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プロローグ 大分昔のお話
しおりを挟む真っ暗。
空も大地も海も、草も花も木も、全部が全部。
前後。上下左右。僕の視界に映る何もかもが死んでしまったかのように色を失っている。
ただ一色の黒に塗りつぶされてしまっている。
ここにはお父さんも、お母さんも、村のみんなも、妹も、そして『殺したくて殺したくて仕方のない奴』も……ボク以外誰もいない。
何処だろうここは。
何があったんだっけ。最後に目にしたのは“あいつ”の顔だった。
それ以降何があったんだろう。
気がついたらここにいた。黒一色の死んだ世界に。
どれだけ進んでも見えるのは黒だけ。
ボクはどうすれば良いのだろうか。
目的もないままボクは黒の中を進んだ。
とても冷たい。
◇ ◇ ◇
そんなことを繰り返して数年。
冷たさには、体の一部だと思えるほど慣れた。
何にも食べてない。
けれどボクが死ぬことはなかった。
時間は生きることを忘れてしまったのだろうか。
……わからないことだらけだが、この数年でわかったことが一つある。
数ヶ月経った時黒に目が馴染んできて、黒の先にある色が見えるようになった。
そこには村があった。
ボクは希望を見出し、急いでそこに向かった。
けれど、近づくにつれてどんどんと黒に染まっていき、村に着く頃にはボクの周りにある黒と同化してしまっていた。
さっきまで動いていた人達も黒に染まっており、ボクが手を伸ばしたら、ハラハラとチリとなって跡形もなく崩れ落ちて消えた。
黒くなってしまった村には、さっきまで満ち足りていた生気が消え失せ、人が住んで暮らしていたという生活感なども欠片たりとも残されていなかった。
その時にボクはわかった。
ボクが黒の中にいるのではない。ボクがいるから周りが黒に染まるのだと。
わかってさらに絶望した。
どうすることもできない。只々無力感が募るだけ。
僅かにあった希望も途絶えてしまい、死人のように今日までを過ごした。
そして今日。
今、ボクの目の前には一人のモノクロな少女がいた。
後に二人目の母親と呼び慕うことになる少女が。
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