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衣類品店に現れた厄災
#10
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「こんばんはキーノス。今日は珍しい香りがするね」
「大変申し訳ありませんが、本日は既に閉店となっております。またのご来店を」
「そうなの? 話し声が聞こえたけど?」
ドアからひょこっと首をのばし、店内をご覧になります。
カーラ様とミケーノ様が驚いていらっしゃいます。
二人を見つけ、耳元で一言囁かれました。
「タバコと術のニオイがするよ。あの二人知ってるの?」
言葉に対し、小さく頷き肯定します。
「ふーん、じゃあ今は秘密のパーティかな?」
ビャンコ様はそう仰ると、私が止める間もなくスタスタとお二人がいるテーブルまで移動します。
「こんばんは、僕も参加して良いかな?」
「えっ!? えぇ、あ、はい! ワタシはかまわ、いませんよ?」
「おお、そうだな、オレも大丈夫です!」
突然の事態に驚かれるのは分かりますが、構ってください。
ビャンコ様、あなたも何をお考えで……
「ありがとうございます。キーノスも良いよね?」
この人はご自身が人に好かれやすいのをよく分かっています。
「もちろんです。いらっしゃいませビャンコ様」
「ありがとう、いつものお願いしても良いかな?」
「かしこまりました」
幻術ですね……あとジュンマイシュとメカブ。
とりあえず、準備をすることにしましょう。
───────
料理とお酒を持ってテーブルに戻る頃には、ビャンコ様はいつものスタイルになっておりました。
人前に出さないような事を言っていたように思いますが……気が変わったのでしょうか?
しかも既にお二人と親しくなっております。
「お待たせしました、メカブとジュンマイシュになります」
「あざっす、キーちゃん敬語禁止なんでしょ?」
「ビャンコ様が新しくお客様としてご来店しましたので」
「局長なら問題なしよ! だから続行よ!」
「うぃーっす、あざーっす」
「さ、キーちゃんも座った座った」
ビャンコ様が座ってるソファの空いてる部分をポンポンと手で叩きます。
そこに座れ、と言いたいのでしょうね。
正直、この人の前で先程までのルールは抵抗がありますが……
「じゃ、改めて!」
「「乾杯!」」
合わせて私も黙ってグラスを上げます。
「キーちゃんノリ悪いぞ? もっと明るく! ホラ!」
「……努力する」
「わぁ、敬語じゃないキーちゃんもかっこいいなー」
「やめてくれ」
くすくすと笑いながら楽しそうに私をからかいます。……こういう方ですよね。
タイを緩め、黙ってタバコに火をつけます。
「さっきちょうどビャンコ様の話してたのよ、すごいタイミング!」
「え、そーなの? キーちゃん悪口言ってなかった?」
「いいえ、なーんにも」
「へー、適当魔人とか言ってると思った」
「まぁ、聞いても信じなかったわ~この姿を見るまで」
「やっぱそう?」
「局長さん? ビャンコさん? はモウカハナ良く来るのか?」
「ビャンコで良いよ。たまにかな~、外で羽根伸ばしたくなったらくるね」
「そういや人がいない時間に狙ってるってキーノスが言ってたな」
「うん。ここでタバコ検知したら教えてくれるようにしてるから」
検知? とは、初耳です。
「……聞いてないぞ」
「あれ、気付いてなかった? 棚に香炉あるじゃん。アレに付いてるよ」
店内にある飾り棚に、香油を炊くアンティークがあります。
火気探知の仕掛けが近くにあるので、弾かれなかったのでしょう。
「……店の備品に何してんだ」
「解いたら増やすからね」
「……やめろ」
次は分かりにくくやりそうです。
害はありませんが、釘は刺しておきます。
それより、先程からカーラ様がビャンコ様を見つめております。
この白い男は美しいですからね、容姿は。
「眼福……王都の謎美人が並んでる……」
「おお、オレもそこそこモテんだぞ?」
「ミケーノは頼れる兄貴よね、美人っていうより」
「わかるー。初対面だけど話しやすいし」
「なんだよ、嬉しい事言ってくれんじゃねーの」
ミケーノ様は万人に好かれる方です。お人柄もですが、逞しい体格に男性からの憧れを集める事が多いようです。
