小悪魔とダンス

キリ

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2章 トライアングル

恋心

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 互いの腹に飛び散った精液をまぶすように、洋介は、身体を密着させ、激しく中をかきまわす。
 悩ましげな圭の喘ぎ声に呼応するように、洋介も、また圭の中に欲望を撒き散らした。
 「やめて……先輩……ああっ……もうっ……だめえ」
「どうしてだ? こんなに濡らして、感じまくってるのに」
「だからあっ……ああん……んんっ……ねがいっ・・んっ……」
 お互いに放出しあった後も、圭は、洋介の攻めを受け続けていた。
 もう、何度達かされただろう。
 洋介のからかう通り、圭の小ぶりなものから流れ出す白いもので、性器はもうべとべとだった。お尻にまで垂れてきたそれのせいで、洋介が出入りするたびに、ぐじゃぐじゃと嫌らしい音がする。
 小さな穴の中に、固いものが抜き差しされても、もう、どこも痛くない。圭のあの部分は、すっかり洋介の形に馴染み、抜かれるとひくひくと収縮して行為の続きをねだるのだった。
 腿の後ろに手を添えて、洋介は今まで以上に大きく圭の脚を割り拡げた。そして、激しく腰を入れる。
「ああっ」
 結合が深くなり、圭の目は、官能を帯びてピンク色に染まる。大きく広げられる、この格好は恥ずかしい。恥ずかしいのに……。
 たまらなく気持ちがいい。
 優しい愛撫と挿入が良かったはずなのに、今では、激しく動かれる度に、背中に電気が走ったような快感が走る。
 犯される喜びに目覚めた身体からは、壮絶な色気が発散されていた。
「どこがいいか、言ってみろよ」
 耳朶を甘噛みしながら、ついでのように囁かれる。
「感じるポイントを探してみろ……もっともっと気持ちよくしてやるから」
 圭は激しく首を横に振った。
「恥ずかしがることなんか、ないぜ。ほら、さっきだってできただろう? 少しずつ腰を動かして、やってみるんだ」
 そういうと、洋介は、動きを止めた。
 固いものが、圭の身体の中にある。
 圭を気持ちよくしてくれる、熱くて、大きな、洋介のもの。
 ほんのちょっとでも動いてくれたら、もっともっと気持ちよくなれるのに。
 だが、さっきまで激しいピストン運動を繰り返していたそれは、焦らすように、沈黙をしている。
「さあ」
 甘い声が、耳朶に流し込まれ、圭は、目をぎゅっとつぶって、そっと腰を動かしてみた。
 浅く男根を含ませたり、奥深く受け入れたり……
 あ、そこ……。
 身体の最奥の部分に、とても気持ちのいいポイントを探り当て、圭はそこに擦り付けるように、何度も腰を動かしてみた。
「ん?」
 優しく促され、圭は頬を薄桃色に染めながら、
「激しく……して」
 と小さな声で言った。
「聞こえないな」
 意地悪な声。焦らされるもどかしさに、涙が浮かんでくる。圭はねだるように腰を動かしてみた。
「奥まで……淹れて、激しくしてほしい」
「……」
「お願い……早く、動いて……でないと、俺、もう」
 余裕のない様子に、洋介はくすりと笑うと、圭のつんと尖った鼻の頭にキスをした。
「おりこうさんだな。ご褒美をやるよ」
洋介は圭の双丘を掌で大きく割り拡げると深く雄刀をめり込ませてきた。
「ああーっ。やあっ……せんぱ、いっ……」
 激しすぎる刺激に、圭は広く鍛えられた背中にしっかりとしがみつく。
 そのまま激しく打ち付けられて、圭はたまらない涙をこぼした。
「先輩……」
 揺さぶられながら、小さくしゃくりあげる。
「ん? どうした……」
 これ以上はないというくらいの優しい声。胸に顔を埋めて、泣きながら
「俺……また、出しちゃった……」
 と告白する。真っ白だったシーツは、圭の精液で、一部分だけ違う色に染まっているはずだった。
「出す時のお前って、可愛いぜ。泣くこたないだろ」
 抜き差しを繰り返しながら慰めてくれるが、圭は恥ずかしくてたまらなかった。
 極限まで脚と後孔を広げられ、深いところで男を受け入れながら、あられもない声をあげている。
 それだけでもいたたまれないのに、貫かれてはしたなく何度も達ってしまったのだ。
 圭の部分は女のそれのようにぐっしょりと濡れている。固いものが抜き出される度に、引き止めるように内部が収縮する。男に犯されるのが好きなのだと断定されても仕方がなかった。
 そう。好きなのかもしれない。
 洋介のたくましいものが、角度を変えて内部の上のあたりを刺激する。
 気持ちがいい。
 こんな気持ちのいいことがあるなんて、今まで知らなかった。
「あーっ、そこ、やあっ・・っ」
 部屋に響くいやらしい声は、本当に自分の唇がら出ているのだろうか。
「前立腺を刺激すると……いいらしいぜ」
 洋介の声も掠れている。
「先輩……もうっ、あーっ。いやあ、また出ちゃう」
「可愛いって言ったろ」
「ああん……んっ……ん……」
 もう、駄目だ。
 頭の中にミルク色の靄がかかっている。
「自分で動いてみるか」
 朦朧とした中声をかけられて、圭はこくこくと頷いていた。
 背中に片手があてがわれ、体を入れ替えられる。
 洋介の体に、蝉のようにつかまりながら、見下ろすと整いすぎたマスクがそこにあった。
 いつもは自分がこんな風に見下ろされているのだと思うと、羞恥心がこみあげてくる。
「身体を起こして、やってみろよ。その方が奥まで入るから」
 洋介の提案を、
「やだ」
 と一言ではねつける。
 広い胸に顔を埋めて背中に手を回し、ぴったりとくっついたこの格好がいい。
 感じているいやらしい顔や、男を受け入れて悶え、くねる身体を見られてしまったら、恥ずかしすぎて絶対に自分から動くなんてできそうになかった。
「わかったよ」
 洋介は、くすりと笑うと、圭の背中に手を回して抱きしめてきた。

