異世界ラグナロク 〜妹を探したいだけの神災級の俺、上位スキル使用禁止でも気づいたら世界を蹂躙してたっぽい〜

Tri-TON

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序章 混沌の胎動

第3話 転生したら原生林に怪物がいた件

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まぶたの裏が、ぼんやりと明るい。
意識が、ゆっくりと浮かび上がってくる。だが、身体がやけに重い。

(……ここは、どこだ?)

思考がぐるぐると回る。
俺は、少しだけ頭を振って、重たいまぶたを無理やり持ち上げた。

目に映ったのは、木漏れ日。
でかい樹々が、空を覆うようにそびえていた。
しかし、よく見ると……どこかおかしい。
葉は色褪せて、枝は枯れてる。地面の苔もまばらで、まるで死にかけの森みたいだ。

一見すると原生林。でも、その実態は、命の匂いが薄い異様な風景。

(……原生林、か?)

自然とそんな言葉が浮かぶ。
だが、胸の奥に引っかかる違和感が消えない。

(俺……死んだんだよな)

そして、ふと思いつく。

(赫夜《かぐや》は……?)

ぼんやりとした記憶を辿る。
あの光の海。ティアマトと名乗った、どこかズレた女神。

「魔素を回収してきて」――確か、そんなことを言われた。

(……転生ってやつか)

「……にしても」

俺は立ち上がって、あたりをぐるりと見渡す。

「しかし、いくらなんでも、ジャングルのど真ん中に放り出すか、普通……」

思わず声が漏れた。呆れたというより、呆然に近かった。

(やはり、あの女神、どうしようもない残念系だったな)

とは言え、

(まぁ……生きてるだけマシか)

そう思って、大きく息を吸い込む。

湿った空気だとは思うが、どこか乾いてる。
普通の森なら、もっと瑞々しい匂いがするはずなんだが――ここには、それがない。

(……何かがおかしい)

理由はわからないが、この森は、決定的に「命の気配」が希薄だった。

そう思いながら、一歩を踏み出そうとしたそのとき――

「きゃあああああっ!!」

甲高い悲鳴が、森の奥から響いた。

そして、重く響く地響きのような音。

(何だ……!?)

本能が告げてくる。――これは、ヤバいやつだ。

俺は、ためらうことなくその声の方へ駆け出していた。

樹々をかき分け、息を切らす間もなく走る。

視界が開けた先にいたのは――

十数メートルはあろうかという、巨大な存在。

地を這う四肢。岩のような鱗。
全身から、禍々しい気配を撒き散らしている。

(……まじかよ)

間違いない。化け物だ。いや、“魔物”だ。

その足元には、背を木に預けて、必死に立っている娘がいた。
今にも崩れ落ちそうなほど震えてる。

(やばい……!)

魔物の視線は、完全に彼女に定まっていた。

飛びかかろうとする――その瞬間、

(くそ……!)

俺は、足元の小石を掴んでいた。

こんなもんで、あの巨体の気を引けるとは思ってない。
だが、やるしかなかった。

(頼む……こっちを見ろ!)

念じるように、石に力を込めた――つもりだった。

その瞬間、手から何か……目には見えない光のようなものが立ち昇って、石にまとわりついた感覚があった。

(……なんだ、これ?)

戸惑ってる暇なんてなかった。

放たれた石は、目にも止まらぬ速さで――

ズドン

と、魔物の頭を正確に撃ち抜いた。

巨体がぐらりと揺れて――
ドシーン、と地響きを立てて崩れ落ちる。

「……え?」

呆然と立ち尽くす俺。

あの化け物が、小石ひとつで――

(いやいや……絶対おかしいだろ)

しかし、現実だった。

動かなくなった魔物。
その隣で、娘がふらりと崩れ落ちた。

「お、おい!」

慌てて駆け寄る。

倒れた娘は驚くほど軽くて、顔色も悪かった。
だが、なんとか息はある。

(よかった……)

そう思った矢先――

【ギガントマキア級”魔獣”討伐成功――これから、報酬として、対象に見合うスキルを譲渡します。一つ、アルティメイトスキル、搾取。一つ、エクストララスキル、創造。一つ、スタンダードスキル、恩恵。一つ、スタンダードスキル、雷――】

(な、なんだ……?)

無機質な声が、頭の中に直接響いた。
ゲームのシステムメッセージみたいなそれは、まだ続いてる。

(スキル? 譲渡?)

訳がわからない。
しかし、今はそれどころじゃない。

目の前で倒れてる、この娘の方が気がかりだ。

「……大丈夫か」

そう声をかけようとした、そのとき――

「そこのお前! やっと見つけたぞぉぉぉぉ!!」

耳をつんざく怒鳴り声が、森の奥から響いた。

(……誰だよ、今度は)

俺は立ち上がり、声のする方を睨んだ。

この世界のことは、まだ何も知らない。
これから、何が待ってるかもわからない。

だが、一つだけ確信してる。

(面倒なことに巻き込まれたな、これは……)
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