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翌日、サークル部屋へ向かうと、霧ヶ峰先輩がパイプ椅子をがたがたと揺らしながら漫画片手に挨拶してきた。
「おー、遠州」
「あれ、来てたんですか先輩」
「あぁ」
馴れ馴れしいが悪くない、むしろ「もっと馴れ馴れしくしやがれっ」とでもいいたくなるような妙な気持ち、俺はそんなことを思いながら先輩の存在に思わずにやついてしまった。本来なら人がいない空間の方が心地よいはずなのになぜか今はとても気持ちが高ぶっていた。
「あぁ、しかし遠州よ、あいつらがいないとここは本当に心地がいいな」
あいつらとは香水とたばこの擬人化した奴らの事だろう。確かにその通りだ、今だからこそ味わえる最後のご褒美の様な感覚だ。もしかしたら世界の終焉、ラグナロクを迎えた時はこんな気持ちなのかもしれない。
「そうっすねぇ、気持ちがいいです」
「漫画アニメゲームに、薄い本、ここなら地縛霊になってもいいな」
「物騒なこと言わないでくださいよ、まぁ、心地が良いことには賛同しますけど」
「そうだろ、こんな空間をもっと早く提供してもらいたかったものだ」
「俺は、入学してこのサークルに入った時から堪能させてもらってましたけどね」
「ず、ずるいぞ、なぜ私に言わなかった」
「昨日初めて知った人のそんなこと言われてもどうすりゃいいんですか」
「そ、それもそうか」
「まぁ、こんな最高な時間もあと少しみたいですけどね」
「せっかくの快適空間をぶち壊す発言だな、少しは空気を読んだらどうだ?」
「事実はどうしようもないですよ、セーブもしてないし、過去にさかのぼることもできません」
「ど、どうしても立ち退かなきゃいけないのか?」
「そりゃ、立ち退かなくてもいいっていうなら、なにがなんでもこの場所を守りたいっすけど、もう廃部になってるらしいんですよ、お手上げっす」
「そ、そうだよなぁ、私もそう聞いた」
「はい、現実は残酷な悪魔の鎮魂歌ってところです」
「なぁ遠州」
顔ははっきり見えないが、わずかに見える色白の顔は少し真剣なものだった、しかし、俺というやつはいつからこんなにもおしゃべりになっちまったんだ。
確かに、タイマンだとすらすら喋れる傾向はあったが、それにしても昨日今日あったような人とこれほどまで喋れるとは。
「おい、遠州」
「え、なんですか?」
「この状況、何とかできないのか?」
「俺は入学したばっかです、何ができるっていうんですか?」
「す、ストライキとかどうだ?」
「は?」
「ふへへ、よくあるだろ、図書館に立てこもったり教室に立てこもったり、そして警察呼ばれたりしちゃって、ふへへへへ」
「分かりますけど、そんなことやったら即刻停学、下手すりゃ退学です」
「で、でも、そうしてでも守りたい、守ってみたくないか?」
「そ、そんなの俺だってそうに決まってるじゃないですか」
「遠州・・・・・・」
「だって、こんなすげー場所中々ないじゃないですか、俺なんてここに着た瞬間にビビッと来たっていうか、なんかよくわかんない感情がわきあがってきて「ずっとここにいたいって」そんな、わけわかんない気持ちになったんすから」
「長セリフは小説においてよくある現象だが現実世界に持ってこないでもらいたい」
「え、あ、いや、すんません、ラノベの読みすぎっすかね」
「何の受け売りだ?」
「い、いやなんか恥ずかしくなってきたんで、やめときます」
「そうか」
「はい、とりあえず俺は適当に掃除しときますね」
「あぁ」
なんだか自分でも恥ずかしいこと言ってしまったもんだと思いつつも、この部屋にあふれた物の整理について考えることにした。
「あ、それからここにもの全部俺がもらえることになってるみたいなんですけど、先輩何か欲しいもんとかありますか?」
「欲しいもの?」
「はい、なんでも、もらっていいみたいですよ」
「そうなのか、だが、残念ながら私はもう部屋が満タンだからこれ以上持って帰るのは厳しいかな」
「へー、先輩は何でいっぱい系ですか?」
「私は本ばかりだ、漫画にラノベにファンブック、攻略本と、とにかくかさばるやつらばかりだ」
「あー、わからなくもないですね」
「で、遠州は何でいっぱいなんだ」
「いっぱい前提なんですか」
「勿論だ、お前も同類なんだろう?」
同類か、その場合どういう類に含まれるのだろう、ヒト科オタク類とかだろうか?
