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第三章 咆哮の誇り ※序盤、シリアス、途中、切ない系、終盤、怒涛のカタルシス
第39話 信じるから託す
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「ルダル……? アタシは……何を……」
セシアのかすかな声が洞窟に響き、震える指がルダルの衣服をそっと掴む。
「よかった……本当に、よかった……」
ルダルが声を詰まらせながら、セシアの髪を優しく撫で続ける。
村人たちは涙を拭い、自然と拍手が広がり、シンも嬉しそうに笑顔で涙を拭った。
ミィナ、ルノア、エメルダは少し離れた場所でアマトのそばに戻り、4人で穏やかにその光景を見守っていた。
ルダルは、セシアを支えながら一度深く息を吐き、震える声で言葉を繋ぐ。
「お前は……私をかばって魔獣に深い傷を負わされたんだ。そして……俺もあの時、魔獣に吹き飛ばされて……気づけば、全身ボロボロで……」
言葉を区切りながら、ルダルは少しずつ語る。
「ポタ村で治療を受けて……そして、さっき、やっと……ここに帰ってきたばかりだ」
そう言って、ルダルは静かに4人の方へ顔を向ける。
アマトたちは無言のまま立ち、淡い光の中でただ見つめ返していた。
だが、その時、場の空気がふっと揺れるように、ひそやかなざわめきが広がり始めた。
「……あの男、異世界人じゃないのか?」
その言葉は小さな石を落とした水面に広がる波紋のように洞窟全体へ伝わり、次第にざわめきは大きくなる。
「なんで……こんなところに……?」
「まさか、魔獣が現れたのはあいつのせいじゃ……?」
怯えた瞳が、アマトとミィナへと向けられる。
その視線は、恐怖と猜疑に満ち、あたかも牙を剥く獣たちのように鋭く冷たかった。
ミィナが一歩後ずさり、眉を寄せて小さく震える。
アマトは静かに立ち尽くし、村人たちをじっと見据えていたが、その眼差しはどこまでも冷静で、揺るぎないものだった。
「やめろ」
洞窟に響き渡った低く鋭い声が、ざわめきを一瞬で切り裂いた。
ルダルの声だった。
ルダルはゆっくりと立ち上がり、鋭い視線で村人たちを見渡す。
その瞳には怒りではなく、覚悟と責任、戦士としての誇りが宿っていた。
「みんな、聞いてくれ――」
ルダルの声は低く、しかし洞窟の隅々まで響き渡った。
「俺はポタ村で、この4人に命を救われた。……そして、先ほども、この4人が目の前で二体目の魔獣を倒したんだ。今、俺がこうしてここに立っていられるのも、セシアが生きているのも、すべてこの4人のおかげだ」
その言葉に間を置き、ルダルはアマトの方を見やり、重みのある声で続けた。
「その中心にいるのが、あの異世界人……アマトだ」
沈黙が洞窟を満たした。
誰もが言葉を失い、ただルダルの声に耳を傾けるしかなかった。
「今は、俺を信じてくれ。頼む……アマトたちを、敵視しないでくれ」
村人たちは、ルダルの言葉に押し黙った。視線を落とし、隣の者と顔を見合わせる。異世界人への恐怖が、そう簡単に消えるわけではなかった。
だが、その沈黙を破ったのは――セシアだった。
「……アタシは……命を救ってくれた恩人に……牙をむくほど、腐っちゃいない。私は、この判断を、ルダルに託すよ」
小さな声だったが、その響きは洞窟の奥深くまで届き、誰もが息を呑む。
ルダルがその言葉に応えるように、セシアの肩をそっと抱きしめた。