カーラ様は男性的な彫りの深い顔立ちで、華やかな印象が際立つお方です。
「ビャンコ様とキーノスなら兄弟でも通るわね」
「そうだな、オレよりは似てる」
「ほーらキーちゃん、いつも言ってるでしょ。オレと変わらんって」
「色気はキーノス、可愛さはビャンコ様ね」
「ほらネ、無駄フェロモンも」
「男のオレでもキーノスは絵になるとか思うぞ」
「……皆様、人違いをなさっております」
「敬語っ! 間違えてないわよ!」
「キーちゃん自分の見た目に関してはポンコツだからねー」
ーーぶっ
カーラ様とミケーノ様が同時に吹きます。
私、ポンコツは初めて言われました。
「わっかるー! さっきからそこだけは全く噛み合わないのよ! カウンター越しの時は『光栄です』だったから分かりにくかったけど、ただのポンコツよねー」
「ぶふっ……ホラ、お前が自分のこと気持ち悪いとか言うからポンコツとか言われんだぞ?」
「今まで言われたことないぞ」
「こんだけ無駄に色気振りまいてるのに分かってないんだよねー」
「そんな事言うのお前だけだ」
「鏡あげようか? 見た事ないでしょ」
「毎日見てる」
「じゃあ眼鏡は? 視力ある?」
「必要ない、見えている」
「じゃあ」
「何も要らん、ほっとけ」
やりとりを見ていたお二人がニヤニヤしている、気がします。
「随分仲良いじゃねぇか」
「仲良いわねー」
「良くない」
「照れ屋さんなんだねキーちゃん」
「それで呼ぶなっていつも言ってるだろ」
「なんかキーノス、ビャンコ様にはちょっとだけ辛辣ね」
「キーちゃんはオレに冷たいんじゃなくて、気を許しちゃうんね」
大変前向きでいらっしゃいますね。
「確かに今のビャンコさんなら話しやすいが」
「ワタシにも気を許していいのよキーノス?」
「ミケーノさんとカーラさんにはいつも感謝している。こんな俺と普通に接してくれるから本当に嬉しい」
「あらっそんな風に思ってたの?」
「その……白い男は雑すぎて気遣いより注意が他の人より多くなるんだ。そのローブに何匹の猫仕込んでるんだか」
「うーん、そろそろ四桁な勢い?」
「千匹の猫被ってる局長様か……」
「この姿見ちゃうと否定できないわね」
皆様のグラスのお酒が減ってきましたので、追加のお酒を注ぎます。
私以外の皆様は同じジュンマイシュを召し上がっております。
私だけワインでしたが、そろそろウィスキーかジンが飲みたくなってきています。
「調理場に行ってくるが、何か欲しい物はあるか?」
「あえて言えば追加のお酒ね!」
「オレも~あえて言えばメカブ」
ジュンマイシュをお持ちしましょう。
「オレは調理場を見てみたいな、良ければだが」
「そのくらい問題ない」
私はソファから立ち上がり、ミケーノ様を連れカウンター内の調理場へ足を運びます。
中に入ると、ミケーノ様が中を少し歩き回ります。
「思ったより狭いんだな」
「三人で働けるように作られている」
保冷庫や棚を除くと、向かいあわせで作業できる台と大きめの焜炉が四口あります。
本場の料理店に比べればかなり小さいでしょう。
「ここでしか使われてない調味料とかあるよな?」
「今は片付けてるが、見たいものがあれば言ってくれ」
「そうだな……」
ミケーノ様はいくつかの素材を私に告げました。
季節限定なもの以外はあるので、全てお見せすることにします。
「保存が効かない物はあんま置いて無いんだな」
「そういう物は大体は開店前に市場で全て用意してくる」
「しかも人件費がお前だけだから値段も安いと」
「それもあるが、加熱に術を使っているから燃料費がかからない」
「なるほど……勉強になる」
しばらく調理場を見学してたミケーノ様ですが、こちらに振り返り明るい調子で仰りました。
「もう一つ頼みがあってよ」
「大体は予想がつく」
試してみたくなったのでしょう、見たことの無い食材での調理を。
「さすがだな!」
「何を作りたいんだ?」
「ミソシルだ!!」
シンプルで簡単な料理ですね、それなら今ある材料で作れるでしょう。
「ラディッシュと海藻は余りがあるが、他に欲しいものは?」
「十分だ!」
こうして私とミケーノ様は、ミソシルを作ることになりました。
カーラ様とビャンコ様は……しばらく放っておいても大丈夫でしょう。
リモワ一と言われるリストランテで働くミケーノ様と料理が出来る、こんな光栄な機会滅多にありません。