  蝉のように洋介の胸にしがみ付いたまま、圭はそっと腰を動かしてみた。
 つながった部分から聞こえてくる湿った音に、なけなしの勇気が萎みそうになる。男なのに、はしたないほど濡らしてしまって、恥ずかしくてたまらなかった。
 洋介の右手が圭の背中に当てられ、もう片方の掌が圭の小さな尻を優しく包む。
 優しく、そっと撫でられて、圭はとろとろと眠ってしまいそうになった。
「こら、自分で動くんだろ」
 そんな圭に、洋介はからかうような口調で言う。
「上手だったぜ……もう一回、やってみろよ」
 褒められると、やっぱり嬉しい。圭はもう一度腰を動かしてみた。
 あ、また……。
 ぐじゅりという音に、ひるんでしまうが、洋介は、励ますように、左手でそっと双丘を分ける。
 大きくて温かい、洋介の掌。
 長い指が、圭の秘められた部分にあてがわれる。
 ただでさえ、恥ずかしいのに、そこには洋介の太くて固いものを、無理やりのみこまされているのだ。
 小さくて、可憐な圭の部分をきちきちに塞いでいるそれの周辺を、洋介の指が動いていく。
「凄い、濡れてるぜ。お前って本当に感じやすいんだな」
「先輩のせいだ」
 胸に顔を埋めたまま、ぶっきらぼうにそう言うと、洋介は、
「そうだったな。俺のせいだよな」
 と、どこか嬉しそうに呟いた。

 身体が反転され、洋介がもう一度上になる。
 首筋に噛み付くようなキスを受けた後、身体の奥から快感をひきずり出されるような、激しい抽送が始まった。
「んっ……ぁ、ああっ……っ」
 頑丈な作りのベッドがかすかに軋む。
 圭の身体から、白いものがどくどくと垂れていく。
 無垢な少年の身体は、快感を与えられる事にすっかり慣れてしまった。男のために蜜を垂れ流す、花へと変えられてしまったのだ。
 激しく突きあげられ、圭は次第にものを考える余裕をなくしていく。
 洩れるのは、しゃくりあげる息と、たまらなくなって思わずあげてしまう、嬌声と、そして、淫液ばかりだった。
「俺と、別れられるのか」
 突き上げながら、洋介が問う。
 ぐりん、と中をかき回され、圭は、洋介の背中に必死でしがみついた。
「俺と、二度と会わないなんて、そんな事ができると、本気で思ってるのか」
 圭の中を満たしていたものが引き抜かれる。それからすぐに再び貫かれてしまい、今度は最奥まで、洋介のものが、到達する。
 身体の奥深く、一番敏感な部分を、逞しい男の固いもので、擦られる。何度も何度も、えぐるように。そして時に優しく、撫でるように。
 頭の中に、ちかちかと星のようなものが点滅してきた。もう、意識は、そこを出入りする男根の感触を追うことだけで精一杯だった。
 ぐじゅぐじゅと湿った音が部屋の中に響いても、もう止められない。
 もっともっと、気持ちよくしてほしい。
 身体の蜜が、全て流れてしまうまで、そこを刺激してほしかった。
 再び男根を引き抜かれて、もう一度角度を変えて差し入れられる。
「あーーっ」
 この世のものとは思えないほどの壮絶な快感に、圭は大きな喘ぎと共に、回していた背中に爪をたてる。
 目からも口からも、そして、恥ずかしいあの部分からも、液体が流れて止まらなかった。
「きもち……っいいっ……先輩……もちいいよぉ……」
 泣きながら圭はそう訴える。洋介は、優しく微笑みながら、
「洋介って、呼べよ」
 掠れた声でそう言うと、触れるだけのキスをする。背中は圭のたてた爪あとで傷ついているはずだった。
 だけど、もうどうしようもない。
「洋介っ……も、やだあっ……そこ……ああん……気持ちいいっ……ああっ」
 はしたなく、求めてしまうのは、自分がどうしようもなく淫乱だからだろうか。
 洋介の下で、圭も、小刻みに腰を動かしていた。幼さの抜けきれない子供のような身体が、与えられる快感に喘ぎ、自ら貪欲に求める様は、男の嗜虐心をこの上なく高める。そんな事には全く気がついてはいなくって。
 下半身は精液まみれだというのに、憑かれたように快感を求めてしまう。
 やがて、洋介は、ため息のあと、圭の最奥に精を放った。
 男の身体を奥まで誘い込む、みだらな仕草を試みながら、圭も最後の精液を放った。

 終わった後は口付けの嵐が待っていた。
 痛いほど抱きしめられるが、全身の精を絞りとられた後の弛緩しきった身体では、抱擁に応える力なんて、ほんの少しも残っていない。
 額に大きく音をたててキスをした後、洋介は徐に立ち上がり、別室に消えた。
 圭はのろのろとベッドサイドに落とされたタオルケットを拾い上げ、巻きつけるようにして身体を隠す。
 二人分の精液でぐっしょりと濡れたベッドは、どう控えめに見積もっても快適とは言えないが、これ以上動けない。
 壁に目をやると、時計の針は丁度9時を示していた。
 一体何時間抱かれていたのだろう。始まった時には、まだ外は明るかったのに。
 まともな食事は一度もとっていない事に圭は気がついた。洋介が口に運んでくれた桃以外は。
 隣室から何かにぶつかるような水音が響いてくる。
 やがて、下半身だけスエットを着け、首にタオルをかけた長身の男が、洗面用のボウルを抱えて戻ってきた。
 サイドテーブルに、お湯のはられたそれを置くと、タオルを浸し、器用にきゅっと固く絞る。
 ベッドサイドに腰掛けて、顔だけを覗かせている圭を愛しそうに眺めると
「ほら」
 と、ケットを捲くろうとした。
 圭はタオルの中にもう一度身をかくす。
「風呂の前に、綺麗にしてやるから」
 宥めるような声に、背中を向けると
「しなくていい」
 と、思い切り可愛げのない返事を返した。
「お前と俺ので、どこもかしこもぐちゃぐちゃなんだぜ。わがまま言ってないで、ほら、見せろよ」
「やだったら」
「ったく、世話の焼けるお姫様だぜ」
 洋介は強引にタオルケットを剥ぎ取った。奪われまいと身を捩って手を伸ばすが、遅く、ケットは再びベッドの下に落とされる。
 そして、両手首を押さえ込まれ、脚の間に、膝を入れられた。
 あ……。
 洋介の舌が、ちじこまっていた圭の小さな舌を探り当て、執拗に絡みついてくる。
 深くて甘い、祈りのような口付け。
 歯列を舐めあげ、卑猥に出入りするその舌は、さっきまで圭の身体を塞いでいた、男根の摩擦を連想させる。
 圭の妄想を読み取ったのように、圭の敏感な部分を割りいれた膝が刺激する。
 太ももで、擦るようにされるともう駄目だった。
 洋介はずるい。
 こんな事されたら、誰だって……抵抗なんて出来るはずがない。
「もうじっとしてるな?」
 圭はこくんと頷いた。
「いい子だ」
 洋介はそんな圭をもう一度、ふわりと抱きしめてくれた。
 洋介は、恥ずかしく濡れた部分を清めた後、ボウルを手に、洗面所へと消えた。すぐに戻ってきて、
「つかまれよ」
と、身を屈める。
 圭は、長い首に手を伸ばした。
 身体が起こされ、強い力で引き上げられる。
 洋介の首っ玉にしがみついた子供のような格好で、洗面所に運ばれた。立ったままお湯を肩から、ざっとかけられる。
「……濡れちゃうよ」
 スウェットを気遣う圭に、
「気にすんな」
 そう言うと、洋介はもう一度圭を抱きかかえ、裸の身体をそっと湯船におろしてくれた。シーツを変えてくるから、と小さくジャンプして水滴を払った後、寝室へ戻っていく。
 温かいお湯の感触が、激しすぎる刺激で弛緩した、心と身体にじわりとしみてくる。
 顎がお湯につかるくらい、深く身体を沈めながら、圭はあたりを見回した。
 男の一人暮らしにしては、かなり広めのバスルームは、几帳面な洋介らしく隅々まで清潔に保たれている。
 ラックには、ソープのボトルに混じって入浴剤が5本並べられていた。
 あの洋介が、どの入浴剤にしようか、なんて悩んでいる姿を思い浮かべると、なんだかおかしい。
 おかしくって……なんだか可愛い。
 明るいパッケージの1本を選びだし、、ほんの少量だけたらしてみる。薔薇の香りが、窓のない小部屋を満たしていき……何故だか、胸が、切なくきしむ。
 扉が開いて、洋介が姿を現した。
 俯いていたって、わかっている。鋭くて誇りに満ちた眼差しは、きっと圭を見つめている。長い腕で、きっと、抱きしめられる。
 洋介の体積で、お湯が湯船から溢れ出す。想像していた通り、後ろからふわりと抱きしめられ、圭は大きな掌に自分のそれを重ねた。
「愛してる」
 首筋に顔を埋めて囁かれる。
 圭は聞こえないふりをした。
 重ねあった掌から、じんとした熱が伝わってきて、また蕩けそうになる。
 心臓が、早鐘を打っていた。
 顔を覗き込まれたら、声を聞かれてしまったら、すぐに気づかれてしまうから、お風呂の中だけれど、圭は眠ったふりをした。


 洋介が好きだ。
 怖くて、意地悪で、強引で、だけど優しい、悪魔のようなこの男が、大好きだ。
 身体の奥からせりあがってくる、この想い。
 切なくて、やるせないこの想いは……

 紛れもなく、恋、だった。
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