異世界ラグナロク 〜妹を探したいだけの神災級の俺、上位スキル使用禁止でも気づいたら世界を蹂躙してたっぽい〜

Tri-TON

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序章 混沌の胎動

第2話 原初の女神ティアマト……残念系!?

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(……誰だ?)

呼びかける声――あまりにも優しくて、温かくて――だが、その奥に底知れない力を俺は感じた。


そして――現れた。


銀色に輝く長い髪。

夜空をすくったような、深い紺碧の瞳。

幻想的で、どう見てもこの世の存在とは思えないほど、美しい女だった。

「ふふっ、やっと……会えた……!」

まるで旧友にでも再会したかのように、嬉しそうに微笑む。

「あなた、本当にすごいわ……こんなに魔素を纏った人、滅多にいないの!」

キラキラした目で俺を見つめてくる。

(魔素……?)

よくわからなかったが、とりあえず聞いてみた。

「……お前、誰だ?……ん?声、出たな」

女はぱちんと指を鳴らし、満面の笑みを浮かべて言い放つ。

「私はティアマト!このカオスの管理者であり、万物の原初の女神なのよ!すごいでしょー!」

胸を張って、子どもみたいに得意げに語る。

(ティアマト、ね)

名前を聞いて、少しだけ気持ちが落ち着いた。

俺は続けて尋ねる。

「カオス、ってのは?」

「うんとね、簡単に言うと……万物の始まりの地よ!

あなたのいた世界も、神々のオリンポスも、ぜーんぶ、ここから生まれたの!」

ティアマトは誇らしげに両手を広げた。

「つまり、ここがすべての原点……ってことか」

「そうそう! よくわかってるじゃない!」

ぱちぱちと手を叩いて喜ぶティアマト。

(……いやいや、女神ってもっとこう、神秘的で近寄りがたい存在じゃないのか?)

「……まぁ、よろしくな、ティアマト」

「あ、あの……そんな、ため口で……」

ティアマトの肩がピクピクと震えるのが見える。

でも俺は、

「いや、別に神様とか興味ねぇから普通にしゃべるぞ」

と言い切った。

「うぅ……」

女神、半泣きである。

その様子に、さすがに苦笑するしかなかった。

「で?俺に何の用だ?」

ティアマトは、少しだけ真剣な顔になった。

「あなた、なんでここにいるか、わかる?」

「……なんとなく、死んだからだろ?」

「それもあるけど……今のあなた、普通じゃないの。

魔素量が尋常ではないくらい膨大なのよ!」

ティアマトが身を乗り出すようにして続ける。

「このままあなたがオリンポスに転生したら、

間違いなくチート級の能力者になるわ。

もう、無敵よ!」

そして突然、ティアマトは両手を合わせ、ぺこりと頭を下げた。

「だから、お願い!”特異点”として、オリンポスに行って魔素を回収してきて!」

「……話が見えねぇ。なんで俺なんだよ」

俺が眉をひそめると、ティアマトはぷるぷる震えながら説明を続けた。

「いま、この世界はとんでもないことになっているの。

魔素がどんどんオリンポスに流れていっちゃって……

このままだとカオスの魔素がスカスカになって、

オリンポスも、カオスも、そして、あなたの元の世界さえも、

全部、崩壊しちゃうのよ!」



「……面倒くせぇ」



俺は、即答した。

「ええええええええええええっ!!」

ティアマトは顔を真っ赤にして絶叫し、そのまま泣き出した。

「だって……

原初の女神のお願いなのに……

全世界の命運がかかってるのに……

カオス、飽きたのに……

オリンポス、ちょっと見たかったのに……!」

完全に駄々っ子モードだ。

「はぁ……」

ため息しか出ない。

「……そもそも、お前、自分じゃ行けないから俺に押しつけたんだろ?」

そう尋ねると、ティアマトはあっさり頷いた。

「うん。私はカオスの管理者だから、物理的に直接オリンポスへは行けないの」

(……つまり、面倒ごとを押しつけられたってことか)

またしても、ため息が出る。

正直、世界のバランスなんてどうでもよかった。

それより――

「……赫夜《かぐや》って娘、知ってるか?」

その名を口にした瞬間、ティアマトの涙がぴたりと止まった。

そして、さっきとは打って変わった冷静な顔で、俺を見つめてくる。

「自己中ね、あなた。友達少なかったでしょ?」

「うるせぇ、ほっとけ」

思わず口を尖らせる。

ティアマトは、ふっと笑った。

「でも、赫夜ちゃんならオリンポスにいるわよ」

「……本当か!?」

思わず身を乗り出すと、ティアマトはコクンと頷いた。

「赫夜ちゃん、すごく優秀な子だったの。

素直で、礼儀正しくて……あぁ、本当にいい子だったわ……」

語るその顔には、どこか親しみが滲んでいた。

「オリンポスの様子を見るために、私の目になってもらったの。視覚の回廊を通してね」

ティアマトの声色が、少し沈む。

「でもね、途中で情報がぷつんと途絶えちゃったの」

「……死んだのか?」

俺の声も、自然と低くなる。

ティアマトは、そっと首を横に振った。

「たぶん違う。でも、活動を停止してるみたい」

(……)

胸が締めつけられる。

(もし、赫夜がまだ生きてるなら……)

「わかった。俺が、オリンポスに行く」

俺は迷わなかった。

「赫夜を探す。そのついでに、魔素も回収してやる」

「……ついで?」

ティアマトが頬をぷくっと膨らませたが、すぐに笑顔に戻った。

「いいわ! オリンポス、きっと楽しいところよ!」

無邪気に付け加える。

「きれいな景色とか、美味しいものとか、素敵なお土産とか、いっぱいあるといいなぁ~!」

(……この女神、残念系だな。

いや、視覚や聴覚はわかる。味覚は……まぁ、ギリいけるか?

つーか、お土産ってどうやって渡すつもりだよ。

お前、物理的にオリンポス行けねぇんだろ?)

ティアマトが手をぴょこんと上げる。

「では、あなたに新たな名前を授けましょう!」

続けて言った。

「……その前に。あなたの本当の名前、教えて?」

少しだけ迷ったが、正直に名乗った。

「暁神天翔《あかつきがみ あまと》だ」

その瞬間、ティアマトの動きがぴたりと止まった。

まるで、何かを思い出したような顔をして――

「アカツキガミ……アマト……ね……」

小さく呟き、なぜか納得したように微笑む。

(……なんだ、今の反応は)

不思議に思ったが、ティアマトはすぐに明るい笑顔で言った。

「うん! じゃあ、“アマト”でいきましょう!」

その声には、かすかに何か秘めたものが混じっていた。

ティアマトがふわりと手を振る。

「じゃあ、行ってらっしゃい!」

その言葉とともに、俺は光に包まれていった。

「あなたとカオスの回廊をつないでおいたからねー!

観光情報もよろしくねー!

お土産よろしくねー!!」
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