「そうっすね俺は、ゲームとか、あとは抱き枕が散乱してますね」
「ふへへ、さすが男だな、お気に入りはなんだ?」
俺は日曜朝に放送されている少女向けアニメのキャラクターを口に出すと霧ヶ峰先輩は「クスクス」と笑い始めた。
「ぷくぷく、ほー、へー、ふーん、そうかそうかぁ」
「な、なんですか?」
「いやいや、お前は飛び切り変態だな遠州」
霧ヶ峰先輩はニヤニヤと気味の悪い笑みを見せてきた。それはまるで弱みでも見つけたかのような、そんな邪悪な笑みに見えた。
「な、なんですかその顔は」
「いやぁ、ロリコンだな遠州は」
「ほ、ほっといてくださいよ」
「いやいや、まぁわからんでもない、かわいいからなあの子らは」
「そうですよ、かわいいんですよ、だからロリコンとかではなくあれは純粋なる「愛」なんですよ」
「愛?」
なんだかわからないけど盛り上がってきてなんだかバカみたいなことを言い始めている。そしてそんな態度に霧ヶ峰先輩は少しばかり顔を引きつらせていた。
「ひ、ひかないでくださいよ先輩」
「い、いやわかるし、私だってそう思うが、実際言われるとこんなにもキモイのかと思ってな」
「も、もう言いません」
「い、いや言ってもいいんだが、つまるところあれだろ、子役の子をかわいいっていうのと一緒だろ?」
「そう、そうなんですよっ」
「まぁ、それで私はいつも思うんだが、こうして二次元の子ども達を好きだとか言っちゃうとロリコンって言われるけど、どうして子役をかわいいとか好きとかいっても、ショタコンとかロリコンって言われないんだろうなってことだろ?」
「そう、そうですよ」
「つまりだ、子役たちをかわいいって言ってるやつらだって「ショタコン」「ロリコン」なんだよ、それを二次元だけにそんな事をいうのはおかしいんだ。
むしろ現実に存在しないものをかわいがる私たちのほうがよっぽど健全だということだ、だって直接的には何もできないわけだからな」
「でも、どうあがいても三次元が正義ですからね、正当化する人間が多ければ多いほどそれが真実や正義になりますから」
「越えられない壁というやつか、それが二つもあるのか」
「えぇ、三次元にはなじめないというのと、二次元に行けないという壁ですね」
「あぁ、所で遠州話は変わるが一つ提案がある」
「なんですか?」
「遠州が言っていたこの部屋の宝物たちだが、二人で処理しきれない量だから、たたき売りして金儲けしようじゃないか」
口元がにやける霧ヶ峰先輩はおそらく、ものすごく悪い顔をしているのだろう。
「え、えー、もったいないですよ」
「そんなことはない、捨てるよりも買ってもらえる方がここにいる宝たちは喜ぶだろう、そして私たちは売り上げを山分けして、新たな宝を購入する、どうだ?」
とても魅力的で賢い提案に俺の心は揺らいだ。だが、そんな簡単に事が運ぶだろうか、それに、ここにあるものが売れるかどうかというのも怪しい。
「でも、実際問題売れますかね?」
「大丈夫だ、カードが何十万にもなったりするんだから、ここに置いてあるものだって高値で売れる可能性はある」
「うーん、じゃあ試しにやってみます?」
「あぁ」
霧ヶ峰先輩の提案により、俺たちは二人でちょっとしたポスターを何の許可もなしに学内掲示板張り出し、客が来ることを待った。
しかし、掲示板にポスターを張ってから数日、秘密裏に掲示板に貼りだしたせいか、我が部室には全く人が現れず、来る日も来る日も夕方になるまで霧ヶ峰先輩とは一言も喋らずに無言で漫画を読んで時間をつぶしていた。
それにしても、霧ヶ峰先輩とは話があうんだけどまだまだ会って数日であり、俺のような奴はそうそう人と打ち明けられない人間だということを再認識することができた。
だが、そんなある日のことだ、いつものように漫画喫茶のような雰囲気で過ごしていると、突如として部室の扉がノックされた。適当に返事をして来客者が誰か待ちわびていると、黒縁眼鏡にぽっちゃり・・・・・・というには優しすぎる表現のふとましい男性が現れた。
