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<生誕と弱肉強食の森>

錬成を試す

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「仮に此処ここが、魔物共が跋扈ばっこする魔界としてだが……だとしても、無暗に魔法を使うのも考え物だな」
前世では、孫娘からは良く自重する様に言われておったが、悪を討つため迷い無く、その魔道を振るっておった。

だが、こヤツとの戦い……。
これ程迄に、破壊力の有る魔法を無闇矢鱈むやみやたらに振るっては、二つ名では無く本当の魔人と成ってしまう。

「少なくとも、幾分か魔力の制御に慣れるまでは、已むを得んか」

とはいえ、素手で戦うのも心許ない。
「なんぞ、武器でも錬成してみるか」
錬成にしろ、魔法は魔法。
ケットシーのこの体で魔法を使うリスクは有るが、攻撃をする訳では無いから問題は無かろう……多分な。

「材料には、この魔力結晶が使えそうだな」
だが、大き過ぎる。
近くに落ちている石を拾って、魔力結晶に振り下ろす。

ピキーン!
と硬質な音と共に、魔力結晶の一部が欠ける。
ほんの小指の先ほどの欠片だ。
「うむ、この位で構わんだろう」

少し、開けた所を探して、草をむしり取り、土を露出させる。
先ほどは、宙に魔法陣を描いてバアルの槍を放った為に、制御が雑に成ってしまっていたかも知れん。
地面に描くことで、もう少しは正確で、コントロールの利く魔法陣に成る筈だ。

「そうだな、まずは練習だ。ナイフを錬成してみるか。ならばハルファスの権能が良かろう」
ハルファスは武器弾薬を作り出す事に長けた悪魔だからな。

そして地面に、木の枝で魔法陣をえがき、その中央に先ほどの魔力結晶の欠片を置く。
「錬成!」
魔法陣に魔力を流す。
ただし、そっと、ゆっくりと、慎重にだ。

魔法陣が輝き、中央に置かれた魔力結晶も白く輝き始め、形と大きさを粘土の様に変えていく。
その粘土がナイフの形を取る様に、魔力をコントロールする……やはり……これ程の魔力を操るのは……至難の業か……。

想像以上に難しい。
まるで……荒馬を乗りこなしている様な感覚だ……。

形は……大体……ナイフの形に……。
「くっ!ここ迄か」
魔法陣に流していた魔力を止める。

「はぁ、はぁ、はぁ~。たかだか錬成の魔法にこれ程まで神経をすり減らしたのは、幼少のころ以来……いや、ケットシーとしてのワシは生まれたばかり。それも已むを得んか……」
魔法陣の中央に錬成された、そのナイフを手に取る。

「うむ……ワシが錬成しようとしていた物より、随分と大きいな。ナイフと言うより、これは最早もはや山刀だな」
刃渡りが、ワシの身長の半分ほどある。

「まあ、構わんだろう。どの道サーベルか刀を錬成する積りだったしな。手間が省けた」
それに、想像以上に疲れた。

今日のところは、此処ここまでにして置こう。
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