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第二十四話 眠れない夜
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「どうしてご自分の頬を叩きなさるの?」
「あ、いや、ちょっと活をな」
「また赤くなってますわ、可哀想に」
その赤くなったグロリエンの頬に唇を近付けて、フーフーと息をかけるヘルミーネ。
彼の腫れた頬を癒してあげているつもりなのだろうが、グロリエンにしてみたらたまったものではない。折角入れた活がみるみる内に萎れていくのだ。
(くっ、いちいち動揺してどうするよ。俺は情けない男だなッ!)
しかし実際のところ、グロリエンは自分も魅了の呪いにかけられているのではないかと疑いたくなっている。それ程ヘルミーネの態度に心が乱されるのだ。
少なくとも、幼い頃からグロリエンを慕っていたというヘルミーネ告白が、彼の動揺に拍車をかけたのは間違いない。
とはいえ思春期の少年ではないのである。グロリエンは大きく深呼吸すると「大丈夫だ」と言って、ヘルミーネを優しく押し返した。
まずはここに来た本来の目的を果たさねばなるまいと、気持ちを切り替えたのだ。
「よ、よし、じゃあ魅了の解呪を試してみようか。気を楽にしていてくれ」
「はい。お願いします」
グロリエンの勇者の加護は魔法にも優れた異能である。
マッドリーの超記憶力やエリスティアの隠形の様な特殊能力系加護の力は使えないが、ほぼ万能とも言える勇者の加護は上位解呪も難なく使えた。
グロリエンは手のひらに魔方陣を現わすと、それをヘルミーネの額にとかざす。するとその魔方陣は収束されていき、彼女の額に刻まれてゆく。
解呪が成功すれば魔方陣は消えて光の粒になるはずだ。ところが。
「……おかしい。解呪が反応しない」
「解呪出来ない呪いなのでしょうか?」
「いや、そうじゃなさそうだ。そもそもこれは呪いではないのかもしれない」
「まあ。では一体何なのです?」
「分からない。精神攻撃を受けたのは間違いないのだが……」
がっくりと肩を落としたグロリエンは、仕方ないとばかりに魔法を中断させヘルミーネに向かって頭を下げた。
「すまない。俺ではどうにも出来んようだ。これから至急王国の魔法院に問い合わせて対策を立ててくる」
「そんなグロリエン様が謝る事なんて何も無いですわ。それに本音を言えば、私少しホッとしていますの」
「ん? なんでホッとするんだ?」
「だって……」
ヘルミーネは含羞みながらモジモジし出すと、グロリエンの目を上目遣いにして真っ直ぐにと見る。
「これでもう魅了のせいには出来ないでしょ?」
「何をだ?」
「私がグロリエン様をお慕いしている気持ちをですわ……」
「んなっ!」
これはもはや愛の告白だろうとグロリエンは思った。というより、そう勘違いしそうになった。
ヘルミーネは魅了ではないと喜んでいるようだが、精神攻撃は確かにされているのだ。今の彼女の精神状態が尋常でない事は疑う余地もない。
かと言って真面目に愛を告白しているように見えるヘルミーネを、無視するワケにもいかなかった。
彼女が正気でないと言い切れるほどの確信もなかったからだ。
(困ったぞ。俺はヘルミーネの気持ちを真面目に受け止めて、俺自身の気持ちを誠実に返すべきなのか?)
ごくりと生唾を飲み込んだグロリエンは、思いがけず正念場に立たされている自分の運命に尻込みする。
だがヘルミーネは僅かに逡巡する時間さえも与えてはくれない。
「ねえ教えて? グロリエン様は私の事をどう思っていらっしゃるの?」
「どうって、それは……」
「私はグロリエン様の事が好きです」
そう言ったヘルミーネの目はこの上なく真剣だった。逃げも隠れもしない真っ直ぐな気持ちが伝わってくる。
この期に及んでは覚悟を決めるしかないだろう。グロリエンとて惚れた女に恥をかかすような男でありたくはない。
「ヘルミーネ、俺はお前の事を──」
そう言いかけた時である。グロリエンは自分の中で急速に膨れ上がったある違和感に気付いてしまう。見過ごすことの出来ない大きな違和感に。
「俺、は──」
「俺は?」
「……すまんヘルミーネ。俺の気持ちを伝える前に一つ質問させてくれないか」
「いいですけど、何かしら?」
「俺がお前と勝負をしたいと頼んだら、お前は俺と真剣に戦ってくれるだろうか。これまで二人でずっとしてきたように」
途端、ヘルミーネはクスクスと笑い出した。「こんな大事な時に変な冗談はよして下さい」と、まるで本気にはしていない態度でだ。
もちろんグロリエンは冗談なんか言ってはいない。真面目な気持ちで尋ねている。しかし、その気持ちはヘルミーネに伝わらなかったようだ。
いや伝わらなかったのでは無い。そもそも勝負というものに関心が無いのだろう。