彼はハンカチ片手に顔からあふれ出る汗を拭きながら現れると、息を荒げながら「どうも」と言ってきた、そうだな、この季節はもう脂肪を纏う種族にとって大変なものなのだろう。
なんてことを思いつつ、俺はすぐに霧ヶ峰先輩に目配せし互いにうなづいた後、作り笑顔でその男性を迎え入れた。
間違いなくサブカル趣味の同類だ、そして惜しみなく金を使ってくれそうな逸材である予感がビンビンに感じられた。そんな男性は、ここに来た目的がこの部屋にあるものを買い取るというものであることを証明するかのように、部屋の中のものを物色し始めた。
彼はまるで俺たちがいないものかのように独り言をつぶやき、ただひたすら室内を歩き回っていた。するとそんな時、黒縁眼鏡の彼が突然声を上げた。
「ふぬぅっ、これは、幻のインターセプターざくろのフィギュア、これがなぜこんなところにっ」
「おっ、お目が高いなお客さん、これは遠州のお気に入りだぞ、なぁ遠州」
意外と接客の出来る霧ヶ峰先輩は嬉々として俺に話しかけてきた。
「えぇ、すごいいい出来ですよね、どうですか気に入りましたか?」
「気に入ったも何も、えっと確かネットオークションで何百万という価格をたたき出したのが数年前だから・・・・・・いやそれよりもこれはいくらです?」
思いもよらぬ言葉に、俺は思わず霧ヶ峰先輩と顔を見合わせた。片目ではあるが先輩も俺同様に驚いた様子を見せていた。確かにできはいいし、ざくろちゃんがめちゃくちゃ可愛いのは間違いない。下品だけど下着の部分も精巧に出来てたりしたけど、このフィギュアが数百万円だって?
だといたら売るには惜しい、なんてことを考えていると、霧ヶ峰先輩が突然黒縁眼鏡の彼に歩み寄った。
「おー、遠州」
「あれ、来てたんですか先輩」
「あぁ」
馴れ馴れしいが悪くない、むしろ「もっと馴れ馴れしくしやがれっ」とでもいいたくなるような妙な気持ち、俺はそんなことを思いながら先輩の存在に思わずにやついてしまった。本来なら人がいない空間の方が心地よいはずなのになぜか今はとても気持ちが高ぶっていた。
「あぁ、しかし遠州よ、あいつらがいないとここは本当に心地がいいな」
あいつらとは香水とたばこの擬人化した奴らの事だろう。確かにその通りだ、今だからこそ味わえる最後のご褒美の様な感覚だ。もしかしたら世界の終焉、ラグナロクを迎えた時はこんな気持ちなのかもしれない。
「そうっすねぇ、気持ちがいいです」
「漫画アニメゲームに、薄い本、ここなら地縛霊になってもいいな」
「物騒なこと言わないでくださいよ、まぁ、心地が良いことには賛同しますけど」
「そうだろ、こんな空間をもっと早く提供してもらいたかったものだ」
「俺は、入学してこのサークルに入った時から堪能させてもらってましたけどね」
「ず、ずるいぞ、なぜ私に言わなかった」
「昨日初めて知った人のそんなこと言われてもどうすりゃいいんですか」
「そ、それもそうか」
「まぁ、こんな最高な時間もあと少しみたいですけどね」
「せっかくの快適空間をぶち壊す発言だな、少しは空気を読んだらどうだ?」
「事実はどうしようもないですよ、セーブもしてないし、過去にさかのぼることもできません」
「ど、どうしても立ち退かなきゃいけないのか?」
「そりゃ、立ち退かなくてもいいっていうなら、なにがなんでもこの場所を守りたいっすけど、もう廃部になってるらしいんですよ、お手上げっす」
「そ、そうだよなぁ、私もそう聞いた」
「はい、現実は残酷な悪魔の鎮魂歌ってところです」
「なぁ遠州」
顔ははっきり見えないが、わずかに見える色白の顔は少し真剣なものだった、しかし、俺というやつはいつからこんなにもおしゃべりになっちまったんだ。
確かに、タイマンだとすらすら喋れる傾向はあったが、それにしても昨日今日あったような人とこれほどまで喋れるとは。
「おい、遠州」
