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花を愛する残暑の雷鳴
#6
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朝から降る弱い霧雨の影響で日差しが遮られるものの、湿度を帯びた空気はまだ夏が終わらないことを教えてくれます。
ここ最近の気温と比べれば涼しく過ごせますが、雨のニオイに満ちた屋外は快適な環境とは言い難いです。
それよりも問題は私をここへ連れ出している人物です。
昼前に私をカラスを通じて宿へ呼び出し、リモワから出て一時間ほど歩き続けています。
「手解きを思い出すねぇ。まぁあの時は火山の近くだったから色々違うけど」
「そろそろ呼び出した理由を教えていただけませんか?」
宿で「マルモワの事で話がある」とだけ言い、私の問いかけに応じず何もない平地まで来てしまいました。
ようやく話したかと思えば、思い出でも語るような事を言います。
「キー坊はノースの筆頭術士が手品師の正体なのを隠してない事は知ってるよねぇ」
「はい」
「なんでか考えたことはないかねぇ」
「知られて不都合がないからでしょうか」
「半分正解。一番は手品師を暗殺しようとした奴を弟子が返り討ちにしてくれるからなんだよねぇ」
相当ろくでもない理由ですね。
「私としてはキー坊に集中してほしかったんだよねぇ。海路が発達してるから来やすいし、オランディに喧嘩売りたがる国なんてまずないし」
「グリフォンの話は有名ですからね」
「それもだし、流通の要だからねここは。喧嘩売って関係悪くする方が損だよねぇ」
属国にしようと考える可能性もありますが、私がリモワに来てから戦争に関する話は聞いた事がありません。
「今回や~っと手品師として動いてくれたねぇ、しかもマルモワ小僧が留学に来てるタイミングだなんてねぇ」
「不可抗力だったと思います」
「いやぁ最高だねぇタイミングは。地味だけど」
「……どういうことでしょうか?」
以前店にいらした時はそんな事は仰ってなかったように思います。
歩きながら、師匠は話を続けます。
「ここに来る前に戦場片付けてきたって話したよねぇ、実はアレ取りこぼしがあってねぇ」
「そうでしたか」
「正確に言うと逃がしちゃってねぇ、十人の小隊。その連絡に使ったらしい文書に『リモワにマーゴ・フィオリトゥーラが現れた』って書いてあってねぇ」
「戦場の前線にそんな内容が届いたのですか?」
「そりゃあ届くんじゃないかねぇ、そこヴァローナの筆頭術士が現れる可能性ある場所だし? そのはずがマルモワ小僧の留学先に現れたんだから」
「あぁ、なるほど」
「模擬戦から時間が経ってるのは、ここにいる兵士達がマーゴ・フィオリトゥーラがどういうものか知らなかったからだろうねぇ」
確か情報を取り寄せるような事を話していたように思います。
その情報の中にヴァローナの術士である事や弟子の事が書かれていてもおかしくはありません。
その結果、正体がわからないままでも手品師の件を報告したのでしょう。
そんな形で情報を入手したのなら、箝口令はまるで意味がなかったようです。
「偽物でも私と接点があるのは分かるよねぇ。マルモワ小僧の留学先に戦争相手かそれに接点のある術士がいたら、そりゃあ護衛の為に何人か派遣しないとねぇ」
「可能性はありますね」
「しかもその手品師、模擬戦でマルモワ唯一の術士のマルモワ小僧あっさり倒しちゃったんだよねぇ。前線の術士対策用の部隊派遣するしかなかったよねぇ」
「そうかもしれませんね」
「リモワで豪遊できる理由とセットで戦線の兵士が減ったなんて、私にとっては最高だよねぇホント」
「今回の休暇の理由はそれでしたか」
「別にキー坊に言わなくても良いかと思ったんだけどねぇ、恩売れるかなぁって考えてねぇ」
師匠がここに来る前の戦線の話をしているのは分かりますが、こんな所で話す必要性が分かりません。
