55 / 182
<帰郷>
不運×5、有り得るモノか!
しおりを挟む
「ジム、例えばなんだが、そのゴブリンとやら、人為的に町にけし掛ける事は可能か?」
ジムは腕を組んだまま、考え込む様に目を閉じる。
「うーん……」
「どうした、ジム?」
「考えた事も無かったが、可能か不可能かって話なら、可能だ。ゴブリン共ってのは、蜂や蟻なんかと同じで、女王に統率されている。単純な話、その女王ゴブリンを未成熟なうちに何処かの巣から捕まえてきて、けし掛けたい町の近くに横穴でも掘って、そこに住まわせちまえば良い。そうすれば勝手にコロニーが作られて、自ずと獲物を求めてその町をゴブリン共が襲う事に成る。更に、そのコロニーのゴブリンを何匹か殺して、その死骸を町に放り込んでやれば、その仲間の死の匂いに釣られて、ゴブリン共が町を襲撃する。実際、戦時中に南軍の奴らがそんな戦術で、味方の砦に嫌がらせしていたと聞く。だが、戦争も終わってもう二年経つ。この町にそんな面倒な事を仕掛けて何の意味が?それに、落雷で死んだ兄さんと何の関係が?そろそろ、話してくれても良いんじゃ無いか、旦那」
「うむ、そうだな……単刀直入に言おう。お前さんの兄は落雷で死んだのでは無い。十中八九、何者かに殺害されたとワシは考えておる」
「殺害されたって!?おいおい、さっき旦那は、兄さんの胸の傷を見て、落雷の証拠だって……」
「ああ、だがリヒテンベルク図形が刻まれるのは、なにも落雷だけとは限らんさ。強い放電を浴びれば、同じことだ。リヒテンベルク図形は、放電を受けた個所から枝が伸びる様に放射状に広がる」
「強い放電って……」
「ジム、雷は何処から落ちる?」
「何処からって、そりゃ空からさ」
「で、お前さんの兄は何処に、そしてどうリヒテンベルク図形が広がっていた?」
「何処にどうって……胸に、丁度心臓の真上辺りだ。そこから円を描く様に放射状に……!?」
「気付いたか」
「空からじゃ無ぇ、兄さんの真正面から!」
「うむ、そういう事だ。確かに、稀に少し離れた所に落ちた落雷の放電が、枝分かれしたり、地を這ったりして、横っ飛びの落雷を受けたと言う話も聞かんでは無い。だが、それなら馬はどうした?馬に乗って居れば、当然騎手の正面には馬の首が有る。横っ飛びの落雷を受けたとするなら、胸に当たる前に馬の頭に落ちるのでは無いのか?」
「だが、兄さんの乗っていた馬の死体は無かった……いくらタフな馬でも、頭に雷を喰らって無事な馬なんて居無え」
「つまりだ、不運にもゴブリン共に襲撃され、不運にも落雷に見舞われ、それは不運にも真正面からの横っ飛びの落雷、不運にもその放電は馬の頭を避け直接その体に、しかも不運にも心臓の真上に。さてジム、お前さんの兄は、いったい幾つの不運が重なって命を落とす事になった?」
「幾つって……」
「フッ、これ程不幸が幾つも重なる事など、有り得るモノか!」
ジムは腕を組んだまま、考え込む様に目を閉じる。
「うーん……」
「どうした、ジム?」
「考えた事も無かったが、可能か不可能かって話なら、可能だ。ゴブリン共ってのは、蜂や蟻なんかと同じで、女王に統率されている。単純な話、その女王ゴブリンを未成熟なうちに何処かの巣から捕まえてきて、けし掛けたい町の近くに横穴でも掘って、そこに住まわせちまえば良い。そうすれば勝手にコロニーが作られて、自ずと獲物を求めてその町をゴブリン共が襲う事に成る。更に、そのコロニーのゴブリンを何匹か殺して、その死骸を町に放り込んでやれば、その仲間の死の匂いに釣られて、ゴブリン共が町を襲撃する。実際、戦時中に南軍の奴らがそんな戦術で、味方の砦に嫌がらせしていたと聞く。だが、戦争も終わってもう二年経つ。この町にそんな面倒な事を仕掛けて何の意味が?それに、落雷で死んだ兄さんと何の関係が?そろそろ、話してくれても良いんじゃ無いか、旦那」
「うむ、そうだな……単刀直入に言おう。お前さんの兄は落雷で死んだのでは無い。十中八九、何者かに殺害されたとワシは考えておる」
「殺害されたって!?おいおい、さっき旦那は、兄さんの胸の傷を見て、落雷の証拠だって……」
「ああ、だがリヒテンベルク図形が刻まれるのは、なにも落雷だけとは限らんさ。強い放電を浴びれば、同じことだ。リヒテンベルク図形は、放電を受けた個所から枝が伸びる様に放射状に広がる」
「強い放電って……」
「ジム、雷は何処から落ちる?」
「何処からって、そりゃ空からさ」
「で、お前さんの兄は何処に、そしてどうリヒテンベルク図形が広がっていた?」
「何処にどうって……胸に、丁度心臓の真上辺りだ。そこから円を描く様に放射状に……!?」
「気付いたか」
「空からじゃ無ぇ、兄さんの真正面から!」
「うむ、そういう事だ。確かに、稀に少し離れた所に落ちた落雷の放電が、枝分かれしたり、地を這ったりして、横っ飛びの落雷を受けたと言う話も聞かんでは無い。だが、それなら馬はどうした?馬に乗って居れば、当然騎手の正面には馬の首が有る。横っ飛びの落雷を受けたとするなら、胸に当たる前に馬の頭に落ちるのでは無いのか?」
「だが、兄さんの乗っていた馬の死体は無かった……いくらタフな馬でも、頭に雷を喰らって無事な馬なんて居無え」
「つまりだ、不運にもゴブリン共に襲撃され、不運にも落雷に見舞われ、それは不運にも真正面からの横っ飛びの落雷、不運にもその放電は馬の頭を避け直接その体に、しかも不運にも心臓の真上に。さてジム、お前さんの兄は、いったい幾つの不運が重なって命を落とす事になった?」
「幾つって……」
「フッ、これ程不幸が幾つも重なる事など、有り得るモノか!」
0
あなたにおすすめの小説
『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』
チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。
気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。
「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」
「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」
最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク!