「え、なんですか?」
「この状況、何とかできないのか?」
「俺は入学したばっかです、何ができるっていうんですか?」
「す、ストライキとかどうだ?」
「は?」
「ふへへ、よくあるだろ、図書館に立てこもったり教室に立てこもったり、そして警察呼ばれたりしちゃって、ふへへへへ」
「分かりますけど、そんなことやったら即刻停学、下手すりゃ退学です」
「で、でも、そうしてでも守りたい、守ってみたくないか?」
「そ、そんなの俺だってそうに決まってるじゃないですか」
「遠州・・・・・・」
「だって、こんなすげー場所中々ないじゃないですか、俺なんてここに着た瞬間にビビッと来たっていうか、なんかよくわかんない感情がわきあがってきて「ずっとここにいたいって」そんな、わけわかんない気持ちになったんすから」
「長セリフは小説においてよくある現象だが現実世界に持ってこないでもらいたい」
「え、あ、いや、すんません、ラノベの読みすぎっすかね」
「何の受け売りだ?」
「い、いやなんか恥ずかしくなってきたんで、やめときます」
「そうか」
「はい、とりあえず俺は適当に掃除しときますね」
「あぁ」
なんだか自分でも恥ずかしいこと言ってしまったもんだと思いつつも、この部屋にあふれた物の整理について考えることにした。
「あ、それからここにもの全部俺がもらえることになってるみたいなんですけど、先輩何か欲しいもんとかありますか?」
「欲しいもの?」
「はい、なんでも、もらっていいみたいですよ」
「そうなのか、だが、残念ながら私はもう部屋が満タンだからこれ以上持って帰るのは厳しいかな」
「へー、先輩は何でいっぱい系ですか?」
「私は本ばかりだ、漫画にラノベにファンブック、攻略本と、とにかくかさばるやつらばかりだ」
「あー、わからなくもないですね」
「で、遠州は何でいっぱいなんだ」
「いっぱい前提なんですか」
「勿論だ、お前も同類なんだろう?」
同類か、その場合どういう類に含まれるのだろう、ヒト科オタク類とかだろうか?
「そうっすね俺は、ゲームとか、あとは抱き枕が散乱してますね」
「ふへへ、さすが男だな、お気に入りはなんだ?」
俺は日曜朝に放送されている少女向けアニメのキャラクターを口に出すと霧ヶ峰先輩は「クスクス」と笑い始めた。
「ぷくぷく、ほー、へー、ふーん、そうかそうかぁ」
「な、なんですか?」
「いやいや、お前は飛び切り変態だな遠州」
霧ヶ峰先輩はニヤニヤと気味の悪い笑みを見せてきた。それはまるで弱みでも見つけたかのような、そんな邪悪な笑みに見えた。
「な、なんですかその顔は」
「いやぁ、ロリコンだな遠州は」
「ほ、ほっといてくださいよ」
「いやいや、まぁわからんでもない、かわいいからなあの子らは」
「そうですよ、かわいいんですよ、だからロリコンとかではなくあれは純粋なる「愛」なんですよ」
「愛?」
なんだかわからないけど盛り上がってきてなんだかバカみたいなことを言い始めている。そしてそんな態度に霧ヶ峰先輩は少しばかり顔を引きつらせていた。
「ひ、ひかないでくださいよ先輩」
「い、いやわかるし、私だってそう思うが、実際言われるとこんなにもキモイのかと思ってな」
「も、もう言いません」
「い、いや言ってもいいんだが、つまるところあれだろ、子役の子をかわいいっていうのと一緒だろ?」
「そう、そうなんですよっ」
「まぁ、それで私はいつも思うんだが、こうして二次元の子ども達を好きだとか言っちゃうとロリコンって言われるけど、どうして子役をかわいいとか好きとかいっても、ショタコンとかロリコンって言われないんだろうなってことだろ?」
「そう、そうですよ」
「つまりだ、子役たちをかわいいって言ってるやつらだって「ショタコン」「ロリコン」なんだよ、それを二次元だけにそんな事をいうのはおかしいんだ。
むしろ現実に存在しないものをかわいがる私たちのほうがよっぽど健全だということだ、だって直接的には何もできないわけだからな」