酔いのせいか、少し気分が高揚しているようです。
「大変申し訳ありませんが、本日は既に閉店となっております。またのご来店を」
「そうなの? 話し声が聞こえたけど?」
ドアからひょこっと首をのばし、店内をご覧になります。
カーラ様とミケーノ様が驚いていらっしゃいます。
二人を見つけ、耳元で一言囁かれました。
「タバコと術のニオイがするよ。あの二人知ってるの?」
言葉に対し、小さく頷き肯定します。
「ふーん、じゃあ今は秘密のパーティかな?」
ビャンコ様はそう仰ると、私が止める間もなくスタスタとお二人がいるテーブルまで移動します。
「こんばんは、僕も参加して良いかな?」
「えっ!? えぇ、あ、はい! ワタシはかまわ、いませんよ?」
「おお、そうだな、オレも大丈夫です!」
突然の事態に驚かれるのは分かりますが、構ってください。
ビャンコ様、あなたも何をお考えで……
「ありがとうございます。キーノスも良いよね?」
この人はご自身が人に好かれやすいのをよく分かっています。
「もちろんです。いらっしゃいませビャンコ様」
「ありがとう、いつものお願いしても良いかな?」
「かしこまりました」
幻術ですね……あとジュンマイシュとメカブ。
とりあえず、準備をすることにしましょう。
───────
料理とお酒を持ってテーブルに戻る頃には、ビャンコ様はいつものスタイルになっておりました。
人前に出さないような事を言っていたように思いますが……気が変わったのでしょうか?
しかも既にお二人と親しくなっております。
「お待たせしました、メカブとジュンマイシュになります」
「あざっす、キーちゃん敬語禁止なんでしょ?」
「ビャンコ様が新しくお客様としてご来店しましたので」
「局長なら問題なしよ! だから続行よ!」
「うぃーっす、あざーっす」
「さ、キーちゃんも座った座った」
ビャンコ様が座ってるソファの空いてる部分をポンポンと手で叩きます。
そこに座れ、と言いたいのでしょうね。
正直、この人の前で先程までのルールは抵抗がありますが……
「じゃ、改めて!」
「「乾杯!」」
合わせて私も黙ってグラスを上げます。
「キーちゃんノリ悪いぞ? もっと明るく! ホラ!」
「……努力する」
「わぁ、敬語じゃないキーちゃんもかっこいいなー」
「やめてくれ」
くすくすと笑いながら楽しそうに私をからかいます。……こういう方ですよね。
タイを緩め、黙ってタバコに火をつけます。
「さっきちょうどビャンコ様の話してたのよ、すごいタイミング!」
「え、そーなの? キーちゃん悪口言ってなかった?」
「いいえ、なーんにも」
「へー、適当魔人とか言ってると思った」
「まぁ、聞いても信じなかったわ~この姿を見るまで」
「やっぱそう?」
「局長さん? ビャンコさん? はモウカハナ良く来るのか?」
「ビャンコで良いよ。たまにかな~、外で羽根伸ばしたくなったらくるね」
「そういや人がいない時間に狙ってるってキーノスが言ってたな」
「うん。ここでタバコ検知したら教えてくれるようにしてるから」
検知? とは、初耳です。
「……聞いてないぞ」
「あれ、気付いてなかった? 棚に香炉あるじゃん。アレに付いてるよ」
店内にある飾り棚に、香油を炊くアンティークがあります。
火気探知の仕掛けが近くにあるので、弾かれなかったのでしょう。
「……店の備品に何してんだ」
「解いたら増やすからね」
「……やめろ」
次は分かりにくくやりそうです。
害はありませんが、釘は刺しておきます。
それより、先程からカーラ様がビャンコ様を見つめております。
この白い男は美しいですからね、容姿は。
「眼福……王都の謎美人が並んでる……」
「おお、オレもそこそこモテんだぞ?」
「ミケーノは頼れる兄貴よね、美人っていうより」
「わかるー。初対面だけど話しやすいし」
「なんだよ、嬉しい事言ってくれんじゃねーの」
ミケーノ様は万人に好かれる方です。お人柄もですが、逞しい体格に男性からの憧れを集める事が多いようです。
カーラ様は男性的な彫りの深い顔立ちで、華やかな印象が際立つお方です。
「ビャンコ様とキーノスなら兄弟でも通るわね」
「そうだな、オレよりは似てる」
「ほーらキーちゃん、いつも言ってるでしょ。オレと変わらんって」