これまで二人は、数え切れないほどの勝負を真剣に戦ってきた。ある意味その勝負はグロリエンとヘルミーネにとって、かけがえのない絆を育んできた時間でもあったのだ。
(それをお前は笑うんだな──)
グロリエンの違和感はまさにそこにある。二人の間にあったはずの絆が突然消失した様な感覚が、グロリエンの中に生じていたのだ。
ヘルミーネの愛の告白を疑いはしなかったが、確かに今の彼女はヘルミーネであってヘルミーネではなかった。精神攻撃が彼女の何かを確実に狂わせている。
「俺がお前との勝負に勝つ事が出来たなら、その時にはきっと俺の気持ちをお前に伝えると約束しよう」
だからもう少し待ってくれとグロリエンはヘルミーネに頭を下げる。
それがグロリエンにとっての真心であった。しかしヘルミーネには不満であったらしく、「それはいつですか」と唇を尖らせる。
「いつ? そうだな、お前の受けた精神攻撃を治したらすぐにでも」
「ほんとに?」
「ああ。明日の平和友好会議が終わる頃には、王国の魔法院から返事が届くはずだ。そしたら対策も立てられると思うから、それまでこの隠れ家で待っていてくれ」
「えっと、それなら私はいま勝負をしても別に構いませんわよ?」
「お前は真剣に戦えるのか?」
「まさか! もし私が勝ってしまったらグロリエン様のお気持ちが聞けないじゃありませんか。それじゃあ一体何の為に勝負をするのか分かりませんわ」
そしてヘルミーネはクスッと笑う。
「そうか……。だがすまんな、今は一刻も早くお前の受けた精神攻撃を治したい。だから勝負はまたにしよう」
そう言うとグロリエンは慌ただしく地下室を出て、隠れ家を後にした。
ヘルミーネとて理性はちゃんとあるのだ。自分の為に奔走してくれようとしているグロリエンからの愛情も感じている。だからギリギリ我慢が出来たのだろう、我が儘を言わずに大人しく見送ったのもグロリエンを信じているからだ。
(だけど何だろう、この胸の苦しさは)
その信じていたはずのグロリエンの事を考えると、信じる気持ちが瞬く間に疑念へと置き換わってしまう。
グロリエンは自分の事を愛してはいないのではないだろうかという疑念に。
(嘘よっ! グロリエン様は私に優しかったわ。今だって私の為にあんなに一生懸命にして下さっているんだものッ)
そもそもヘルミーネから生まれる疑念とは、自分はグロリエンに愛されているはずだという思い込みからのものである。その時点ですでに前提が狂っていると言えた。
元々ヘルミーネはグロリエンが自分を愛しているなどと思った事はない。だからこそ小動物に慣れようとしたり湖畔のデートに誘ったりして、グロリエンを自分に振り向かせようと頑張ってきたのだ。
しかし加護比翼の鳥はヘルミーネに、グロリエンと愛し合っている状態にあると思い込ませている。
グロリエンの気持ちを聞きたがったのだって、単に愛情を確認したかったからに過ぎない。しかしその確認できるはずの愛情が手に入らないストレスが、いまヘルミーネを苦しめていた。
殺風景な地下室で一人ソファに座っているヘルミーネは、形容し難い不安と寂しさを覚える。それと同時に苛立ちも。
(もしかしてグロリエン様は、私を意図的に遠ざけているのかしら。一緒に居たって何ら不都合は無いはずなのに……)
すると不安が新たな疑念を呼んで、悲観的な考えが吹き出してくる。
(それって私の事が邪魔だから? だっておかしいわ、グロリエン様に愛されているのなら私は王太子妃であるはずよ。少なくとも婚約者ではあったはず。なのにそうじゃない今の私は一体何? ただの友人?)
しかしそのすぐ傍から何を馬鹿な事をと、ヘルミーネは自分を叱った。
(違うっ! 私の事を大切に思って下さっているからこそ、こうして王家が秘密にしている隠れ家を使わせて貰えるんじゃない。そうよ、ただの友人とかじゃ有り得ない、私が特別な存在である証拠だわ!)
ヘルミーネの葛藤は眠れぬ夜の間中、ずっと続けられていた。それはとても苦しく長い時間であった。
どうしてグロリエンの事を想う時、自分はこんなにも苦しいのだろうかとヘルミーネは考える。
(こんなはずじゃない……)
ついこの前まではグロリエンの事を想うと、まるで神様に祝福されているような、そんな真っ白な気持ちになれたはずだ。
なのに今は。
(──どうしてグロリエン様の事を想う私の気持ちは、こんなにも真っ黒なんだろう)
ヘルミーネはその真っ黒いものに飲み込まれ、自分がどんどん消えてゆく様な気がした。
彼女にあったはずの神様の祝福は、どこを探してももう見付ける事は出来なかった。
「あ、いや、ちょっと活をな」
「また赤くなってますわ、可哀想に」
その赤くなったグロリエンの頬に唇を近付けて、フーフーと息をかけるヘルミーネ。
彼の腫れた頬を癒してあげているつもりなのだろうが、グロリエンにしてみたらたまったものではない。折角入れた活がみるみる内に萎れていくのだ。
(くっ、いちいち動揺してどうするよ。俺は情けない男だなッ!)