「でも、どうあがいても三次元が正義ですからね、正当化する人間が多ければ多いほどそれが真実や正義になりますから」
「越えられない壁というやつか、それが二つもあるのか」
「えぇ、三次元にはなじめないというのと、二次元に行けないという壁ですね」
「あぁ、所で遠州話は変わるが一つ提案がある」
「なんですか?」
「遠州が言っていたこの部屋の宝物たちだが、二人で処理しきれない量だから、たたき売りして金儲けしようじゃないか」
口元がにやける霧ヶ峰先輩はおそらく、ものすごく悪い顔をしているのだろう。
「え、えー、もったいないですよ」
「そんなことはない、捨てるよりも買ってもらえる方がここにいる宝たちは喜ぶだろう、そして私たちは売り上げを山分けして、新たな宝を購入する、どうだ?」
とても魅力的で賢い提案に俺の心は揺らいだ。だが、そんな簡単に事が運ぶだろうか、それに、ここにあるものが売れるかどうかというのも怪しい。
「でも、実際問題売れますかね?」
「大丈夫だ、カードが何十万にもなったりするんだから、ここに置いてあるものだって高値で売れる可能性はある」
「うーん、じゃあ試しにやってみます?」
「あぁ」
霧ヶ峰先輩の提案により、俺たちは二人でちょっとしたポスターを何の許可もなしに学内掲示板張り出し、客が来ることを待った。
しかし、掲示板にポスターを張ってから数日、秘密裏に掲示板に貼りだしたせいか、我が部室には全く人が現れず、来る日も来る日も夕方になるまで霧ヶ峰先輩とは一言も喋らずに無言で漫画を読んで時間をつぶしていた。
それにしても、霧ヶ峰先輩とは話があうんだけどまだまだ会って数日であり、俺のような奴はそうそう人と打ち明けられない人間だということを再認識することができた。
だが、そんなある日のことだ、いつものように漫画喫茶のような雰囲気で過ごしていると、突如として部室の扉がノックされた。適当に返事をして来客者が誰か待ちわびていると、黒縁眼鏡にぽっちゃり・・・・・・というには優しすぎる表現のふとましい男性が現れた。
彼はハンカチ片手に顔からあふれ出る汗を拭きながら現れると、息を荒げながら「どうも」と言ってきた、そうだな、この季節はもう脂肪を纏う種族にとって大変なものなのだろう。
なんてことを思いつつ、俺はすぐに霧ヶ峰先輩に目配せし互いにうなづいた後、作り笑顔でその男性を迎え入れた。
間違いなくサブカル趣味の同類だ、そして惜しみなく金を使ってくれそうな逸材である予感がビンビンに感じられた。そんな男性は、ここに来た目的がこの部屋にあるものを買い取るというものであることを証明するかのように、部屋の中のものを物色し始めた。
彼はまるで俺たちがいないものかのように独り言をつぶやき、ただひたすら室内を歩き回っていた。するとそんな時、黒縁眼鏡の彼が突然声を上げた。
「ふぬぅっ、これは、幻のインターセプターざくろのフィギュア、これがなぜこんなところにっ」
「おっ、お目が高いなお客さん、これは遠州のお気に入りだぞ、なぁ遠州」
意外と接客の出来る霧ヶ峰先輩は嬉々として俺に話しかけてきた。
「えぇ、すごいいい出来ですよね、どうですか気に入りましたか?」
「気に入ったも何も、えっと確かネットオークションで何百万という価格をたたき出したのが数年前だから・・・・・・いやそれよりもこれはいくらです?」
思いもよらぬ言葉に、俺は思わず霧ヶ峰先輩と顔を見合わせた。片目ではあるが先輩も俺同様に驚いた様子を見せていた。確かにできはいいし、ざくろちゃんがめちゃくちゃ可愛いのは間違いない。下品だけど下着の部分も精巧に出来てたりしたけど、このフィギュアが数百万円だって?
だといたら売るには惜しい、なんてことを考えていると、霧ヶ峰先輩が突然黒縁眼鏡の彼に歩み寄った。
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