物語の途中で殺される悪役貴族に転生したけど、善行に走ったら裏切り者として処刑されそう

maricaみかん

文字の大きさ
549 / 622
16章 皇帝への道

548話 止まらない問題

しおりを挟む
 ひとまず、レプラコーン王家で起こった反乱については落ち着いたと言えるだろう。もちろん、まだ問題はあるのだが。

 地道な復興作業や人心の安定は必要になってくるし、流民の問題だって出てくるだろう。だから、まだ終わったわけじゃない。同時に、今すぐ解決する問題でもないが。

 ただ、俺ができる大きなことは、もう無いと言っていいだろう。一歩一歩、確かに進んでいくしか無いんだ。

 というわけで、ブラック領でまた人員を集めるかもしれない。そんな計画を、少しずつ動かそうとしていた。

 課題に頭を悩ませる中で、ノックが響く。出ると、ミルラとジャンがいた。

「レックス様、ご報告がございます。今すぐ、時間を作っていただければと」
「ブラック家には直接関係ないんですけど、兄さんにとっては大事ですからね」

 ふたりとも、真剣な顔をしている。まあ、ミルラもジャンもいつも真面目なタイプではあるが。だが、いつもより深刻そうに見えるな。眉間にシワも寄っているし。

 まあ、深刻な事態には慣れてきてしまったんだが。そんなことあるか? まあ、物語の中に生まれ変わった時点で、必然とも言えてしまうか。

 ちょっと、歯を食いしばりたくなってきたな。それよりも優先すべきことがあるから、やめておくが。

「分かった。そうなると、俺の友達になにかあったのか?」
「そうなる予定とでも言いましょうか。いずれ爆発する問題でございます」
「兄さんが動くかどうかで、大きく未来が変わるでしょうね」

 つまり、今は問題がないが、そのうち大問題になると。

 俺の動き方次第では、事前に抑えられるかもしれない。あるいは、早期に問題を解決できるかもしれない。そういうことだな。

 誰の問題かは分からないが、それでも俺の選択は変わらない。ただ、全力を尽くすだけだ。

「なら、すぐにでも聞かせてくれ。いったい、何があった?」
「では、簡潔に。スコルピオ帝国が、レプラコーン王国に攻め込もうとしているのです」

 少し、息が止まった。原作では、攻め込まれるまではしなかったはず。確か、皇帝に挑む権利のある大会に参加して、優勝を狙う話じゃなかっただろうか。

 やはり、俺が動いた影響はいろんなところに広がっている。分かってはいたが、もう原作知識は当てにならないと思うべきだな。

 理由は、明らかだ。王家に対する反乱によって、レプラコーン王国が弱っているから。それ以外にありえない。

「なっ……。いや、敵国からすれば、妥当なタイミングなのか……」
「兄さんは、レプラコーン王家に滅んでほしくはないですよね?」

 ジャンは問いかけてくるが、まあ分かっているのだろう。とはいえ、確認は大事だ。俺が望むからと何も聞かずに動いて、実は違ったらな。

 ということで、聞かれること事態は受け入れるべき。むしろ、感謝すべきくらいかもな。

「当然だ。ミーアにもリーナにも、できる限りの協力をする。できれば、みんなにも協力してほしい」
「当然でございます。私も、微力を尽くす所存でございます」
「魔道具の運用も、必要になるかもしれませんね。ひとまず、僕たちで計画を練りましょう」

 帝国に攻め返すのか、専守防衛で収めるのか。その辺も含めて、かなり方針が大事になる。そして、準備も。

 ただ、最終的には1大決戦となるのだろうな。帝国の実力主義から考えて、力の差を思い知らせるのは絶対に必要になる。

「さて、どうしたものか。ミーアやリーナにも、話は通したいが」
「どこまで協力できるかを固めるのも、大事でしょうね」

 王都はレプラコーン王国の奥深く。実際に戦うのは、国境沿いになるだろう。そうなってくると、王女姉妹に戦ってもらうのは難しいかもな。

 とはいえ、王家にもできることはあるはずだ。少なくとも、ブラック家より優秀な諜報機関は持っているだろう。ブラック家に攻めようとする敵を教えてもらったこともあるんだ。

 まあ、まずは一度話したいところだな。細かいことは、そこからだ。

「ああ。こまめに相談するのが、理想ではあるが……」
「通話があるのですから、不可能ではございません。ただし、どこまで開示するかも問題になります」
「そうだな。ミーアとリーナが何度も不審な行動を取ることになる。何も説明しなければ、だが」
「同時に僕たちが、いえ、兄さんが疑われる諸刃の剣でもあります」

 王女姉妹と密談をしているというのは、どう考えても疑われる原因になる。他の家と連絡していても、同じだろう。

 だからこそ、慎重に事を運ぶべきなんだよな。ブラック家の敵にも、王家の敵にも、隙を与えるべきじゃない。

「そうなんだよな……。あまり保身を考えたくはないが、状況が状況だからな……」
「王国内で不和をもたらしていては、必ず負けるでしょう。兄さん、どうしますか?」

 かなり難しい問題だからこそ、即断はできない。もちろん、できる限り早く決めないといけないが。

 通話はとても便利な道具だから、できれば多く使いたい。それと同時に、危険を招きかねないものでもある。本当に、難しい。

 まあ、相手のあることだ。考えるのは、俺だけじゃないか。

「それこそ、俺ひとりで決めるべきことではない。ミーアたちと相談すべきじゃないか?」
「レックス様が望むのであれば、そのようにいたします」

 ちょっと引っかかる物言いだな。いや、ミルラに悪意があるわけじゃないのは分かるが。

 シュテルのこともあって、全肯定されるのは怖い。俺が間違った時に止めてくれる人がいないと、暴走しかねないからな。

 特に、俺は圧倒的に強大な力を持っている。だからこそ、ブレーキがなくては止まれない。

「いや、俺の案に問題があるのなら、ちゃんと言ってくれ。それが忠義だと思ってくれ」
「ハッキリ言ってしまえば、どの案も危険があります。だから、どれを優先するかだけなんですよね」
「ですので、私どもはレックス様のご意思を優先いたします。それが、最善でしょう」

 ああ、そういうことか。なら、俺の役割を果たしているだけと言えるだろう。集団のリーダーがやるべきことは、とにかく方針を決めることだからな。

 過剰に俺の意志を優先して、反対意見を飲み込んでいるわけではない。なら、十分だ。

「なら、良いが。それなら、通話のタイミングを計らないとな。さて、どうしたものか」
「一言二言程度を一方的に送るのも、手段でございます」

 ふむ。悪くないかもしれないな。こちらから用があるとだけ伝えて、向こうの都合で通話する。メールにも通じるやり方だ。

 なんだかんだで、技術というのは最終的に似たような使い方をされるものなのか。ミルラは俺の世界を知らないが、同じような発想をしている。

 とはいえ、有効なのは間違いない。ありがたい意見を聞けたな。

「ああ、なるほど。手紙のような形で運用するわけか。そうだな。それでいってみよう」
「では、雑事はお任せいただければと。最善を尽くさせていただきます」

 ひとまず、ミーアたちにメッセージを送ろう。それから、返事に応じて行動を変えれば良い。

 さて、どんな返答が返ってくるだろうか。かなり、気になるところだ。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。

昼寝部
キャラ文芸
 俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。  その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。  とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。  まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。  これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

処理中です...