しかし実際のところ、グロリエンは自分も魅了の呪いにかけられているのではないかと疑いたくなっている。それ程ヘルミーネの態度に心が乱されるのだ。
少なくとも、幼い頃からグロリエンを慕っていたというヘルミーネ告白が、彼の動揺に拍車をかけたのは間違いない。
とはいえ思春期の少年ではないのである。グロリエンは大きく深呼吸すると「大丈夫だ」と言って、ヘルミーネを優しく押し返した。
まずはここに来た本来の目的を果たさねばなるまいと、気持ちを切り替えたのだ。
「よ、よし、じゃあ魅了の解呪を試してみようか。気を楽にしていてくれ」
「はい。お願いします」
グロリエンの勇者の加護は魔法にも優れた異能である。
マッドリーの超記憶力やエリスティアの隠形の様な特殊能力系加護の力は使えないが、ほぼ万能とも言える勇者の加護は上位解呪も難なく使えた。
グロリエンは手のひらに魔方陣を現わすと、それをヘルミーネの額にとかざす。するとその魔方陣は収束されていき、彼女の額に刻まれてゆく。
解呪が成功すれば魔方陣は消えて光の粒になるはずだ。ところが。
「……おかしい。解呪が反応しない」
「解呪出来ない呪いなのでしょうか?」
「いや、そうじゃなさそうだ。そもそもこれは呪いではないのかもしれない」
「まあ。では一体何なのです?」
「分からない。精神攻撃を受けたのは間違いないのだが……」
がっくりと肩を落としたグロリエンは、仕方ないとばかりに魔法を中断させヘルミーネに向かって頭を下げた。
「すまない。俺ではどうにも出来んようだ。これから至急王国の魔法院に問い合わせて対策を立ててくる」
「そんなグロリエン様が謝る事なんて何も無いですわ。それに本音を言えば、私少しホッとしていますの」
「ん? なんでホッとするんだ?」
「だって……」
ヘルミーネは含羞みながらモジモジし出すと、グロリエンの目を上目遣いにして真っ直ぐにと見る。
「これでもう魅了のせいには出来ないでしょ?」
「何をだ?」
「私がグロリエン様をお慕いしている気持ちをですわ……」
「んなっ!」
これはもはや愛の告白だろうとグロリエンは思った。というより、そう勘違いしそうになった。
ヘルミーネは魅了ではないと喜んでいるようだが、精神攻撃は確かにされているのだ。今の彼女の精神状態が尋常でない事は疑う余地もない。
かと言って真面目に愛を告白しているように見えるヘルミーネを、無視するワケにもいかなかった。
彼女が正気でないと言い切れるほどの確信もなかったからだ。
(困ったぞ。俺はヘルミーネの気持ちを真面目に受け止めて、俺自身の気持ちを誠実に返すべきなのか?)
ごくりと生唾を飲み込んだグロリエンは、思いがけず正念場に立たされている自分の運命に尻込みする。
だがヘルミーネは僅かに逡巡する時間さえも与えてはくれない。
「ねえ教えて? グロリエン様は私の事をどう思っていらっしゃるの?」
「どうって、それは……」
「私はグロリエン様の事が好きです」
そう言ったヘルミーネの目はこの上なく真剣だった。逃げも隠れもしない真っ直ぐな気持ちが伝わってくる。
この期に及んでは覚悟を決めるしかないだろう。グロリエンとて惚れた女に恥をかかすような男でありたくはない。
「ヘルミーネ、俺はお前の事を──」
そう言いかけた時である。グロリエンは自分の中で急速に膨れ上がったある違和感に気付いてしまう。見過ごすことの出来ない大きな違和感に。
「俺、は──」
「俺は?」
「……すまんヘルミーネ。俺の気持ちを伝える前に一つ質問させてくれないか」
「いいですけど、何かしら?」
「俺がお前と勝負をしたいと頼んだら、お前は俺と真剣に戦ってくれるだろうか。これまで二人でずっとしてきたように」
途端、ヘルミーネはクスクスと笑い出した。「こんな大事な時に変な冗談はよして下さい」と、まるで本気にはしていない態度でだ。
もちろんグロリエンは冗談なんか言ってはいない。真面目な気持ちで尋ねている。しかし、その気持ちはヘルミーネに伝わらなかったようだ。
いや伝わらなかったのでは無い。そもそも勝負というものに関心が無いのだろう。
これまで二人は、数え切れないほどの勝負を真剣に戦ってきた。ある意味その勝負はグロリエンとヘルミーネにとって、かけがえのない絆を育んできた時間でもあったのだ。
(それをお前は笑うんだな──)
