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第三章 咆哮の誇り ※序盤、シリアス、途中、切ない系、終盤、怒涛のカタルシス
第40話 戦士の誓い――そして、魂の一撃
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「アマト様、後は、よろしくお願いしまーす!」
絶望感のかけらもないルノアの明るい声が、木々がなぎ倒され、空が開かれたこの空間に響く。
「あぁ、わかった」
とアマトが言って、目の前に転がっている小石を拾おうとしたその時だった――
「待ってくれ……」
低く、鋭く響く声が、空気を裂いた。
アマトとミィナの視線が、拳を握りしめ、真っ直ぐにアマトを見据えるルダルを捉えた。
ルダルが思う。
(アマトなら、この強大な魔獣も小石一発で倒せてしまうのだろう……しかし……)
その瞳には、悔しさ、焦燥、決意、全てが入り混じり、それでもなお、一点の光が宿っていた。
一歩、アマトの方へ踏み出し、声を絞り出すように言葉を紡いだ。
「頼みがある……」
アマトは無言でルダルを見返した。
その表情は静かで、しかし僅かに、何かを感じ取ったかのように眉が微かに動いた。
ルダルは息を詰め、言葉を続けた。
その声には、震えを押し殺しながらも、強い意志が込められていた。
「私に……魔素を供給してくれないか。……私が戦う」
その言葉が、夜の空気を震わせた。
場にいた全員が息を呑み、沈黙が支配する。
ルノアが目を見開き、エメルダが眉を寄せ、ミィナが小さく口元を押さえた。
そして、その時――
アマトの耳元を、誰にも聞こえないはずの囁きがかすめた。
一瞬、アマトはその声に耳を傾けるように見えた。
ルダルは拳を握りしめ、呼吸を整え、再び言葉を絞り出す。
その瞳には、もはや迷いはなかった。
「……もし、願いを聞いてくれて、あの魔獣を倒したら……その時は、私は、お前の元に下って、何でも言うことを聞く……」
重い言葉が、夜の静けさを裂くように響き渡った。
アマトは静かに目を閉じ、深い呼吸を一つ吐き出した。
そして、ゆっくりと瞼を開き、わずかに頷く。
「……わかった」
その言葉と同時に、淡い光がアマトの手元から溢れ出した。
足元の小石が微かに震え、光の粒がルダルの周囲に舞い始める。
光は次第に強さを増し、ルダルの全身を包み込み、眩い輝きへと変わっていった。
ミィナが思わず口元を手で覆い、ルノアは目を丸くして呟いた。
「……すげぇ……」
エメルダも口角を上げ、興奮を抑えきれない様子でルダルを見つめた。
ルダルの体から立ち上る光は、ルノアやエメルダが戦闘時に纏っていた光を遥かに凌駕し、
まるで一匹の巨大な狼がその背に立ち上がるような錯覚を覚えさせた。
ルダルはアマトに深く頭を垂れ、しばしの沈黙の後、顔を上げる。
その瞳には、かつて「ゼルヴァス十傑」と呼ばれた男の誇りと闘志が、確かに宿っていた。
そして、無言のまま、魔獣を見上げた――
ルダルの体を包む光は、まるで夜空に咲く一輪の狼煙のように、
力強く、威厳に満ちた輝きを放っていた。
その背に、狼の影が揺らめくような錯覚を覚えた者もいただろう。
ルダルは深く息を吸い、そして、静かに目を開けた。
視線は、魔獣の左脇に鋭く突き刺さる。
先ほどルノアが放った矢がかすかに焦がした痕跡が、暗がりの中で微かに輝いて見える。
――ルダルの回想
「スキルってのは、神が作った呪文みたいなもんだ」
まだ子供の頃、焚き火の灯りの下で、若きグレオニウスの背中が語る声を聞いた。
「本来なら、魔素を使って一から技を組み立てるには時間がかかる。だが、スキルならその手続きが要らねぇ。短い呪文一つで、力を引き出せる」
グレオニウスが、いつものように腕を組み、淡々と語った。
「しかも、能力が高けりゃ、そのスキルを自分好みにカスタマイズすることもできる。もちろん、名前だって好きにつけて構わねぇ」
「本当か?」
「あぁ、俺は、“崩閃≪ほうせん≫”っていうエクストラスキルをカスタマイズして、“獅破≪しは≫”ってのを作った。カスタマイズすると自分にマッチするからより強力なスキルになるぞ」
焚き火の火花を見つめながら、目を輝かせ、ルダルが言う。
「なら、オレもいつか自分の技を作ってやる……!」
――
少し大きくなったルダルが、グレオニウスに話しかけた。
「グレオニウス!この間、かなり強い野獣を倒したら、オレもあんたと同じ“崩閃”を得た。だから、俺もそれをカスタマイズするって決めたんだ!」
グレオニウスが目を細め、興味深そうに問いかけた。
「そうか!それはよかったな、ルダル!で、名前はなんて付けるんだ?」
だが、その問いに答えることはなかった。
