が引きずり出されるような、おぞましい”断末魔”のようであった。
「ルノア……なの!?」
アマトとミィナは、顔を見合わせるや否や立ち上がった。
すかさずアマトが手を洞窟の奥へ掲げ、低く呟く。
「”幻扉”」
二人の前に扉が現れ、
ギィィ――ッ、
と扉がゆっくりと開かれ、冷気が流れ出る。
扉の向こうには――
ルダルとグラントの後ろ姿と、その前に腰を落として震えるルノアとエメルダの姿が――。
そしてその奥には――
うっすらと浮かびあがる一体の人骨があったのだ。
「どうした!」
アマトが扉から飛び込み、叫んだ。
その声を聞いたルノアとエメルダ。
「「ア"~マ~ト~ざま~」」
泣きじゃくりながらアマトを見るも、二人とも腰が抜けてそこから動けなかった。
ミィナはすぐに駆け寄り、二人の肩を抱いて声をかけた。
ルダルは、アマトの方を向いて報告した。
「我々も今この白骨に気付いたところです」
「……」
アマトは言葉を発しない。
そこへ、
「なんでこんなところに白骨があるんじゃ……」
グラントが誰もが思う疑問を口にすると、その白骨に近づいて、膝をついて観察を始めた。
しばらくすると、
「これは女のエルフじゃの」
と言ってその場に立ち上がる。
「いつごろのだ?」
ルダルがグラントの横へ来て尋ねる。
「よくはわからんが……数百年はたっておるじゃろ」
グラントは深く息を吐き、そっと両手を合わせて拝んだ。
静寂――冷たい空気が、全員の頬をなでて通り過ぎた。
「もうやだ~! 早く外出たい~っ!」
ルノアが泣きながら叫ぶ。
その声が洞窟の奥へと反響して消える。
そして――
「……ふっ、ふっ、ふっ……」
湿った空気を震わせるように、背後から低く、不気味な笑い声が響いた。
全員の背筋に電流が走る。
アマトたちは、一斉に振り返る。
「誰だ!」
ルダルが即座に構えを取り、鋭く声を放った。
声のする方へ明かりを向けると――そこには、黒いローブを頭から纏った人影が、鉄格子の向こうに立っていた。
「早まるなよ……若造」
低く、枯れたような声が響く。
「わしは怪しいもんではない」
そう言って、ゆっくりと、その者は頭にかかっていたローブを取った。
そこから現れたのは――長い白髪の老人で、酷く痩せこけていたが、その耳の先端は尖っていた。
「エルフなのか?」
グラントが目を細めながら尋ねる。
「あぁ、そうだ」
と言って、そのエルフは鉄格子から離れて、後ろにある石に腰掛けた。
「あんたは誰じゃ?なぜここにおる?」
グラントが素朴な疑問をぶつける。
「……ふっ……長らくこの地に幽閉されてたから忘れてしまったようだ……」
とニヒルな笑みを浮かべ、眼光が光る。
一瞬の静寂が訪れる。
次に話し始めたのは年老いたエルフであったーーしかし、
「そ、そなたたち、す、すまないが、わしをこの牢から出してはくれぬか。れ、礼は必ず出す」
少し息が荒くなって、声を出すのが苦しそうであった。
そこへ、
「ふざけるな!幽閉されて、名前すら忘れてるやつを、そう簡単に信じられるか!」
さっきまで、恐怖でヘナヘナだったルノアが、怒りのやり場をこのエルフにぶつけたのだった。
すると、
「……ふっ……れ、礼節を重んじてエルフの姿になっていたが……そ、そろそろ限界のようだ……」
と言うと、エルフは人間の姿に戻り、壁に背中をつけ、顔を上げ肩で息をし出した。
ミィナが少し心配そうに見つめる。
アマトはミィナに目をやり
「ミィナ、こいつをどう思う」
と言って、再びエルフを見つめる。
ミィナが、真剣な顔つきで、今にも倒れそうなそのエルフをジッと見つめた。
ミィナの目に映るのは、柔らかく暖かいオーラ。
そして答えた。
「たぶん、悪い人ではないと思います……」
その言葉には確信めいた力がこもっていた。
ルノアが、その答えにキョトンとする。
アマトは疑いなく頷くと、
「であれば、出してやるか」
一歩前に出るや、鉄格子を片手で掴み――まるで豆腐でも握るように破壊した。
その行動を見ていたそのエルフが
「恩に切るぞ。若者……」
と言って前へ倒れかけたところを、スライムに変身したミィナがスッと入って支えたのだった。
そしてそのまま、
「"恩恵"」
と唱えると、肩で息をしていた老エルフの呼吸が落ち着いてきた。
そして、エルフの顔に生気が戻ると、
「……すまんのぉ、お嬢さんや」
エルフはニッコリと笑い、先ほどまでの威厳ある声音とは打って変わって、急に老人口調になった。
「いいえ、大丈夫ですか?」
ミィナは人の姿に戻り、穏やかに微笑む。
「生き残っててよかったわい。まさか、こんな美人に助けてもらえるとはのぉ」
少し頬を赤らめながら言うその顔は、どう見ても鼻の下が伸びていた。
「「……」」
ルノアとエメルダが同時に無言で見つめる。
「では、この檻から出るとしようかのぉ。いやぁ、久しぶりじゃのぉ……はて?お嬢さん、何年ぶりに外に出るんじゃったかの?」
突然振られて、ミィナは一瞬戸惑う。
「さ、さぁ……何年でしょうねぇ」
と、引きつった笑みを返した。
(なんか、さっきまでの雰囲気、どこ行った……人間体になるとこうなるのか?)
(こいつ……ただのボケたジジィなんじゃねぇのか?)
ルノアとエメルダの心の声が、洞窟の冷気よりも冷たく響いた。
そんなふうに思われているとはつゆ知らず、この年老いたエルフがミィナに言った。
「すまんがお嬢さん、ちと立つのを手伝ってくれんかのぉ」
「ええ、いいですよ」
ミィナが笑顔で両手を伸ばした、その瞬間――
「きゃっ!」
ミィナが小さく悲鳴を上げ、お尻を抑えていた。
エルフの鼻の下が、するりとさらに伸びる。
「ホッホッホッ、やっぱり若い娘のオシ……」
と言い終わる前だったーー
バキッ!
ボコッ!
「このエロじじいがぁぁーーっ!」
「何さらしとんじゃぁ!おんどれぇぇーーっ!」
ルノアとエメルダの鉄槌が、老人の頭頂と背に同時に落ちた。
「ろ、老人虐待反対……」
エルフは顔半分を地面に擦りつけたまま訴える。
「何言ってやがるっ!」
「その前にセクハラじゃろがい!」
さらに殴りかかろうとした瞬間――
「ぶ、無礼であろう!わしを誰だと思う!エアデランじゃ!」
洞窟が揺れるほどの一喝。
一瞬、場が静まり返った。
「……おっ、そうじゃ。わしの名はエアデランじゃ。殴られて思い出したわい。ハッハッハッ」
とエルフは、地べたに座り、高らかに笑った。
次の瞬間、
「な、なんじゃとーっ!?」
大きな声を上げたのは、グラントであった。
「どうした!」
咄嗟に問うルダル。
グラントは蒼ざめた顔で、かすれ声を絞り出した。
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あまりの出来事に、一同は声を失ったのだったーー。
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