「さて、役者が配置についたみたいだねぇ」
ようやく立ち止まりましたが、師匠の体の周囲に稲光が発せられています。
小さく弾けるような音もしており、かなり多くの魔力を練っている気配がします。
ーーパチンッ
師匠が指を鳴らします。
軽く弾けるような音が響き、周囲の何ヶ所かに轟音と共に雷が落ちたようです。
「はい、お終い。キー坊、ここに今雷当てた奴ら集めて」
「……その為に私をここに連れてきたのですか?」
「経緯は今説明したよねぇ? お礼にキー坊の暗殺に来たヤツら倒してあげたのに、何が不満かねぇ」
……色々言いたいことはありますが、とりあえず落雷にあった方々をここへ集めることにしましょう。
普通の服装をしていますが、九名全員何か武器を所持していました。
武器を取り上げ、近くの枯れ草を縄へ変え拘束します。
「本当に変化は便利だねぇ」
「休暇というのは嘘だったのですか?」
「いいや、来た初日に店でした話は全部本当。取り逃したヤツらをリモワで見つけても無視するつもりだったんだけどねぇ」
「ですが、この方々はその小隊とお見受けします」
「多分ね。向こうも驚いただろうねぇ、弟子どころか本物がいるんだし。自分達を始末しに来たとか思ったんだろうねぇ」
「本当に偶然だったのですか?」
「迷惑な話だよねぇ」
なぜこのような事になっているのかハッキリしませんが、ここにいるのは九名です。
「一人足りないようですが」
「一昨日娼館で襲われてねぇ、その子から色々聞いてねぇ」
「そちらは既に拘束済と言う事ですか?」
「さっきの宿で術で動けなくしてあるねぇ。一応他の兵士に連絡させて正解だったねぇ」
「……ここに来るように仕向けたと言う事ですか?」
「『明日弟子と王都の外に出かける』って書かせたらあっさり釣れたねぇ。罠とか思わないのかねぇ」
「私の事を書いたのですか?」
「そうすれば確実に釣れると思ったからねぇ」
「……という事は」
私が術士で手品師と言うことがこの兵士達に知られた事になります。
ここに一緒にいる所を見られています。
「まだ大丈夫だと思うよ? キー坊が手品師って情報は知られてないと思うねぇ」
「どうしてそう言えますか」
「留学に来てる長髪が伝達役みたいだけど、ここにいないみたいだねぇ」
ハーロルト様でしょうね。
おそらく拘束した女性からの伝達を受けに現れたのを、師匠が確認したのでしょう。
「ヴァローナとマルモワは戦争中だったのですか」
師匠の言葉の端々で推測はしてましたが、確証はありませんでした。
ですが今の言葉でハッキリしました。
「戦争にはなっていない、が正しいかもねぇ。ヴァローナの辺境に部隊派遣してたくらい? 準備中だったみたいだねぇ」
「そんな場所に師匠が呼ばれたのですか?」
「術士じゃなくて軍師としてねぇ。暇してる軍師が私しかいなくてねぇ」
軍師として派遣された辺境でリモワで豪遊できる情報を入手し、今のように一瞬で終わらせてそのままリモワに来たという事でしょうか。
「追加の部隊がリモワに来る可能性はありませんか?」
「もう三つは潰してんだけどねぇ、私。それでも送るならおバカすぎない? 一応この後あの長髪のとこ行って休暇の邪魔すんなって言おうかと思っててねぇ、どこいるか知らない?」
「さぁ……ホームステイ先は騎士団長のところです」
「あの出演料出してくれたオッサンかぁ」
師匠が悪意を込めてニヤリと笑います。
「とりあえず宿のコもここに運ぶかねぇ」
「この方々はどうなさるおつもりですか?」
「ヴァローナに転移させる、私が誰か分かってて武器向けちゃったわけだしねぇ」
師匠は指を鳴らしてカラスを呼び出します。
そのまま魔力を練り、どこかへ転移させたようです。
それからヴァローナの言葉で何か話しています。
話を終えた後で私の方へ向き直り、地面を指さします。
「転移のやつ描いて」
「私では十名運ぶのは不可能です」
