ゲームキャスターさくら

てんつゆ

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人形列車 鉄亜鈴城12

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「うわあああああああん」
「落ち着いてください、望さん。そこにお土産のチクワは置いてありますか?」
「ぐすん。ぐすん。…………チクワ? えっと、チクワなら沢山あるけど…………」

 ふう。
 なんとか燃料の確保は出来たみたいです。

「望さん。チクワを私達のいる場所まで向かって投げてください!」
「………え? なんでそんな事…………」
「いいから早くっ!」
「…………わ、わかったよ。え~~~いっ!!!!」

 しばらくして空から沢山のチクワが降ってきたので、私達は急いで集めチクワ投入口へと入れました。

 ―――――そして。数秒後。
 ガタンガタンと鈍い音を立てながら機械が少しづつ動き始め、ホースから水が吹き出して来ました。


「これで行けます!」
「だったらここは2人いればいいな? 後は任せるぞ!」

 和希さんはお城の下まで走り、鉤縄をぐるぐると勢いよく回してから空へと投げ、天守閣へと鉤縄を引っ掛けました。

「中が危ないなら、外から行けばいいだろ?」
「わかりました。私達でサポートします!」
「私はチクワを集めるので、リニスはホースで和希さんが登りやすいように火を消してください!」
「ふふん。まっかせてぇ~」

 和希さんが外を登って望さんの救出に向かい。
 リニスがホースで火を消し。
 私は放水するのに必要な燃料代わりのチクワを集める事になりました。

「望さん、頑張ってください」

 私はお城から落ちて来るチクワを必死になってかき集め、どんどん機械に入れていきます。
 それに答えるかのように、機械は全力でホースから水を出し続け、なんとか和希さんはお城の半分くらいまで上りつめました。

「あと、ちょっと」

 最後の気力を振り絞りチクワを集めていると、突然ガキンと金属がぶつかるような音が聞こえてきました。

「…………え!?」

 音のした方を見ると、鉄アレイが地面に激突して地面に大きなひびが入ってました。

「な、なんですかこれ?」

 ガキン。
 と、また金属がなにかに激突する音が聞こえてきます。

「…………いったい何が?」
「おい。上を見ろ!」
 
 和希さんの言葉にハッとなり上を見ると、何やらチクワに混じって他の物も降ってきているみたいです。

「…………あれは? 鉄アレイ!?」

 望さんを見ると、かなり焦っているからか、チクワに紛れて鉄アレイも投げているみたいでした。
 
「シャ、シャンティ。望さんに通信を!?」 
「オッケー。…………桜。駄目みたい。なんかもう通信に出る余裕が無いみたい」
「ええっ!?」

 仕方ありません。
 こうなったら鉄アレイを避けながらチクワだけを取る事にしないと。
 
 大丈夫。
 少し前にチクワを避けながら鉄アレイを取るゲームをやった事があります。

 だから今回はそれを再現すればいいだけ。
 TASUKEでもそれが出来たので、今回も絶対に上手くいくはずっ!

「桜。危ないからヘルメットくらい付けた方がいいんじゃない?」
「そうですね。お願いします」
「了解。ヘルメットモード起動!」
「シャンティ、コンバージョン!」

 私はヘルメットの形に変形したシャンティを被り、鉄アレイの衝撃を抑えながらチクワ集めを続けます。

 落下予測地点のサポートをしてもらいながら集める事で、鉄アレイをギリギリで避けながら集める事が出来ています。

 ―――――そして、しばらくして。
 和希さんがお城の外壁を登りきり、天守閣へと到着しました。

「おい。大丈夫か!」
「うわああああああああん、助けてよおおおおおおお…………って、あなたはだあれ?」
「私は桜の………………。桜の友達だ」
「桜ちゃんの友達? えへへ。ありがとー、助かったよ」
「すぐに降りるから掴まれ」

 そう言って和希さんは望さんの体をロープで自分の体と固定して、望さんの猫型デバイスごんすけが望さんの頭の上にぴょこんと乗ってから―――――。

「じゃあ行くぞ?」
「わかったよ!」

 燃える天守閣からジャンプして飛び出しました。

「来い、ハヤテ!」

 和希さんがカラス型デバイス・ハヤテを呼び、落下しながら掴む事で落下スピードを減速します。

 さすがに完全に落下スピードを無くす事は出来なかったようですが、そのままアスレチックの池まで滑空してボシャンと水面に落下して、なんとか怪我をするのだけは回避できたみたいです。

「だ、大丈夫ですか!?」

 私とリニスが到着すると、水底から影が浮かび上がってきて。

「ぷはぁ」

 と和希さんと望さんの姿が顔を出しました。
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