異世界ラグナロク 〜妹を探したいだけの神災級の俺、上位スキル使用禁止でも気づいたら世界を蹂躙してたっぽい〜

Tri-TON

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第三章 咆哮の誇り ※序盤、シリアス、途中、切ない系、終盤、怒涛のカタルシス

第44話 祝福と破壊の宴!そして、悲痛な咆哮

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――赤と黒が渦巻くアマトの精神空間


ティアマトがぽよんと浮かび、くるくると回転しながら話し始めた。

『ねぇねぇ、アマトちゃん! この間、魔獣、倒してるところちょっと見ちゃったけど……あれ、すっごいよね! あんなのがゴロゴロいたら、私たち、いっぱい魔素もらえてウハウハじゃない?』

その言葉に、アマトは片眉をわずかに動かしただけで応えず、淡々と目を閉じる。

すると、ティアマトがふっと目を細め、口元に指を当てて首を傾げた。

『……でもね。なんかおかしいの。思ったより魔素がカオスに流れてきてない気がするのよねぇ……?』

その声には、普段ののんびりした調子に微かな疑念が混じっていた。

一瞬の沈黙――

『ふぁっふぁっふぁっ! 今頃気づきおったか!』

ゼルヴァスの低く、不敵な笑いが響き渡る。

『何を隠そう、この俺様が魔素を、半分、奪い取っているのだ!』

『なっ!?』

ティアマトが目を見開き、驚きの声を上げた。

ゼルヴァスは、腕を組み、薄笑いを浮かべて肩を揺らす。

『この調子なら、いずれアマトの体を乗っ取る日も近いかもしれんな……ふぁっふぁっふぁっ!』

その言葉に、アマトは無言でじっと目を閉じたままである。

だが、その心の中で淡々と突っ込んでいた。

(……お前、それ、言っちゃったら……またティアマトに……)

案の定、

『ちょっとぉー!! そんなことしてるから、カオスに魔素が戻ってこないんじゃないっ!

あんたは今すぐカオスに落ちて、ちゃんと貢献してきなさいっ!!』

ティアマトが怒りの表情を浮かべ言う。

『さぁ、おしおきタイムよっ!』

と言って、いつものようにくすぐり始める――

『くっ、やめろーっ! 俺様は魔王だぞ!? こんな屈辱が――あははははははっ!!』

アマトは、そんな二人の光景を横目に見ながら、心の中で淡々と呟いた。

(……いい加減に他のネタを考えたらどうだ?)

その心の声は、虚無の中に溶けていった。


――ルダルとセシアの結婚式当日


晴れ渡る青空の下、フィリアの森に設けられた広場には、自然の恵みが惜しみなく並べられていた。

色とりどりの果実、香ばしい獣肉のロースト、そして木の樽に詰められた芳醇な酒が、長いテーブルを彩っている。

ルダルとセシアは、正装に身を包み、広場の中央に設けられた席に並んで座っていた。

その周りには、アマト、ミィナ、ルノア、エメルダ、ゼルミスをはじめ、多くの村人たちが集まり、祝福の声をかけていた。

「セシアさん、すごく素敵です!」

ミィナが頬を赤らめて微笑む。

「ほんとにな。美男美女のベストカップル誕生だね!」

ルノアが茶化すように肩を揺らして言うと、

「俺とアマト様ほどではないがな!」

エメルダが冗談交じりに笑い、場に笑い声が広がった。

アマトは静かに一歩前に出て、穏やかな声で言った。

「二人とも、おめでとう」

ルダルとセシアがそろって頭を下げ、心からの感謝を込めて答える。

「ありがとうございます。これも、アマト様のおかげです」

そのやりとりを、アマトの精神世界で見守っていたゼルヴァスが、不満げな声を漏らす。

『ちっ、酒が飲みてぇ……』

すると、ティアマトがぱっと明るい顔をして、どこからか一升瓶を取り出し、胡坐をかくように空中で座る。

『こんなおめでたい日は飲まないと!』

豪快に瓶をあおり始めたその姿に、アマトが小さく眉をひそめる。

(どこから持ってきたんだよ、それ……。それに、お前、原初の女神の威厳はどうした……)

ゼルヴァスは、目を爛々とし、口を尖らせて

『酒をよこせっ!』

と叫び、ティアマトの瓶を奪おうと必死になっている。

二人のドタバタをよそに、アマトは無表情で湯呑を手に取り、心の中でぼそりと呟いた。

(めでたい席なんだから、ちょっとはしずかにしてろ!)

会場では、祝宴が進んでいた。
ルダルとセシアは次々と祝いの言葉をかけられ、そのたびにセシアは笑顔で杯を受け、飲み干していった。

「セ、セシア……酒は、ほどほどにな……っ」

ルダルが声を潜めて注意するが、

「だって、仕方ないじゃない。お酒を注いでくれるんだもの、飲まなきゃ失礼よ!」

と、セシアは無邪気な笑顔でまた一杯をあおり、頬を赤く染めて笑う。

ルダルはその様子を見て、なぜか、顔を青ざめさせ、冷や汗を流しはじめていた。

やがて宴も終盤、ゼルミスが仲人として、会場の者たちへの挨拶をはじめ、その最後のころだった――

「……グレオニウス殿も、天のどこかでこの結婚式を見ていることであろう……」

その言葉を聞いた瞬間だった。
首をもたげ、ユラユラと体を揺らしていたセシアが、突如、席を蹴って立ち上がり、涙と鼻水でぐしゃぐしゃの顔を歪めて叫んだ。

「グレオニウスゥ!!なんれ、おまぁはぁ、ここに……ひっく……いないんらぁ!くそったっれぇぇぇ!!」

突然の絶叫と共に、セシアは周囲の椅子や器を薙ぎ倒しながら暴れ始めた。
来賓の獣族たちは顔面蒼白になり、一目散に会場から逃げ出す。

「ひぃっ!」
「やべぇっ、逃げろーっ!」

と、悲鳴を上げながら走り去る姿が散り散りに消えていく。

「いかん、みんな、巻き込まれるぞっ!逃げろ!」

ルダルが必死にセシアを抱きとめ、暴れる腕を抑えようとするが、逆に殴られ、引っかかれ、顔をくしゃくしゃにされる。

ビーノとグッチも慌てて転がるように逃げ出し、場は阿鼻叫喚の地獄絵図と化した。

その場に取り残されたアマトたちは、ただあっけにとられてその光景を見つめ、言葉も出せずに立ち尽くしていた。

そして――

「グレオニウス、助けてくれーーっ!!」

ルダルの悲痛な咆哮と共に宴の幕が閉じたのであった――
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