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<ガンスリンガー>
森の出口と銃声
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仕留めた地竜からいささか離れた所に再度ウィルオウィスプを召喚し、そこで一晩を過ごす。
何しろ、地竜の骸の近辺は、ヤツがまき散らした毒まみれだからな。
夜が明け、出立前にやっておくべきことがある。
三つの魔力結晶の処遇だ。
まず、あの巨大な無色の魔力結晶は、そもそも置いていくしかないが……。
だが、このまま放置していくのも勿体ない。
と、言う事で、この周囲に何重にも隠ぺいの結界を施す事に決めた。
これで、恐らく余程の使いてでもない限りは、この辺りに多く転がっている巨石の一つにしか見えんだろう。
問題は、残りの色付きだ。
地竜が火球を放ったのも、毒を吐きかけて来たのも、この魔力結晶と何らかの因果関係があるだろう事は、容易に推測できる。
今はケットシーの姿では有るが、ワシとて魔導士。
その内、研究してみたい。
「どうにか持って行きたいのだが、背嚢にはもう入らん。已むを得ん、ずだ袋でも錬成するか」
ワシの体格では、この先、引きずって行く事に成る。
それなりに強度の有る物を錬成したいが……うむ、アレを使うか。
軍刀を抜き、地竜の元へ。
そして、その皮を一部剥ぎ取る。
「くっ!何とも……固い!」
結構苦労しつつ、どうにか必要な分だけ剥ぎ取る事が出来た。
これで錬成すれば、相当丈夫なずだ袋が錬成出来るだろう。
何しろ、地竜の皮だからな。
錬成した、ずだ袋に二つの魔力結晶を収め、一通りの準備も出来た。
まあ、地竜の骸はデカすぎてどうにもならん。
コイツは、このまま放置していこう。
この森の、魔物やら生物やらが、土に返してくれよう。
「さて、そろそろ参るか。今日の夕暮れには森の出口のハズだ」
再び、南へ向かって歩く。
あれ程密集して立っていた木々の間隔も開き、オレンジ色の夕刻の木漏れ日が、眩しい程に差し込んでくる。
歩みは順調で良いのだが、一つ妙な事が有る。
森を出る前に、なんぞ獲物を狩っておきたかったのだが、一向に獲物の気配が無い。
「やはり、地竜の肉を少し持ってくれば良かったか……」
あれ程の闘いを交えた相手。
何となくだが、獲物として口にするのが憚られたのだ。
まあ、戦士の感傷と言うやつだ……我ながら、青いな……。
神経を研ぎ澄ませて、辺りを探る……ん?
「匂う」
それも、この生臭い匂いの元は、当然獲物の物ではない……。
「はぁ~、これのせいか……」
匂いの元は、地竜の皮から錬成したずだ袋。
成るほど、この地竜の匂いに怯えて、獲物が近付かんと言う事か。
前方に森の出口が見えて来た。
「もう少しだ」
ターーン!
「銃声!」
少し距離がある。
森の外か。
どうやらワシが狙われている分けでは無さそうだが、様子を見に行った方が良さそうだ。
何しろ、これが銃声だとすれば、それを扱う人間がいると言う事だ。
友好的に接触できるかどうかは、相手次第だがな。
一旦、茂みに荷物を隠し、銃を抜き、弾倉を中から小の刻印の物に差し替えコッキング。
戦闘に成るとすれば、人が相手だろうからな。
そして音を立てず、忍んで森の出口へと向かう。
何しろ、地竜の骸の近辺は、ヤツがまき散らした毒まみれだからな。
夜が明け、出立前にやっておくべきことがある。
三つの魔力結晶の処遇だ。
まず、あの巨大な無色の魔力結晶は、そもそも置いていくしかないが……。
だが、このまま放置していくのも勿体ない。
と、言う事で、この周囲に何重にも隠ぺいの結界を施す事に決めた。
これで、恐らく余程の使いてでもない限りは、この辺りに多く転がっている巨石の一つにしか見えんだろう。
問題は、残りの色付きだ。
地竜が火球を放ったのも、毒を吐きかけて来たのも、この魔力結晶と何らかの因果関係があるだろう事は、容易に推測できる。
今はケットシーの姿では有るが、ワシとて魔導士。
その内、研究してみたい。
「どうにか持って行きたいのだが、背嚢にはもう入らん。已むを得ん、ずだ袋でも錬成するか」
ワシの体格では、この先、引きずって行く事に成る。
それなりに強度の有る物を錬成したいが……うむ、アレを使うか。
軍刀を抜き、地竜の元へ。
そして、その皮を一部剥ぎ取る。
「くっ!何とも……固い!」
結構苦労しつつ、どうにか必要な分だけ剥ぎ取る事が出来た。
これで錬成すれば、相当丈夫なずだ袋が錬成出来るだろう。
何しろ、地竜の皮だからな。
錬成した、ずだ袋に二つの魔力結晶を収め、一通りの準備も出来た。
まあ、地竜の骸はデカすぎてどうにもならん。
コイツは、このまま放置していこう。
この森の、魔物やら生物やらが、土に返してくれよう。
「さて、そろそろ参るか。今日の夕暮れには森の出口のハズだ」
再び、南へ向かって歩く。
あれ程密集して立っていた木々の間隔も開き、オレンジ色の夕刻の木漏れ日が、眩しい程に差し込んでくる。
歩みは順調で良いのだが、一つ妙な事が有る。
森を出る前に、なんぞ獲物を狩っておきたかったのだが、一向に獲物の気配が無い。
「やはり、地竜の肉を少し持ってくれば良かったか……」
あれ程の闘いを交えた相手。
何となくだが、獲物として口にするのが憚られたのだ。
まあ、戦士の感傷と言うやつだ……我ながら、青いな……。
神経を研ぎ澄ませて、辺りを探る……ん?
「匂う」
それも、この生臭い匂いの元は、当然獲物の物ではない……。
「はぁ~、これのせいか……」
匂いの元は、地竜の皮から錬成したずだ袋。
成るほど、この地竜の匂いに怯えて、獲物が近付かんと言う事か。
前方に森の出口が見えて来た。
「もう少しだ」
ターーン!
「銃声!」
少し距離がある。
森の外か。
どうやらワシが狙われている分けでは無さそうだが、様子を見に行った方が良さそうだ。
何しろ、これが銃声だとすれば、それを扱う人間がいると言う事だ。
友好的に接触できるかどうかは、相手次第だがな。
一旦、茂みに荷物を隠し、銃を抜き、弾倉を中から小の刻印の物に差し替えコッキング。
戦闘に成るとすれば、人が相手だろうからな。
そして音を立てず、忍んで森の出口へと向かう。
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