セシアの言葉は、まるで水面に投げられた小石のように、洞窟の空気を揺らした。
誰かが小さく息を呑み、誰かが目を伏せ、そして――頷いた。
一人、また一人と。
村人たちは、静かに、だが確かに、ルダルの決断に身を委ねていったのだ。
それを見届けたルダルは、胸の奥からひとすじの安堵を吐き出すように、静かに息をついた。
セシアは、ルダルの胸元に顔をうずめながら、震える指をぎゅっと握りしめ、ゆっくりと周囲を見渡した。そして、薄暗い洞窟の中、肩を寄せ合う村人たちの顔を一人ずつ確かめるように見つめ、かすれた声で問いかけた。
「……他の奴らは……どうしたの……?」
その声に、シンが小さく肩をすくめ、息を呑むようにして答える。
「……それが……他の人たちは……それぞれ別の洞窟に分かれて隠れてる。一か所に集まると危ないって……」
「そうか……」
セシアが小さく頷き、そして目を伏せた。
だが、ふとした瞬間、何かを思い出したかのように顔を上げ、再び尋ねる。
「……グレオニウスは? あいつは……どうしたの……?」
その場に、重い沈黙が降りた。
ルダルも、村人たちも、何も言わず、ただ俯き、唇をかみしめる。
セシアはその空気に気づき、震える声で問い詰めるように呟いた。
「……まさか……あいつが……負けたの……?」
肩が小さく震え、目尻に再び涙が浮かぶ。
声にならない嗚咽がこみ上げ、震える手が膝の上で小さく握られる。
ルダルは、そっとセシアの肩を抱き寄せ、低く、しかし力強い声で言った。
「セシア……あいつを誇ってやれ……。間違いなく、村一番の最強の戦士だった」
その言葉は、洞窟の中に静かに、しかし確かに響き渡った。
誰もがその言葉に目を閉じ、沈黙の中で祈りを捧げるように、グレオニウスの名を心に刻んだ。
ただ、その祈りが終わる間もなく――
洞窟の外で、突如として轟音が響いた。
大地が震え、耳をつんざくような咆哮が、夜の静けさを引き裂く。
「なっ、なんだ!?」
村人たちが顔を上げ、息を呑む。
子供の悲鳴が外から響き、シンが顔を青ざめさせながら立ち上がった。
「外だ! 他の洞窟のやつらだ!」
ルダルは弾かれるように立ち上がり、洞窟の外へと駆け出した。
その後を追うように、アマトたちも視線を交わし、小さく頷き合って走り出す。
外に飛び出したルダルの目に飛び込んできたのは、漆黒の巨体だった。
これまでの魔獣を凌駕する、異様なほどの圧迫感――
その背にのたうつ黒煙、うなりを上げる鋭い爪、牙を剥き出しにし、狂気じみた眼光が村人たちを睨みつけていた。
「……っ!」
ルダルの呼吸が止まる。
だが、その眼差しは次の瞬間、か細い悲鳴に引き寄せられた。
「助けてっ!」
瓦礫の陰から、幼い子供が震えながら這い出ようとしていたのだ。
「シン! 中に入れ!」
ルダルは振り返らずに叫び、地を蹴った。
渾身の力を込めて走り、倒れかけた瓦礫の隙間から子供を抱き上げる。
「大丈夫だ、もう大丈夫だ!」
必死に声をかけ、洞窟の入り口まで駆け戻り、子供をシンに託す。
「連れて行け! 奥へ!」
「に、兄ィ……!」
シンが涙をにじませながら、子供の手を引いて走る。
だが、背後で魔獣の唸り声が響いた。
重い足音が地を震わせ、爪が大地を裂きながら、ルダルの背中へと迫る。
「チッ……!」
ルダルは振り向きざま、腰を落とし、拳を握りしめる。
だが、その表情には焦りと、ほんの一瞬の迷いが混じっていた。
(今の俺では、この魔獣に勝てる力はない……! どうする……?)
その時――。
「ちょっと、待った!」
軽やかな声が響き、ルノアが洞窟から飛び出してきた。
片手に光を宿し、口元には不敵な笑みを浮かべている。
「ここは俺たちに任せろ!」
その後ろから、エメルダが肩を回し、牙を覗かせて笑う。
「獲物はデカい方が燃えるってもんだ!」
後方で、アマトとミィナが静かに頷き、ルダルを見つめていた。
「……すまない、託していいか?」
ルダルは一瞬、唇を噛みしめたが、すぐに肩を落としてうつむき、低く頭を垂れた。
ルノアがにやりと笑いながら答える。
「任せろ。お前の悔しさ、俺たちが晴らしてやる!」
「おう!」
エメルダが吠え、二人はスライムとゴブリンの姿へと変身する。
二人は力強く地を蹴り、魔獣へ向かって飛び込んだ。
ルノアの雷矢が空を裂き、エメルダの土塊が地をうねらせて突進する。
魔獣は咆哮を上げ、二人の攻撃を受けながらもなお立ち上がり、鋭い爪を振り下ろして反撃を繰り出す。
だが、ルノアとエメルダは焦りを見せず、冷静に魔獣の動きを見極めながら、互いの技を重ね合わせていった。
「やっぱり、左脇が甘いな……!」
ルノアが鋭い目を細め、魔獣の動きの隙を見逃さず、エメルダに合図を送る。
「おう、時間を稼いでやる!」
エメルダが魔獣の視線を引きつける。
ルノアが両手を掲げ、雷の力を集中させる。
「ダブル”雷矢!”」
振り下ろした両手から二筋の雷矢が渦を巻きながら絡み合い、ひとつの閃光となって魔獣の左脇を撃ち抜いた
「ぐおおおおおおおっ!」
魔獣の咆哮が夜空に響き、巨体が大きく揺れる――
だが、その脚はまだ地を踏みしめ、倒れない。
ルノアが肩で息をしながら、口の端を吊り上げた。
「へへっ、こいつ、なかなかしぶといな……」
エメルダが鼻を鳴らし、牙を覗かせて笑う。
「そうだなぁ。今の俺たちには勝てねぇかもな」
ルノアがルダルの方を振り向き、笑顔を浮かべる。
「ごめん、ルダル。俺たちじゃ倒せそうにないや、へへ」
ルダルは無言のまま二人の姿を見つめていた。
そして、ルノアが肩を竦め、ため息混じりに呟いた。
「仕方ねぇ……」
そしてアマトを振り返り、声を張り上げた。
「アマト様、後は、よろしくお願いしまーす!」
セシアのかすかな声が洞窟に響き、震える指がルダルの衣服をそっと掴む。
「よかった……本当に、よかった……」
ルダルが声を詰まらせながら、セシアの髪を優しく撫で続ける。
村人たちは涙を拭い、自然と拍手が広がり、シンも嬉しそうに笑顔で涙を拭った。
ミィナ、ルノア、エメルダは少し離れた場所でアマトのそばに戻り、4人で穏やかにその光景を見守っていた。
ルダルは、セシアを支えながら一度深く息を吐き、震える声で言葉を繋ぐ。
「お前は……私をかばって魔獣に深い傷を負わされたんだ。そして……俺もあの時、魔獣に吹き飛ばされて……気づけば、全身ボロボロで……」
言葉を区切りながら、ルダルは少しずつ語る。
「ポタ村で治療を受けて……そして、さっき、やっと……ここに帰ってきたばかりだ」
そう言って、ルダルは静かに4人の方へ顔を向ける。
アマトたちは無言のまま立ち、淡い光の中でただ見つめ返していた。
だが、その時、場の空気がふっと揺れるように、ひそやかなざわめきが広がり始めた。
「……あの男、異世界人じゃないのか?」
その言葉は小さな石を落とした水面に広がる波紋のように洞窟全体へ伝わり、次第にざわめきは大きくなる。
「なんで……こんなところに……?」
「まさか、魔獣が現れたのはあいつのせいじゃ……?」
怯えた瞳が、アマトとミィナへと向けられる。
その視線は、恐怖と猜疑に満ち、あたかも牙を剥く獣たちのように鋭く冷たかった。
ミィナが一歩後ずさり、眉を寄せて小さく震える。