「描くだけで良い、使うのは私だしねぇ」
私は懐にしまってあるペンを取り出しました。
拘束した彼らの周囲に、転移に使う陣の座標以外を魔力を込めずに描きます。
私が陣を描いている間、師匠は宿で拘束させていた女性をここに転移させたようです。
雷で陣を描くためか、術の発動がとても早いです。
「相変わらず転移は遅いねぇ」
「師匠が早すぎるのかと思います」
「剣もだけど、転移も練習した方が良いねぇ」
描き終えてから立ち上がり、陣から離れます。
師匠は陣の内側に転移させた女性を下ろし、陣を確認してから魔力を流して座標の部分を追記します。
そのまま私の隣まで来てから、指を鳴らします。
ーーパチンッ
陣が光り、内側にいた十名の方が一瞬でどこかへ消えていなくなりました。
術の発動が本当に早いです。さすがは一国の筆頭術士と言わざるを得ません。
「さて、と。長髪んとこ行こうかね」
「この時間でこの天気なら庁舎か学園でしょう」
「そっか、今日休みじゃなかったねぇ」
顎に手を当てて思案しているようです。
あっさりと色々片付いたようですが、何か良くない事が起きているのは間違いなさそうです。
何より……
「お願いですから、私を巻き込まないで下さい」
「え~、助けてあげたの分かってないの~?」
「今の襲撃目的は師匠でしょう」
「感謝はないのかねぇ、感謝は」
「私がここに来る必要はなかったと思います」
「取り逃したらキー坊も狙われたんじゃないかねぇ」
「……そうでしょうけど」
「最悪雷対策されてたらキー坊にやらせれば良いかと思ったけど。相変わらずおバカだねぇ、マルモワの連中は」
私は予備でしたか。
しかし、確かに師匠の言う通りです。
大変不本意ではありますが、一応感謝はしておきましょう。
「助けていただき、ありがとうございます」
「じゃ、今夜付き合ってもらおうか」
「お断りします」
それとこれは話が違います。
私を呼び出した事で貸し借りはなしです。
それにしても、あの模擬戦の影響はかなり大きかったようです。
その事も合わせると、師匠に貸しなどないように思えてきます。
ここ最近の気温と比べれば涼しく過ごせますが、雨のニオイに満ちた屋外は快適な環境とは言い難いです。
それよりも問題は私をここへ連れ出している人物です。
昼前に私をカラスを通じて宿へ呼び出し、リモワから出て一時間ほど歩き続けています。
「手解きを思い出すねぇ。まぁあの時は火山の近くだったから色々違うけど」
「そろそろ呼び出した理由を教えていただけませんか?」
宿で「マルモワの事で話がある」とだけ言い、私の問いかけに応じず何もない平地まで来てしまいました。
ようやく話したかと思えば、思い出でも語るような事を言います。
「キー坊はノースの筆頭術士が手品師の正体なのを隠してない事は知ってるよねぇ」
「はい」
「なんでか考えたことはないかねぇ」
「知られて不都合がないからでしょうか」
「半分正解。一番は手品師を暗殺しようとした奴を弟子が返り討ちにしてくれるからなんだよねぇ」
相当ろくでもない理由ですね。
「私としてはキー坊に集中してほしかったんだよねぇ。海路が発達してるから来やすいし、オランディに喧嘩売りたがる国なんてまずないし」
「グリフォンの話は有名ですからね」
「それもだし、流通の要だからねここは。喧嘩売って関係悪くする方が損だよねぇ」
属国にしようと考える可能性もありますが、私がリモワに来てから戦争に関する話は聞いた事がありません。
「今回や~っと手品師として動いてくれたねぇ、しかもマルモワ小僧が留学に来てるタイミングだなんてねぇ」
「不可抗力だったと思います」
「いやぁ最高だねぇタイミングは。地味だけど」
「……どういうことでしょうか?」
以前店にいらした時はそんな事は仰ってなかったように思います。
歩きながら、師匠は話を続けます。
「ここに来る前に戦場片付けてきたって話したよねぇ、実はアレ取りこぼしがあってねぇ」
