魔王だが、弟子の勇者たちが追放されまくってるそうだな? ~かわりに魔王自ら勇者パーティに潜りこんだら、なんか勇者が詰んだ~

ねぎさんしょ

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第2章 テイマー

第44話

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 途中でガチめにしゃくりあげはじめたイールギットがかわいそうだったので、説教は3時間ほどで切り上げておいた。
 説教するのも久々で……俺はちょっぴり満たされた心地だがな。
 アリーシャはずいぶんできた子なので、そういう機会はあまりない。
 しょんぼりする人間も、また愛い。

「とはいえ……」

 はあ、とため息を禁じ得ない俺である。

「結局のところ、話してはもらえなかったな……」

「イールギット様の過去についてですか?」

「うむ」

 謁見の間で俺と茶を囲みながら、アリーシャが少し考える顔をする。
 といってやはり、普段とまるで違いのない表情だが……

「確かに先ほどは、なんやかんやとうやむやになってしまわれましたが」

「まったく不徳のいたすところ」

「魔王のセリフではありませんね……。ですが、たとえ本当に拷問なさろうとも、しゃべらなかったのではないかと思います」

「だろうな。イールギットはがんばり屋さんだから」

「いえ、そうではなく。普通に、いつも通り、ただ話を聞きたいと魔王様がおっしゃったならば、あの方は根負けなさるのではないかと」

「そう思うか?」

「はい」

「……親身になりたいのは、やまやまなんだが」

 この場合、イールギットが話したくない様子なのでな。
 俺が親身になっているんだから話せ、と強要するふうになってしまってはいかん。
 それに……
 そうなることをゆるさぬ勢力もある。

「はいはいはいゼルス様あ~~~有能な部下が参りましたよお!」

 ジャ~ン、とドラのひとつも鳴りそうな勢いで、足音高くマロネがやってきた。
 金髪ツインテを揺らしながら、えらくゴキゲンそうな雰囲気だ。

「ゼルス様の右腕にして軍師にして情報参謀にして魔王軍かわいこちゃんランキングダントツ1位! 誰もが気になるその名はあ~!? マロネー!!」

「イールギットのテイムにはかかってたけどな」

「うんもうヤですねえゼルス様、あんなのかかってるわけないじゃないですか。フリですよフリ」

「ほう? フリで主君の動きを封じてくれたわけか……」

「ぎくり」

「胸板にも深刻なダメージがだな……」

「ぎくぎく」

「マロネ?」

 いやおうもなくドゲザしながら、マロネがくぐもった声で報告した。

「イールギットめの情報を収集いたしましてございます……」

「話せ」

「あやつめやはり、所属先を追放となっておりました」

「……そうか。どういった勇者のパーティだ?」

「パーティにも加わっていたみたいですけど、どちらかというと国ですね」

「国?」

「宮廷テイマーとして働いていたようです。その国の軍用獣などを、テイムして使役していた、と」

 それは……
 立派な仕事じゃあないか。

「なぜ追放された?」

「それがですね……、『不要となった』とのことで」

「うむ? だから、それはなぜ?」

「わかりません。マロネの諜報が甘いのか、なにかとんでもないことをやらかして秘匿されているのか……イールギットののちも、別のテイマーが雇われた様子はないようなのですが」

「ふむ……?」

 よくわからんな……?
 ペガサスを代表例として、人に慣れたドラゴンやムーマクなど、飼い慣らせれば有益なモンスターは数多い。
 その専門職ともいえるテイマー、それもイールギットクラスを、ただ不要というだけで解雇するなどありえんはずだが……?


**********


お読みくださり、ありがとうございます。

次は12/12、19時ごろの更新です。
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