グロリエンの違和感はまさにそこにある。二人の間にあったはずの絆が突然消失した様な感覚が、グロリエンの中に生じていたのだ。
ヘルミーネの愛の告白を疑いはしなかったが、確かに今の彼女はヘルミーネであってヘルミーネではなかった。精神攻撃が彼女の何かを確実に狂わせている。
「俺がお前との勝負に勝つ事が出来たなら、その時にはきっと俺の気持ちをお前に伝えると約束しよう」
だからもう少し待ってくれとグロリエンはヘルミーネに頭を下げる。
それがグロリエンにとっての真心であった。しかしヘルミーネには不満であったらしく、「それはいつですか」と唇を尖らせる。
「いつ? そうだな、お前の受けた精神攻撃を治したらすぐにでも」
「ほんとに?」
「ああ。明日の平和友好会議が終わる頃には、王国の魔法院から返事が届くはずだ。そしたら対策も立てられると思うから、それまでこの隠れ家で待っていてくれ」
「えっと、それなら私はいま勝負をしても別に構いませんわよ?」
「お前は真剣に戦えるのか?」
「まさか! もし私が勝ってしまったらグロリエン様のお気持ちが聞けないじゃありませんか。それじゃあ一体何の為に勝負をするのか分かりませんわ」
そしてヘルミーネはクスッと笑う。
「そうか……。だがすまんな、今は一刻も早くお前の受けた精神攻撃を治したい。だから勝負はまたにしよう」
そう言うとグロリエンは慌ただしく地下室を出て、隠れ家を後にした。
ヘルミーネとて理性はちゃんとあるのだ。自分の為に奔走してくれようとしているグロリエンからの愛情も感じている。だからギリギリ我慢が出来たのだろう、我が儘を言わずに大人しく見送ったのもグロリエンを信じているからだ。
(だけど何だろう、この胸の苦しさは)
その信じていたはずのグロリエンの事を考えると、信じる気持ちが瞬く間に疑念へと置き換わってしまう。
グロリエンは自分の事を愛してはいないのではないだろうかという疑念に。
(嘘よっ! グロリエン様は私に優しかったわ。今だって私の為にあんなに一生懸命にして下さっているんだものッ)
そもそもヘルミーネから生まれる疑念とは、自分はグロリエンに愛されているはずだという思い込みからのものである。その時点ですでに前提が狂っていると言えた。
元々ヘルミーネはグロリエンが自分を愛しているなどと思った事はない。だからこそ小動物に慣れようとしたり湖畔のデートに誘ったりして、グロリエンを自分に振り向かせようと頑張ってきたのだ。
しかし加護比翼の鳥はヘルミーネに、グロリエンと愛し合っている状態にあると思い込ませている。
グロリエンの気持ちを聞きたがったのだって、単に愛情を確認したかったからに過ぎない。しかしその確認できるはずの愛情が手に入らないストレスが、いまヘルミーネを苦しめていた。
殺風景な地下室で一人ソファに座っているヘルミーネは、形容し難い不安と寂しさを覚える。それと同時に苛立ちも。
(もしかしてグロリエン様は、私を意図的に遠ざけているのかしら。一緒に居たって何ら不都合は無いはずなのに……)
すると不安が新たな疑念を呼んで、悲観的な考えが吹き出してくる。
(それって私の事が邪魔だから? だっておかしいわ、グロリエン様に愛されているのなら私は王太子妃であるはずよ。少なくとも婚約者ではあったはず。なのにそうじゃない今の私は一体何? ただの友人?)
しかしそのすぐ傍から何を馬鹿な事をと、ヘルミーネは自分を叱った。
(違うっ! 私の事を大切に思って下さっているからこそ、こうして王家が秘密にしている隠れ家を使わせて貰えるんじゃない。そうよ、ただの友人とかじゃ有り得ない、私が特別な存在である証拠だわ!)
ヘルミーネの葛藤は眠れぬ夜の間中、ずっと続けられていた。それはとても苦しく長い時間であった。
どうしてグロリエンの事を想う時、自分はこんなにも苦しいのだろうかとヘルミーネは考える。
(こんなはずじゃない……)
ついこの前まではグロリエンの事を想うと、まるで神様に祝福されているような、そんな真っ白な気持ちになれたはずだ。
なのに今は。
(──どうしてグロリエン様の事を想う私の気持ちは、こんなにも真っ黒なんだろう)
ヘルミーネはその真っ黒いものに飲み込まれ、自分がどんどん消えてゆく様な気がした。
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