「そうでしたか」
「正確に言うと逃がしちゃってねぇ、十人の小隊。その連絡に使ったらしい文書に『リモワにマーゴ・フィオリトゥーラが現れた』って書いてあってねぇ」
「戦場の前線にそんな内容が届いたのですか?」
「そりゃあ届くんじゃないかねぇ、そこヴァローナの筆頭術士が現れる可能性ある場所だし? そのはずがマルモワ小僧の留学先に現れたんだから」
「あぁ、なるほど」
「模擬戦から時間が経ってるのは、ここにいる兵士達がマーゴ・フィオリトゥーラがどういうものか知らなかったからだろうねぇ」
確か情報を取り寄せるような事を話していたように思います。
その情報の中にヴァローナの術士である事や弟子の事が書かれていてもおかしくはありません。
その結果、正体がわからないままでも手品師の件を報告したのでしょう。
そんな形で情報を入手したのなら、箝口令はまるで意味がなかったようです。
「偽物でも私と接点があるのは分かるよねぇ。マルモワ小僧の留学先に戦争相手かそれに接点のある術士がいたら、そりゃあ護衛の為に何人か派遣しないとねぇ」
「可能性はありますね」
「しかもその手品師、模擬戦でマルモワ唯一の術士のマルモワ小僧あっさり倒しちゃったんだよねぇ。前線の術士対策用の部隊派遣するしかなかったよねぇ」
「そうかもしれませんね」
「リモワで豪遊できる理由とセットで戦線の兵士が減ったなんて、私にとっては最高だよねぇホント」
「今回の休暇の理由はそれでしたか」
「別にキー坊に言わなくても良いかと思ったんだけどねぇ、恩売れるかなぁって考えてねぇ」
師匠がここに来る前の戦線の話をしているのは分かりますが、こんな所で話す必要性が分かりません。
「さて、役者が配置についたみたいだねぇ」
ようやく立ち止まりましたが、師匠の体の周囲に稲光が発せられています。
小さく弾けるような音もしており、かなり多くの魔力を練っている気配がします。
ーーパチンッ
師匠が指を鳴らします。
軽く弾けるような音が響き、周囲の何ヶ所かに轟音と共に雷が落ちたようです。
「はい、お終い。キー坊、ここに今雷当てた奴ら集めて」
「……その為に私をここに連れてきたのですか?」
「経緯は今説明したよねぇ? お礼にキー坊の暗殺に来たヤツら倒してあげたのに、何が不満かねぇ」
……色々言いたいことはありますが、とりあえず落雷にあった方々をここへ集めることにしましょう。
普通の服装をしていますが、九名全員何か武器を所持していました。
武器を取り上げ、近くの枯れ草を縄へ変え拘束します。
「本当に変化は便利だねぇ」
「休暇というのは嘘だったのですか?」
「いいや、来た初日に店でした話は全部本当。取り逃したヤツらをリモワで見つけても無視するつもりだったんだけどねぇ」
「ですが、この方々はその小隊とお見受けします」
「多分ね。向こうも驚いただろうねぇ、弟子どころか本物がいるんだし。自分達を始末しに来たとか思ったんだろうねぇ」
「本当に偶然だったのですか?」
「迷惑な話だよねぇ」
なぜこのような事になっているのかハッキリしませんが、ここにいるのは九名です。
「一人足りないようですが」
「一昨日娼館で襲われてねぇ、その子から色々聞いてねぇ」
「そちらは既に拘束済と言う事ですか?」
「さっきの宿で術で動けなくしてあるねぇ。一応他の兵士に連絡させて正解だったねぇ」
「……ここに来るように仕向けたと言う事ですか?」
「『明日弟子と王都の外に出かける』って書かせたらあっさり釣れたねぇ。罠とか思わないのかねぇ」
「私の事を書いたのですか?」
「そうすれば確実に釣れると思ったからねぇ」
「……という事は」
私が術士で手品師と言うことがこの兵士達に知られた事になります。
ここに一緒にいる所を見られています。
「まだ大丈夫だと思うよ? キー坊が手品師って情報は知られてないと思うねぇ」
「どうしてそう言えますか」