「色気はキーノス、可愛さはビャンコ様ね」
「ほらネ、無駄フェロモンも」
「男のオレでもキーノスは絵になるとか思うぞ」
「……皆様、人違いをなさっております」
「敬語っ! 間違えてないわよ!」
「キーちゃん自分の見た目に関してはポンコツだからねー」
ーーぶっ
カーラ様とミケーノ様が同時に吹きます。
私、ポンコツは初めて言われました。
「わっかるー! さっきからそこだけは全く噛み合わないのよ! カウンター越しの時は『光栄です』だったから分かりにくかったけど、ただのポンコツよねー」
「ぶふっ……ホラ、お前が自分のこと気持ち悪いとか言うからポンコツとか言われんだぞ?」
「今まで言われたことないぞ」
「こんだけ無駄に色気振りまいてるのに分かってないんだよねー」
「そんな事言うのお前だけだ」
「鏡あげようか? 見た事ないでしょ」
「毎日見てる」
「じゃあ眼鏡は? 視力ある?」
「必要ない、見えている」
「じゃあ」
「何も要らん、ほっとけ」
やりとりを見ていたお二人がニヤニヤしている、気がします。
「随分仲良いじゃねぇか」
「仲良いわねー」
「良くない」
「照れ屋さんなんだねキーちゃん」
「それで呼ぶなっていつも言ってるだろ」
「なんかキーノス、ビャンコ様にはちょっとだけ辛辣ね」
「キーちゃんはオレに冷たいんじゃなくて、気を許しちゃうんね」
大変前向きでいらっしゃいますね。
「確かに今のビャンコさんなら話しやすいが」
「ワタシにも気を許していいのよキーノス?」
「ミケーノさんとカーラさんにはいつも感謝している。こんな俺と普通に接してくれるから本当に嬉しい」
「あらっそんな風に思ってたの?」
「その……白い男は雑すぎて気遣いより注意が他の人より多くなるんだ。そのローブに何匹の猫仕込んでるんだか」
「うーん、そろそろ四桁な勢い?」
「千匹の猫被ってる局長様か……」
「この姿見ちゃうと否定できないわね」
皆様のグラスのお酒が減ってきましたので、追加のお酒を注ぎます。
私以外の皆様は同じジュンマイシュを召し上がっております。
私だけワインでしたが、そろそろウィスキーかジンが飲みたくなってきています。
「調理場に行ってくるが、何か欲しい物はあるか?」
「あえて言えば追加のお酒ね!」
「オレも~あえて言えばメカブ」
ジュンマイシュをお持ちしましょう。
「オレは調理場を見てみたいな、良ければだが」
「そのくらい問題ない」
私はソファから立ち上がり、ミケーノ様を連れカウンター内の調理場へ足を運びます。
中に入ると、ミケーノ様が中を少し歩き回ります。
「思ったより狭いんだな」
「三人で働けるように作られている」
保冷庫や棚を除くと、向かいあわせで作業できる台と大きめの焜炉が四口あります。
本場の料理店に比べればかなり小さいでしょう。
「ここでしか使われてない調味料とかあるよな?」
「今は片付けてるが、見たいものがあれば言ってくれ」
「そうだな……」
ミケーノ様はいくつかの素材を私に告げました。
季節限定なもの以外はあるので、全てお見せすることにします。
「保存が効かない物はあんま置いて無いんだな」
「そういう物は大体は開店前に市場で全て用意してくる」
「しかも人件費がお前だけだから値段も安いと」
「それもあるが、加熱に術を使っているから燃料費がかからない」
「なるほど……勉強になる」
しばらく調理場を見学してたミケーノ様ですが、こちらに振り返り明るい調子で仰りました。
「もう一つ頼みがあってよ」
「大体は予想がつく」
試してみたくなったのでしょう、見たことの無い食材での調理を。
「さすがだな!」
「何を作りたいんだ?」
「ミソシルだ!!」
シンプルで簡単な料理ですね、それなら今ある材料で作れるでしょう。
「ラディッシュと海藻は余りがあるが、他に欲しいものは?」
「十分だ!」
こうして私とミケーノ様は、ミソシルを作ることになりました。
カーラ様とビャンコ様は……しばらく放っておいても大丈夫でしょう。
リモワ一と言われるリストランテで働くミケーノ様と料理が出来る、こんな光栄な機会滅多にありません。
酔いのせいか、少し気分が高揚しているようです。
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