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人形列車 鉄亜鈴城6
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「あ~、美味しかった~。次はどの羊羹屋にいく?」
「…………あの。流石に同じの連チャンはきついです」
「ええ~っ!? 桜は羊羹嫌いなの?」
「羊羹は大好きですし、むしろ羊羹が嫌いな小学生はいないと思ってます。けど、他にも美味しいのは沢山あるので、次は違うジャンルのお店に行きましょう」
「えっ!? 他にもこんな美味しいのがあるの?」
「はい。この辺りは和風なお菓子を売ってるお店が多くて、お団子やお饅頭も美味しい…………ってガイドブックに書いてあったので、間違いないです!」
「へ~。そうなんだ。じゃあ次はそのお店にゴーね」
私はガイドブックを開いて次に行くお店を探しながら、ついでに和希さんと合流しようと思って通信を入れる事にしました。
「そうだ。シャンティ、和希さんと通話を繋いで貰えますか?」
「オッケー。…………はい、つないだよ~」
――――数秒後。
私の前にホログラムの画面が表示され、画面の中央には和希さんの顔が映っていました。
くふふ。今から近くにいる事を教えてビックリさせちゃいましょう。
普段クールな振る舞いをしていても、流石に私がこの場所にいる事だけは予想出来ないはずっ!
「和希さん、今ちょっといいですか?」
「別に構わないが、どうかしたのか?」
「少しお話をしたいと思って。ちなみに今は何をしてるんですか?」
「見てわからないか? お前と電話をしているんだ」
「…………いえ。そういう事じゃなくって、今どこにいるのかと――――――」
「ここだよ」
「…………え?」
明らかに通話越しじゃなく真後ろから聞こえた声に振り向くと、そこには――――――。
「わわわっ!?」
忍者の服装をした和希さんが、カラス型マテリアル・デバイスのハヤテと一緒に立っていたのでした。
「か、和希さん!? どうしてここに!?」
「どうしてって。合流する予定だったんじゃないのか?」
「えっと、確かにそうなんですけど、そうじゃないです! 何で私がここにいる事を知ってるんですか!?」
「どうしてって、位置情報を見たらすぐに場所が出てくるだろ?」
「……………あ」
そうでした。
和希さんとはお互いにフレンド登録をしていて、待ち合わせに便利って理由で位置情報も共有してたのを忘れちゃってました…………。
「では、そういう事で!」
「あ、おい!?」
驚かせるつもりが逆に驚かされてしまい、恥ずかしくなった私はその場から走り出し、近くにあった建物の影に避難しました。
「ふぅ。これで大丈夫…………」
「…………お前は何をしてるんだ?」
避難したつもりが、何故かすぐ後ろに和希さんの姿が。
「ひゃうっ!? なんでこの場所が!?」
「位置情報を見たって言ったろ?」
隠れる事が出来ないと悟った私は今の状況を和希さんに説明すると、和希さんは「そういう事か」と納得してくれました。
「そういえば、いつ頃から私が旅行中だって気が付いたんですか?」
「昨日通話した時点で、線路の上を高速で移動してたからな。通話の最後に面白い笑いも浮かべてたから、多分ここに寄るんだろうって思っただけだよ」
つまり、最初からバレちゃってたって事ですか。
「それでそっちは知り合いなのか?」
和希さんは私の横を見ると、そこにはズズーと茶碗でお茶を飲んでいるドレス姿の女の子がいました。
日本茶とドレスの組み合わせは、一見ミスマッチに見えて案外合っているような気もします。
「この子はリニス、列車で知り合いました」
「よっろしくぅ~」
リニスは茶碗を持ってない方の手で横ピースして答えました。
「そしてこっちは仙堂和希さん。同じ学校に通っている同級生です」
「よろしくどうぞ」
といった感じで自己紹介が終わった所で、一番気になって事を聞いてみる事にします。
「あの。ところで和希さんは、なんで忍者の格好をしてるんですか?」
「あっ!? もしかして、この子もござるなの?」
「…………ござる?」
「いえ。こっちの事なので気にしないでください」
「別に忍者の里で、忍者の格好をするのは当然じゃないか?」
「た、たしかに!?」
言われてみれば変わってるのは、普通の格好をしてる私達の方なのかも。
だったらここは、郷に入っては郷に従えの精神で。
「こうなったら私達も忍者の格好をしましょう!」
「えっ!? ござるになれるの!?」
「はい。なれるで、ござる!」
―――――と、いうわけで。
私達は貸衣装屋さんに行って忍び装束を2つレンタルして、早速着替えちゃう事にしました。
まず鎖かたびらは重いので、袴の上に編み目の入ったインナーを着てから上着を羽織ります。
それからスニーカーをわらじに履き替えてから頭巾を被って、忍者の完成!
「わ~い。ござる忍者でござる~」
「おおっ!? かっこいいです!」
ちなみに和希さんは緑色で私は赤色、そしてリニスは紫の色の付いた忍び装束をまとっています。
お店には金色やレインボーカラーの忍び装束も置いてあって、派手なカラーも人気があるみたいでした。
どう見ても忍ぶ気なんて全く無いカラーリングですが、今の時代に忍者が忍ぶ必要とか全く無いですからね。
むしろオシャレに気を使ってる方が、現代の忍者に相応しいまであります。
「…………あの。流石に同じの連チャンはきついです」
「ええ~っ!? 桜は羊羹嫌いなの?」
「羊羹は大好きですし、むしろ羊羹が嫌いな小学生はいないと思ってます。けど、他にも美味しいのは沢山あるので、次は違うジャンルのお店に行きましょう」
「えっ!? 他にもこんな美味しいのがあるの?」
「はい。この辺りは和風なお菓子を売ってるお店が多くて、お団子やお饅頭も美味しい…………ってガイドブックに書いてあったので、間違いないです!」
「へ~。そうなんだ。じゃあ次はそのお店にゴーね」
私はガイドブックを開いて次に行くお店を探しながら、ついでに和希さんと合流しようと思って通信を入れる事にしました。
「そうだ。シャンティ、和希さんと通話を繋いで貰えますか?」
「オッケー。…………はい、つないだよ~」
――――数秒後。
私の前にホログラムの画面が表示され、画面の中央には和希さんの顔が映っていました。
くふふ。今から近くにいる事を教えてビックリさせちゃいましょう。
普段クールな振る舞いをしていても、流石に私がこの場所にいる事だけは予想出来ないはずっ!
「和希さん、今ちょっといいですか?」
「別に構わないが、どうかしたのか?」
「少しお話をしたいと思って。ちなみに今は何をしてるんですか?」
「見てわからないか? お前と電話をしているんだ」
「…………いえ。そういう事じゃなくって、今どこにいるのかと――――――」
「ここだよ」
「…………え?」
明らかに通話越しじゃなく真後ろから聞こえた声に振り向くと、そこには――――――。
「わわわっ!?」
忍者の服装をした和希さんが、カラス型マテリアル・デバイスのハヤテと一緒に立っていたのでした。
「か、和希さん!? どうしてここに!?」
「どうしてって。合流する予定だったんじゃないのか?」
「えっと、確かにそうなんですけど、そうじゃないです! 何で私がここにいる事を知ってるんですか!?」
「どうしてって、位置情報を見たらすぐに場所が出てくるだろ?」
「……………あ」
そうでした。
和希さんとはお互いにフレンド登録をしていて、待ち合わせに便利って理由で位置情報も共有してたのを忘れちゃってました…………。
「では、そういう事で!」
「あ、おい!?」
驚かせるつもりが逆に驚かされてしまい、恥ずかしくなった私はその場から走り出し、近くにあった建物の影に避難しました。
「ふぅ。これで大丈夫…………」
「…………お前は何をしてるんだ?」
避難したつもりが、何故かすぐ後ろに和希さんの姿が。
「ひゃうっ!? なんでこの場所が!?」
「位置情報を見たって言ったろ?」
隠れる事が出来ないと悟った私は今の状況を和希さんに説明すると、和希さんは「そういう事か」と納得してくれました。
「そういえば、いつ頃から私が旅行中だって気が付いたんですか?」
「昨日通話した時点で、線路の上を高速で移動してたからな。通話の最後に面白い笑いも浮かべてたから、多分ここに寄るんだろうって思っただけだよ」
つまり、最初からバレちゃってたって事ですか。
「それでそっちは知り合いなのか?」
和希さんは私の横を見ると、そこにはズズーと茶碗でお茶を飲んでいるドレス姿の女の子がいました。
日本茶とドレスの組み合わせは、一見ミスマッチに見えて案外合っているような気もします。
「この子はリニス、列車で知り合いました」
「よっろしくぅ~」
リニスは茶碗を持ってない方の手で横ピースして答えました。
「そしてこっちは仙堂和希さん。同じ学校に通っている同級生です」
「よろしくどうぞ」
といった感じで自己紹介が終わった所で、一番気になって事を聞いてみる事にします。
「あの。ところで和希さんは、なんで忍者の格好をしてるんですか?」
「あっ!? もしかして、この子もござるなの?」
「…………ござる?」
「いえ。こっちの事なので気にしないでください」
「別に忍者の里で、忍者の格好をするのは当然じゃないか?」
「た、たしかに!?」
言われてみれば変わってるのは、普通の格好をしてる私達の方なのかも。
だったらここは、郷に入っては郷に従えの精神で。
「こうなったら私達も忍者の格好をしましょう!」
「えっ!? ござるになれるの!?」
「はい。なれるで、ござる!」
―――――と、いうわけで。
私達は貸衣装屋さんに行って忍び装束を2つレンタルして、早速着替えちゃう事にしました。
まず鎖かたびらは重いので、袴の上に編み目の入ったインナーを着てから上着を羽織ります。
それからスニーカーをわらじに履き替えてから頭巾を被って、忍者の完成!
「わ~い。ござる忍者でござる~」
「おおっ!? かっこいいです!」
ちなみに和希さんは緑色で私は赤色、そしてリニスは紫の色の付いた忍び装束をまとっています。
お店には金色やレインボーカラーの忍び装束も置いてあって、派手なカラーも人気があるみたいでした。
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