「留学に来てる長髪が伝達役みたいだけど、ここにいないみたいだねぇ」
ハーロルト様でしょうね。
おそらく拘束した女性からの伝達を受けに現れたのを、師匠が確認したのでしょう。
「ヴァローナとマルモワは戦争中だったのですか」
師匠の言葉の端々で推測はしてましたが、確証はありませんでした。
ですが今の言葉でハッキリしました。
「戦争にはなっていない、が正しいかもねぇ。ヴァローナの辺境に部隊派遣してたくらい? 準備中だったみたいだねぇ」
「そんな場所に師匠が呼ばれたのですか?」
「術士じゃなくて軍師としてねぇ。暇してる軍師が私しかいなくてねぇ」
軍師として派遣された辺境でリモワで豪遊できる情報を入手し、今のように一瞬で終わらせてそのままリモワに来たという事でしょうか。
「追加の部隊がリモワに来る可能性はありませんか?」
「もう三つは潰してんだけどねぇ、私。それでも送るならおバカすぎない? 一応この後あの長髪のとこ行って休暇の邪魔すんなって言おうかと思っててねぇ、どこいるか知らない?」
「さぁ……ホームステイ先は騎士団長のところです」
「あの出演料出してくれたオッサンかぁ」
師匠が悪意を込めてニヤリと笑います。
「とりあえず宿のコもここに運ぶかねぇ」
「この方々はどうなさるおつもりですか?」
「ヴァローナに転移させる、私が誰か分かってて武器向けちゃったわけだしねぇ」
師匠は指を鳴らしてカラスを呼び出します。
そのまま魔力を練り、どこかへ転移させたようです。
それからヴァローナの言葉で何か話しています。
話を終えた後で私の方へ向き直り、地面を指さします。
「転移のやつ描いて」
「私では十名運ぶのは不可能です」
「描くだけで良い、使うのは私だしねぇ」
私は懐にしまってあるペンを取り出しました。
拘束した彼らの周囲に、転移に使う陣の座標以外を魔力を込めずに描きます。
私が陣を描いている間、師匠は宿で拘束させていた女性をここに転移させたようです。
雷で陣を描くためか、術の発動がとても早いです。
「相変わらず転移は遅いねぇ」
「師匠が早すぎるのかと思います」
「剣もだけど、転移も練習した方が良いねぇ」
描き終えてから立ち上がり、陣から離れます。
師匠は陣の内側に転移させた女性を下ろし、陣を確認してから魔力を流して座標の部分を追記します。
そのまま私の隣まで来てから、指を鳴らします。
ーーパチンッ
陣が光り、内側にいた十名の方が一瞬でどこかへ消えていなくなりました。
術の発動が本当に早いです。さすがは一国の筆頭術士と言わざるを得ません。
「さて、と。長髪んとこ行こうかね」
「この時間でこの天気なら庁舎か学園でしょう」
「そっか、今日休みじゃなかったねぇ」
顎に手を当てて思案しているようです。
あっさりと色々片付いたようですが、何か良くない事が起きているのは間違いなさそうです。
何より……
「お願いですから、私を巻き込まないで下さい」
「え~、助けてあげたの分かってないの~?」
「今の襲撃目的は師匠でしょう」
「感謝はないのかねぇ、感謝は」
「私がここに来る必要はなかったと思います」
「取り逃したらキー坊も狙われたんじゃないかねぇ」
「……そうでしょうけど」
「最悪雷対策されてたらキー坊にやらせれば良いかと思ったけど。相変わらずおバカだねぇ、マルモワの連中は」
私は予備でしたか。
しかし、確かに師匠の言う通りです。
大変不本意ではありますが、一応感謝はしておきましょう。
「助けていただき、ありがとうございます」
「じゃ、今夜付き合ってもらおうか」
「お断りします」
それとこれは話が違います。
私を呼び出した事で貸し借りはなしです。
それにしても、あの模擬戦の影響はかなり大きかったようです。
その事も合わせると、師匠に貸しなどないように思えてきます。
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