視線を逸らし、鼻息を荒くしながら肩をすくめるルダル。
「……べ、別にいいだろ、言わなくても」
――
「――狼破≪ろうは≫!」
どこか“獅破"に似た響きが天高く木霊する。
まるで、あの背中を追い続けた”少年”の叫びが、今この瞬間、グレオニウスの魂へと届くかのように――
そしてその瞬間、ルダルの右手から放たれた光が、まるで天空を駆ける狼の如く姿を変え、
青白い閃光となって一直線に魔獣の左脇へと突進した。
魔獣は咆哮を上げ、巨体を震わせる。
だが、狼の形をした光はまるで獲物に食らいつくように、狙い澄ました一撃を放つ。
次の瞬間、轟音と共に閃光が炸裂し、魔獣の体が大きく仰け反った。
「ぐおおおおおおおおっ!!!」
咆哮が夜空を引き裂くも、足元はもはや支えきれず、膝を折り、ゆっくりと崩れ落ちていく。
狼の閃光が貫いた左脇からは、蒸気が吹き出し、黒煙が舞い上がる。
そして、ついに――
魔獣は地面に沈み、息絶えた。
ルノアが目を見開き、ぽかんと口を開けたまま声を失っていた。
エメルダも思わず息を呑み、言葉を探すように口を動かすが、声が出ない。
ミィナは胸元を押さえ、驚きに瞳を潤ませながらルダルを見つめている。
沈黙を破ったのは、エメルダだった。
「お、おぉ……一撃かよ。やっぱすげぇなぁ、ゼルヴァス十傑ってやつは……!」
その言葉に、ルノアも顔をほころばせ、少年のような笑顔で笑った。
「ははっ、マジでやっちまったよ……!」
ルダルはゆっくりと肩で息をし、拳を握ったまま、しばし魔獣の倒れた姿を見下ろしていた。
そして、ふと振り返り、アマトの方へ視線を送る。
ミィナが嬉しそうに微笑み、アマトの顔を見上げた。
「アマト様、よかったですね!」
アマトもわずかに口元をほころばせ、短く頷いた。
「……あぁ」
その声は低く、しかしどこか安堵と誇りが滲んでいた。
洞窟の入り口から、こっそり様子を見ていたシンが目を輝かせ、喜びを噛み締めるように笑みを浮かべた。
そして、勢いよく洞窟の中へ駆け込むと、大声で叫んだ。
「ルダル兄《にぃ》が魔獣をやっつけた!すごかった!!みんなの仇を取ってくれたんだ!!」
その声が響き渡り、洞窟の中にいる村人たちの表情が、一斉にぱっと明るくなる。
涙を拭いながら、微笑み合い、抱き合い、喜びの声が漏れ始める。
セシアも寝床の上で体を起こし、そっと目を細め、口元に微笑みを浮かべた。
ルダルは静かに空を仰ぎ、かすかに息を吐いた。
「グレオニウス……獣族の、戦士の誇りを守れたか……?」
夜空に浮かぶ星々が、揺らめく焔のようにまたたいていた。
絶望感のかけらもないルノアの明るい声が、木々がなぎ倒され、空が開かれたこの空間に響く。
「あぁ、わかった」
とアマトが言って、目の前に転がっている小石を拾おうとしたその時だった――
「待ってくれ……」
低く、鋭く響く声が、空気を裂いた。
アマトとミィナの視線が、拳を握りしめ、真っ直ぐにアマトを見据えるルダルを捉えた。
ルダルが思う。
(アマトなら、この強大な魔獣も小石一発で倒せてしまうのだろう……しかし……)
その瞳には、悔しさ、焦燥、決意、全てが入り混じり、それでもなお、一点の光が宿っていた。
一歩、アマトの方へ踏み出し、声を絞り出すように言葉を紡いだ。
「頼みがある……」
アマトは無言でルダルを見返した。
その表情は静かで、しかし僅かに、何かを感じ取ったかのように眉が微かに動いた。
ルダルは息を詰め、言葉を続けた。
その声には、震えを押し殺しながらも、強い意志が込められていた。
「私に……魔素を供給してくれないか。……私が戦う」
その言葉が、夜の空気を震わせた。
場にいた全員が息を呑み、沈黙が支配する。
ルノアが目を見開き、エメルダが眉を寄せ、ミィナが小さく口元を押さえた。
そして、その時――
アマトの耳元を、誰にも聞こえないはずの囁きがかすめた。
一瞬、アマトはその声に耳を傾けるように見えた。
ルダルは拳を握りしめ、呼吸を整え、再び言葉を絞り出す。
その瞳には、もはや迷いはなかった。
「……もし、願いを聞いてくれて、あの魔獣を倒したら……その時は、私は、お前の元に下って、何でも言うことを聞く……」
重い言葉が、夜の静けさを裂くように響き渡った。
アマトは静かに目を閉じ、深い呼吸を一つ吐き出した。
そして、ゆっくりと瞼を開き、わずかに頷く。
「……わかった」
その言葉と同時に、淡い光がアマトの手元から溢れ出した。
足元の小石が微かに震え、光の粒がルダルの周囲に舞い始める。
光は次第に強さを増し、ルダルの全身を包み込み、眩い輝きへと変わっていった。
ミィナが思わず口元を手で覆い、ルノアは目を丸くして呟いた。
「……すげぇ……」
エメルダも口角を上げ、興奮を抑えきれない様子でルダルを見つめた。
ルダルの体から立ち上る光は、ルノアやエメルダが戦闘時に纏っていた光を遥かに凌駕し、
まるで一匹の巨大な狼がその背に立ち上がるような錯覚を覚えさせた。
ルダルはアマトに深く頭を垂れ、しばしの沈黙の後、顔を上げる。
その瞳には、かつて「ゼルヴァス十傑」と呼ばれた男の誇りと闘志が、確かに宿っていた。
そして、無言のまま、魔獣を見上げた――
ルダルの体を包む光は、まるで夜空に咲く一輪の狼煙のように、
力強く、威厳に満ちた輝きを放っていた。
その背に、狼の影が揺らめくような錯覚を覚えた者もいただろう。
ルダルは深く息を吸い、そして、静かに目を開けた。
視線は、魔獣の左脇に鋭く突き刺さる。
先ほどルノアが放った矢がかすかに焦がした痕跡が、暗がりの中で微かに輝いて見える。
――ルダルの回想
「スキルってのは、神が作った呪文みたいなもんだ」
まだ子供の頃、焚き火の灯りの下で、若きグレオニウスの背中が語る声を聞いた。
「本来なら、魔素を使って一から技を組み立てるには時間がかかる。だが、スキルならその手続きが要らねぇ。短い呪文一つで、力を引き出せる」
グレオニウスが、いつものように腕を組み、淡々と語った。
「しかも、能力が高けりゃ、そのスキルを自分好みにカスタマイズすることもできる。もちろん、名前だって好きにつけて構わねぇ」
「本当か?」
「あぁ、俺は、“崩閃≪ほうせん≫”っていうエクストラスキルをカスタマイズして、“獅破≪しは≫”ってのを作った。カスタマイズすると自分にマッチするからより強力なスキルになるぞ」
焚き火の火花を見つめながら、目を輝かせ、ルダルが言う。
「なら、オレもいつか自分の技を作ってやる……!」
――
少し大きくなったルダルが、グレオニウスに話しかけた。
「グレオニウス!この間、かなり強い野獣を倒したら、オレもあんたと同じ“崩閃”を得た。だから、俺もそれをカスタマイズするって決めたんだ!」
グレオニウスが目を細め、興味深そうに問いかけた。
「そうか!それはよかったな、ルダル!で、名前はなんて付けるんだ?」
だが、その問いに答えることはなかった。
視線を逸らし、鼻息を荒くしながら肩をすくめるルダル。
「……べ、別にいいだろ、言わなくても」
――
「――狼破≪ろうは≫!」
どこか“獅破"に似た響きが天高く木霊する。
まるで、あの背中を追い続けた”少年”の叫びが、今この瞬間、グレオニウスの魂へと届くかのように――
そしてその瞬間、ルダルの右手から放たれた光が、まるで天空を駆ける狼の如く姿を変え、
青白い閃光となって一直線に魔獣の左脇へと突進した。
魔獣は咆哮を上げ、巨体を震わせる。
だが、狼の形をした光はまるで獲物に食らいつくように、狙い澄ました一撃を放つ。
次の瞬間、轟音と共に閃光が炸裂し、魔獣の体が大きく仰け反った。
「ぐおおおおおおおおっ!!!」
咆哮が夜空を引き裂くも、足元はもはや支えきれず、膝を折り、ゆっくりと崩れ落ちていく。
狼の閃光が貫いた左脇からは、蒸気が吹き出し、黒煙が舞い上がる。
そして、ついに――
魔獣は地面に沈み、息絶えた。
ルノアが目を見開き、ぽかんと口を開けたまま声を失っていた。
エメルダも思わず息を呑み、言葉を探すように口を動かすが、声が出ない。
ミィナは胸元を押さえ、驚きに瞳を潤ませながらルダルを見つめている。
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その言葉に、ルノアも顔をほころばせ、少年のような笑顔で笑った。
「ははっ、マジでやっちまったよ……!」
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そして、ふと振り返り、アマトの方へ視線を送る。
ミィナが嬉しそうに微笑み、アマトの顔を見上げた。
「アマト様、よかったですね!」
アマトもわずかに口元をほころばせ、短く頷いた。
「……あぁ」
その声は低く、しかしどこか安堵と誇りが滲んでいた。
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そして、勢いよく洞窟の中へ駆け込むと、大声で叫んだ。
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その声が響き渡り、洞窟の中にいる村人たちの表情が、一斉にぱっと明るくなる。
涙を拭いながら、微笑み合い、抱き合い、喜びの声が漏れ始める。
セシアも寝床の上で体を起こし、そっと目を細め、口元に微笑みを浮かべた。
ルダルは静かに空を仰ぎ、かすかに息を吐いた。
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