本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった!
「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」
そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく!
神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ!
◆ガチャ転生×最強×スローライフ!
無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!
3点スキルと食事転生。食いしん坊の幸福無双。〜メシ作るために、貰ったスキル、完全に戦闘狂向き〜
幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
伯爵家の当主と側室の子であるリアムは転生者である。
転生した時に、目立たないから大丈夫と貰ったスキルが、転生して直後、ひょんなことから1番知られてはいけない人にバレてしまう。
- 週間最高ランキング:総合297位
- ゲス要素があります。
- この話はフィクションです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
社会の底辺に落ちたオレが、国王に転生した異世界で、経済の知識を活かして富国強兵する、冒険コメディ
のらねこま(駒田 朗)
ファンタジー
リーマンショックで会社が倒産し、コンビニのバイトでなんとか今まで生きながらえてきた俺。いつものように眠りについた俺が目覚めた場所は異世界だった。俺は中世時代の若き国王アルフレッドとして目が覚めたのだ。ここは斜陽国家のアルカナ王国。産業は衰退し、国家財政は火の車。国外では敵対国家による侵略の危機にさらされ、国内では政権転覆を企む貴族から命を狙われる。
目覚めてすぐに俺の目の前に現れたのは、金髪美少女の妹姫キャサリン。天使のような姿に反して、実はとんでもなく騒がしいS属性の妹だった。やがて脳筋女戦士のレイラ、エルフ、すけべなドワーフも登場。そんな連中とバカ騒ぎしつつも、俺は魔法を習得し、内政を立て直し、徐々に無双国家への道を突き進むのだった。
50代無職、エルフに転生で異世界ざわつく
かわさきはっく
ファンタジー
就職氷河期を生き抜き、数々の職を転々とした末に無職となった50代の俺。
ある日、病で倒れ、気づけば異世界のエルフの賢者に転生していた!?
俺が転生したのは、高位エルフの秘術の失敗によって魂が取り込まれた賢者の肉体。
第二の人生をやり直そうと思ったのも束の間、俺の周囲は大騒ぎだ。
「導き手の復活か!?」「賢者を語る偽物か!?」
信仰派と保守派が入り乱れ、エルフの社会はざわつき始める。
賢者の力を示すため、次々と課される困難な試練。
様々な事件に巻き込まれながらも、俺は異世界で無双する!
異世界ざわつき転生譚、ここに開幕!
※話数は多いですが、一話ごとのボリュームは少なめです。
※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。
英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~
ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国の辺境で、ただ静かに生き延びたいと願う少年、ヴァン。
彼に正義感はない。あるのは、前世の記憶と、母が遺した『物理法則を応用した高圧魔力』という危険な理論だけだ。
敵の大軍が迫る中、ヴァンは剣も振るわず、補給線と心理を切り裂く。
結果、敵軍は撤退。代償も、喝采も、彼には無意味だった。
だが、その「効率的すぎる勝利」は帝国の目に留まり、彼は最高峰の『帝国軍事学院』へと引きずり出される。
「英雄になりたいわけじゃない。生き残りたいだけだ」
謎の仮面メイド『シンカク』、命を取引に差し出した狼耳の少女『アイリ』。
少年は選択する。正義ではなく、最も費用対効果の高い道を。
これは、合理が英雄譚を侵食していく、学園ミリタリーファンタジー。
【※作者は日本語を勉強中の外国人です。翻訳ソフトと辞書を駆使して執筆しています。至らない点もあるかと思いますが、物語を楽しんでいただければ幸いです。】
辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします
雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました!
(書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です)
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる