ボクの推しアイドルに会える方法

たっぷりチョコ

文字の大きさ
26 / 57

「アイドルやってます」-トモセ視点ー

しおりを挟む

『応援してます! ずっとずっと』

 アキがそう言ってくれるから、頑張れるんだよ?
 
 どこにいるの?

 今すぐ会いたい、て言ったら、夢から出てきて会いに来てくれる?



ー3ヵ月前ー


「トーモ! 早いな。一番のりじゃん」
 床に座って脚を広げながらストレッチをしていると、ジュンが声をかけてきた。
「メンバーで未だにDKやってるのオレだけだもん。ジュンは仕事後?」
「1本だけ。つーか、すねんなよ」
 肘で小突いてからかってくるジュン。
「すねてない」
「みんなもそのうちくるよ。合同練習はうちのリーダーがうるさいから」
「だねー」

 木山知世。(きやまともせ)
 今年高3の大学受験生。
 男子校に通いながら男性アイドルやってます。
 中1の時、いとこのあすかちゃんに勝手にオーディションに応募されたのがきっかけで「ラブ→ず」のメンバーとして活動することになって5年。
 多忙すぎてストレスで爆発して引退の危機まで追い込まれたこともあったけど、いろいろあってなんとか今もアイドルを続けている。
 一生アイドルをやっていく気はなく、時期になったら素直に引退してカフェのオーナーになれたら・・・と。
 将来はそこが目標。
 だから今は、めちゃくちゃ忙しいけど大学に進学すると決めている。
 
 ラブず(ラブ→ず)は10人いて、その中で一番最年少なのはオレ。
 一番年上なのはリーダーでもあるルイとミツルで、確か24。
 メンバーとは仲いいし、みんなオレのこと可愛がってくれるから大好き。
 と、いいたいところだけど、ひとりだけ例外な奴もいたりする。
 ラブずの中で一番人気で仕事も多い、カイ。(ギャラも高い)
 オレのこと弟みたいにかいわがってるとかインタビューでは答えてるみたいだけど、嘘がすぎる。
 どーみても人のことバカにしてる態度ばかりだ。
 クール担当だけど全然真逆だし、よくしゃべってうるさいし、女好きで・・・と、カイのことになると悪口しか出てこない。
 メンバーの中で唯一の天敵。
 それ以外はめちゃくちゃ仲良しで大好き。

 ジュンはメンバー内で歳が近いこともあって一番仲が良い。
 みんなそれぞれ担当のキャラがあるんだけど、ジュンはヤンキー担当。
 実はアイドルになる前、本当にヤンキーをやっていたから納得。
 ちなみに、キャラ決めは適当で、ほとんどみんなでお互いの印象だけで決めた。ジュンのヤンキーは偶然の産物・・・なのかな。(てか、目がね。目がもう普通の人とは違うんだよ)
 中学時代は相当荒れていたらしい。(この話はまた・・・)
 でも、今のジュンは全然怖くないし、(怒らせると怖いけど)よく笑うし、親思いだし、とにかくめちゃくちゃ甘いもの好き。
 一時期、ふたりしてパンケーキにハマっていろんな店を回ったことがあった。
 アイドル以外にもタレントとしても人気がある。もちろん、オレより人気がある期待の星。


 事務所内にある練習室に次々とメンバーが到着する。
 隣でジュンがストレッチを終えると、スマホを持ってきて画面を見ながらオレに話をふってきた。
「そーいえば、昨日の生の歌番でトモが軽くミスったじゃん?」
 ジュンに言われ、ビクッと肩がすくむ。
「・・・その話なし。オレの中でなかったことにしたいのに」
「なんで? SNSでバズってるぜ? ツイッターなんかトレンド入りしてた。マジうける」
「・・・え?」
「ともよんのテンパりかたマジかわいい~。ジュンに謝ってるやりとり、仲いいのがわかって癒される。尊い、エモい。天使・・・」
「も、もういい!」
 コメントを読みあげるジュンをストップさせる。
 ジュンは「もういいの?」という顔でオレに視線を送りながらどこか楽しそうだ。

「マジ恥ずい! 昨日は本当にやらかした。あのあとめちゃくちゃ反省した」
「収録後もひとりで顔真っ赤にしてたもんな~。どしたん? 珍しいじゃん。トモが立ち位置ミスるなんて」
「勉強のしすぎ! ということにしといて」
「へいへい。ま、事実そうなんじゃね? あんま根詰めなよ」
「・・・わかってる」
「でもさー、なんだかんだいってすぐ持ち直してたし、相変わらずのキレッキレのダンスっぷりだったじゃん! いいよなー、練習してるけど俺、あそこの動き苦手で・・・て、聞いてる? 俺、話してるんだけど」
 床に寝転がりながらジュンがジトッとオレを睨む。
「え、あ、ごめん。ボーとしてた?」
「してた。睡眠ちゃんととってる? しっかりしろよ」
「うん、わかってる」

 ジュンの話を聞いていて、ふと何かを思い出した気がした。
 だけど、それがなんだったのか・・・。

 自分のスマホを眺め、昨日やらからしたことがバズっていることは知らなかった。
 ジュンから初めて聞いたはずなのに、なぜかその前から知っていたような・・・不思議な違和感がするも、それがよくわからない。
  いつもなら引きずる案件だけど、バズったせいなのか、気持ちが軽い。

 腕を組んで考えようとするも、ダンス指導の講師が来たからそんな暇が一瞬でなくなった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する幼少中高大院までの一貫校だ。しかし学校の規模に見合わず生徒数は一学年300人程の少人数の学院で、他とは少し違う校風の学院でもある。 そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語

私の庇護欲を掻き立てるのです

まめ
BL
ぼんやりとした受けが、よく分からないうちに攻めに囲われていく話。

陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 まったり書いていきます。 2024.05.14 閲覧ありがとうございます。 午後4時に更新します。 よろしくお願いします。 栞、お気に入り嬉しいです。 いつもありがとうございます。 2024.05.29 閲覧ありがとうございます。 m(_ _)m 明日のおまけで完結します。 反応ありがとうございます。 とても嬉しいです。 明後日より新作が始まります。 良かったら覗いてみてください。 (^O^)

好きな人がカッコ良すぎて俺はそろそろ天に召されるかもしれない

豆ちよこ
BL
男子校に通う棚橋学斗にはとってもとっても気になる人がいた。同じクラスの葛西宏樹。 とにかく目を惹く葛西は超絶カッコいいんだ! 神様のご褒美か、はたまた気紛れかは知らないけど、隣同士の席になっちゃったからもう大変。ついつい気になってチラチラと見てしまう。 そんな学斗に、葛西もどうやら気付いているようで……。 □チャラ王子攻め □天然おとぼけ受け □ほのぼのスクールBL タイトル前に◆◇のマークが付いてるものは、飛ばし読みしても問題ありません。 ◆…葛西視点 ◇…てっちゃん視点 pixivで連載中の私のお気に入りCPを、アルファさんのフォントで読みたくてお引越しさせました。 所々修正と大幅な加筆を加えながら、少しづつ公開していこうと思います。転載…、というより筋書きが同じの、新しいお話になってしまったかも。支部はプロット、こちらが本編と捉えて頂けたら良いかと思います。

王道学園のモブ

四季織
BL
王道学園に転生した俺が出会ったのは、寡黙書記の先輩だった。 私立白鳳学園。山の上のこの学園は、政財界、文化界を担う子息達が通う超名門校で、特に、有名なのは生徒会だった。 そう、俺、小坂威(おさかたける)は王道学園BLゲームの世界に転生してしまったんだ。もちろんゲームに登場しない、名前も見た目も平凡なモブとして。

悲報、転生したらギャルゲーの主人公だったのに、悪友も一緒に転生してきたせいで開幕即終了のお知らせ

椿谷あずる
BL
平凡な高校生だった俺は、ある日事故で命を落としギャルゲーの世界に主人公としてに転生した――はずだった。薔薇色のハーレムライフを望んだ俺の前に、なぜか一緒に事故に巻き込まれた悪友・野里レンまで転生してきて!?「お前だけハーレムなんて、絶対ズルいだろ?」っておい、俺のハーレム計画はどうなるんだ?ヒロインじゃなく、男とばかりフラグが立ってしまうギャルゲー世界。俺のハーレム計画、開幕十分で即終了のお知らせ……!

悪役側のモブになっても推しを拝みたい。【完結】

瑳来
BL
大学生でホストでオタクの如月杏樹はホストの仕事をした帰り道、自分のお客に刺されてしまう。 そして、気がついたら自分の夢中になっていたBLゲームのモブキャラになっていた! ……ま、推しを拝めるからいっか! てな感じで、ほのぼのと生きていこうと心に決めたのであった。 ウィル様のおまけにて完結致しました。 長い間お付き合い頂きありがとうございました!

推しにプロポーズしていたなんて、何かの間違いです

一ノ瀬麻紀
BL
引きこもりの僕、麻倉 渚(あさくら なぎさ)と、人気アイドルの弟、麻倉 潮(あさくら うしお) 同じ双子だというのに、なぜこんなにも違ってしまったのだろう。 時々ふとそんな事を考えてしまうけど、それでも僕は、理解のある家族に恵まれ充実した引きこもり生活をエンジョイしていた。 僕は極度の人見知りであがり症だ。いつからこんなふうになってしまったのか、よく覚えていない。 本音を言うなら、弟のように表舞台に立ってみたいと思うこともある。けれどそんなのは無理に決まっている。 だから、安全な自宅という城の中で、僕は今の生活をエンジョイするんだ。高望みは一切しない。 なのに、弟がある日突然変なことを言い出した。 「今度の月曜日、俺の代わりに学校へ行ってくれないか?」 ありえない頼み事だから断ろうとしたのに、弟は僕の弱みに付け込んできた。 僕の推しは俳優の、葛城 結斗(かつらぎ ゆうと)くんだ。 その結斗くんのスペシャルグッズとサイン、というエサを目の前にちらつかせたんだ。 悔しいけど、僕は推しのサインにつられて首を縦に振ってしまった。 え?葛城くんが目の前に!? どうしよう、人生最大のピンチだ!! ✤✤ 「推し」「高校生BL」をテーマに書いたお話です。 全年齢向けの作品となっています。 一度短編として完結した作品ですが、既存部分の改稿と、新規エピソードを追加しました。 ✤✤

処理中です...