アマトは静かに立ち尽くし、村人たちをじっと見据えていたが、その眼差しはどこまでも冷静で、揺るぎないものだった。
「やめろ」
洞窟に響き渡った低く鋭い声が、ざわめきを一瞬で切り裂いた。
ルダルの声だった。
ルダルはゆっくりと立ち上がり、鋭い視線で村人たちを見渡す。
その瞳には怒りではなく、覚悟と責任、戦士としての誇りが宿っていた。
「みんな、聞いてくれ――」
ルダルの声は低く、しかし洞窟の隅々まで響き渡った。
「俺はポタ村で、この4人に命を救われた。……そして、先ほども、この4人が目の前で二体目の魔獣を倒したんだ。今、俺がこうしてここに立っていられるのも、セシアが生きているのも、すべてこの4人のおかげだ」
その言葉に間を置き、ルダルはアマトの方を見やり、重みのある声で続けた。
「その中心にいるのが、あの異世界人……アマトだ」
沈黙が洞窟を満たした。
誰もが言葉を失い、ただルダルの声に耳を傾けるしかなかった。
「今は、俺を信じてくれ。頼む……アマトたちを、敵視しないでくれ」
村人たちは、ルダルの言葉に押し黙った。視線を落とし、隣の者と顔を見合わせる。異世界人への恐怖が、そう簡単に消えるわけではなかった。
だが、その沈黙を破ったのは――セシアだった。
「……アタシは……命を救ってくれた恩人に……牙をむくほど、腐っちゃいない。私は、この判断を、ルダルに託すよ」
小さな声だったが、その響きは洞窟の奥深くまで届き、誰もが息を呑む。
ルダルがその言葉に応えるように、セシアの肩をそっと抱きしめた。
セシアの言葉は、まるで水面に投げられた小石のように、洞窟の空気を揺らした。
誰かが小さく息を呑み、誰かが目を伏せ、そして――頷いた。
一人、また一人と。
村人たちは、静かに、だが確かに、ルダルの決断に身を委ねていったのだ。
それを見届けたルダルは、胸の奥からひとすじの安堵を吐き出すように、静かに息をついた。
セシアは、ルダルの胸元に顔をうずめながら、震える指をぎゅっと握りしめ、ゆっくりと周囲を見渡した。そして、薄暗い洞窟の中、肩を寄せ合う村人たちの顔を一人ずつ確かめるように見つめ、かすれた声で問いかけた。
「……他の奴らは……どうしたの……?」
その声に、シンが小さく肩をすくめ、息を呑むようにして答える。
「……それが……他の人たちは……それぞれ別の洞窟に分かれて隠れてる。一か所に集まると危ないって……」
「そうか……」
セシアが小さく頷き、そして目を伏せた。
だが、ふとした瞬間、何かを思い出したかのように顔を上げ、再び尋ねる。
「……グレオニウスは? あいつは……どうしたの……?」
その場に、重い沈黙が降りた。
ルダルも、村人たちも、何も言わず、ただ俯き、唇をかみしめる。
セシアはその空気に気づき、震える声で問い詰めるように呟いた。
「……まさか……あいつが……負けたの……?」
肩が小さく震え、目尻に再び涙が浮かぶ。
声にならない嗚咽がこみ上げ、震える手が膝の上で小さく握られる。
ルダルは、そっとセシアの肩を抱き寄せ、低く、しかし力強い声で言った。
「セシア……あいつを誇ってやれ……。間違いなく、村一番の最強の戦士だった」
その言葉は、洞窟の中に静かに、しかし確かに響き渡った。
誰もがその言葉に目を閉じ、沈黙の中で祈りを捧げるように、グレオニウスの名を心に刻んだ。
ただ、その祈りが終わる間もなく――
洞窟の外で、突如として轟音が響いた。
大地が震え、耳をつんざくような咆哮が、夜の静けさを引き裂く。
「なっ、なんだ!?」
村人たちが顔を上げ、息を呑む。
子供の悲鳴が外から響き、シンが顔を青ざめさせながら立ち上がった。
「外だ! 他の洞窟のやつらだ!」
ルダルは弾かれるように立ち上がり、洞窟の外へと駆け出した。
その後を追うように、アマトたちも視線を交わし、小さく頷き合って走り出す。
外に飛び出したルダルの目に飛び込んできたのは、漆黒の巨体だった。
これまでの魔獣を凌駕する、異様なほどの圧迫感――
その背にのたうつ黒煙、うなりを上げる鋭い爪、牙を剥き出しにし、狂気じみた眼光が村人たちを睨みつけていた。
「……っ!」
ルダルの呼吸が止まる。
だが、その眼差しは次の瞬間、か細い悲鳴に引き寄せられた。
「助けてっ!」
瓦礫の陰から、幼い子供が震えながら這い出ようとしていたのだ。
「シン! 中に入れ!」
ルダルは振り返らずに叫び、地を蹴った。
渾身の力を込めて走り、倒れかけた瓦礫の隙間から子供を抱き上げる。
「大丈夫だ、もう大丈夫だ!」
必死に声をかけ、洞窟の入り口まで駆け戻り、子供をシンに託す。
「連れて行け! 奥へ!」
「に、兄ィ……!」
シンが涙をにじませながら、子供の手を引いて走る。
だが、背後で魔獣の唸り声が響いた。
重い足音が地を震わせ、爪が大地を裂きながら、ルダルの背中へと迫る。
「チッ……!」
ルダルは振り向きざま、腰を落とし、拳を握りしめる。
だが、その表情には焦りと、ほんの一瞬の迷いが混じっていた。
(今の俺では、この魔獣に勝てる力はない……! どうする……?)
その時――。
「ちょっと、待った!」
軽やかな声が響き、ルノアが洞窟から飛び出してきた。
片手に光を宿し、口元には不敵な笑みを浮かべている。
「ここは俺たちに任せろ!」
その後ろから、エメルダが肩を回し、牙を覗かせて笑う。
「獲物はデカい方が燃えるってもんだ!」
後方で、アマトとミィナが静かに頷き、ルダルを見つめていた。
「……すまない、託していいか?」
ルダルは一瞬、唇を噛みしめたが、すぐに肩を落としてうつむき、低く頭を垂れた。
ルノアがにやりと笑いながら答える。
「任せろ。お前の悔しさ、俺たちが晴らしてやる!」
「おう!」
エメルダが吠え、二人はスライムとゴブリンの姿へと変身する。
二人は力強く地を蹴り、魔獣へ向かって飛び込んだ。
ルノアの雷矢が空を裂き、エメルダの土塊が地をうねらせて突進する。
魔獣は咆哮を上げ、二人の攻撃を受けながらもなお立ち上がり、鋭い爪を振り下ろして反撃を繰り出す。
だが、ルノアとエメルダは焦りを見せず、冷静に魔獣の動きを見極めながら、互いの技を重ね合わせていった。
「やっぱり、左脇が甘いな……!」
ルノアが鋭い目を細め、魔獣の動きの隙を見逃さず、エメルダに合図を送る。
「おう、時間を稼いでやる!」
エメルダが魔獣の視線を引きつける。
ルノアが両手を掲げ、雷の力を集中させる。
「ダブル”雷矢!”」
振り下ろした両手から二筋の雷矢が渦を巻きながら絡み合い、ひとつの閃光となって魔獣の左脇を撃ち抜いた
「ぐおおおおおおおっ!」
魔獣の咆哮が夜空に響き、巨体が大きく揺れる――
だが、その脚はまだ地を踏みしめ、倒れない。
ルノアが肩で息をしながら、口の端を吊り上げた。
「へへっ、こいつ、なかなかしぶといな……」
エメルダが鼻を鳴らし、牙を覗かせて笑う。
「そうだなぁ。今の俺たちには勝てねぇかもな」
ルノアがルダルの方を振り向き、笑顔を浮かべる。
「ごめん、ルダル。俺たちじゃ倒せそうにないや、へへ」
ルダルは無言のまま二人の姿を見つめていた。
そして、ルノアが肩を竦め、ため息混じりに呟いた。
「仕方ねぇ……」
そしてアマトを振り返り、声を張り上げた。
「アマト様、後は、よろしくお願いしまーす!」
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